雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

初冷却で撮ったきりん座の銀河 (冷却デジカメ再検証3)

2016年03月30日 | 天体写真(系外銀河)
28日夜は見事に晴れてくれたのですが、まだ下弦前の明るい月が22時過ぎには昇ってきます。
迷ったのですが 今年初めてカメラの冷却をONにして撮影を行いました。

腰痛をこじらせてまで模索した新しい「飛び板」ガイド方式は、今回も素晴らしいガイド結果を出してくれました。

薄明が終わってから月が出るまで3時間しかないなかで撮ったきりん座の系外銀河です。

NGC 2403銀河 (きりん座) 
( 画像クリックで元画像の30%まで拡大表示 )
( 上が北の方角 )
撮影DATA: 2016/ 3/28 20:44’~22:49’ Vixen VC200L+レデューサー(合成f=1,278mm F6.4) 露出 10分×12枚
 ISO 2500 LPS-P2FIL Cooled 60D (冷却-11℃前後)  タカハシ EM-200 Temma2M ガイド鏡GS-60S PHD2Guiding ステライメージ7
月が出た後も撮り続けて16枚になったのですが、月明かりの影響のあった最後の4枚は使用しませんでした。
NGC2403 のトリミング画像です。
( 画像クリックで元画像の50%サイズになります )
今回撮影に使用した自作の導入用Mapです。
( クリックで拡大できます )
距離は約800万光年。アンドロメダ大銀河の約3倍遠いところにあります。

この銀河は昨年3月に3度も挑戦してものにならなかったのですが、やっとリベンジできました。
昨年の記事はこちら ⇒VC200Lには魔物が棲む?

昨年のPHD2のグラフとはまったく別物になりました。
昨年はRA(赤経=東西)方向のブレが目立っていたのですが、赤道儀を新型に更改してからブレが小さくなりました

もう一つ、今回検証したかった多数枚コンポジットのダーク・フラット処理の効果については・・
撮影中のCMOS温度の-11℃前後(外気温は+9.9~5.5℃に低下)付近のダークファイルがまだ未作成だったので
やむなく 作成済みの2度ほど低い-12.8℃の10枚コンポジットのダークを使用しました。
それでも冷却との相乗効果でよりノイズの少ない画像が得られたと思います。

変わり映えしませんが、撮影中のおりおんショット です。
( 画像クリックで星座線入りで表示されます )
撮影DATA:TAMRON Zoomf17-50mmF2.8(f17mmF2.8) 30秒×6 ISO1600 kissDX(SEO-SP2) 固定撮影

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今夜は夕方は雨なのに夜は晴れるという変わった天気。
うまくすれば月が出るまでの間、澄みきった空になるかも?
とりあえず準備せねばと思っていたところ・・
今年は町内の広報担当。250世帯分のとじ込みで半日はつぶれます。

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変わったのはダーク・フラットだけ (冷却デジカメ再検証2)

2016年03月28日 | 画像処理のはなし
下弦の月までまだ間があるということで、ひたすらダークファイルの作成を行っているのですが、
ダーク露光中に冷却デジカメがダウン(冷却による結露)してたびたび中断しています。

新しく作成しているダークファイルは、コンポジット枚数を従来の5枚から倍の10枚を基本に、
その時のカメラ内CMOS温度も記録して、よりシビアなダーク処理を目指すものです。
冷却カメラがダウンすると内部の結露が乾燥するまで時間がかかるため、作成が思うように進んでいません。

そこでカメラが回復するまでの間、作成できたダークファイルを使って以前に撮った画像の再処理をやってみました、
過去の画像の中から撮影時の条件の近いものを選んでいます
上の ひまわり銀河 部分の拡大トリミングです。
( 画像クリックで等倍画像を表示 )
同じ撮影画像から新しいダークファイルとフラットファイルで再処理した画像です。↓
背景のノイズが均一で処理がやりすくなりましたが、見た目の違いはあるでしょうか?

