
「200冊の理数系書籍を読んで得られたこと」の記事の中の「200冊も読まなくても、もっと近道があったのでは?」という想定問答への回答として「僕と同じような経験、知識を得るためにはせいぜい70冊から100冊の読書ですむと思う。」と書いたところ、読者の方から「その100冊を一覧にしてほしい。」という要望があった。
僕自身はまだ到達していないが、どうせなら現代物理学の最先端の超弦理論まで学べるリストを作ったほうが役に立つだろうと思い、これまで読んできた本を含めて100冊を物理書と数学書からピックアップして紹介することにした。
リストを紹介する前に、次のような注意点を申し上げておこう。
1)これは僕の好みが強く反映したリストだということ。もし紹介した本が自分に合っていないと思ったら、同じジャンルで他の良書を探して読んでほしい。
2)「高校生にお勧めする30冊の物理学、数学書籍」で紹介した本を読み終えたレベルの読者を想定していること。
3)リストの中のそれぞれのジャンルは、易しいものから難しい本の順で並んでいること。特に物理学書籍リストの最初のほうは長い物理学の旅への「助走」、「モチベーション・アップ」となるように、ワクワクしながら読める本を中心に選んだ。
4)リストの上から順に読むことで、次の本がスムーズに読めるように工夫した。独学しやすい本を選んでいる。
5)有名な「ランダウ=リフシッツの理論物理学教程」は極めて優れた教科書だが、入門者、初心者が読める本ではない。このレベルの教科書が読めるレベルの方なら、僕のリストを参考にする必要などないと思うので、この教科書は意図的にはずしてある。
6)物理学全体を「木」にたとえるならば、今回紹介する物理学書は一直線に上に伸びる「幹」に相当する。「連続体の力学」、「流体力学」、「弾性論」、「物性物理学」、「非平衡系物理学」、「カオス・複雑系力学」、「原子核物理学」など「枝」に相当するジャンルの本は含まれていない。
7)物理学と数学の書籍をバランスよく読み進めていくことが必要になる。それによって両者の関係がわかり、いっそう面白みが増す。
8)場の量子論以降は、僕は学んでいないので紹介した以外にも読むべき本があるかもしれない。
9)「読んで理解するための本」という観点から選んだので演習書はほとんど含めていない。自ら手を動かして計算したいときは、関連する演習書で学ぶ必要がある。
10)「100冊」という数字にこだわったので、本当は読んでほしい物理学史上の名著を入れることができなかった。これらは「その他の名著、良書(物理学)」としていちばん最後にまとめておいた。
13)今回紹介した本は「とね書店」の「超弦理論に至る100冊」というコーナーにまとめておいた。
1) 物理学書籍
まず「物理数学」というジャンルの本。厳密に言えばこれらは「数学書籍」なのだが「物理学を学ぶ上で必ず必要になる数学」なので、物理学書籍のほうに掲載しておいた。
1:「図解入門 よくわかる物理数学の基本と仕組み」(紹介記事)
2:「物理数学の直観的方法〈普及版〉:長沼伸一郎」(紹介記事)(Kindle版)
3:「今度こそ納得する物理・数学再入門:前野昌弘」(紹介記事)
まず、ファインマン物理学を2冊だけ読もう。
4:「ファインマン物理学〈1〉力学」(紹介記事)
5:「ファインマン物理学〈2〉光・熱・波動」(紹介記事)
そして次に「趣味の物理学」の「力学」を読むとよい。「電磁気学」のほうは後に電磁気学を学び始めるまで読まなくてもよい。
6:「趣味で物理学:広江克彦」(紹介記事)(EMANの物理学:力学、電磁気学)
解析力学はとりあえずこの1冊で良いだろう。
7:「よくわかる解析力学:前野昌弘」(紹介記事)(EMANの物理学:解析力学)
熱力学・統計力学は次の本がお勧め。芦田先生の本で僕はこのジャンルに入門したものだから愛着がある。田崎先生の本は難しいと思うが超お勧めだ。これらの本で熱力学がニュートン力学から導かれることが理解できる。また、この段階の統計力学は「古典統計力学」がメインであることに注意しよう。
8:「熱力学を学ぶ人のために:芦田正巳著」(EMANの物理学:熱力学)
9:「統計力学を学ぶ人のために:芦田正巳」(紹介記事)(EMANの物理学:統計力学)
10:「熱力学―現代的な視点から:田崎晴明」(紹介記事)
11:「統計力学〈1〉:田崎晴明」(紹介記事)
12:「統計力学〈2〉:田崎晴明」(紹介記事)
さて、電磁気学は次の順番で読み進もう。
13:「よくわかる電磁気学:前野昌弘」(紹介記事)
14:「ファインマン物理学〈3〉電磁気学」(紹介記事)
15:「ファインマン物理学〈4〉電磁波と物性」(紹介記事)
「理論電磁気学:砂川重信」が有名だが、僕としては大田先生のが好きだ。
16:「電磁気学の基礎I:大田浩一」(紹介記事)
17:「電磁気学の基礎II:大田浩一」(紹介記事)
特殊相対論はファインマン物理学の第1巻で学ぶが、ここからもう一度学びなおす。電磁気学との結びつきはこの段階で学ぶので「趣味で相対論」を読む前に「趣味で物理学」の電磁気学の章を読み終えておこう。そして、難しい一般相対論にもこの段階でチャレンジする。
18:「趣味で相対論:広江克彦」(紹介記事)(EMANの物理学:相対性理論)
19:「相対性理論への数学的第一歩:多田知記」(紹介記事)
20:「時空の幾何学:特殊および一般相対論の数学的基礎」(紹介記事)
21:「一般相対性理論:内山龍雄」
アインシュタインが最後まで受け入れなかった量子力学はここから始まる。量子力学はいろいろな種類の教科書を学んだほうがよい。特に次のラインナップで読むと無駄が少ないと思う。
22:「よくわかる量子力学:前野昌弘」(紹介記事)
23:「量子力学を学ぶための解析力学入門: 高橋康」(紹介記事)
24:「量子力学(I):小出昭一郎」(紹介記事)
25:「量子力学(II):小出昭一郎」(紹介記事)
26:「ファインマン物理学〈5〉量子力学」(紹介記事)
27:「目で見る美しい量子力学:外村彰」(紹介記事)
28:「現代の量子力学〈上〉J.J.サクライ」(紹介記事):第2版が刊行されました!
