
「量子力学と経路積分:R.P.ファインマン、A.R.ヒッブス」(新版)
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2017年3月に追記:
新版が刊行されたので、お買い求めになる方はこちらをどうぞ。
発売情報:【新版】 量子力学と経路積分:R.P.ファインマン、A.R.ヒッブス
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/300a29769f773a609ea3560e86952e60
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今日の記事はいつもと趣向を変えて「経路積分を学ぶと何の役に立つの?その特典は何?」という切り口で本書の紹介を始めてみよう。
特典1)ミクロな世界の「始め」と「終わり」の間の可能性(複素数の確率振幅)をすべて足し合わせることによって、その間の経過がどのように定まるかを求めることができる。
電子を使った「二重スリットの実験」でわかるように、電子のように微小な粒子は、観測が行われて1点で検出されるまでは、空間の特定の場所を占有していない。つまり電子の発射点から到達点の間の1本の経路というのは存在しないというのが量子力学での考え方だ。これに対し経路積分では、古典力学的に可能な無限本数の経路(軌道)をすべて確率振幅(複素数)として足し合わせるという計算方法で、電子の1本の経路があらゆる可能性の干渉の結果として求められるというものだ。
経路積分で扱う経路とは、このように空間的な経路だけでなく、物理的な量の「始め」と「終わり」の間の遷移(状態遷移)という抽象的な経路も対象となる。
特典2)実感ではわかりにくい量子の世界の現象を、現実のマクロな世界の現象と結びつけて直観的に把握できるようになる。
実感ではわかりにくい量子の世界の現象を、古典物理学の直観的なイメージで把握できるようにするのは、今のところ経路積分による導出によってのみ可能なのだ。
たとえば真空中を自由に動く電子など量子力学的粒子の典型的な経路は、経路積分によるとこの図に示すように細かいスケールで非常に不規則になっており、平均速度は定義できても速度の2乗平均はどの点でも存在しないことがわかる。つまり経路は時間で微分可能ではないことになりジグザグなのだ。(高校の数IIで習うように、微分可能ならば連続でなめらかな曲線となる。)この電子はブラウン運動のように何かにぶつかってジグザグ運動しているのではない。

