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とね日記

理数系ネタ、パソコン、フランス語の話が中心。
量子テレポーテーションや超弦理論の理解を目指して勉強を続けています!

目で見る美しい量子力学:外村彰

2011年06月12日 15時46分25秒 | 物理学、数学
目で見る美しい量子力学:外村彰

本書は月刊「数理科学」の連載をまとめたもので昨年9月に刊行されたばかりの本である。前著である「量子力学を見る:外村彰」の記事で紹介した内容に加えて、その後の研究、実験の成果が盛り込まれているだけでなく、全体で240ページと大幅にボリュームアップされている。上記掲載画像、本書の表紙に使われている水面の波紋のような図柄は電子の波としての姿がとらえられたものだ。

カバーページ裏の紹介文は次のとおり。

=======================================================
「いつの日か量子力学の基本に触れる実験をして、この神秘をこの目で見たい。」

“世界で最も美しい実験”と言われた二重スリットの実験をはじめ、AB効果の検証、超伝導体中の磁束量子の観察など、歴史に残る実験をなし遂げた数々のドラマの裏側を、余すことなく語る。
渡辺宏への憧れ、C.N.ヤンとの出会い。また、ISQMの発足や日立基礎研究所設立の経緯、そして100万ボルトホログラフィー電子顕微鏡の開発から超高圧・超高分解能電子顕微鏡への夢に至るまで、40年以上にわたって続けられてきた”量子の世界を見る”努力と挑戦を、多くの写真とともに振り返る。

電子が不可思議な波であることを学んで、量子力学に“あこがれ”を抱いた。
=======================================================

前著の「量子力学を見る:外村彰」と同様、夢中になって読んだ。かといってすぐ読み終えてしまったわけではない。科学史に残る貴重な実験成果だと思うので一字一句もらさずに読ませていただいた。

二重スリットの実験、AB効果、超電導体、磁束量子などのキーワードについては「量子力学を見る:外村彰」の記事のほうで述べてしまったので、今回の記事では省略させていただこう。

本書ではより説明が詳しくなり、AB効果や磁束量子の箇所で数式を使った解説がなされていることだ。その意味で科学に慣れ親しんでいない一般の読者には読めない部分も若干あると思う。(おそらく20ページぶんくらい。)それでも電磁気学の教科書をきちんと学んでいればついていけるレベルなので難解というわけではない。そもそもこの本に関心をもつような方は、量子力学の勉強を済ませた方が多いだろうから、買ってはみたもののわからなかったということにはならないのだと思う。

本書ではまた磁束量子の配列がダイナミックに変化する原因となる「ゲージ対称性の破れ」や量子力学的な効果はミクロの世界だけでなくマクロな領域やミクロとマクロの中間の「メゾスコピック物理」の領域でも起こりうることについて言及している。

ISQMというのは「International Symposium on Foundations of Quantum Mechanics」のことで、日立製作所HP内のPDF文書に次のような説明が書いてある。

ISQMとは:従来は思考実験でのみ扱われてきた量子力学の基本問題を、最新の実験技術をもちいて直接検証することにより新知見を得ると同時に、実験分野における新たな課題の認識、展開の着想を得ることを目的とする国際会議です。第1回会議は 1983年日立製作所中央研究所で開催され、ノーベル物理学賞受賞者C.N. Yang博士、アハラノフ・ボーム効果(AB効果)提唱者のアハラノフ博士、電子線ホログラフィーを用いて世界で初めてAB効果を検証した外村彰博士 (現:日立製作所フェロー)をはじめとする世界的な研究者が参加し、量子力学に関わる熱心な議論が交わされました。以後ISQMはその時々の最先端の話題をメインテーマに据えながら、1995年(第5回)以後は日立製作所基礎研究所に場所を移して継続開催されています。物理学が細分化されている今日、 ISQMは、量子力学の基礎から物性まで広い専門分野の研究者が一堂に会して「新技術」の視点を入れながら基礎科学の最先端テーマを議論するユニークな国際会議として、内外から注目されています。世界物理年の開催となる第8回ISQM(ISQM-TOKYO '05)では、スピントロニクス、量子情報処理、ナノ構造量子効果、超伝導など、広い分野にわたって量子力学の根本に立ち戻った議論が行われました。