29:「現代の量子力学〈下〉J.J.サクライ」:(紹介記事):第2版が刊行されました!
量子力学を学び終わったところで、量子テレポーテーションが理解できるようになる。次の本がお勧めだ。
30:「量子光学と量子情報科学:古澤明」(紹介記事)
ファインマンの経路積分の世界はここから。電子をはじめとする量子のジグザグ運動がどのように導かれるか、理論的に理解できるようになる。
31:「量子波のダイナミクス - ファインマン形式による量子力学 -:森藤正人」(紹介記事)
32:「量子力学と経路積分:R.P.ファインマン、A.R.ヒッブス」(紹介記事)(新版)
33:「ファインマン経路積分:L.S.シュルマン」(紹介記事)
次の段階に進む前にこの本も読んでおこう。
34:「古典場から量子場への道:高橋康」(紹介記事)
相対論的量子力学はここから始まる。
35:「サクライ上級量子力学〈第1巻〉輻射と粒子:J.J.サクライ」(紹介記事)
36:「サクライ上級量子力学〈第2巻〉共変な摂動論:J.J.サクライ」(紹介記事)
場の量子論に進む前に、この本を読んでおこう。
37:「量子場を学ぶための場の解析力学入門」(紹介記事)
場の量子論の教科書。まず、易しめな教科書で入門するのがよい。
38:「場の量子論〈第1巻〉量子電磁力学:F.マンドル、G.ショー」(紹介記事)
39:「場の量子論〈第2巻〉素粒子の相互作用:F.マンドル、G.ショー」(紹介記事)
40:「新版 演習場の量子論:柏太郎」(紹介記事)
次は超有名なシリーズ。僕は第4巻で挫折してしまった。英語で読めるなら英語版のほうがよい。
41:「ワインバーグ場の量子論(1巻):素粒子と量子場」(紹介記事)
42:「ワインバーグ場の量子論(2巻):量子場の理論形式」(紹介記事)
43:「ワインバーグ場の量子論(3巻):非可換ゲージ理論」(紹介記事)
44:「ワインバーグ場の量子論(4巻):量子論の現代的諸相」(紹介記事)
量子統計力学の独創的な教科書だ。量子物性、経路積分、ファインマン・ダイヤグラムも解説されている。
45:「ファインマン統計力学」
素粒子物理学はこのあたりから始まる。
46:「クォークとレプトン―現代素粒子物理学入門:F. ハルツェン、A.D. マーチン」(紹介記事)
47:「大学院素粒子物理1:南部陽一郎, 木下東一郎, 牧二郎, 中西襄, 政池明」
48:「大学院素粒子物理2:崎田文二, 山田作衛, 江口徹, 近藤都登, 戸塚洋二」
次は有名な本。ただし難しいので覚悟して読もう。
49:「ゲージ場の量子論〈1〉:九後汰一郎」
50:「ゲージ場の量子論〈2〉:九後汰一郎」
重力のゲージ場についての本。
51:「一般ゲージ場序説:内山龍雄」
ワインバーグの第5巻、第6巻はこの段階で読むとよい。
52:「ワインバーグ場の量子論(5巻)超対称性:構成と超対称標準模型」
53:「ワインバーグ場の量子論(6巻)超対称性:非摂動論的効果と拡張」
次の本は1冊でなんと超弦理論とループ量子重力理論が学べる本。吉田先生の本はハズレがないのでお勧め。
54:「明解量子重力理論入門:吉田伸夫」(紹介記事)
次は超弦理論のあらましを理解するための中級レベルの啓発書。
55:「Dブレーン―超弦理論の高次元物体が描く世界像:橋本幸士」(紹介記事)
超弦理論の入門的な教科書が翻訳されている。これはお勧め本だ。
56:「初級講座弦理論 基礎編、発展編:B.ツヴィーバッハ」
または
56:「弦理論: ディビッド・マクマーホン」(紹介記事)
次の3冊がこのリストのゴール。標準的な超弦理論の教科書3冊。
57:「超弦理論・ブレイン・M理論」
58:「ストリング理論 第1巻:ジョセフ・ポルチンスキー」
59:「ストリング理論 第2巻:ジョセフ・ポルチンスキー」
2) 数学書籍
まず、大学1、2年で学ぶ基礎的な数学の教科書。僕は大学時代に学んでいるので申し訳ないが紹介記事は書いていない。それぞれお勧めな本を選んでおいた。
60:「線形代数学入門のための教科書談義」で紹介している本の中から1冊
62、63:「解析学入門のための教科書談義」で紹介している本の中から1、2冊(実解析と複素解析)
64:「やさしく学べる微分積分:石村園子」など自分のレベルに合う微積分の教科書または演習書
65:「ちょっと気になる常微分方程式の本」で紹介している本の中から1冊
66:「偏微分方程式入門:金子晃」
位相空間論への入門ならばこれがお勧め。
