
「群と表現:吉川圭二」
Caltechの大栗博司先生がブログの記事で薦めていらっしゃった「群と表現:吉川圭二」をようやく読み終えた。手頃な分量で有限群、連続群、リー代数(リー環)やそれらの表現論を学ぶことができる。
「連続群論入門 (新数学シリーズ18):山内恭彦、杉浦光夫」では多少もやもやしてしまったが、本書は物理学生向けに直観的かつ具体的な行列表現を示しながら解説が進むので読みやすかった。表現論の入門書としては易しい本のひとつなのだろう。扱われている内容も盛りだくさんでバランスが良い。
また本書を含め岩波書店の「理工系の基礎数学シリーズ」は、それぞれ各分野を広く(そして浅く)紹介し、概要を知るのに適している。
本書の後半では素粒子物理学で使われる「ヤング図」や「ディンキン図」も紹介されている。僕にとってこれらは初めて目にするもので、目新しい道具を手にしたような感じだった。理解はおぼついていないが、どうにか使えそうなレベル。素粒子物理を学ぶ段階でその価値がわかるのだろう。それより量子力学と群論や表現論の関わり方をつかめたのが収穫だったのかもしれない。
なお、本書では特殊相対論に関わってくるローレンツ群については触れられていないので注意していただきたい。また理工系学生向けなので、数学的厳密性を重視される方が読むと不満が残ることも付け加えておこう。
さて次の本だが、本書で若干物足りない感があったので同じテーマで追求してみることにした。つまり次の2冊は今回の本にも増してよさそうだ。こちらにはローレンツ群も取り上げられている。ただ、こちらはあくまで群の表現についての本で、リー環については第2巻の最後で少し説明されている程度なので要注意だ。
「線形代数と群の表現〈1〉:平井武」
「線形代数と群の表現〈2〉:平井武」
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「群と表現:吉川圭二」

目次
0 序
1 群
1-1 対称性と群
1-2 群の定義
1-3 組みかえ定理
1-4 剰余類,不変部分群
1-5 剰余類群
第1章 演習問題
2 対称群
2-1 対称群
2-2 交代群
2-3 ケーリーの定理
2-4 対称群の共役類
2-5 共役類の元の数
第2章 演習問題
3 ベクトル空間
3-1 ベクトル空間と線形演算子
3-2 計量ベクトル空間と連続群
3-3 エルミート行列
3-4 関数空間とディラック記法
第3章 演習問題
4 有限群の表現
4-1 C3vの表現
4-2 シュールの補題
4-3 指標
4-4 正規表現
4-5 指標の第2種直交性
4-6 積表現と既約分解
第4章 演習問題
5 有限群の応用
5-1 既約表現の例
5-2 誘導表現
5-3 量子力学と群論
5-4 点群と分子振動
第5章 演習問題
6 連続群とリー代数
6-1 リー群
6-2 無限小変換とリー代数
6-3 リー代数とリー群
第6章 演習問題
7 回転群
7-1 回転群SO(3)
7-2 SO(3)の構造
7-3 リー代数とその表現
7-4 直積と既約分解
7-5 ウィグナー-エッカルトの公式
7-6 回転群の表現列とSU(2)
7-7 ハール測度と表現の直交性
第7章 演習問題
8 単純群リー代数とその表現
8-1 リー代数と随伴表現
8-2 ルート
8-3 ディンキン図
8-4 ウェイトと既約表現
第8章 演習問題
9 SU(3)
9-1 SU(3)群のリー代数
9-2 高次元表現
9-3 テンソルとヤング図
9-4 クレプシュ-ゴルダン分解
9-5 3次元調和振動子
第9章 演習問題
10 単純群リー代数の分類
10-1 分類推定
10-2 ランク2の単純群
第10章 演習問題
付録A ディラック記法と表現の変換
付録B 格子群とその表現
B-1 ユークリッド群,格子群,空間群
B-2 逆格子と格子群の表現
B-3 ブルリアン域と結晶内波動関数
さらに勉強するために
演習問題解答
附 表
索 引
Caltechの大栗博司先生がブログの記事で薦めていらっしゃった「群と表現:吉川圭二」をようやく読み終えた。手頃な分量で有限群、連続群、リー代数(リー環)やそれらの表現論を学ぶことができる。
「連続群論入門 (新数学シリーズ18):山内恭彦、杉浦光夫」では多少もやもやしてしまったが、本書は物理学生向けに直観的かつ具体的な行列表現を示しながら解説が進むので読みやすかった。表現論の入門書としては易しい本のひとつなのだろう。扱われている内容も盛りだくさんでバランスが良い。
また本書を含め岩波書店の「理工系の基礎数学シリーズ」は、それぞれ各分野を広く(そして浅く)紹介し、概要を知るのに適している。