本書のもうひとつの魅力はボーム博士、Yang博士、アハラノフ博士たちをはじめ、著名な物理学者の写真が多数掲載されていることだ。第1回ISQMの写真には久保亮五、ヤン、アハラノフ、アスペ、ホイーラー、ペッシュキン、シモニー、グリーンバーガー、南部(全て敬称略)の先生方が講演会場に会している様子が写しだされている。

別のページには本書を書かれた外村先生がボーム博士と一緒に写っているカラー写真が掲載されている。(ボーム博士ってカラー写真で見れるんだ!と感動したものだ。オリビア・ニュートン・ジョンのお祖父さんってこういう感じの方だったのかとも思った。)

2000年に高さ7m、総重量40トンという巨大な100万ボルトホログラフィー電子顕微鏡が完成し、本書で紹介されているような磁束量子の奇妙な振る舞いの観測や動画撮影が可能になった。それらの写真や動画の一部は「量子力学を見る:外村彰」の記事でも紹介した以下のサイトに公開されている。

「電子の二重スリット実験」

有名な初心者向け説明動画(日本語字幕付き)はこちら。



二重スリットの実験(日立製作所)
http://www.hitachi.co.jp/rd/portal/highlight/quantum/index.html#sec02

アハラノフ-ボーム効果:超伝導体の境界面に観察される磁束量子

磁束量子の動画(日立製作所)-> ぜひYouTubeにアップしてほしいと僕は思った。
http://www.hitachi.co.jp/rd/portal/highlight/quantum/movie/index.html

電子波で見る電磁界分布【ベクトルポテンシャルを感じる電子波】
外 村 彰
http://www.ieice.org/jpn/books/kaishikiji/200012/20001201-1.html

----------------------
2012年5月2日に追記:

外村彰先生は2012年5月2日に膵臓がんでお亡くなりになりました。享年70歳。謹んでご冥福をお祈りいたします。

この記事を書いて以降、先生の撮影された量子現象の動画はYouTubeにもいくつか掲載されたので、ご覧になっていただけるとうれしいです。

YouTube上の外村先生が撮影された動画:検索する

「好奇心があるから前へ進める」外村 彰 日立製作所 フェロー
http://juku.netj.or.jp/summer2009/report/report_090806_13.html

外村彰氏の電子顕微鏡が始動、世界最高の分解能(2015年2月)
http://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2015/02/20150218_02.html

----------------------

外村先生の次のチャレンジは「原子で散乱された電子の波面を見る」ことなのだそうだ。そのためには電子顕微鏡の収差を取り除き分解能を格段に向上させる必要があるのだという。この超高分解能・超高圧ホログラフィー電子顕微鏡は100億円かかる巨大プロジェクトなのだそうだ。

そういえばラザフォード散乱の理論や実験のことを量子力学で学んでいたけれども、「散乱現象そのもの」を見たことってなかったな、とあらためて気付かされた。今後どのような成果が見れるようになるか楽しみはしばらく続きそうである。

これまで直接見ることのできなかった量子力学の世界。電子の粒子性と波動性は両方とも見ることができるようになった。電子波でありながら二重スリットの実験で浮かび上がるのはスクリーン上の点としての電子の姿である。

見えることだけですべてのことが明らかになるわけではないし、これまでになされた数々の思考実験や理論的な考察の意味が損なわれるわけでもない。これは肝に銘じておくべきだ。

光の波長よりはるかに小さな原子程度の世界を「見る」ことは、単に倍率を上げればよいというわけでなく、質的に全く異なった意味合いを持つことが本書を読むとよくわかる。「見える」ということの意味を問わずにはいられない。それでも次々にさらけだされる量子世界の姿を見ると、つい「素晴らしい」と堪能できてしまうのが本書のすごさなのだ。

本書は量子力学に興味をお持ちの方すべてにお勧めする。


「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ。」
出展:『愛蔵版 星の王子さま』、岩波書店、サン=テグジュペリ 作、内藤濯 訳、P99より

量子力学の世界を「心で見る」とは「数式から導かれる結果に物理的解釈を与える」とか「法則が成り立つために数学的定式化を行う」ということになるのだろう。「知」や「思考」も「心」を構成する大切な要素なのだから。


