健保のつぶやき

食事、トイレと他人様に頼る必要はないが、薬に頼る生活がソロソロ始まりました。当面は「親鸞さん」に照準。

死亡者で一番多数は高齢者。ガンが原因の死亡でないと困る厚生省?

2016-12-27 12:59:28 | 夏井医師

 老衰ではダメなのです。病名ガンでなくては、病院が倒産します。ガンは今後も意図的にふえつづけるはず。

  •  「超高齢者の死因」についてのメールです。
     がんの死亡率云々の記事がありましたが、これとは少し話しがずれます。
     私はいわゆる老人施設の嘱託医のようなものもやっております。そこで「看取り」となった入居者の死亡診断書をしょっちゅう書いております
     死亡診断書ですが「死因」の記載を求められます。
     一昔前は「心不全」がはやったようですが、これはお役所からの要望もありなるべく記載しないようにとのことでした。
     そこでイロイロ考えるのですが、ざっくりだいたい85歳以上で亡くなる方の死因なんて結局よく分からないのです。
     癌があるかもしれないし、いわゆる脳卒中が悪化したのかもしれないし、気がつかないうちに心筋梗塞になっていたかもしれません。当然肺炎を併発していたかもしれません。イロイロ調べれば何か出てきますが、それが分かったところで何も出来ないことも少なくありません。
     なんとなく「老衰」と記載してしまうことが多いのですが、果たして特に超高齢者に死因を特定するなんて意味があるのだろうかと思うこの頃です
    この記事のアドレス・・・http://www.wound-tre

 

年齢別死亡原因

 表:死因順位(年齢別)が示すとおり、55歳から79歳までは、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患の順となっており、死因としては、高齢者でもあまり変わりはありません。ただ、90歳以上の高齢者では、悪性新生物による死因の割合が、少なくなり、代わりに心疾患による死亡の割合が増加してきます。また、65歳から79歳までは肺炎による死亡は、第4位であったのが、80歳以上で第3位となります。また老衰は、85歳~89歳までは第5位、90歳~94歳までは第4位、95歳以上で第1位にでてきます。 

表:死因順位(年齢別)
年齢第1位第2位第3位第4位第5位
総数 悪性新生物 心疾患 肺炎 脳血管疾患 老衰
0歳 先天奇形等 呼吸障害等 乳幼児突然死症候群 不慮の事故 出血性障害等
1~4 先天奇形等 不慮の事故 悪性新生物 肺炎 心疾患
5~9 悪性新生物 不慮の事故 先天奇形等 その他の新生物 心疾患
10~14 悪性新生物 自殺 不慮の事故 心疾患 先天奇形等
15~19 自殺 不慮の事故 悪性新生物 心疾患 先天奇形等
20~24 自殺 不慮の事故 悪性新生物 心疾患 脳血管疾患
25~29 自殺 不慮の事故 悪性新生物 心疾患 脳血管疾患
30~34 自殺 悪性新生物 不慮の事故 心疾患 脳血管疾患
35~39 自殺 悪性新生物 心疾患 不慮の事故 脳血管疾患
40~44 悪性新生物 自殺 心疾患 脳血管疾患 不慮の事故
45~49 悪性新生物 自殺 心疾患 脳血管疾患 不慮の事故
50~54 悪性新生物 心疾患 自殺 脳血管疾患 肝疾患
55~59 悪性新生物 心疾患 脳血管疾患 自殺 不慮の事故
60~64 悪性新生物 心疾患 脳血管疾患 自殺 不慮の事故
65~69 悪性新生物 心疾患 脳血管疾患 肺炎 不慮の事故
70~74 悪性新生物 心疾患 脳血管疾患 肺炎 不慮の事故
75~79 悪性新生物 心疾患 脳血管疾患 肺炎 不慮の事故
80~84 悪性新生物 心疾患 肺炎 脳血管疾患 不慮の事故
85~89 悪性新生物 心疾患 肺炎 脳血管疾患 老衰
90~94 心疾患 悪性新生物 肺炎 老衰 脳血管疾患
95~99 老衰 心疾患 肺炎 脳血管疾患 悪性新生物
100歳以上 老衰 心疾患 肺炎 脳血管疾患 悪性新生物

 注 :乳児(0歳)の死因については乳児死因簡単分類を使用している。死因名は次のように省略

  • 心疾患←心疾患(高血圧性を除く)
  • 先天奇形等←先天奇形、変形及び染色体異常
  • 呼吸障害等←周産期に特異的な呼吸障害及び心血管障害
  • 出血性障害等←胎児及び新生児の出血性障害及び血液障害

 (厚生労働省 平成26年 人口動態統計 月報年計)

 若年者と比較して高齢者の悪性新生物に質的な差はほとんどありません。一般的に高齢者では、悪性新生物との関わりが認められることです。つまり、悪性新生物に罹患したが治療されたもの、もしくは保存的治療を行っているものなどの比率が高いことです。また、一種類だけでなく複数の悪性新生物をもつことも若年者にはみられない特徴です。70歳以上の高齢者における悪性新生物の罹患率は、男女とも胃がん、肺がん、大腸がんが全体の半分以上を占めています。死亡数では、肝臓・胆嚢・膵臓の臓器に関係した悪性新生物が多くなります(リンク1・2・3参照)。