雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

それでも星は流れる(オートガイド対策結果の検証2/2)

2013年02月18日 | それでも星は流れる
前回    では、
300mm、400mm望遠レンズの対策実施後の”星の流れ”について検証しました。

今回は、現在わたしの天体撮影の主力機材である VixenR200SS反射鏡筒について検証をおこないます。


R200SS反射鏡筒(f=800mm)
(対策実施  )
 2010/08/17 撮影 「ペリカン星雲 (はくちょう座)」 (Dec +44°)
  R200SS(f=800mm) EM-200USD赤道儀 kissDX ガイドスコープ:EFZoom(f=200mm) +エクステンダ(x2.0) スマートガイダー
  
  △Ra60.6pixel/H  (1時間当たり 60.6画素進み) 
  △Dec+17.3pixel/H  (星像 S ⇒ N) ・・・・極軸設定ミス?

(対策実施  )
 2012/11/16 撮影 「NGC281(カシオペア座)」 (Dec +57°)
  R200SS(f=800mm) EM-200USD赤道儀 kissDX GS-60Sガイドスコープ PHD ガイディング
  
  △Ra- 7.2pixel/H  (1時間当たり 7.2画素進み) 
  △Dec0.6pixel/H  (星像 N ⇒ S)

 他のR200SS単体(f=800mm)での撮影データは (画像およびグラフは省略)
  ●2012/06/26 撮影 「M3 球状星団(りょうけん座)」 (Dec +28°) kissDX
    △Ra 7.7pixel/H  (1時間当たり 7.7画素進み) 
    △Dec= 0.0pixel/H  (星像   ⇒  )
  ●2012/06/27 撮影 「M8 干潟星雲(いて座)」 (Dec -24°) kissDX
    △Ra 9.3pixel/H  (1時間当たり 9.3画素進み) 
    △Dec= 2.0pixel/H  (星像 N ⇒ S )
  ●2012/10/13 撮影 「プレアデス星団(おうし座)」 (Dec +24°) kissDX
    △Ra 11.7pixel/H  (1時間当たり11.7画素進み) 
    △Dec= 0.7pixel/H  (星像 S ⇒ N )


 2012/04/28 撮影 「マルカリアンチェーン(おとめ座)」 (Dec +13°)
  R200SS+1.4X(f=1120mm) EM-200USD赤道儀 kissDX GS-60Sガイドスコープ PHD ガイディング
  
  △Ra20.8pixel/H  (1時間当たり 20.8画素進み) 
  △Dec= 2.0pixel/H  (星像 N ⇒ S)

 他のR200SS+Canon1.4X(f=1,120mm)での撮影データは (画像およびグラフは省略)
  ●2012/08/20 撮影 「M27 あれい状星雲(こぎつね座)」 (Dec +23°) Cooled60D
    △Ra  14.4pixel/H  (1時間当たり 14.4画素進み) 
    △Dec= 4.0pixel/H  (星像 N ⇒ S )
  ●2012/08/21 撮影 「NGC7331 & ステファンの五つ子(いて座)」 (Dec +34°) Cooled60D
    △Ra 13.7pixel/H  (1時間当たり 13.7画素進み) 
    △Dec= 3.7pixel/H  (星像 N ⇒ S )
 
 2013/01/31 撮影 「M1 かに星雲(おうし座)」 (Dec +22°)
  R200SS+EXT(f=1500mm) EM-200USD赤道儀 kissDX GS-60Sガイドスコープ PHD ガイディング
  
  △Ra24.5pixel/H  (1時間当たり 24.5画素進み) 
  △Dec 2.5pixel/H  (星像 N ⇒ S)

 他のR200SS+EXT(f=1,500mm)での撮影データは (画像およびグラフは省略)
  ●2012/06/28 撮影 「M13 球状星団(ヘルクレス座)」 (Dec +36°) kissDX
    △Ra  24.3pixel/H  (1時間当たり 24.3画素進み) 
    △Dec= 11.5pixel/H  (星像 N ⇒ S )

 [ 検証結果 ]
  すばらしい改善結果の数値
 (1). 鏡筒バンドアリガタの圧着部が点から面に改善されたことにより、”星の流れ”を抑制できたのでは?
   R200SS本体のみなら、10分露光でも2ピクセル以内という数値はすばらしい。
 (2). 星雲・銀河の撮影で実質最長焦点距離といえる1500mmでも、4ピクセル程度に抑えられれば実用可能。
 (3). 赤緯(Dec)の流れは、EM-200の極軸望遠鏡の精度でほとんど無視できるレベルである。