67:「はじめよう位相空間:大田春外」(紹介記事)
68:「解いてみよう位相空間:大田春外」(紹介記事)(改訂版)
ルベーグ積分は、この2冊がよいだろう。吉田先生のは「紹介記事」の中から中古本を買えるリンクを紹介している。
69:「ルベグ積分入門(新数学シリーズ23):吉田洋一」(紹介記事)(文庫版)
70:「ルベーグ積分入門:伊藤清三」(紹介記事)
トポロジー(位相幾何学)全体を見渡した上で入門するのなら、次の2冊がよい。
71:「トポロジー万華鏡〈1〉:小竹義朗、瀬山士郎、村上斉」(紹介記事)
72:「トポロジー万華鏡〈2〉:玉野研一、深石博夫、根上生也」(紹介記事)
微分幾何学・位相幾何学(トポロジー)と物理学の関連を知るには次の本がお勧め。
73:「微分・位相幾何:和達三樹」(紹介記事)
トポロジーに本格的に入門するための教科書はこれ。
74:「トポロジー入門:松本幸夫」(紹介記事)
多様体入門だったら次の2冊を両方とも読んだほうがよい。
75:「多様体の基礎: 松本幸夫」(紹介記事)
76:「多様体入門:松島与三」
微分幾何学は、この本あたりから入ると良い。
77:「曲線と曲面の微分幾何(増補版):小林昭七」(紹介記事)
これも微分幾何学の本。難しいので覚悟すべき。
78:「幾何学〈3〉微分形式:坪井俊」(紹介記事)
物理学を意識した微分幾何学の本。
79:「理論物理のための微分幾何学:杉田勝実, 岡本良夫, 関根松夫」
一般相対論を学んでリーマン幾何学に興味を持ち、数学として詳しく学びたくなったら次の2冊を読むとよい。
80:「テンソル解析:田代嘉宏」(紹介記事)
81:「リーマン幾何学:酒井隆」
ファインマンの経路積分から電子(量子)のランダムウォークが導かれる。この本質は確率過程であり、伊藤の確率微分方程式である。この理論を順に学ぶためには次の3冊を読むとよいだろう。
82:「入門確率過程:松原望」(紹介記事)
83:「増補版 金融・証券のためのブラック・ショールズ微分方程式:石村貞夫、石村園子」(紹介記事)
84:「確率論:伊藤清」(紹介記事)
以下は量子力学や場の量子論の数理的な定式化を学ぶための本だ。新井先生の本のタイトルは物理学っぽいが、これらは数学書である。
85:「関数解析 共立数学講座 (15):黒田成俊」(紹介記事)
86:「ヒルベルト空間と量子力学:新井朝雄」(紹介記事)(改訂増補版)
87:「量子力学の数学的構造 I:新井朝雄、江沢洋」(紹介記事)
88:「量子力学の数学的構造 II:新井朝雄、江沢洋」(紹介記事)
89:「量子現象の数理:新井朝雄」(紹介記事)
90:「フォック空間と量子場〈上〉:新井朝雄」(増補改訂版)
91:「フォック空間と量子場〈下〉:新井朝雄」(増補改訂版)
素粒子論を学ぶ前に、リー群論(連続群論)を学んでおこう。
92:「群・環・体入門:新妻 弘, 木村 哲三」(紹介記事)
93:「連続群論入門 (新数学シリーズ18):山内恭彦、杉浦光夫」(紹介記事)
そして群の表現論も必要になる。
94:「線形代数と群の表現 I:平井武」(紹介記事)
95:「線形代数と群の表現 II:平井武」(紹介記事)
96:「群と表現:吉川圭二」(紹介記事)
ゲージ理論を学びはじめたら次のような本もお勧めだ。
97:「接続の微分幾何とゲージ理論:小林昭七」
98:「ゲージ理論とトポロジー:深谷賢治」(シュプリンガー版)
最後は理論物理学全般と幾何学(数学)のかかわりを解説した集大成とも言える本だ。
99:「理論物理学のための幾何学とトポロジー〈1〉:中原幹夫」(紹介記事)(原書第2版)
100:「理論物理学のための幾何学とトポロジー〈2〉:中原幹夫」(紹介記事)
その他の名著、良書(物理学):
古典力学、解析力学:
「古典力学〈上〉ゴールドスタイン」
「古典力学〈下〉ゴールドスタイン」
熱力学:
「フェルミ熱力学:エンリコ・フェルミ」(紹介記事)
「現代の熱力学:白井光雲」(紹介記事)
電磁気学:
「理論電磁気学:砂川重信」
一般相対論:
「重力理論:J. A. Wheeler, C. W. Misner, K. S. Thorne」(紹介記事)
量子力学:
「量子力学(1)第2版:朝永振一郎」(紹介記事)
「量子力学(2)第2版:朝永振一郎」(紹介記事)
「角運動量とスピン―『量子力学』補巻:朝永振一郎」(紹介記事)
「量子力学の数学的基礎:J.v.ノイマン」
「演習現代の量子力学―J.J.サクライの問題解説」
相対論的量子力学:
