雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

「EM-200には無理だ!」と言ったのに、やって来たC11鏡筒

2024年08月23日 | 機材
鳴かず飛ばずで ただ暑くて雲まみれの夜が続いております。

そんなある日、私の所属する「上越天体写真友の会(J-APA)」のメンバーでもあり
「上越清里 星のふるさと館」のスタッフでもあるAKIさんから電話をいただきました。
「使っていない大口径の反射鏡筒があるのだけれど、もらってくれない?」
わたしはてっきりVixenのVMC260かと思って
「そんな重たい鏡筒はわたしのEM-200赤道儀には無理です。
それに、天候不順で私の持ってる鏡筒ですら出番がないのですから・・」
と お断りしたのですが
「J-APAの月例会に持っていくのでよろしく。」

という事で 数日後の月例会でその巨大な鏡筒と対面したのですが、
それはVMC260ではなく、その昔 ビクセン名で販売していたセレストロン社製のC11鏡筒でした。
なんでこんなものを持っておられるのか聞いたのですが ・・

『その昔 元々は別の方が持っておられて、AKIさん自身も赤道儀込みでC11鏡筒を別途 購入。
元の鏡筒は使われなくなってから引き取り手がなく、倉庫(星のふるさと館の?)にずっと眠っていたが
C11つながりでAKIさんが引き取ったものの やはり使われずに。』
(注).『 』内は わたしの推測を含みます

AKIさんから、「引き取り手がないと粗大ゴミに出すしかない。」と言われたので、
とりあえず持って帰ったのですが、
左側は手持ちのVixen VC200L鏡筒、右側がやって来たセレストロンC11鏡筒本体

口径は VixenVMC260より2㎝大きい279㎜で、重量は本体のみで11.6(実測)
実は手持ちのVC200Lも鏡筒バンド・ガイド鏡筒を含めると12.0㎏もあるのですが、
C11鏡筒を細いU字金具で持ち上げた時の重量感は半端じゃない!
ほぼ同じ重量のVC200L一式の方が軽く感じられるのは、
赤道儀搭載時にまずガイド鏡のついた鏡筒バンドを取り付け、
次にVC200L鏡筒本体をバンドに搭載するという2回に分けているから。

別の角度から両者を比較した画像です。 ↓
(  画像クリックで拡大表示できます )

左のVC200Lはビクセン独自のバイサックと言う光学系だが、右のC11は純粋なシュミット・カセグレンで前面に補正板がある
実は古いC11の主鏡がきれいなのに驚いたが、よく見たらそのぶん補正版の傷や内面にもほこりがあった。


本来C11(左)のピント調整は鏡筒底部のピントノブを回して主鏡を前後に摺動させて行う方式だが、
接眼部を電動式のピント調整に改造してあった。(なんとか使おうというAKIさんの努力の表れ?)

EM-200赤道儀にはガイド鏡などこれ以上重量を増やすことはきびしく、
せいぜいノータッチガイドで、月面や惑星の拡大撮影くらいしかできないのでは?

いや、それ以前の問題としてこのC11鏡筒をどうやってEM-200赤道儀に搭載するか?
実はC11鏡筒と合わせて、AKIさんが自分で購入したC11鏡筒で一時使っていたアタッチメントレールも
付けてもらったのだが、これが古いC11鏡筒には合いそうにない。
( AKIさんは一時ビクセンの小型赤道儀に載せていたが、その後アトラクス赤道儀にアップした際に鏡筒バンドに変更 )

レール幅のネジ穴、レール長のネジ穴とも合わない

搭載ができなければ、このC11鏡筒はところ変わって我が家の趣味部屋で粗大ゴミになるしかない?


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他のメンバーからも使っていないC11用アタッチメントレールがあるので
試してみたらという、お話もいただいているのですが、
実は今 今月末までに完了しなければならない急ぎの仕事が。
春から「上越清里 星のふるさと館」で開催中の私の写真展。
9月早々に展示写真の全面差し替えを予定しています。
今 展示物のレイアウトを検討中で、その後25枚余をプリントし、
パネル回収および現地でのパネル再展示を行わなければなりません。

連日の猛暑の中、家の裏で今年も咲き誇る高砂百合(自称”ヒュンヒュンユリ”)


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酷暑の趣味部屋スルー作戦!(未だ検証撮影できず)

2024年08月12日 | 天体写真よろず話
毎日SCW天気予報はチエックしているのですが、まもなく上弦の月となり
8月の新月期も ずっと雲まみれの夜空で終わりそうです。
問題は 晴れれば晴れたで、リモート撮影を行う趣味部屋は夜になっても30℃前後の超熱帯夜で近寄れないこと。
これまでの”庭撮り”は、設営機材と隣接した趣味部屋のPCを窓のすきまから2本のUSBコードで接続
3畳ほどの趣味部屋にはエアコンが無く、夏場は夜間も30℃前後でPCの熱暴走も心配