さて次は「量子現象の数理:新井朝雄」の「第4章:量子力学における対称性」に取りかかりたいところだが、そのための準備として「連続群論入門:山内恭彦、杉浦光夫」を読むことにした。復刊されたばかりの良書である。

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目で見る美しい量子力学:外村彰


目次

第1章 目で見るミクロの世界
 1.1 はじめに
 1.2 電子の波紋を見る
 1.3 きれいな波紋の電子波を作る
 1.4 レーザーのように波紋の揃った電子の波
 1.5 電子の波でミクロの世界を見る―磁力線,金曜講話,AB効果,そして二重スリットの実験―
 1.6 おわりに

第2章 ミクロの世界を探る電子線技術
 2.1 はじめに
 2.2 電子顕微鏡
 2.3 電子線の干渉技術

第3章 渡辺宏にあこがれて日立中研に!
 3.1 はじめに
 3.2 電子線物理の世界に入ったわけ
 3.3 ボーム・パインズの理論とその実証
 3.4 40年を振り返って

第4章 干渉性の良い電子の波―トンネル効果で針先から出る電子
 4.1 はじめに
 4.2 電子線を作る
 4.3 電界放出電子線
 4.4 エネルギー分布
 4.5 干渉性の良い電子線とは
 4.6 重要な“輝度”の値
 4.7 おわりに

第5章 目で見る波動関数
 5.1 はじめに
 5.2 基本は重要
 5.3 不思議な“波動関数”
 5.4 スピン
 5.5 電子線で見る波動関数
 5.6 中性子線で見る波動関数のスピン効果
 5.7 おわりに

第6章 二重スリットの実験
 6.1 はじめに
 6.2 電子1個を検出する2次元検出器
 6.3 二重スリットの実験の歴史
 6.4 電子の二重スリットの実験
 6.5 実験開始
 6.6 15年後の反響
 6.7 ファインマンの経路積分
 6.8 おわりに

第7章 二重スリットの実験のその後
 7.1 はじめに
 7.2 マクロな粒子が2つのスリットを通るのか?
 7.3 電子はどちらのスリットを通ったのか?
 7.4 鳩山シンポジウム
 7.5 どちらのスリットを通ったかを検出すると,干渉縞が消失する?
 7.6 AB効果で干渉縞が消失する
 7.7 電子線バイプリズムの実験
 7.8 箱の中の電子―アインシュタインの思考実験―
 7.9 遅延選択実験

第8章 アハラノフ・ボーム効果―触れてもいない磁場を感じる電子
 8.1 はじめに
 8.2 ベクトル・ポテンシャル
 8.3 AB効果の誕生
 8.4 メレンシュテットの実験
 8.5 電磁気とは何だろう?
 8.6 AB効果論争

第9章 アハラノフ・ボーム効果の検証実験
 9.1 はじめに
 9.2 AB効果は存在するのか?
 9.3 事の起こり
 9.4 検証実験
 9.5 ISQM
 9.6 完璧な検証実験

第10章 アハラノフ・ボーム効果その後
 10.1 はじめに
 10.2 固体中の電子が示すAB効果
 10.3 ISQM発足の顛末
 10.4 ウェッブの実験
 10.5 AB効果は古典的に説明できる?
 10.6 AB効果の古典論の実験―電子に力が働いているか否か?―

第11章 電子線ホログラフィー―光の波面として再現される電子の波面
 11.1 はじめに
 11.2 顕微鏡で見える限界
 11.3 ガボールの夢―ホログラフィー―
 11.4 電子線ホログラフィーの実験
 11.5 おわりに

第12章 電子波の位相を考える
 12.1 はじめに
 12.2 電子波の位相
 12.3 波の波面
 12.4 電子の軌道
 12.5 電子派を経路積分で考える

第13章 電子の位相で見るミクロの磁力線―干渉電子顕微鏡
 13.1 はじめに
 13.2 干渉顕微鏡像
 13.4 位相で見るミクロの世界
 13.5 ミクロの磁力線の観察

第14章 超伝導体で囲まれた磁束は量子化する!
 14.1 はじめに
 14.2 超伝導とは
 14.3 磁束量子化の発見
 14.4 磁束が量子化する過程を見る
 14.5 量子化磁束が超伝導体を突き抜ける!―アブリコソフの予言―
 14.6 境界エネルギーの異なる2種類の超伝導体
 14.7 磁束量子を観察する