「ディラック 量子力学 原書第4版」(紹介記事)(改訂版)
「相対論的量子力学 (量子力学選書):川村嘉春」(紹介記事)
場の量子論:
「場の量子論:坂井典佑」(紹介記事)
「場の量子論: 不変性と自由場を中心にして (量子力学選書):坂本眞人」
「Quantum Field Theory:Lewis H. Ryder」
「An Introduction To Quantum Field Theory:Michael E. Peskin, Daniel V. Schroeder」
超弦理論の教科書(洋書):
「String Theory, Vol. 1:Joseph Polchinski」
「String Theory, Vol. 2:Joseph Polchinski」
「String Theory:Joseph Polchinski」Vol.1とVol.2を合わせて1冊にした本。
「A First Course in String Theory: Barton Zwiebach」
「Superstring Theory: 25th Anniversary Edition:Michael B. Green, John H. Schwarz, Edward Witten」
「String Theory and M-Theory:Katrin Becker, Melanie Becker, John H. Schwarz」
共形場(CFT)、AdS/CFT双対性に関する本:
「別冊数理科学 共形場理論 2011年 06月」(詳細、購入)
「別冊数理科学 超弦理論の応用 2012年 09月」(詳細、購入)
「From Gravity to Thermal Gauge Theories: The AdS/CFT」
「共形場理論:江口徹,菅原祐二」
「共形場理論入門 (数理物理シリーズ):山田泰彦」
その他の名著、良書(数学):
素粒子物理学や超弦理論は次のような数学の分野と結びついている。超弦理論の教科書を学び終えたら、次のような数学書を学ぶと良いだろう。
作用素代数、作用素環論:
「作用素代数入門:梅垣寿春,日合文雄,大矢雅則」
「作用素環入門〈1〉関数解析とフォン・ノイマン環:生西明夫,中神祥臣」
「作用素環入門〈2〉C*環とK理論:生西明夫,中神祥臣」
非可換幾何学:
次の2冊の英語版はコンヌ先生のサイトからPDFをダウンロードできる。
「非可換幾何学入門:A.コンヌ」
「Noncommutative Geometry, Quantum Fields and Motives:Alain Connes, Matilde Marcolli」
無限次元リー代数:
「無限次元リー群論:大森英樹」(オンデマンド版)(通常版古書)
「無限次元リー環:脇本実」
「無限次元リー代数:東郷重明」
複素多様体、ケーラー多様体、シンプレクティック幾何学:
「多様体:村上信吾」
「複素多様体論:小平邦彦」
「複素幾何:小林昭七」
「ケーラー多様体論入門:アンドレ・ヴェイユ」
「シンプレクティック幾何学:深谷賢治」
僕自身はまだ到達していないが、どうせなら現代物理学の最先端の超弦理論まで学べるリストを作ったほうが役に立つだろうと思い、これまで読んできた本を含めて100冊を物理書と数学書からピックアップして紹介することにした。
リストを紹介する前に、次のような注意点を申し上げておこう。
1)これは僕の好みが強く反映したリストだということ。もし紹介した本が自分に合っていないと思ったら、同じジャンルで他の良書を探して読んでほしい。
2)「高校生にお勧めする30冊の物理学、数学書籍」で紹介した本を読み終えたレベルの読者を想定していること。
3)リストの中のそれぞれのジャンルは、易しいものから難しい本の順で並んでいること。特に物理学書籍リストの最初のほうは長い物理学の旅への「助走」、「モチベーション・アップ」となるように、ワクワクしながら読める本を中心に選んだ。
4)リストの上から順に読むことで、次の本がスムーズに読めるように工夫した。独学しやすい本を選んでいる。
5)有名な「ランダウ=リフシッツの理論物理学教程」は極めて優れた教科書だが、入門者、初心者が読める本ではない。このレベルの教科書が読めるレベルの方なら、僕のリストを参考にする必要などないと思うので、この教科書は意図的にはずしてある。