本書の後半では素粒子物理学で使われる「ヤング図」や「ディンキン図」も紹介されている。僕にとってこれらは初めて目にするもので、目新しい道具を手にしたような感じだった。理解はおぼついていないが、どうにか使えそうなレベル。素粒子物理を学ぶ段階でその価値がわかるのだろう。それより量子力学と群論や表現論の関わり方をつかめたのが収穫だったのかもしれない。
なお、本書では特殊相対論に関わってくるローレンツ群については触れられていないので注意していただきたい。また理工系学生向けなので、数学的厳密性を重視される方が読むと不満が残ることも付け加えておこう。
さて次の本だが、本書で若干物足りない感があったので同じテーマで追求してみることにした。つまり次の2冊は今回の本にも増してよさそうだ。こちらにはローレンツ群も取り上げられている。ただ、こちらはあくまで群の表現についての本で、リー環については第2巻の最後で少し説明されている程度なので要注意だ。
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0 序
1 群
1-1 対称性と群
1-2 群の定義
1-3 組みかえ定理
1-4 剰余類,不変部分群
1-5 剰余類群
第1章 演習問題
2 対称群
2-1 対称群
2-2 交代群
2-3 ケーリーの定理
2-4 対称群の共役類
2-5 共役類の元の数
第2章 演習問題
3 ベクトル空間
3-1 ベクトル空間と線形演算子
3-2 計量ベクトル空間と連続群
3-3 エルミート行列
3-4 関数空間とディラック記法
第3章 演習問題
4 有限群の表現
4-1 C3vの表現
4-2 シュールの補題
4-3 指標
4-4 正規表現
4-5 指標の第2種直交性
4-6 積表現と既約分解
第4章 演習問題
5 有限群の応用
5-1 既約表現の例
5-2 誘導表現
5-3 量子力学と群論
5-4 点群と分子振動
第5章 演習問題
6 連続群とリー代数
6-1 リー群
6-2 無限小変換とリー代数
6-3 リー代数とリー群
第6章 演習問題
7 回転群
7-1 回転群SO(3)
7-2 SO(3)の構造
7-3 リー代数とその表現
7-4 直積と既約分解
7-5 ウィグナー-エッカルトの公式
7-6 回転群の表現列とSU(2)
7-7 ハール測度と表現の直交性
第7章 演習問題
8 単純群リー代数とその表現
8-1 リー代数と随伴表現
8-2 ルート
8-3 ディンキン図
8-4 ウェイトと既約表現
第8章 演習問題
9 SU(3)
9-1 SU(3)群のリー代数
9-2 高次元表現
9-3 テンソルとヤング図
9-4 クレプシュ-ゴルダン分解
9-5 3次元調和振動子
第9章 演習問題
10 単純群リー代数の分類
10-1 分類推定
10-2 ランク2の単純群
第10章 演習問題
付録A ディラック記法と表現の変換
付録B 格子群とその表現
B-1 ユークリッド群,格子群,空間群
B-2 逆格子と格子群の表現
B-3 ブルリアン域と結晶内波動関数
さらに勉強するために
演習問題解答
附 表
索 引
群論関係の本でいえば佐藤光さんの「群と物理」が良い本だと思います。この本をゼミで使ってました。しかし絶版で今は古本でしか手に入りません。
あと江沢 洋さんと島 和久さんの「群と表現」もおすすめです。
良さそうな本を紹介いただき、ありがとうございます。
佐藤光さんの本はアマゾンの中古(明倫館書店が出品)で8800円のが1冊だけ購入可能ですね。
江沢 洋さんと島 和久さんの「群と表現」は、今度書店に行ったときに見てみます。
以前から、とねさんのこの本のレビューを存じ上げていまして購入したものの・・・なかなか群に手が出せる状況ではありませんでした。しかしながら、最近ちゃんと群をやろうと思いまして、少しづつこの本を読み進めています。
この本を読んでいまして、少し疑問に感じたところがあるので勝手ながら質問させていただき、知恵をお借りしたいと思います。(すいません)
1.単純ルートはどの式から求められるのでしょうか?SU(3)の章でも、10章のランク2のウエイトの考察でも、突然単純ルートが出てきまして困っています。
2.10章の同じく[ランク2の単純群]で、SO(5)の代数の次元が10と書いてありますが、どこから出てくるのでしょうか?
以上です。お時間があるときで結構ですので、よろしくお願いします。
ひとまず、5章はとばして、9章はさらっとしか読んでいません。それ以外は読みました。図書館で調べようにも、吉川先生の本のような物理向けの本(でルートとか載っている物)の和書が少なくて参っています....
よろしくお願いします。お体にお気をつけください。
お久しぶりです。僕は10月下旬に2週間ほど風邪に悩まされたので、この冬はもうひかないぞとなるべく健康的な生活を心がけています。
1.単純ルートはどの式から求められるのでしょうか?