まだ星は流れてるけど、止めなくていいの ・・・?
完全には止められないし、止める気もありません。
 むしろ、許容範囲内流れてくれればいいと考えています。(負け惜しみではありません。)
 ガイドシステムが完璧な人の中には、故意に1枚ずつズラして撮影している人もいます。
 (理由は?)
  デジカメの受光素子は感度のバラツキがあり、通常コンポジットにより平均化しているが、各フレーム画像がいつも同じ位置だと、コンポジット後もその影響が出てしまうため。(この説明であっているのかな?)

 では、許容範囲内とは、どのくらい? 
 許容範囲内とは、簡単に言えば星が流れているように見えない程度の流れまで。
 わたしの場合はもう少し”ゆるく”、簡単な画像処理で星が流れているように見えない程度の流れまで。

 本来、星の見かけの大きさは限りなく点に近いのですが、シンチレーションや収差などから円の形で像を結びます。
 ”流れている”ように見えるのは、星像が丸い円では無く、長円(楕円)から更に線状に引き伸ばされるからです。
 一般的に撮影する光学系の焦点距離が長くなると、星像も大きくなります。
 下の画像は、わたしの持っている機材で撮影した星像のクローアップです。(すべてCooled60Dで撮影)
 
 左から NFD300mm,NFD400mm,R200SS(f=800mm),R200SS+1.4X(f=1120mm),R200SS+EXT(f=1500mm)
 写っている微光星の直径(ピクセル数)は左から、約 3ピクセル、5ピクセル、6ピクセル、8ピクセル、10ピクセル 

 ここまでの話で、流れの許容範囲(ピクセル数)は撮影する光学系でちがってくることがわかります。
 たとえば、星像の半径くらいの流れなら画像処理で修復できるとすると、(星像に芯があれば許容範囲はそのくらい?)
 許容範囲は 以下のようになります。 ( )内は露光時間10分での現在のガイド精度
    NFD300mm    1.5pixel   pixel/10分)
    NFD400mm    2.5pixel   pixel/10分)
    R200SS(f=800mm) pixel   1.5pixel/10分)
    R200SS+1.4X(f=1120mm) pixel  pixel/10分)
    R200SS+EXT(f=1500mm) pixel  pixel/10分)

 対策を実施した結果、R200SS鏡筒でのガイド精度は許容範囲をクリアしています。
 ただしNFD300mmは対策の練り直し、NFD400mmはあと一歩といったところです。

その後の関連記事はこちら→

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結局、「それでも星は流れる・・・」は7回のシリーズに
なってしまいました。
ブログ記事作成に多大な時間を使ってしまいましたが、
今読み直してみると、『あたりまえじゃん!』なんてことしか
書いてないような気がして・・・

ブログってもっと気楽に書いていいんですよね?

雲上くもがみ

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4 コメント

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Unknown (かず棒)
2013-02-18 18:05:09
よかたよ。
返信する
初コメント成功です。 (雲上(くもがみ))
2013-02-18 18:17:24
かず棒さま、初コメント無事届いております。
むずかしい記事が続いていたのに、いつも見ていただいてありがとうございます。
天体写真以外の記事も載せていきますので、これからもよろしくお願いいたします。

返信する
犯人捜し (オヤジ)
2015-01-04 15:13:18
オートガイドが、思うように動いてくれないのでネットを俳諧しておりました。
刑事さんの犯人を追い込むような、読み応えのある記事、大変参考になりました。
やはり、切り分けをしながら、原因を見つけ出す手法なんですね。
この季節、外が寒いので、やみくもバージョンで無駄な時間を費やしてしまいました。
また、お邪魔いたします。
返信する
ガイドとの闘い、継続中です。 (雲上(くもがみ))
2015-01-04 20:03:41
オヤジさん はじめまして。
その後、R200SS(f=800mm)は親亀子亀方式でガイドは安定したのですが、
昨年 中古のVC200L(f=1800mm)を購入したことから、
またガイド精度との闘い再燃です。
特に春の銀河の撮影に向けてにもう一段ガイド精度を上げなければなりません。
またブログ訪問お待ちしてます。
返信する

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