伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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静岡県庁の事業仕分けから帰りました

2009-11-01 21:17:13 | 事業仕分け 住民協議会 構想日本
静岡県庁の事業仕分けから群馬へ戻ってきました。
対象事業が多いので3日間開催です。

私は31日の担当でした。
朝8時30分に静岡県庁集合でしたので、
多くの仕分け人は前日の夜に静岡市内のホテルに集合。

31日は17時くらいに仕分けが終わったので、
それから群馬まで帰れないこともないのですが、
疲れていたので、自費でもう一泊して
本日帰ってきました。

静岡市は、
国民文化祭と、大道芸ワールドカップが、事業仕分けと同時開催で、
県庁周辺は大にぎわいでした。

静岡市は、徳川家康が晩年を過ごした駿府城の城下町です。
駅から徒歩10分ほどの所に城があり、
その前に県庁と市役所があります。

徳川家康は将軍職を2代目に譲り、
「大御所」として晩年を駿府城で過ごしたのでした。
かつて駿府城は三重の堀で囲まれていました。

本丸跡は公園となっており、
二の丸跡に県庁があります。



本丸のお堀の石垣の一部が、
八月の静岡地震で崩れてしまったそうで、
青いシートで応急処置してありました。

31日の仕分けには、
行革担当相の仙石大臣と、蓮舫参議院議員など
国会議員も4、5名見学に見えました。

テレビカメラも七台来ていて、
初日の仕分け終了後は、
構想日本の加藤代表が一階のロビーで
三〇名くらいの報道陣に囲まれ
人だかりができていました。

私の担当した事業では、
港の維持管理や、林業の補助、土地改良事業などがありました。
県民代表の仕分け人の方は、
真剣な質問や意見を出され、熱心に取り組まれていました。