特典3)量子力学上のさまざまな問題を短い手順で解くことができるようになる。摂動論や、遷移、変分原理、統計力学、量子電気力学などの問題がこれに含まれる。
本書の中盤以降がまさにこれらの解法およびその解説だ。特に経路積分の基本方程式からシュレディンガーの波動方程式を直接導き出せるのには驚かされた。(導出手順は岸さんのサイトのこのページを参照。)
特典4)この方法は物性物理学、実験物理学、化学など応用範囲が広い。
これらについては、他書および近年の研究成果をお調べになっていただきたい。
参考:KEK 研究会 経路積分の発展
http://www-conf.kek.jp/STKEK/PI/index.html
特典5)「始め」と「終わり」の間の経路は、空間的なものだけでなく、時間的な未来、過去を経由する経路も含まれる。つまり時間をさかのぼる電子などが登場する量子電磁力学(QED)の理解にとっても必要。
たとえば2つの電子の相互作用を考える場合、相手の電子の宇宙空間全体に渡るあらゆる経路(位置)だけでなく、無限の過去から無限の未来に渡る「全時間」における影響がその電子の現在に作用しているので、それらをすべて足し合わせることになる。もちろん相手の電子から考えるとこちらの電子について同じことが成り立つ。この経路積分の計算式は本書の249ページに書かれている。
「無限の過去から無限の未来までの宇宙の全空間に満ちている僕の愛の波動の合計が今のキミに影響を与えているんだよ。」なんて言ったら引かれるだろうなぁ。。。(愛だ恋だと言っている男にろくなヤツはいない。- とね語録)
人間の身体はもとより、宇宙を構成している物質すべてに含まれている膨大な数の電子が相互作用しているとしたら。。。悠久の過去から未来永劫に渡る全ての電子と電子の相互作用の総和が今この瞬間の宇宙全体の変化を決定づけているとしたら。。。これが経路積分によって計算される世界観なのである。
経路積分や量子電磁力学について一般向けに説明した本として「光と物質の不思議な理論 - 私の量子電磁力学」が出版されている。
ファインマンが経路積分を考案したのは、彼が大学院生だった1940年頃のことだ。
実際に読んでみて:
第1章から第3章までは、経路積分の考え方の紹介と説明。斬新な発想に胸躍らせながら難なく理解できた。
第4章から第8章は、量子力学と経路積分の関係がよく理解できる章。シュレディンガーの方程式、観測と演算子、摂動論、状態遷移、調和振動子の理論が経路積分の手法によって直観的に理解できる。少し難しくなるがどうにか理解できる範囲。僕にとって「経路積分ってすごい!」がいちばん実感できた章だ。
第9章の「量子電気力学」から急に難しくなり、ついていけなくなった。場の量子論を学んでいないためだと思われる。
第10章の「統計力学」、第11章の「変分法」も難しい。こりゃだめだ、という気分になった。統計力学の章では実空間ではなく統計力学ではお馴染みなのだが多数の粒子の位置と運動量をあらわす「位相空間」で「始め」と「終わり」についての経路積分を行う。(統計力学ではN個の粒子の運動は6N次元の位相空間上の1本の曲線上を動く点の軌跡で表して計算を行うのだ。)