第15章 超伝導電流が作る渦―磁束量子
 15.1 はじめに
 15.2 磁束量子観察の歴史
 15.3 渦
 15.4 一様な磁場に対応する“流れ”
 15.5 渦の諭無は,流線では判断できない
 15.6 ゲージに変換に対応する“渦なしの流れ”
 15.7 磁束量子の周りのAに対応する流れ
 15.8 超伝導体中に生じる磁束量子
 15.9 磁束量子の磁力線を見る

第16章 磁力線の観察から超伝導を考える
 16.1 はじめに
 16.2 超伝導体内部で何が起こっているのか?
 16.3 ゲージ対称性の破れを見る
 16.4 対称性が破れる理由
 16.5 おわりに

第17章 超伝導体内部の磁束量子を見る
 17.1 はじめに
 17.2 日立基礎研究所
 17.3 ローレンツ顕微鏡法
 17.4 磁束量子はパチンコ玉
 17.5 マッチング効果を見る
 17.6 次の狙いは高温超電導体!

第18章 高温超伝導体の磁束量子を見る
 18.1 はじめに
 18.2 100万ボルトホログラフィー電子顕微鏡の開発
 18.3 高温超電導体中の磁束量子
 18.4 柱状欠陥にトラップされる磁束量子
 18.5 チェーン状に並ぶ磁束量子の謎
 18.6 フレンケル・コントローバ・モデル
 18.7 おわりに

第19章 見えないものを見る
 19.1 はじめに
 19.2 ものを見る
 19.3 電子で見えないものを見る
 19.4 玉葱のような自然―自然の階層―
 19.5 電子顕微鏡で見る美しい電子・分子の世界
 19.6 超高分解能電子顕微鏡への夢
 19.7 おわりに

第20章 量子力学の展開
 20.1 量子力学の基礎現象
 20.2 究極理論の夢
 20.3 役立ち始めた量子力学
 20.4 量子力学の今後の展開
 20.5 おわりに

あとがき
参考文献
索引
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6 コメント

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Unknown (ともちゃん)
2011-06-12 17:06:46
面白そうな本ですね。干渉するまでは、波と考えればよいということでしょうか? 観測(スリットにぶつかる)時点で初めて、粒子として認識されるというか。場の量子論を理解できれば理解が進むでしょうか?
返信する
ともちゃんへ (とね)
2011-06-12 17:29:16
ともちゃんへ

はじめまして。コメントいただきありがとうございます。

はい、波でいる間は干渉します。(干渉する前、つまりスリットに到達するまでも波の状態です。)
スリットを通過して干渉しながらスリットの向こうのスクリーンにぶつかった時点ではじめて粒子として観測されるわけですね。

場の量子論まで勉強しなくても理解できます。二重スリットの実験は「量子力学」だけの範囲で理解できます。

どの程度物理学を勉強された方かわかりませんので、基礎的なものから中級者(数式入りの説明付き)まで、いくつか紹介させていただきますね。

最初の2つは数式無し、入門者用です。

量子力学入門の入門
http://www.geocities.co.jp/Technopolis/1656/quantum/index.htm

30分でわかる量子力学の世界
http://www.ryoushi-rikigaku.com/quantum.html

数式が入って構わないのでしたら、こちらのサイトがお勧めです。

EMANの量子力学
http://homepage2.nifty.com/eman/quantum/contents.html

二重スリットの実験は「量子力学」だけで大丈夫ですが、アハラノフ=ボーム効果(AB効果)を理解するには、電磁気学の知識も必要です。

EMANの電磁気学(電磁ポテンシャル、ローレンツゲージのあたり)
http://homepage2.nifty.com/eman/electromag/contents.html

入門者用の量子論の本としては、次の2冊がお勧めですね。数式無しで読めます。

みるみる理解できる量子論 改訂版
http://astore.amazon.co.jp/tonejiten-22/detail/4315518549

図解入門 よくわかる最新量子論の基本と仕組み―不可思議な超ミクロ世界
http://astore.amazon.co.jp/tonejiten-22/detail/4798014915
返信する
Unknown (ともちゃん)
2011-06-12 18:44:25
ご紹介ありがとうございます。