SU(3)の章でも、10章のランク2のウエイトの考察でも、突然単純ルートが出てきていますが、単純ルート自体は150ページで説明されていますよ。148ページあたりから読むと理解できると思います。
2.10章の同じく[ランク2の単純群]で、SO(5)の代数の次元が10と書いてありますが、どこから出てくるのでしょうか?
Sp(5)のほうの次元が10であるのはすぐわかりますが、確かにSO(5)のほうはわかりにくいですね。もう少し調べてみますので時間をください。
あと自己紹介のページへのリンク、ありがとうございます。ITの目標のところに「それか、サーバー管理をやりたい。」と書いてありましたが、「さくらのクラウド」あたりはいかがですか?月額がかかりますが面白いと思いますよ。
1.の質問についてなのですが、いろいろ見直しても、(実用面で考えると)教えていただいたP148の一番下の式がルートベクトルの角度や長さ比を表す物だろうということぐらいしかわかりません。突然具体的な値が出てくるのがどうしてもわかりません。。。汗 表8-1が生きてくるとは思うのですが... 演習問題10-4でも単純ルートを与えてあるのですがどうなんでしょう....
ディンキン図から統一的にリー代数を導き出せないと分類定理がもったいない気がします。
2.はもう少し考えてみます。
大変手間をとらせてしまい申し訳ありません。感謝します。
サーバー管理の件ですが、ひとまずLPICをとってから趣味でいろいろやってみようと思います。身近にサーバー管理ができることを知らなかったので今日拝見してよかったです。ありがとうございます。
LPIC受験されるのですね。それでしたら格安の中古パソコンを使って自宅サーバーたてるのもいいでしょうし、仮想サーバーを利用するのもいいでしょう。使わなくなったら解約すれば月額料金かかりませんし。
さくらのクラウド
http://cloud.sakura.ad.jp/
さくらのVPS
http://vps.sakura.ad.jp/
ServersMan@VPS
http://dream.jp/vps/
仮想サーバーで格安なのはServesrMan@VPSですね。LinuxはUbuntuのようなDebian系とCentOSやFedoraのようなRedHat系ではコマンドや環境が多少違うのでできれば両方いじってみるといいと思います。
ひとまず、今はMac上でvirtual boxを用いてDebian, CentOS, FreeBSDを動かせるようにしています(MacがBSDという突っ込みは....).コマンド練習もしたいですし。
ほかにWindowsPCもあるので、デュアルブートでCentを入れてみようかなぁと思ってます。ubuntuでWibiを使うのも一つの手かと。。まぁ無給をしのぐための特技となればいいのですが。。。
本当にありがとうございます。試験勉強はちまちまやっているのでまだまだです。
僕のほうはiPhoneアプリ開発への興味がでてきてしまい、Mac mini買おうかMacBook Airを買おうか迷っているところです。今でさえ趣味の時間がなかなかとれないので、これ以上手を広げる時間が取れるとは思えないのですが。。。。昔プログラマをしていたので、実用ソフトにどれくらい手間がかかるか知っていますので。さしあたりアプリ開発の本などを読んで好奇心を満たしているところです。
Linuxもですが、こういう世界って他のことはすべて放棄してのめり込むのがいちばんの近道なんですよね。長時間連続の試行錯誤でセンスが磨かれます。
http://www-het.phys.sci.osaka-u.ac.jp/pap/2007matuura.pdf
の12ページに表として載っていました。ひとまずこの内容で今はやり過ごそうかと思います。
いろんなことに興味を持つと人より楽しみは増えますが、なかなか手が回らなかったり、自分の気持ちと反して、興味を持つ時期がずれたりしていろいろと悩みますね。LPICに興味を持ったのはスランプ時期にPCの勉強でもやって乗り越えようとしていたのですが、今では全然気持ちが回りません。ソフト開発とかも興味がありますが、現実問題そこまで行けるか分かりません。。
とねさんのように人生経験の長い方はスランプの乗り越え方とか、IT関連のこととかいろんなことをご存じですので大変尊敬できます。
いろいろと教えてくださり、ありがとうございます。
(一般的には)人生は年をとるにつれて変化が少なくなり、スランプの回数も減ります。スランプも含めてですけれど「変化」こそが自分自身を成長させたり、新しいチャンスを得るきっかけになりますので、スランプ自体に押しつぶされることがなければ(長い目で)うまくいくと思いますよ。
僕はIT系の企業に長年勤めていますが、それでも趣味でするIT関連の「遊び」は仕事と全く違って楽しいものです。仕事のほうは単調で黙々とこなしているときが8割、頭を巡らせて活性化しているときが2割くらいでしょうか。年に2~3度「楽しい」と感じるときがあります。長年やってるとそんなものかもしれません。