第12章「確率論における諸問題」は専門的すぎてちょっと無理、という印象。伊藤清先生の「確率論」や「確率過程」を学んでからじゃないと。。。
最後の「結び」で説明されていることなのだが、経路積分の量子力学への応用には粒子のスピンを議論できないという致命的な欠陥がある。確率振幅と物理量が通常の複素数(二元数)ではなくクォータニオン(四元数)であるとみなせばスピンを扱うことができる。けれどもクォータニオンは可換ではないのでその経路積分(多重積分)は非常に複雑なものになってしまう。
このように第9章以降は未消化に終わったが、基本的な部分と量子力学とのつながりは理解できたのでよしとしておこう。
ファインマンの「量子力学と経路積分」の日本語版は1990年に出版された「マグロウヒル版」と1995年に出版された「みすず書房版」の2種類がある。これらはともに1965年に出版された「Quantum Mechanics and Path Integrals (Mcgraw Hill-International Series in the Earth and Planetary Sciences)」を北原和夫先生が翻訳したものだが、残念なことに英語原本には数式や問題のミス、誤植がたくさんあるため、翻訳版もそれを引きずってしまっている。日本語の「マグロウヒル版」ではそれが顕著で「みすず書房版」では多少訂正されたものの、間違いは多数残っている。購入されるのならば少しでも間違いの少ない「みすず書房版」をお勧めする。
「量子力学と経路積分(みすず書房版)」(新版)

「Quantum Mechanics and Path Integrals (Mcgraw Hill-International Series in the Earth and Planetary Sciences) - 1965年出版」

英語版はその後、間違いがすべて訂正され今年の夏に出版された。修正された誤記は879箇所ある。価格も1500円とお買い得なので、英語で問題ない方はこちらをお勧めする。これの翻訳版はまだ出ていない。
「Quantum Mechanics and Path Integrals: Emended Edition (Dover Books on Physics) - 2010年出版」(これの日本語版)

この本の各章には理解を深めるための「問題」が出題されているのだが、解答は与えられていない。幸い日本では立正大学の米満澄先生、高野宏治先生による解答本が1994年に出版されているので、こちらも「量子力学と経路積分(みすず書房版)」と合わせてお買い求めになるとよい。この本の良いところは日本語の「マグロウヒル版」や1965年出版された英語版の記述の間違いも丁寧に訂正していることだ。初版は1994年に出版されているため、当時のパソコンのDTP環境を思い出させる粗いビットマップフォントで印刷されている。(ヒッポファミリークラブの「量子力学の冒険」のような雰囲気だ。)
「経路積分ゼミナール―ファインマンを解く」