夏の夜は雲が多くて滅多に星空は撮れないとは言え、
まれに雲がない夜に 趣味部屋が熱くて”庭撮り”ができないというのは、あまりに悔(くや)しい。

そこで色々悪あがきしてみたのですが・・・
Ⅰ. 隣接する寝室(エアコンあり)から 趣味部屋に冷風を送り込む
(結果)天井付近に空いた通気穴が小さく、サーキュレーターで送風しても1℃程度しか下がらず

Ⅱ. 隣の寝室のクローゼットにPCを設置、趣味部屋経由でUSB延長コードを追加して接続
(結果)家内から、手元照明や寝室への出入りが気になって眠れなくなると猛反対される
そこで
Ⅲ. 廊下を横切った先のリビングにPCを設置、趣味部屋経由でUSB延長コードを追加して接続
なんとか、リビングルーム内まで届きそう

ただし この案には事前の検証を行う必要がありました。
それは、赤道儀およびガイドカメラ接続用のUSB2コードに手持ちの延長コード(5m)を追加するのですが、
合計10m越えになっても制御が正常に行われるかどうか?
(注)CMOSカメラ接続用のUSB3ケーブルは、もともと10m長をトグロ巻きで使っていたので、使用実績から問題なしと判断

そこで、昼間涼しい室内に撮影機材を設営し、デスクトップPCにステラショット3を立ち上げて検証したところ・・
( 室内での検証の様子 )
ステラショット3で赤道儀・カメラ・ガイドカメラはすべて接続できました。
加えて赤道儀が手動で操作ができる事までは確認したのですが、
撮影やオートガイドが同時進行した場合でも大丈夫かどうか、は実際に撮影してみないとわかりません。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

さらに 赤道儀設置場所からかなり離れた部屋からリモート撮影することになったため、
鏡筒のピント調整をしながらリアルタイムでPC画面を見る事が困難になる ことに気付きました。
(注)これまで趣味部屋からのリモート撮影時は、必要によりPCモニターを窓際の棚に移動させて
屋外からモニタ画面をみながらピント調整などをおこなっていました
「ちょっと調整しては室内のモニタを見に行く・・」を繰り返すのでは、多くの時間と体力を費やしてしまいます。
調整を行う屋外の機材付近でPC画面をリアルタイムで見る方策が必要です。

最初に頭に浮かんだのは
防犯カメラなどでPC画面をリアルタイムで撮影し、それを屋外のスマホで見ながらピント調整などを行う
というもの。
我が家にWIFI環境はあるし 防犯カメラは娘の家から使っていないのを借りられるということで、
アプリのインストールの手前まで行ったのですが、やめました。
やめた理由は、「防犯カメラ」特有の各種設定が面倒そうだったためと、
撮影するのではなく、モニタ画面を共有する画面ミラーリングができるアプリを見つけたから。

LetsView というアプリで、無料コースもあったため、
さっそくデスクトップPCとスマホにインストールして体験。
簡単な操作で、デスクトップのステラショット3の画面をスマホ画面でリアルタイムで見ることができました。
カメラも不要で画像もスマホ側で自由に拡大可能、これは使えそう!

あとは雲の無い夜に実際に撮影して検証するだけなのですが・・


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わたしの予想では「酷暑の趣味部屋スルー作戦!」の実戦検証ができる頃には
すでに秋風が吹き始めているのでは・・
それでもLetsViewでモニターの移動が不要となれば 一応成果ありです。


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熱帯夜の早朝にパチリ!(〇ヶ月ぶりの星空撮影)

2024年08月05日 | 天体写真よろず話
連日の熱帯夜とそろった孫たちのお相手で、しばらくは星の撮影はお休みする予定だったのですが、
一昨日の早朝 手洗いに起きたときに習慣で窓から空を覗いたところ
西に傾いた夏の大三角形が明るく見えていました。
この夜の雲予報では雲量”0”の時間帯は無く、いつもの薄雲まみれの空のはずだったのですが・・
起きた時間帯の SCW 天気予報

たまたま雲が薄い時間帯だったようで、急いでカメラ三脚での固定撮影で何カットか撮影しました。
うす雲はあったようですが、30秒露光で撮影した一部になります。

西に傾いた夏の大三角形
2024年 8月4日 2時57分~ Tamron Zoom(fl17mm F2.8)30秒×5枚 ISO1600 
ソフトフィルター使用 kiss DX(SEO-SP2) 三脚固定撮影
ふだんは暗くて写真にすら写ってくれないミラ型変光星xCygが先月極大を迎えており、明るく写っています。