6)物理学全体を「木」にたとえるならば、今回紹介する物理学書は一直線に上に伸びる「幹」に相当する。「連続体の力学」、「流体力学」、「弾性論」、「物性物理学」、「非平衡系物理学」、「カオス・複雑系力学」、「原子核物理学」など「枝」に相当するジャンルの本は含まれていない。
7)物理学と数学の書籍をバランスよく読み進めていくことが必要になる。それによって両者の関係がわかり、いっそう面白みが増す。
8)場の量子論以降は、僕は学んでいないので紹介した以外にも読むべき本があるかもしれない。
9)「読んで理解するための本」という観点から選んだので演習書はほとんど含めていない。自ら手を動かして計算したいときは、関連する演習書で学ぶ必要がある。
10)「100冊」という数字にこだわったので、本当は読んでほしい物理学史上の名著を入れることができなかった。これらは「その他の名著、良書(物理学)」としていちばん最後にまとめておいた。
13)今回紹介した本は「とね書店」の「超弦理論に至る100冊」というコーナーにまとめておいた。
1) 物理学書籍
まず「物理数学」というジャンルの本。厳密に言えばこれらは「数学書籍」なのだが「物理学を学ぶ上で必ず必要になる数学」なので、物理学書籍のほうに掲載しておいた。
1:「図解入門 よくわかる物理数学の基本と仕組み」(紹介記事)
2:「物理数学の直観的方法〈普及版〉:長沼伸一郎」(紹介記事)(Kindle版)
3:「今度こそ納得する物理・数学再入門:前野昌弘」(紹介記事)
まず、ファインマン物理学を2冊だけ読もう。
4:「ファインマン物理学〈1〉力学」(紹介記事)
5:「ファインマン物理学〈2〉光・熱・波動」(紹介記事)
そして次に「趣味の物理学」の「力学」を読むとよい。「電磁気学」のほうは後に電磁気学を学び始めるまで読まなくてもよい。
6:「趣味で物理学:広江克彦」(紹介記事)(EMANの物理学:力学、電磁気学)
解析力学はとりあえずこの1冊で良いだろう。
7:「よくわかる解析力学:前野昌弘」(紹介記事)(EMANの物理学:解析力学)
熱力学・統計力学は次の本がお勧め。芦田先生の本で僕はこのジャンルに入門したものだから愛着がある。田崎先生の本は難しいと思うが超お勧めだ。これらの本で熱力学がニュートン力学から導かれることが理解できる。また、この段階の統計力学は「古典統計力学」がメインであることに注意しよう。
8:「熱力学を学ぶ人のために:芦田正巳著」(EMANの物理学:熱力学)
9:「統計力学を学ぶ人のために:芦田正巳」(紹介記事)(EMANの物理学:統計力学)
10:「熱力学―現代的な視点から:田崎晴明」(紹介記事)
11:「統計力学〈1〉:田崎晴明」(紹介記事)
12:「統計力学〈2〉:田崎晴明」(紹介記事)
さて、電磁気学は次の順番で読み進もう。
13:「よくわかる電磁気学:前野昌弘」(紹介記事)
14:「ファインマン物理学〈3〉電磁気学」(紹介記事)
15:「ファインマン物理学〈4〉電磁波と物性」(紹介記事)
「理論電磁気学:砂川重信」が有名だが、僕としては大田先生のが好きだ。
16:「電磁気学の基礎I:大田浩一」(紹介記事)
17:「電磁気学の基礎II:大田浩一」(紹介記事)
特殊相対論はファインマン物理学の第1巻で学ぶが、ここからもう一度学びなおす。電磁気学との結びつきはこの段階で学ぶので「趣味で相対論」を読む前に「趣味で物理学」の電磁気学の章を読み終えておこう。そして、難しい一般相対論にもこの段階でチャレンジする。
18:「趣味で相対論:広江克彦」(紹介記事)(EMANの物理学:相対性理論)
19:「相対性理論への数学的第一歩:多田知記」(紹介記事)
20:「時空の幾何学:特殊および一般相対論の数学的基礎」(紹介記事)
21:「一般相対性理論:内山龍雄」
アインシュタインが最後まで受け入れなかった量子力学はここから始まる。量子力学はいろいろな種類の教科書を学んだほうがよい。特に次のラインナップで読むと無駄が少ないと思う。
22:「よくわかる量子力学:前野昌弘」(紹介記事)
23:「量子力学を学ぶための解析力学入門: 高橋康」(紹介記事)
24:「量子力学(I):小出昭一郎」(紹介記事)
25:「量子力学(II):小出昭一郎」(紹介記事)
26:「ファインマン物理学〈5〉量子力学」(紹介記事)
27:「目で見る美しい量子力学:外村彰」(紹介記事)
28:「現代の量子力学〈上〉J.J.サクライ」(紹介記事):第2版が刊行されました!
29:「現代の量子力学〈下〉J.J.サクライ」:(紹介記事):第2版が刊行されました!