参考リンク:
経路積分とは何か?(Applet同梱版)
http://irobutsu.a.la9.jp/movingtext/pathintegral1.html
現代物理と仏教を考えるページ
~ファインマンの経路積分量子化と華厳経を中心に~
http://kishi123.server-shared.com/
(僕は仏教については一般常識以上の知識を持ち合わせていないので、物理学と仏教の関係について意見できる立場にはないが、岸さんのこのサイトはファインマンの経路積分を物理学的な側面から詳しく、きちんと解説されているので紹介させていただいた。)
経路積分こと始め(1)
https://ameblo.jp/kafuka-no-ochan/entry-12511310350.html
電子のカタチ(悪魔の妄想)
http://d.hatena.ne.jp/rikunora/20101226/p1
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今日紹介したのはこちらの本。
「量子力学と経路積分:R.P.ファインマン、A.R.ヒッブス」(新版)
目次
序文
1 量子力学の基本概念
- 量子力学における確率
- 不確定性原理
- 干渉する選択肢
- 確率概念のまとめ
- 残された思考上の問題点
- この本の目的
2 量子力学の運動法則
- 古典力学の作用関数
- 量子力学的振幅
- 古典的極限
- 経路の和
- 続いて起こる現象
- 注意
3 特別な例によって概念を展開する
- 自由粒子
- スリットを通した回折
- 縁の鋭いスリットについての結果
- 波動関数
- ガウス積分
- ポテンシャル場の中の運動
- 多変数の系
- 分離可能な系
- 汎関数としての経路積分
- 粒子と調和振動子の相互作用
- フーリエ級数による経路積分の評価
4 量子力学のSchrodinger表示
- Schrodinger方程式
- 時間に依存しないハミルトニアン
- 自由粒子波動関数の規格化
5 観測と演算子
- 運動量表示
- 量子力学変数の測定
- 演算子
6 量子力学による摂動論r
- 摂動展開
- Kvに対する積分方程式
- 波動関数の展開
- 原子による電子の散乱
- 時間による摂動と遷移振幅
7 遷移要素
- 遷移要素の定義
- 汎関数微分
- 特殊な汎関数の遷移要素
- 2次形式の作用に対する一般的結果
- 遷移要素と演算子記号
- ベクトルポテンシャルについての摂動展開
- ハミルトニアン
8 調和振動子
- 単純な調和振動子
- 多原子分子
- 基準座標
- 1次元結晶
- 連続体近似
- 原子鎖の量子力学
- 3次元結晶
- 量子的場の理論
- 強制調和振動子
9 量子電気力学
- 古典電磁気学
- 輻射場の量子力学
- 基底状態
- 場と物質の相互作用
- 輻射場の中の孤立電子
- Lambシフト
- 光の放出
- まとめ
10 統計力学
- 分配関数
- 経路積分の評価
- 量子力学的効果
- 多年数の系
- 導出方法に関する注意
11 変分法
- 極小原理
- 変分法の応用
- 標準的変分法
- 極性結晶中の遅い電子
12 確率論における諸問題
- ランダムなパルス
- 特性関数
- 雑音
- ガウス雑音
- 雑音スペクトル
- Brown運動
- 量子力学
- 影響汎関数
- 調和振動子からの影響汎関数
- 結び
付録
訳者あとがき
新版へのあとがき
索引
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2017年3月に追記:
新版が刊行されたので、お買い求めになる方はこちらをどうぞ。
発売情報:【新版】 量子力学と経路積分:R.P.ファインマン、A.R.ヒッブス
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/300a29769f773a609ea3560e86952e60
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今日の記事はいつもと趣向を変えて「経路積分を学ぶと何の役に立つの?その特典は何?」という切り口で本書の紹介を始めてみよう。
特典1)ミクロな世界の「始め」と「終わり」の間の可能性(複素数の確率振幅)をすべて足し合わせることによって、その間の経過がどのように定まるかを求めることができる。
電子を使った「二重スリットの実験」でわかるように、電子のように微小な粒子は、観測が行われて1点で検出されるまでは、空間の特定の場所を占有していない。つまり電子の発射点から到達点の間の1本の経路というのは存在しないというのが量子力学での考え方だ。これに対し経路積分では、古典力学的に可能な無限本数の経路(軌道)をすべて確率振幅(複素数)として足し合わせるという計算方法で、電子の1本の経路があらゆる可能性の干渉の結果として求められるというものだ。
経路積分で扱う経路とは、このように空間的な経路だけでなく、物理的な量の「始め」と「終わり」の間の遷移(状態遷移)という抽象的な経路も対象となる。
特典2)実感ではわかりにくい量子の世界の現象を、現実のマクロな世界の現象と結びつけて直観的に把握できるようになる。
実感ではわかりにくい量子の世界の現象を、古典物理学の直観的なイメージで把握できるようにするのは、今のところ経路積分による導出によってのみ可能なのだ。
たとえば真空中を自由に動く電子など量子力学的粒子の典型的な経路は、経路積分によるとこの図に示すように細かいスケールで非常に不規則になっており、平均速度は定義できても速度の2乗平均はどの点でも存在しないことがわかる。つまり経路は時間で微分可能ではないことになりジグザグなのだ。(高校の数IIで習うように、微分可能ならば連続でなめらかな曲線となる。)この電子はブラウン運動のように何かにぶつかってジグザグ運動しているのではない。

