
昨年7月に買った「電磁気学の基礎 I、II(太田浩一著)」だが、ようやく第I巻を読み終えた。これまでに読んできた入門書に比べて難しかった。ベクトル解析の数式展開に慣れていないと読める本ではない。「基礎」という言葉を文字通りに受け取ると後悔する。難易度から言えば「ファインマン物理学(3)電磁気学」のほうが優しい。
変なたとえだががこの本の難しさを学校で学ぶ英語のレベルと比較すると次のようになる。
中1英語:「これならわかる理系の電磁気学(高橋真聡著)」
中2英語:「スバラシク実力がつくと評判の電磁気学キャンパスゼミ」
中3英語:「ファインマン物理学(3)電磁気学」
高1英語:「電磁気学の基礎 I、II(太田浩一著)」
電磁気学の教科書ではいちばん有名な砂川先生の「電磁気学シリーズの教科書や演習書」の難易度がどの位置を占めるのかは、まだ読んでいないのでわからないが。
素晴らしい本である。電磁気学現象をくまなく数式を展開して説明している。難しくてとても時間がかかったが、第II巻が特に読みたいので頑張って読了した。第II巻で相対論や量子論によって古典電磁気学の方程式がどのような修正を加えられるかということを目の当たりにしたいからだ。今回読了した第I巻の理解度は70%くらいだったと思う。十分ではないが、まあいいだろう。
この本の内容はGoogleブック検索から立ち読みできるようだ。こちらをクリックしてみていただきたい。
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「電磁気学の基礎 I(太田浩一著)」:目次
第1章:空の青、海の青
白鳥は哀しからずや
原子を信じた男たち
ボルツマン:『ドゥイノの悲歌』
アンペールとヴェーバー:電子は回る
運動する電荷間に働く力
ファラデイとマクスウェル:場の理論
ローレンツ:それでも電子は回る
ガリレイとアインシュタイン:相対性原理
電磁気の単位
第2章:電場
クーロン:静止した電荷間に働く力
電荷は電場をつくる
さまざまな電荷分布が作る電場
電場と立体角
ガウスの法則
ファラデイの心眼:電気力線
電場の発散と発散密度
静電場の基本方程式
循環のない場:保存場
第3章:ポテンシャル関数
クーロンポテンシャル
さまざまな電荷分布がつくる電位
発散面密度と回転密度:境界面における電場と電位
ポアソン:ポテンシャル方程式
電気双極子モーメント
電気双極子層
電気4極子モーメント
第4章:導体
導体の静電場と電位:クーロンの定理
鏡の国のトムソン:鏡像法
「分離して積分せよ」:変数分離法
風車小屋での発見:グリーン関数
電場はエネルギーを蓄える
アーンショーの定理
導体に働く力
電場の応力
第5章:分極
原子の分極
電気双極子モーメント密度
電気4極子モーメント密度
誘電体中の静電場の基本方程式
微視的電場と巨視的電場:線平均
誘電体のエネルギー:熱力学的関係式
第6章:電流
電流と電荷保存則:連続の方程式
微視的電流と巨視的電流
定常電流
シャールの定理
オームの法則
ドルーデとゾマーフェルト:自由電子模型
電流の発熱作用:ジュールの法則
起電力:非保存場
定常電流の基礎方程式
第7章:磁場
アンペール力
グラスマンの法則
ビオー・サヴァールの法則:電流も場をつくる
静磁場の基本方程式
ベクトルポテンシャル
境界面における磁場とベクトルポテンシャル
さまざまな電流がつくる磁場
アンペールの回路定理:トポロジー
ゲージ不変性
第8章:磁気モーメント
磁気双極子モーメント
磁気4極子モーメント
磁場中の磁気モーメント
ヴェーバーとコールラウシュ:光速度の電磁的測定
アンペールの定理:等価双極子層
回転する荷電球
シュレディンガー:地球磁場と光子の質量
磁場中の回路に働く力
ノイマンの電気力学ポテンシャル
並進対称電流の誘導係数
電子の磁気モーメント
ラービ:磁気スピン共鳴
第9章:電流に働く力
ローレンツ力
磁場中の伝導電流とホール効果
荷電粒子の正準運動量
一様静磁場中の電子:サイクロトロン振動
一様静磁場中の電子:サイクロイド運動
ラーモアの歳差運動とゼーマン効果
軸対称磁場中の荷電粒子:ブッシュの定理
アラゴーの円盤:運動する導体に発生する起電力
レンツの法則
磁場もエネルギーを蓄える
磁場の応力
第10章:磁化
原子の反磁性
原子の常磁性と強磁性
ポアソンの磁化
磁性体中の静磁場の基本方程式
微視的磁場と巨視的磁場
磁性体のエネルギー:熱力学方程式
第11章:変動電磁場
ファラデイ - ノイマンの法則
電気力学ポテンシャルと電流のエネルギー
ベータトロン:ヴィーデレーエの1/2則
エーレンフェストの断熱定理
画竜点晴:マクスウェルの変位電流
ファラデイの法則とガリレイ不変性
アルヴェーンの閉じ込め定理:銀河の磁場
ヘルツ方程式:克服できなかった矛盾
電磁場の非相対論的変換
付録A:電磁気学と数学
ベクトルの積
ヘヴィサイドの階段関数とディラックのデルタ関数
ヘルムホルツの定理
発散定理
回転定理
多次元空間のグリーン関数
テイラーの定理とカルノーの微分
カルターンの微分形式
極性ベクトルと軸性ベクトル
非カルテジャン:曲線座標
「電磁気学の基礎 II(大田浩一著)」:目次
第12章 マクスウェル-ローレンツ理論
第13章 電磁波
第14章 輻射
第15章 電磁気学と相対論
第16章 電磁気学と解析力学
第17章 電磁気学と量子論
第18章 物質中の変動電磁場
付録B 波動
付録C さらに勉強するために