http://mainichi.jp/premier/health/articles/20150616/med/00m/010/001000c
長寿が招く認知症に肯定を
2015年6月17日上田諭 / 日本医科大学講師
どんな人でも、どんなに立派な生活をしていても、認知症になるときはなる。前回述べた通り、認知症の代表格アルツハイマー病には確実な予防法はないのである。それにもかかわらず、認知症の「予防」がメディアでは盛んに話題にのぼる。その「予防」というかけ声の裏には、「認知症になったら大変」という意識が透けて見える。そこに大きな問題がある。
85歳以上の年代なら、ほぼ2人に1人が認知症なのである。これを病気と呼ぶのが適当なのだろうか。むしろ老化現象の一つあるいは性別や性格などその人の個性、属性と見る方が正しいのではないかと思える。
現在の社会やメディアは、認知症を否定的に捉えすぎている。その結果が、「予防」や「早期発見」という掛け声である。人々もまた、それに飛びつく傾向がある。認知症を恐れず、それが自分であっても他人であっても従容として受け入れる社会であってほしい。
うがった言い方ではないが、認知症で迷惑をかけいなら 死んだほうがましか。認知症は自分が誰だかわからない。これって生きていることなのだろうか。仮に肯定して、具代的な困難な事例をどのように解決するのか。