1年ぐらい前に、標準的教科書と言われているJ.J Sakuraiさんの現代の量子力学(上)のみ読みました。やっぱり、スリット現象はいまひとつわからないです。1粒子による干渉ですから、自己干渉ということになるのでしょうか?(何かの本に書いていました。)
返信する
ともちゃんへ (とね)
2011-06-12 19:13:28
J.J Sakuraiさんの現代の量子力学を読めるレベルの方でしたか!紹介したEMANさんのサイト以外は易しすぎるので無視してください。

スリット現象はともちゃんがおっしゃるとおり「自己干渉」です。「いまひとつわからない。」というのが本当のところでしょう。それは誰にとっても同じ状況だと思います。「粒子でありかつ同時に波動であるという1つのもの」を思い描くことは誰にもできませんから。
二重スリット実験については、個人的にはファインマン物理学の第5巻の説明が好きです。

AB効果については「現代の量子力学(上)」の183-188ページに解説がありますね。

ひととおり量子力学を学んだ方だということなのでしたら、今回紹介した「目で見る美しい量子力学:外村彰」は特にお勧めします。物理学の教科書とはまた違う観点から量子力学を「味わえる」と思います。
返信する
Unknown (ひろゆき)
2011-06-12 19:32:32
お久しぶりです。

量子力学は手が止まっていまして、今は微分幾何に夢中です。

試験が終われば、物理も再開します。頭の中でごちゃごちゃにならないようにしています。

スリットの問題は、一回性によく聞かれるのですが、どうしても定性的な話になってしまったりするので、少々心許ないですね。。数理的な議論ができるなら発展しそうですが・・・。

もし、ご存じなら申し訳ありませんが、大学の教授に超弦理論の論文が読めるレベルを聞いてきました。一応、お役に立てるよう書いておきますね。

数学は(特に幾何)、ファイバー束、複素多様体、ホモロジー(とかホモロジー)などがいるそうです。概要的には、中原先生の理論物理学のための幾何学とトポロジー二巻 の目次全部ですね。東工大のOCWの村上斉先生のレジュメが良くできているのでおすすめします。

ゲージ理論は絶対やっておくべき、だそうです。数学的な側面から扱うには、小林先生の本がいいそうです。復刊したほう(茂木先生の本)ではあまりよくないそうです(まとまっているので、見直すときに読むような本だそうです)。


物理は、量子力学をやったあと、場の量子論に行くのは当然として、Peskin派とか、Ryder派とかいろいろあるようですが、理論を主にする人は(この二つの中でどっちかと言えば)、Ryderのほうがいいそうです。実験系は、Peskinのほうがいいそうです。

Peskinはガリガリ計算させるようですが、理論系はあまりそんなことをしないようですので(状況に依りますが)、Ryderで十分みたいです。。。(QEDの入っているほうの本が良いみたいです)

そのあとは、Polchinskyを二冊読めば論文の基礎、つまり論文を読めるレベルまで到達するようです。

思い出しながらなので、少し不正確なところがある(~だそうです。とか多用して申し訳ありません)かもしれませんが、そのときはご容赦ください。

こうやってみると、勉強しても勉強しても終わりがありません。。150億年の歴史の謎を解き明かそうとすると、学ぶべきことも其れ相応になるんでしょうね。

長文失礼しました。
返信する
ひろゆきさんへ (とね)
2011-06-12 19:57:27
ひろゆきさんへ

お久しぶりです。お元気そうでよかったです。

> 大学の教授に超弦理論の論文が読めるレベルを聞いてきました。

ありがとうございます!大変参考になりました。Peskinも持っていますが、まだ本棚の飾りになっています。Ryderのほうがお勧めなのですね!
Polchinskyの2冊は、いつでも購入可能な状況だと思うので、まだ買わずに我慢することにします。
希少本は値段を省みずにすぐクリックしてしまいます。(笑)


> こうやってみると、勉強しても勉強しても終わりがありません。。

全くそのとおりですよね。あっという間に一年が過ぎ、いったいどれくらい学べたのかと思うと人生の短さを実感しますね。
返信する

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