量子力学を学び終わったところで、量子テレポーテーションが理解できるようになる。次の本がお勧めだ。
30:「量子光学と量子情報科学:古澤明」(紹介記事)
ファインマンの経路積分の世界はここから。電子をはじめとする量子のジグザグ運動がどのように導かれるか、理論的に理解できるようになる。
31:「量子波のダイナミクス - ファインマン形式による量子力学 -:森藤正人」(紹介記事)
32:「量子力学と経路積分:R.P.ファインマン、A.R.ヒッブス」(紹介記事)(新版)
33:「ファインマン経路積分:L.S.シュルマン」(紹介記事)
次の段階に進む前にこの本も読んでおこう。
34:「古典場から量子場への道:高橋康」(紹介記事)
相対論的量子力学はここから始まる。
35:「サクライ上級量子力学〈第1巻〉輻射と粒子:J.J.サクライ」(紹介記事)
36:「サクライ上級量子力学〈第2巻〉共変な摂動論:J.J.サクライ」(紹介記事)
場の量子論に進む前に、この本を読んでおこう。
37:「量子場を学ぶための場の解析力学入門」(紹介記事)
場の量子論の教科書。まず、易しめな教科書で入門するのがよい。
38:「場の量子論〈第1巻〉量子電磁力学:F.マンドル、G.ショー」(紹介記事)
39:「場の量子論〈第2巻〉素粒子の相互作用:F.マンドル、G.ショー」(紹介記事)
40:「新版 演習場の量子論:柏太郎」(紹介記事)
次は超有名なシリーズ。僕は第4巻で挫折してしまった。英語で読めるなら英語版のほうがよい。
41:「ワインバーグ場の量子論(1巻):素粒子と量子場」(紹介記事)
42:「ワインバーグ場の量子論(2巻):量子場の理論形式」(紹介記事)
43:「ワインバーグ場の量子論(3巻):非可換ゲージ理論」(紹介記事)
44:「ワインバーグ場の量子論(4巻):量子論の現代的諸相」(紹介記事)
量子統計力学の独創的な教科書だ。量子物性、経路積分、ファインマン・ダイヤグラムも解説されている。
45:「ファインマン統計力学」
素粒子物理学はこのあたりから始まる。
46:「クォークとレプトン―現代素粒子物理学入門:F. ハルツェン、A.D. マーチン」(紹介記事)
47:「大学院素粒子物理1:南部陽一郎, 木下東一郎, 牧二郎, 中西襄, 政池明」
48:「大学院素粒子物理2:崎田文二, 山田作衛, 江口徹, 近藤都登, 戸塚洋二」
次は有名な本。ただし難しいので覚悟して読もう。
49:「ゲージ場の量子論〈1〉:九後汰一郎」
50:「ゲージ場の量子論〈2〉:九後汰一郎」
重力のゲージ場についての本。
51:「一般ゲージ場序説:内山龍雄」
ワインバーグの第5巻、第6巻はこの段階で読むとよい。
52:「ワインバーグ場の量子論(5巻)超対称性:構成と超対称標準模型」
53:「ワインバーグ場の量子論(6巻)超対称性:非摂動論的効果と拡張」
次の本は1冊でなんと超弦理論とループ量子重力理論が学べる本。吉田先生の本はハズレがないのでお勧め。
54:「明解量子重力理論入門:吉田伸夫」(紹介記事)
次は超弦理論のあらましを理解するための中級レベルの啓発書。
55:「Dブレーン―超弦理論の高次元物体が描く世界像:橋本幸士」(紹介記事)
超弦理論の入門的な教科書が翻訳されている。これはお勧め本だ。
56:「初級講座弦理論 基礎編、発展編:B.ツヴィーバッハ」
または
56:「弦理論: ディビッド・マクマーホン」(紹介記事)
次の3冊がこのリストのゴール。標準的な超弦理論の教科書3冊。
57:「超弦理論・ブレイン・M理論」
58:「ストリング理論 第1巻:ジョセフ・ポルチンスキー」
59:「ストリング理論 第2巻:ジョセフ・ポルチンスキー」
2) 数学書籍
まず、大学1、2年で学ぶ基礎的な数学の教科書。僕は大学時代に学んでいるので申し訳ないが紹介記事は書いていない。それぞれお勧めな本を選んでおいた。
60:「線形代数学入門のための教科書談義」で紹介している本の中から1冊
62、63:「解析学入門のための教科書談義」で紹介している本の中から1、2冊(実解析と複素解析)
64:「やさしく学べる微分積分:石村園子」など自分のレベルに合う微積分の教科書または演習書
65:「ちょっと気になる常微分方程式の本」で紹介している本の中から1冊
66:「偏微分方程式入門:金子晃」
位相空間論への入門ならばこれがお勧め。
67:「はじめよう位相空間:大田春外」(紹介記事)
68:「解いてみよう位相空間:大田春外」(紹介記事)(改訂版)
ルベーグ積分は、この2冊がよいだろう。吉田先生のは「紹介記事」の中から中古本を買えるリンクを紹介している。
69:「ルベグ積分入門(新数学シリーズ23):吉田洋一」(紹介記事)(文庫版)
70:「ルベーグ積分入門:伊藤清三」(紹介記事)
トポロジー(位相幾何学)全体を見渡した上で入門するのなら、次の2冊がよい。
71:「トポロジー万華鏡〈1〉:小竹義朗、瀬山士郎、村上斉」(紹介記事)
72:「トポロジー万華鏡〈2〉:玉野研一、深石博夫、根上生也」(紹介記事)
微分幾何学・位相幾何学(トポロジー)と物理学の関連を知るには次の本がお勧め。
73:「微分・位相幾何:和達三樹」(紹介記事)
トポロジーに本格的に入門するための教科書はこれ。
74:「トポロジー入門:松本幸夫」(紹介記事)
多様体入門だったら次の2冊を両方とも読んだほうがよい。
75:「多様体の基礎: 松本幸夫」(紹介記事)
76:「多様体入門:松島与三」
微分幾何学は、この本あたりから入ると良い。
77:「曲線と曲面の微分幾何(増補版):小林昭七」(紹介記事)
これも微分幾何学の本。難しいので覚悟すべき。
78:「幾何学〈3〉微分形式:坪井俊」(紹介記事)
物理学を意識した微分幾何学の本。
79:「理論物理のための微分幾何学:杉田勝実, 岡本良夫, 関根松夫」
一般相対論を学んでリーマン幾何学に興味を持ち、数学として詳しく学びたくなったら次の2冊を読むとよい。
80:「テンソル解析:田代嘉宏」(紹介記事)
81:「リーマン幾何学:酒井隆」