特典3)量子力学上のさまざまな問題を短い手順で解くことができるようになる。摂動論や、遷移、変分原理、統計力学、量子電気力学などの問題がこれに含まれる。
本書の中盤以降がまさにこれらの解法およびその解説だ。特に経路積分の基本方程式からシュレディンガーの波動方程式を直接導き出せるのには驚かされた。(導出手順は岸さんのサイトのこのページを参照。)
特典4)この方法は物性物理学、実験物理学、化学など応用範囲が広い。
これらについては、他書および近年の研究成果をお調べになっていただきたい。
参考:KEK 研究会 経路積分の発展
http://www-conf.kek.jp/STKEK/PI/index.html
特典5)「始め」と「終わり」の間の経路は、空間的なものだけでなく、時間的な未来、過去を経由する経路も含まれる。つまり時間をさかのぼる電子などが登場する量子電磁力学(QED)の理解にとっても必要。
たとえば2つの電子の相互作用を考える場合、相手の電子の宇宙空間全体に渡るあらゆる経路(位置)だけでなく、無限の過去から無限の未来に渡る「全時間」における影響がその電子の現在に作用しているので、それらをすべて足し合わせることになる。もちろん相手の電子から考えるとこちらの電子について同じことが成り立つ。この経路積分の計算式は本書の249ページに書かれている。
「無限の過去から無限の未来までの宇宙の全空間に満ちている僕の愛の波動の合計が今のキミに影響を与えているんだよ。」なんて言ったら引かれるだろうなぁ。。。(愛だ恋だと言っている男にろくなヤツはいない。- とね語録)
人間の身体はもとより、宇宙を構成している物質すべてに含まれている膨大な数の電子が相互作用しているとしたら。。。悠久の過去から未来永劫に渡る全ての電子と電子の相互作用の総和が今この瞬間の宇宙全体の変化を決定づけているとしたら。。。これが経路積分によって計算される世界観なのである。
経路積分や量子電磁力学について一般向けに説明した本として「光と物質の不思議な理論 - 私の量子電磁力学」が出版されている。
ファインマンが経路積分を考案したのは、彼が大学院生だった1940年頃のことだ。
実際に読んでみて:
第1章から第3章までは、経路積分の考え方の紹介と説明。斬新な発想に胸躍らせながら難なく理解できた。
第4章から第8章は、量子力学と経路積分の関係がよく理解できる章。シュレディンガーの方程式、観測と演算子、摂動論、状態遷移、調和振動子の理論が経路積分の手法によって直観的に理解できる。少し難しくなるがどうにか理解できる範囲。僕にとって「経路積分ってすごい!」がいちばん実感できた章だ。
第9章の「量子電気力学」から急に難しくなり、ついていけなくなった。場の量子論を学んでいないためだと思われる。
第10章の「統計力学」、第11章の「変分法」も難しい。こりゃだめだ、という気分になった。統計力学の章では実空間ではなく統計力学ではお馴染みなのだが多数の粒子の位置と運動量をあらわす「位相空間」で「始め」と「終わり」についての経路積分を行う。(統計力学ではN個の粒子の運動は6N次元の位相空間上の1本の曲線上を動く点の軌跡で表して計算を行うのだ。)
第12章「確率論における諸問題」は専門的すぎてちょっと無理、という印象。伊藤清先生の「確率論」や「確率過程」を学んでからじゃないと。。。
最後の「結び」で説明されていることなのだが、経路積分の量子力学への応用には粒子のスピンを議論できないという致命的な欠陥がある。確率振幅と物理量が通常の複素数(二元数)ではなくクォータニオン(四元数)であるとみなせばスピンを扱うことができる。けれどもクォータニオンは可換ではないのでその経路積分(多重積分)は非常に複雑なものになってしまう。
このように第9章以降は未消化に終わったが、基本的な部分と量子力学とのつながりは理解できたのでよしとしておこう。
ファインマンの「量子力学と経路積分」の日本語版は1990年に出版された「マグロウヒル版」と1995年に出版された「みすず書房版」の2種類がある。これらはともに1965年に出版された「Quantum Mechanics and Path Integrals (Mcgraw Hill-International Series in the Earth and Planetary Sciences)」を北原和夫先生が翻訳したものだが、残念なことに英語原本には数式や問題のミス、誤植がたくさんあるため、翻訳版もそれを引きずってしまっている。日本語の「マグロウヒル版」ではそれが顕著で「みすず書房版」では多少訂正されたものの、間違いは多数残っている。購入されるのならば少しでも間違いの少ない「みすず書房版」をお勧めする。
「量子力学と経路積分(みすず書房版)」(新版)