上の M109 部分の拡大トリミングです。
今回再処理した画像です。↓
フラット画像も新しく24枚コンポジットしたものを使用しています。

上の NGC253 部分の拡大トリミングです。
今回再処理した画像です。↓
さすがに1,2年前の画像と最近撮ったフラットではゴミの状態が変わり処理後も残ってしまいます。

今年の春の系外銀河の撮影では、新しいダーク・フラットファイルでノイズ低減を目指すほかに、
昨年までの撮影は旧赤道儀(EM-200USD)のモータ精度とガイド精度が悪く星が流れていますが、
今年は新赤道儀(EM-200 Temma2M)と新ガイド方式で大きく改善される予定です。

昨夜は室外温度で冷却した状態でダークファイルの作成を行っていたのですが、
途中でカメラがダウンしてしまいました。
点線で囲んだのが 『乾囲送兵衛』 の乾燥空気送出部です。露光中は寒いので裏口の戸はしめています。
これまでの実際の撮影時には『乾囲送兵衛』を装着していればまず大丈夫だったのに。

もしかするとビン内で目詰まりでもして乾燥空気が届いていないのでは・・
検証してみたところ、間違いなく袋内は除湿されていました。

朝方、布団の中でふと思いつきました。
実際の撮影時とは違い、乾燥空気は室内の暖かい空気が送りこまれている!
カメラのCMOS部を冷却しているのに、常に袋内に暖かい空気を送り込んでいるせいではないか?

今度、乾燥空気送出部も屋外に出してためしてみます。

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やっと春らしい陽気になってきたので、
ふきのとうをごっそり採ろうとでかけてきました。
一週間は遅かったようです。

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あるものは使え (冷却デジカメ再検証)

2016年03月25日 | 画像処理のはなし
このところ冬型に逆戻りしているのですが、満月期につき気持ちおだやか。
ただ月が下弦を過ぎる頃には春の系外銀河の撮影の本番に入ります。
その主力となるべきVC200Lのガイド精度が一歩前進しました。
星像の流れ(ブレ)が少なくなったことにより、系外銀河の細部の解像が期待できます。

もうひとつ、結露によるカメラトラブルをさけるため 冬場は冷却を封印してきた
Cooled60D もそろそろ本領発揮していい時期。
そこで、この満月期を利用してダークファイルライブラリーの充実を図る事にしました。

冷却すればダーク処理は要らないのでは?」 と思われる方もおられるかもしれませんが、
その結果、冷却なしのデジカメでダーク処理をした画像と とんとんでは冷却を買った意味がありません。
今回は新たにISO 3200までの高感度のダークも追加して、
更にCCD温度を0.5℃刻みに作成するという意気込み。
この4日間、平均で1日10時間近くカメラを冷却してひたすらダークを撮り続けました。
総露光時間は30時間を越え、ついにカメラが音を上げてダウンしました。
購入した頃、さんざん悩まされた冷却が原因の結露による電源系ショートと思われます。

幸い、今回は半日ほどおいて自然回復したので、乾囲送兵衛 を装着して再開しました。

もっぱら裏口付近の室内で作成したのですが 外気温よりやや高めのため、
昨夜はみぞれ降る中で一式を外に出して作成しました。
ところがまだ乾燥が不十分だったのか、途中でカメラの動作がおかしくなり再びダウン。
しばらくは乾燥した暖かい部屋で休ませてやる事にしました。

今回のNewダークファイル作成にあたって検証した結果は編集後記の後に載せておきました。
興味のある方はご覧ください。

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室内なら大丈夫だろうと思ったのですが、
気持ちが先走ってカメラを酷使しすぎました。
労働基準法の範囲内で働かせてやることにします。

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◆ ダークファイル検証内容(抜粋) ◆

冷却によるノイズ低減
ヒストグラムの裾野が広いほど背景のザラつきが目立つことになります
購入当初の冷却能力はは26度だったのですが、結露防止のヒーター強化で20度、
更に『乾囲送兵衛』 装着で約17度に下がっています。
それでも冷却によるノイズ低減効果は明らかです。
一般の画像処理の様に、ダーク減算をやった場合についても比較してみました。
減算に使ったダークファイル +4℃(冷却なし) -10.8℃(冷却あり) それぞれ15分×5 ISO1600
冷却なしの場合は当然ですが、冷却でもダーク減算はダメ押しの効果があります。

ダークファイルのコンポジット枚数
以前のダークライブラリーは5・6枚コンポジットを基本に作成してありましたが、
新しいライブラリーでは10分×10枚コンポジットを基本としました。
ただ作成に余りに時間がかかるため、枚数を減らすか迷っています。

◆ 露光時間とダークノイズ ◆
以前に書いた記事 「kissDX vs Cooled60D(その2)」 で 冷却すると露光時間が増えてもノイズは変わらない
と書いたのですが・・間違いでした
今回いやになるほどダーク画像を撮ってわかったのですが、
冷却しても露光時間とともにCCD温度が上昇し、ノイズも増加します。
ただ冷却してる事により、その変化はゆるやかです。
新しいダークライブラリーは当初10分露光だけで使い回す予定だったのですが、
15分露光も必要なのかなぁ?
ただ、それだと時間がいくらあっても足りない。