ファインマンの経路積分から電子(量子)のランダムウォークが導かれる。この本質は確率過程であり、伊藤の確率微分方程式である。この理論を順に学ぶためには次の3冊を読むとよいだろう。
82:「入門確率過程:松原望」(紹介記事)
83:「増補版 金融・証券のためのブラック・ショールズ微分方程式:石村貞夫、石村園子」(紹介記事)
84:「確率論:伊藤清」(紹介記事)
以下は量子力学や場の量子論の数理的な定式化を学ぶための本だ。新井先生の本のタイトルは物理学っぽいが、これらは数学書である。
85:「関数解析 共立数学講座 (15):黒田成俊」(紹介記事)
86:「ヒルベルト空間と量子力学:新井朝雄」(紹介記事)(改訂増補版)
87:「量子力学の数学的構造 I:新井朝雄、江沢洋」(紹介記事)
88:「量子力学の数学的構造 II:新井朝雄、江沢洋」(紹介記事)
89:「量子現象の数理:新井朝雄」(紹介記事)
90:「フォック空間と量子場〈上〉:新井朝雄」(増補改訂版)
91:「フォック空間と量子場〈下〉:新井朝雄」(増補改訂版)
素粒子論を学ぶ前に、リー群論(連続群論)を学んでおこう。
92:「群・環・体入門:新妻 弘, 木村 哲三」(紹介記事)
93:「連続群論入門 (新数学シリーズ18):山内恭彦、杉浦光夫」(紹介記事)
そして群の表現論も必要になる。
94:「線形代数と群の表現 I:平井武」(紹介記事)
95:「線形代数と群の表現 II:平井武」(紹介記事)
96:「群と表現:吉川圭二」(紹介記事)
ゲージ理論を学びはじめたら次のような本もお勧めだ。
97:「接続の微分幾何とゲージ理論:小林昭七」
98:「ゲージ理論とトポロジー:深谷賢治」(シュプリンガー版)
最後は理論物理学全般と幾何学(数学)のかかわりを解説した集大成とも言える本だ。
99:「理論物理学のための幾何学とトポロジー〈1〉:中原幹夫」(紹介記事)(原書第2版)
100:「理論物理学のための幾何学とトポロジー〈2〉:中原幹夫」(紹介記事)
その他の名著、良書(物理学):
古典力学、解析力学:
「古典力学〈上〉ゴールドスタイン」
「古典力学〈下〉ゴールドスタイン」
熱力学:
「フェルミ熱力学:エンリコ・フェルミ」(紹介記事)
「現代の熱力学:白井光雲」(紹介記事)
電磁気学:
「理論電磁気学:砂川重信」
一般相対論:
「重力理論:J. A. Wheeler, C. W. Misner, K. S. Thorne」(紹介記事)
量子力学:
「量子力学(1)第2版:朝永振一郎」(紹介記事)
「量子力学(2)第2版:朝永振一郎」(紹介記事)
「角運動量とスピン―『量子力学』補巻:朝永振一郎」(紹介記事)
「量子力学の数学的基礎:J.v.ノイマン」
「演習現代の量子力学―J.J.サクライの問題解説」
相対論的量子力学:
「ディラック 量子力学 原書第4版」(紹介記事)(改訂版)
「相対論的量子力学 (量子力学選書):川村嘉春」(紹介記事)
場の量子論:
「場の量子論:坂井典佑」(紹介記事)
「場の量子論: 不変性と自由場を中心にして (量子力学選書):坂本眞人」
「Quantum Field Theory:Lewis H. Ryder」
「An Introduction To Quantum Field Theory:Michael E. Peskin, Daniel V. Schroeder」
超弦理論の教科書(洋書):
「String Theory, Vol. 1:Joseph Polchinski」
「String Theory, Vol. 2:Joseph Polchinski」
「String Theory:Joseph Polchinski」Vol.1とVol.2を合わせて1冊にした本。
「A First Course in String Theory: Barton Zwiebach」
「Superstring Theory: 25th Anniversary Edition:Michael B. Green, John H. Schwarz, Edward Witten」
「String Theory and M-Theory:Katrin Becker, Melanie Becker, John H. Schwarz」
共形場(CFT)、AdS/CFT双対性に関する本:
「別冊数理科学 共形場理論 2011年 06月」(詳細、購入)
「別冊数理科学 超弦理論の応用 2012年 09月」(詳細、購入)
「From Gravity to Thermal Gauge Theories: The AdS/CFT」
「共形場理論:江口徹,菅原祐二」
「共形場理論入門 (数理物理シリーズ):山田泰彦」
その他の名著、良書(数学):
素粒子物理学や超弦理論は次のような数学の分野と結びついている。超弦理論の教科書を学び終えたら、次のような数学書を学ぶと良いだろう。
作用素代数、作用素環論:
「作用素代数入門:梅垣寿春,日合文雄,大矢雅則」
「作用素環入門〈1〉関数解析とフォン・ノイマン環:生西明夫,中神祥臣」
「作用素環入門〈2〉C*環とK理論:生西明夫,中神祥臣」
非可換幾何学:
次の2冊の英語版はコンヌ先生のサイトからPDFをダウンロードできる。
「非可換幾何学入門:A.コンヌ」
「Noncommutative Geometry, Quantum Fields and Motives:Alain Connes, Matilde Marcolli」
無限次元リー代数:
「無限次元リー群論:大森英樹」(オンデマンド版)(通常版古書)
「無限次元リー環:脇本実」
「無限次元リー代数:東郷重明」
複素多様体、ケーラー多様体、シンプレクティック幾何学:
「多様体:村上信吾」
「複素多様体論:小平邦彦」
「複素幾何:小林昭七」
「ケーラー多様体論入門:アンドレ・ヴェイユ」
「シンプレクティック幾何学:深谷賢治」
13,22:いろものさんからもらった
70:大学で仲間と自主ゼミで使った、なつかしー
感想ありがとうございます。
なるほど、物理学徒にとってこのような書籍リストは「思い出リスト」でもあるわけですね!