「Quantum Mechanics and Path Integrals (Mcgraw Hill-International Series in the Earth and Planetary Sciences) - 1965年出版」

英語版はその後、間違いがすべて訂正され今年の夏に出版された。修正された誤記は879箇所ある。価格も1500円とお買い得なので、英語で問題ない方はこちらをお勧めする。これの翻訳版はまだ出ていない。
「Quantum Mechanics and Path Integrals: Emended Edition (Dover Books on Physics) - 2010年出版」(これの日本語版)

この本の各章には理解を深めるための「問題」が出題されているのだが、解答は与えられていない。幸い日本では立正大学の米満澄先生、高野宏治先生による解答本が1994年に出版されているので、こちらも「量子力学と経路積分(みすず書房版)」と合わせてお買い求めになるとよい。この本の良いところは日本語の「マグロウヒル版」や1965年出版された英語版の記述の間違いも丁寧に訂正していることだ。初版は1994年に出版されているため、当時のパソコンのDTP環境を思い出させる粗いビットマップフォントで印刷されている。(ヒッポファミリークラブの「量子力学の冒険」のような雰囲気だ。)
「経路積分ゼミナール―ファインマンを解く」

参考リンク:
経路積分とは何か?(Applet同梱版)
http://irobutsu.a.la9.jp/movingtext/pathintegral1.html
現代物理と仏教を考えるページ
~ファインマンの経路積分量子化と華厳経を中心に~
http://kishi123.server-shared.com/
(僕は仏教については一般常識以上の知識を持ち合わせていないので、物理学と仏教の関係について意見できる立場にはないが、岸さんのこのサイトはファインマンの経路積分を物理学的な側面から詳しく、きちんと解説されているので紹介させていただいた。)
経路積分こと始め(1)
https://ameblo.jp/kafuka-no-ochan/entry-12511310350.html
電子のカタチ(悪魔の妄想)
http://d.hatena.ne.jp/rikunora/20101226/p1
応援クリックをお願いします!このブログのランキングはこれらのサイトで確認できます。




今日紹介したのはこちらの本。
「量子力学と経路積分:R.P.ファインマン、A.R.ヒッブス」(新版)
目次
序文
1 量子力学の基本概念
- 量子力学における確率
- 不確定性原理
- 干渉する選択肢
- 確率概念のまとめ
- 残された思考上の問題点
- この本の目的
2 量子力学の運動法則
- 古典力学の作用関数
- 量子力学的振幅
- 古典的極限
- 経路の和
- 続いて起こる現象
- 注意
3 特別な例によって概念を展開する
- 自由粒子
- スリットを通した回折
- 縁の鋭いスリットについての結果
- 波動関数
- ガウス積分
- ポテンシャル場の中の運動
- 多変数の系
- 分離可能な系
- 汎関数としての経路積分
- 粒子と調和振動子の相互作用
- フーリエ級数による経路積分の評価
4 量子力学のSchrodinger表示
- Schrodinger方程式
- 時間に依存しないハミルトニアン
- 自由粒子波動関数の規格化
5 観測と演算子
- 運動量表示
- 量子力学変数の測定
- 演算子
6 量子力学による摂動論r
- 摂動展開
- Kvに対する積分方程式
- 波動関数の展開
- 原子による電子の散乱
- 時間による摂動と遷移振幅
7 遷移要素
- 遷移要素の定義
- 汎関数微分
- 特殊な汎関数の遷移要素
- 2次形式の作用に対する一般的結果
- 遷移要素と演算子記号
- ベクトルポテンシャルについての摂動展開
- ハミルトニアン
8 調和振動子
- 単純な調和振動子
- 多原子分子
- 基準座標
- 1次元結晶
- 連続体近似
- 原子鎖の量子力学
- 3次元結晶
- 量子的場の理論
- 強制調和振動子
9 量子電気力学
- 古典電磁気学
- 輻射場の量子力学
- 基底状態
- 場と物質の相互作用
- 輻射場の中の孤立電子
- Lambシフト
- 光の放出
- まとめ
10 統計力学
- 分配関数
- 経路積分の評価
- 量子力学的効果
- 多年数の系
- 導出方法に関する注意
11 変分法
- 極小原理
- 変分法の応用
- 標準的変分法
- 極性結晶中の遅い電子
12 確率論における諸問題
- ランダムなパルス
- 特性関数
- 雑音
- ガウス雑音
- 雑音スペクトル
- Brown運動
- 量子力学
- 影響汎関数
- 調和振動子からの影響汎関数
- 結び
付録
訳者あとがき
新版へのあとがき
索引
だいぶん前から経路積分には興味があったのですが、どのくらいの汎用性とか、難易度(応用する上での)が知りたかったので大変参考になりました。
追記: 理論物理のための微分幾何は少しづつ呼んでいますが、かなり歯ごたえありそうですね。。。一生ものになりそうです。
経路積分については現在シュルマン著の「ファインマン経路積分」を読んでいますが、第2部の応用編に入ってからかなり難しくなってきました。第1部は適度な難しさです。入門用ということでしたらやはりファインマン&ヒッブスか「量子波のダイナミクス」のほうがイメージがつかみやすいです。
> 理論物理のための微分幾何は少しづつ呼んでいますが、
> かなり歯ごたえありそうですね。。。一生ものになりそうです。
ですよね。僕もなかなかとりかかれません。読み始めるまでに一生が終わってしまうかもです。(冗談です。)