上って来る スバル・おうし座 と二惑星
( 画像クリックすると星座名、惑星名が表示されます)
2024年 8月4日 3時15分~ Tamron Zoom(fl17mm F2.8)30秒×6枚 ISO1600 
ほかの撮影データは上と同じので省略
家の玄関付近(東側)で撮影、市街地の光害で天体写真には不向きな方角。
早朝にオリオン大星雲が見えるのはもう少し先のようです。

秋の大四辺形とアンドロメダ座
( 画像クリックすると星座名が表示されます)
2024年 8月4日 3時37分~ Tamron Zoom(fl17mm F2.8)30秒×6枚 ISO1600 
アンドロメダ大銀河もなんとかわかります。 右下端の星は土星
わたしは「ペガススの大四辺形」で覚えているのですが、ステラナビの記載名に合わせました。

ほかにも撮影中に写った明るい流星などもあるのですが、見栄えがイマイチで割愛しました。


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星空の撮影をしたのは5月9日の三裂星雲が最後だったので
約3ヶ月ぶりの撮影になります。
梅雨が理由なら天候次第ですが、この猛暑は夏の間中続く訳で
日中30℃を越えるエアコンのない趣味部屋は一晩中酷熱地獄。
サーキュレータで隣の部屋との隙間から冷気を送りこんでみたがダメ。
3畳の趣味部屋は煖房はたやすいが、冷房となると冷却カメラと同様に熱の放出が必要。
そこで、新たな方策として延長USBコードで隣のエアコンのある寝室から
リモート撮影できないか検討中。

孫たちがいる間にと、「かたてま野菜」のスイカ初収穫、ちょうどいい熟し具合でおいしかったです。

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異なる鏡筒・カメラの画像をコンポジット_その3(関数電卓からエクセルへ)

2024年07月29日 | 画像処理のはなし
わが越後の梅雨明けは8月に入ってからになりそうなので、引き続き同じテーマでの記事になります。
今回「異なる鏡筒・カメラの画像をコンポジット」の題材に選んだのは、
カシオペア座の端にある「バブル(しゃぼんだま)星雲 付近」の過去の撮影画像です。

以下の3つが今回選んだ題材で、以前の処理画像になります。
撮影時期が新しい順に並べると

2023年8月12日 撮影鏡筒:R200SS(PH)fl=760mm カメラ:ASI 533MC ↑

2017年9月26日 撮影鏡筒:R200SS(PH)fl=760mm カメラ:Cooled 60D ↑

2015年9月10日 撮影鏡筒:R200SS(PH)fl=760mm カメラ:Cooled 60D ↑


作業手順は 前回記事 に記載したように
①.各画像に共通する2つの星を選んで・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
②.それぞれのピクセル座標をメモする・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
➂.「ピタゴラスの定理」を使って関数電卓で2星間のピクセル数を算出・・・・・・・・・・・・・・
④.2星間のピクセル数が同じになるよう、ステライメージで「画像解像度」を変更する
⑥.画像解像度をそろえた画像をコンポジットする・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
⑦.コンポジットできた画像に対して、通常の画像処理を行う・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
なのですが
関数電卓を使って2星間のピクセル数を求める作業がとても疲れました。
まして対象画像が3枚、4枚にもなれば、コンポジットが終わった時点でぐったり。
改めて画像処理をやりなおすエネルギーが残っていません。
そこで、”電卓”ではなくエクセルを使うことにしました。
最近は一覧表の作成などで使うことが多かったのですが、エクセル本来の表計算として久しぶりに使ってみました。

以下が作成したエクセルのシートで、今回のコンポジットまでの作業にさっそく使ってみました。
入力が必要なのは、使用する各元画像のピクセルサイズと、各画像の2つの星のピクセル座標だけ(あとは必要によりメモとして記入)
以上を入力するだけで
.各画像の2星間のピクセル数
.各画像の画像解像度の比率
.各画像のステライメージでの「画像解像度」設定値(どの画像を基準にするかで選択

今回は2星間のピクセル数の多い画像A(画像解像度の高い画像)を基準画像としたので、
画像Aはそのまま変更せずに、画像B・画像Cの画像解像度を表示値に変更しました。

(参考):[2星間のピクセル数] で 使用しているエクセル関数は =SQRT((H7-L7)^2+(I7-M7)^2) ・・・ 画像Aの場合

今回の3つの画像のうち、2017年・2015年の画像は同じ鏡筒。同じカメラで撮影しているのに
なぜかこれまでコンポジット処理された形跡がありません。
そこで今回 画像B・画像Cとして別画像として処理したのですが、
上のエクセル計算表を見ると、2星間のピクセル数が微妙に異なっています。
比率でみればわずか0.2%の差ですが、ピクセル数では7ピクセルになり重ね合わせると星のズレがわかります。
撮影時の気温の差などで鏡筒の焦点距離が微妙に変化したのでしょうか?