おまけで ホットピクセルノイズとベイヤー配列です。
 
ホットピクセルは1画素で、周囲は演算結果でにじんでいるように見えています。


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りょうけん座M106銀河周辺と、南中するさそり座

2016年03月22日 | 天体写真(系外銀河)
16日夜(正確には日が替わって17日早朝)しし座の銀河トリオの後に撮った
わたしのお気に入りエリアのひとつ りょうけん座 M106銀河周辺 です。

M106銀河 周辺 (りょうけん座) 
( 画像クリックで元画像の30%まで拡大表示 )
( 上が北の方角 )
撮影DATA: 2016/ 3/17am 02:34’~04:39’ Vixen VC200L+レデューサー(合成f=1,278mm F6.4) 露出 15分×3枚 20分×4枚
 ISO 2500 LPS-P2FIL Cooled 60D (冷却オフ)  タカハシ EM-200 Temma2M ガイド鏡GS-60S PHD2Guiding ステライメージ7
M106銀河(左中)の外縁はとても淡く、やりすぎるとザラザラになるので処理はほどほどにしました。

今回撮影に使用した自作の導入用Mapです。

恒例の撮影中のおりおんショットです。
( クリックで星座線入りの画像を表示します )
おなじみの北斗七星が西側に回って、画面中央にタテに見えています

4時を回った頃 南天を見たらさそり座が南中するところだったので、
コンパクト赤道儀ToastProを持ち出して、道路に三脚をおいて撮影しました。
今年はさそりの頭部に火星がいて、アンタレスと どちらが赤いかを競っています
撮影DATA: 3/17am 04:11’~ Tamronf17-50mmF2.8ズーム(f=25mm F4) 露出 3分×9
ISO1600 kissDX(SEO-SP2) LPS-P2FIL ToastPro
敷地内の防犯灯はダンボールで隠しても、南の方向は市街地や高速ICの灯りがひどく
今回は良く写ってくれた方です。

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昨夕は満月前の月がきれいに見えていました。
その時に思ったのは・・・・もったいない!
なんで月のない時に晴れてくれないんだろう

風情がありませんね。

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これまでで一番のトリオ銀河(しし座)

2016年03月20日 | 天体写真(系外銀河)
15日夜は月没と入れ替わりに雲が出て、NGC2903を撮るだけで終わりましたが、
撮影画像は新しいガイド方式の有効性を期待させるものでした。

翌日は上弦の月で更に月没は遅くなった(0時47分)のですが、
今度は月が沈むころには雲も切れるとの予報でしたので
腰痛が完治しない中で2夜連続で設営しました。

月が沈む30分前から撮り始めた しし座のトリオ銀河です。

しし座のトリオ銀河  
( 画像クリックで元画像の30%まで拡大表示 )
( 上が北の方角 )
撮影DATA: 2016/ 3/17am 00:20’~02:20’ Vixen VC200L+レデューサー(合成f=1,278mm F6.4) 露出 15分×8枚
 ISO 2500 Cooled 60D (冷却オフ)  タカハシ EM-200 Temma2M ガイド鏡GS-60S PHD2Guiding ステライメージ7
銀河トリオのメンバー紹介です。
( 元画像の50%サイズで切りだしてあります )

 
このエリアは毎年のように撮っていますが、これまでのBest画像になりました。

夕方に上弦の月を見たのですが、前日に比べて明らかに空気のゆらぎが目立っていました。
今回は真面目に月を撮る気はなかったので、銀河の撮影と同じくレデューサーをつけたまま撮っています(f=1278mm)
今回のトリオ銀河は、上の月の画像と同じ写野角で撮っていますので、
比べると 銀河トリオの三角形の方が月よりも見かけが大きいように思えます。

気になるガイド結果は、平均すると1枚(15分露光)あたり3.5画素(東から西へ)になりますが・・
( 画像クリックで拡大表示できます )
星像はほぼ丸く、今回も十分許容範囲内でした。

撮影中風景のおりおんショットです。
( 画像クリックで星座線入りの画像になります )
今回は新しい「飛び板」方式ガイドシステムの成功を祝って、わたしも参加しています。(おりおんショット++ ?)
( 30秒間 息を止めていたのですが・・ )

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これでガイドがずっと安定してくれれば、
次は〇〇と□□もやって
更なる画質改善を目指そうなんて考えています。
次回はこのあと撮ったりょうけん座「M106銀河付近」 の予定です。

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