いろものさんとお知り合いとは、うらやましいです。
学生時代は物理学科でしたが、流体関係の研究室で古典論どまりだったので、やはり現代物理をやるなら量子論をやってみたいと思います。とねさんの紹介記事を参考に、来年は物理購読に再挑戦!
いつもインターネット新聞に僕の書いた記事を取り上げていただき、ありがとうございます。
学生時代は流体力学系の方でしたか。僕は古典物理学も学び漏らした内容がたくさんあるので、折に触れて読んでみたいと思います。(今は「現代の熱力学」という新しい教科書を読んでいます。)
来年はぜひ量子論の世界を楽しんでください!
僕が書いた記事がきっかけで、少しでも多くの人がこの世界に関心をお持ちになるとうれしいです。
年明けの1月5日から始まる「MIT白熱教室(物理学編)」も楽しみですね。
また、2月18日に朝日カルチャーセンターで開催される大栗博司先生の講座「強い力と弱い力」も申し込みが始まっていたので申し込みました。2ヶ月先の講座なのにすでに申し込みは6割に達しているそうです。
よいお年をお迎えください。
はじめまして。コメントいただきありがとうございます。
先の尖った鉛筆を下にして立ち続けるかどうかは「古典物理学(ニュートン力学や相対論に従う力学)=決定論=未来は決まっている」で考えれば「立ち続ける」ことになり、「量子力学=不確定性原理に従う非決定論=未来は決まっていない」で考えれば「必ず倒れる」ことになります。これはアインシュタイン(決定論)とボーア(非決定論)の間で論争され、結果的にボーアに軍配があがりました。ですので量子力学が正しい理論だという結論が得られている現在、鉛筆は必ず倒れることがわかっています。どの方向に倒れるかは不確定性原理によって予測することができません。
このあたりのことは以下の記事に書いてありますので、よろしければお読みください。
どうして未来は決まっていないのだろうか?
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/4b11211eac3e03b18782b5ce88fbe050
とねさんの返信文書を読み、物理学の奥の深さと、とねさんの力学に驚くばかりです。簡略ではございますが益々のご活躍を期待しております。
本当にありがとうございました。
お役に立つことができてよかったです。これからもよろしくお願いいたします。
授業を黙って聞くことがあまり得意ではないので、独学で学ぼうと決めた頃に、このサイトに出会いました。
非常に吟味され、質の高い物理書籍をレビューとともに探すことができるので、とてもありがたく思っています。
そこで質問なのですが、書籍を選ぶ際は書店に足を運ばれ、選ばれたのでしょうか。
また、かなりの数の書籍を買うことになると思うのですが、合計でどのくらいの資金が必要でしょうか。大学生である自分、経済力に乏しいため、費用を節約するためにam◯zonなどを使おうと思うのですが、とねさんは使われましたか。
(少し遅いですが)入学おめでとうございます。またコメントをいただき、ありがとうございました。
書籍はほとんどアマゾンのレビュー投稿を参考にして購入を決めています。大型書店へ足を運ぶのは3カ月に一度くらい、地元の中型の書店へは週に2度ほど足を運びますが、ここには専門書はありません。
以前は理数系書籍を月に1万円から5万円のペースで買っていましたが、さすがに積ん読本が増えてしまいましたので、最近は月に1万円までと心がけています。手に入るときは中古の本を買うようにして支出を抑えています。
専門書は1冊読むのに時間がかかりますから、自分のペースで読めるものだけをお買い求めいただけばよいのではないでしょうか?または、大学の図書館を利用するのがいちばんよいですね。
授業を黙って聞くのが得意ではないとのことですが、それでもやはり我慢して聞いておいたほうがよいと思いました。
大学1年生ということで、僕は次の本を強くお勧めしたいです。今後の理解度が大きく違ってくる「伝説の書」、「秘伝の書」です。
物理数学の直観的方法〈普及版〉 (ブルーバックス):長沼伸一郎
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ab9396e295687179ac3a71553b8165a1
ちなみに僕が所有している理数系本は、このページにまとめてあります。ご参考まで。
とねの本棚
http://booklog.jp/users/ktonegaw