3年分の撮影画像を画像解像度変更後コンポジット、画像処理しなおした結果です。↓
( 各年の画像を加算平均 完成画像を約60%に縮小したもの )

今回の画像統合の効果を検証するため、バブル星雲付近の等倍切り出し(縮小なし)画像で比較します。

評価のポイントとしては、2023年のASI533MCで撮った画像と比較してどうか? というところでしょうか。


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今回で3回目となるこの連載記事、ふとそのむかし同じような事を書いた気がして
過去の記事を調べてみたら、10年前の2014年の1月に同じような連載記事を書いていました。
当時のカメラは初期のデジ一眼canon kiss DXで、2代目のCooled60Dに代わってまもないころ。
10年も経ってカメラはフルサイズのEOS6D
更に昨年からはCMOSカメラのASI533MCに代わりましたが、
10年前は雪雲で撮れない冬休み、今回は同じく雲の多い夏休みで、
ブログネタがなくて書いた記事というのは共通しています。

先日は孫と一緒に花火を見に地元の夏祭りへ、今回は夜店のくじは はずれ だったみたい


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異なる鏡筒・カメラの画像をコンポジット その2(作業手順)

2024年07月25日 | 画像処理のはなし
前回記事 に続き、今回は過去に撮った「鏡筒・カメラの異なる画像のコンポジット」の作業手順について。
使用するのは ステライメージ9 と 関数電卓。

コンポジット(重ね合わせ)というのは撮影時に何枚も撮っておいて、
それを画像処理時に重ね合わせる事によりノイズを低減するという基本的な方法ですが、
”同じ鏡筒含む補正レンズ)と同じカメラ” で撮影したものであれば
画像毎の多少のずれがあってもステライメージなどを使って重ね合わせることができます。
しかしながら同じ撮影対象であっても、鏡筒の焦点距離やカメラが変わると重ね合わせはできません。
(わたしが知らないだけで、世の中にはこれができるソフトもあるのかも・・)

今回、この通常はできない
”異なる鏡筒と異なるカメラ” で撮った撮影画像のコンポジット(重ね合わせ)
に挑戦した理由は、前回記事にも書いたように
●この十余年で同じ対象を撮った画像は増えたが、撮影鏡筒(補正レンズを含む)および
カメラが異なっているため過去画像の有効活用ができない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
●年間を通じて夜間晴天日数の少ない日本海側では、総露光時間で10時間も撮るには
何年もかかってしまう (その間ずっと同じ光学系・カメラというのはつらい・・・・・・・・・・・・・

そして、もっとも大きな理由が
■現在 「星のふるさと館 」で展示中のわたしの写真展で、9月に予定している差し替え画像の準備で、
過去画像を加えた画像の再処理が可能なら活用したい、というもの。

前置きが長くなりましたが、それでは 今回行った作業手順について説明します。
□ 過去の撮影画像の選択
9月からの「秋・冬 」の対象でもある、NGC7331 & ステファンの五つ子 から 2017年・2020年に撮影したものをピックアップ。
詳細な撮影データは画像拡大で見てもらうとして、「異なる鏡筒と異なるカメラ」に関するデータについては
2017/ 9・・VC200L(旧レデユーサ) fl=1,278㎜ Cooled60D 4.3μ/pixel 総露光時間 130分
2020/ 8・・VC200L(レデユーサHD) fl=1,386㎜ EOS6D(HKIR) 6.5μ/pixel 総露光時間 92分

鏡筒の焦点距離が長いと画像解像度は大きくなり、カメラの1ピクセルのサイズが大きくなると画像解像度は小さくなる。
画像解像度・・・ある写野角をどれだけのピクセル数で描いているか ということで、
画像解像度が合っていない画像ではコンポジットでズレが発生する

上の二つの画像を比較すると、焦点距離では2020年の方が 画像解像度 が大きく
他方、カメラの1ピクセルのサイズでは2017年の方が 画像解像度 は大きくなります。
結局のところ、この二つの画像をコンポジットするにはそれぞれトータルでの画像解像度を正確に求める事が必要となります。