質問内容も、
私が確認したいと思った事項も質問してくれましたので、
私としては、県民代表の方に
優先的に発言してもらいました。

個々の事業内容と、それに対する意見などは
後ほど詳しくご報告します。
二つほど、特に印象深かったので、先にご報告します。

一つ目は漁港管理事業です。
県が直接維持管理を行っている港の中で、
一年間一度も荷揚げが無く、船も来なかった港があったのです。

全く使っていない港でも、
風雨にさらされますので、
維持管理費用はかかります。

なぜ「廃港」にしないのですか?
と尋ねたところ、
「廃港」に向けて検討しますというような回答でした。

限りある税金で行っている仕事ですから、
そんなのんびりした対応ではなく
使っていないような港は、
即、「廃港」にすべきと伝えました。

林業経営では、
全国的に黒字の経営は難しくなっています。
昔から国も県も、林道を造ったり、
苗木を植えたりする事業に、補助金を投入してきました。

今後も民間事業者の林道整備などに、
これまでどおりに補助金を投入するという計画でした。

これにより、経営は黒字化するのかと尋ねると、
それは難しいという回答でした。

これまでの状況を簡単に整理すると、
林業経営の為に、国や県は何十年も補助金を投入してきました。

しかし国際的な木材価格の低迷により、
国内の林業では黒字になりません。

今後も補助金を交付し続ける計画ですが、
林業は黒字化する見込みはありません。
このような状態です。

私は、
「何十年補助金を投入しても、林業が黒字化しないなら
 ブラックホールに、どんどん税金を
 吸い込まれているような状態ではないですか。」
と質問しました。

山の持つ、
保水や、二酸化炭素の吸収、酸素の生産、土砂の流出防止、保養など
多面的な役割は、公益があります。

その機能が社会にとって役立つのであり、
杉やヒノキの丸太を生産して売ることが重要ではありません。

「杉やヒノキの生産のために、いくら税金を投入しても
 経営として成り立たないなら、別の方法を考える必要があるのでは
 ないですか」
と尋ねました。

仕分けの最後に、
仕分け人の挙手により事業の評価をします。
「不要」「民間」「国」「市町村」「県(要改善)」「県(現行通り・拡充)」
などに仕分けます。

仕分け作業中は、
仕分け人の発言は「質問」です。
自分が評価をするために必要な事項を確認します。

私は林業の補助について
「別の方法を考えるべきではないか」と
投げかけましたので、
評価後に自分が選択した理由を「意見」として述べました。

これまでの林業によらない山村の再生方法について、
三点ほどお伝えしました。
「みどりのダム」「カーボン・オフセット」「戦略的撤退」です。

*詳しくは、私のブログ「戦略的撤退」をご覧下さい。



この事業の仕分け終了後、
静岡県庁の担当の方から、静岡県では
「私の提案した3つのことはすでにやっています」と言われました。

「戦略的撤退」事業は、私がオリジナルで考えたものなので、
もしすでに実施されているとしたら、静岡県はすごいです。



















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3 コメント

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仕分けお疲れさまでした (うちだあやこ)
2009-11-04 16:21:15
多田さんのグループはちょっとしか傍聴できませんでしたが、「なぜ廃港にしないのでしょうか」の瞬間をみていました。多田さんらしい質問だなぁと感心しました。

行政は公共サービスなので、そこに経営やマーケティングの観点は必要だと思います。価値を定義し、その価値を提供するためのサービスをデザインし、目的を定め方法を検討することの繰り返し。価値(港の場合は役割)が提供しつくされたのであれば撤退する。それだけのことですよね。もっとも事業を店じまいするのは結構なエネルギーを必要とするので、尻込みするのもわかりますが・・・。
返信する
うちださん、こんにちは (多田@伊勢崎市)
2009-11-05 09:39:53
うちださん、コメントありがとうございます。
静岡ではお世話になりました。
内田さんはどこの仕分け会場に行っても
いらっしゃいますね。すごいです。

いつも、仕分け人MLで、
わかりやすい報告をして頂いてありがとうございます。
構想日本の特派員として任命したいくらいです。

静岡県の仕分けについて振り返ります。
1年間全く使用していない港は、
存在価値がありません。
第三者の目から見れば、不要です。

実際の実務担当者としては、廃止するには、
地元自治体や、漁業関係者との調整などが必要なので、
尻込みしているかもしれません。
しかし、時間を浪費すればするだけ、不要な税金の垂れ流しになっていることに、
もっとシビアになるべきと思います。

例えば、
使っていない港の維持費は、今からすべて担当課の課長と担当者の自己負担となれば、
悠長なことを言っていられないでしょう。

厳しいことを申せば、
所詮他人の金(税金)という、甘い意識があるのではないでしょうか。

ある民間企業の方から教えて頂いた言葉があります。
「一番楽な仕事を知ってるかい?」

「それは、昨日とおんなじ仕事を繰り返すことだよ」

役所の人間にとっては、耳の痛い言葉です。
維持管理事業のように、一見毎日同じことの繰り返しのような仕事もあります。

しかし、実は同じではありません。
利用するお客は変わっていきますし、ニーズも変化します。
公務を取り巻く環境も、税収や他の制度、民間企業や自治体の活動など、
たえず環境は変化します。

その変化を的確に捉え、
先取りし、反映していく姿勢があれば、
毎日同じ仕事の繰り返し、にはなりません。

例えば、
水道業務についても、新しい技術や機械も出現します。
設備も老朽化します。
公務において、昨日と同じ仕事の繰り返しは、
高い意識さえ持っていればあり得ないのです。

先の言葉は、
私自身の自戒として、
日々自分を振り返っております。



返信する
維持管理も必要です、が。 (うちだあやこ)
2009-11-06 20:12:14
民間企業のひとも、そうそう自分が稼いだ金を自分で使う機会に恵まれないものです。公務員が特にどうということは、わたしはないんじゃないかと感じています。

さてタイトルの件ですが。
日々変わらないことを担保する仕事はとてもしんどいと思います。
たとえば、わたしは主婦ですが、事業仕分けを3週連続で観にいけるのに、週5日晩ご飯を作ることができません。
多田さんがおっしゃるように、”たえず環境は変化する”ということを、晩ご飯を作ることに対して感じることができないからなのかもしれません。いや、これは言い訳ですが。

高い意識を常に持てというのはこれまた厳しい話かなぁと思うのですが、昨日と今日の違いに気づけないのはどうなのよ、という言い方に変えると、なんだかお仕事さびしくないですか?といいたくなりますね。
返信する

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