STEP -Ⅰ .各画像の画像解像度を求める

以下の作業はステライメージ9と 関数電卓 を使用しました
左側が2017年、右側が2020年の画像で、それぞれダーク・フラット処理およびコンポジットまで終えて保存されていた画像を利用しました)

手順  ステライメージ基準点指定を使って、両画像に共通な2つの星をマーキングします

手順  画像を拡大してそれぞれ(4つの星)の(X、Y)のピクセル座標を読み取りメモします

手順  次に画像解像度 算出のもとになる2つの星の間隔(ピクセル数)を、直角三角形の斜辺算出でおなじみの
「ピタゴラスの定理」を使って求めます。
(お忘れの方はこちら)→ 2星間のピクセル数(斜辺)=√ ΔX(底辺)² + ΔY(高さ)²
上の2017年の例では √ (2942-395) ² +(4422-568) ² =4619.58 となります

手順  算出した2星間のピクセル数から、2017年の画像の方がトータルで画像解像度が高い事がわかりました


STEP -Ⅱ .二つの画像の画像解像度を合わせる

ステライメージの 画像 メニューの「画像解像度」を使って両画像の画像解像度を合わせるのですが、
そろえる方法が二通りあります。
方法A) 画像解像度の低いほうを上げる(低い方の画像が拡大される)
方法B) 画像解像度の高いほうを下げる(高い方の画像が縮小される)
わたしが選んだのは(方法A)でした。(理由. 縮小するのは後でも可能だから)

( ステライメージ9の画像解像度変更の画面 )

手順  手順Ⅰで求められた2星間のピクセル数の値から、解像度の低い2020年の画像解像度を高くします。
では現在のピクセル数をどれだけ増やせば画像解像度が同じになるのか比率を求めます
4619.58 ÷ 3227.16= 1.43146・・・
現在の「幅」または「高さ」のピクセル値を ×1.43146・・倍 すれば2017年の画像の解像度と同じになるはずです。
「縦横比」が”固定”になっていれば、縦・または横のピクセル数を変えるだけで もう一方も自動的に変わります

手順  画像解像度変更後の両画像を比較します。

表示拡大率をそろえて2星間の間隔を比較すると大きな計算間違いはないようです


STEP -Ⅲ .二つの画像をコンポジット(重ね合わせ)する

関数電卓まで使ってここまでやってきたのは、鏡筒もカメラも異なる画像をコンポジットするためでした。
はたしてピッタリ重なってくれるのか

実はコンポジットを行う その前に、もう一つ選択しなければならないことが。
それはコンポジットする際に「加算平均」か「加算」か?
いつもなら「加算平均」なのですが、鏡筒が異なれば画像の明るさ(F値)も大きく違います。
おまけに設定感度も様々で、極端に撮影画像の明るさに差がある事も考えられます。
それを撮影データから推測することはかなりやっかいなので、
画像の明るさが大きく異なっても無難そうな「加算」で行くことにしました。

実際にコンポジットで加算をおこなった画像です。 ↓
これまで5、6タイトルほど実施したのですが、不思議とズレずにうまく重なってくれました。
ズレる事もありましたが、その原因は星のピクセル位置の読み間違いでした。(老眼なもので)

ここまでやれれば、あとはコンポジットができた範囲をトリミングして
ステライメージなどで画像処理を行うだけ。
画像処理を終えた統合画像になります。↓
総露光時間が220分に増えたことにより、従来よりきつめの画像処理が可能となりました

肝心なのは、これだけ手間をかけて元の画像より改善されたかどうかですが ・・
画像の一部を切り取って比較してみました。
NGC 7331 付近
左から 2017年・2020年の完成画像 そして右側が今回 両画像を統合して処理した画像です

ステファンの五つ子
画像の順番はNGC7331と同じ

実は画像解像度を上げる際の画像拡大でダメージが出るのではと思ったのですが、意外に健闘しています。
ただ、鏡筒・カメラの組み合わせによっては画像解像度に差がありすぎて破綻することも考えられます。

そこで 鏡筒・カメラの組み合わせによる画像解像度を推定できる一覧表を作ってみました。
これまでに撮影した画像が多そうなVC200L(HD)とEOS 6D(HKIR改造)の組み合わせを基準として作成してあります

数値が近い組み合わせ同士なら、画像解像度の変換も控えめに済むのではないかと考えています。

引き続き差し替え用画像に使える画像が得られるか検証を進めていきます。


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余り期待していなかったのですが、もしかしたら・・という結果が。
すべての画像とはいかないでしょうが、過去の画像もコンポジットに使えるとなれば
少なくともプリントが必要な写真展示には活用できそうです。

現在使用している真四角センサーのカメラ ASI533MCはプリントが苦手です。


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