e2byスカパーに入った。無印スカパーも入っているが、映画系でフルスクリーン表示
されるのと、保存を前提として録画する場合、FriioBS/CSでPCに直接自由な形式で
録画保存できる便利さと快適さがお金には換えがたいものだったからである。
いきなり本契約したんだけど、仮契約のように全チャンネルを視聴できるようになっ
ている。B-CAS導入直後のお試し期間とあわせればまるまる一月全チャンネルを視聴
できるので、本契約はそれからの方が金銭的にはお得なわけだけど、最初から本契約
の人も損はさせない、っていう考え方はいいね。
ダビ10の無期限延期が決定的だそうで、この数日ネット界をさわがせている。なん
だ、せっかくダビ10開始日およびその前日はわれわれ録画人間を違法者・不正者扱い
して自分らを最大限に自画自賛する報道が各局でなされるだろうと、それを記録し
たくてHDDを増設し、地元の全地上波チャンネルを同時録画できる環境を用意したの
に。しょうがないから昨日今日の報道番組をいくつか録画してるけど、実施しない
ダビ10関係の報道はマイナスイメージになるから、望み薄だなぁ。もっとも
29日は
記者会見をするようなので、明日こそ報道があるかも知れない。本来はその後
書くべきなのだろうけど、今までの状況から何が述べられるが、ほぼわかっているの
であえて書く。
総務省の提案で6月2日からの実施が一度は決定したはずのダビ10が急に延期されるこ
とになったのは、JASRACをはじめとする著作権関連団体が、「ダビ10の見返りとして
iPodやデジタルレコーダーへの補償金導入」を求めてきたことをメーカーが拒否した
ため、交渉決裂したからだ。著作権管理団体は「メーカーの社会的責任と補償制度」
と題した記者会見を行うようだ。このタイトルだけからでも「ダビ10が延期された
責任は、視聴者からの期待も著作権者の要求も踏みにじるメーカー側にある」と大々
的にいいたいわけだ。
この状況を岸博幸氏は「
権利者団体にとって、補償金の対象拡大とダビング10はセッ
トである。私的利用で複製できる回数が増えると、コンテンツを創る側の所得機会に
影響が生じるからである」と述べているが、この理屈がさっぱりわからない。
現実はむしろ逆であろう。現在補償金はメディアの一枚一枚にかかっている。移動壱
規制がダビ10になれば、今まで移動に失敗して絶望させられた状況でも、もう1回は
移動に挑戦しようという気になる。万が一のためにバックアップをとっておこうと
いう使い方をする人も増えるだろう。私的利用で複製できる回数が増えると、むしろ
補償金の支払いは増えるのである。そもそもダビ10は移動壱規制のために大幅に
縮小したメディアの売り上げをカバーするのが狙いと見ている。複数回メディアに
書けるようになれば、メディアの消費は増え、補償金の支払いは増える。もくろみ
通り10倍にはならなくても、たとえ0.001%の増加でも、増えればそれは増えたなの
だ。もし仮に増えなかったとしたら、それはダビ10の実態を理解した消費者がデジタ
ル放送に絶望したときだけである。
どう考えても、ダビ10と補償金の範囲増を同時に求めるのは、理不尽な要求だ。理不
尽を拒否するのは、メーカーの・・・いや、人の考えとして至極当然のことである。
それを、著作権管理団体は「メーカーの社会責任」と称し、すべてをメーカーの責任・
我侭・悪行とみなし、それを記者会見で宣伝しようとしているのだ。これはメーカー
に対する名誉毀損である。メーカーは怒るべきだろう。
大体、なぜメーカーはそこまでして著作権管理団体に頭を下げ続けるのだろう。今ま
ではデジタル放送移行をきっかけに、B-CASと規制をうまく利用して海外の低価格
品を追い出し、国内の高額な製品一色にしてきた(これを池田信夫氏は「
外国製テレビ
を締め出すWTO違反の非関税障壁だ」としているが、少々間違いがある。外国製テレビ
がほぼ見かけなくなったのはB-CASの審査料が高額で低価格の製品が作れないからで
あり、審査の規制とは関係ない。高額な製品なら海外製より国内製を消費者は選ぶ
からだ。むしろ締め出されたのは海外製のレコーダーの方だろう)。だが、もう
それだけが通用する状況でなくなってきた。高額で、大型の国内品ばかりが並び、
販売員が大型をすすめても、消費者はより安価な中小型製品を選ぶようになってき
た。もう消費者は個室や普通の家で使うテレビを求め始めているのだ。
そして、何より勘違いしてはいけないのは、消費者は著作権管理団体の敵かも知れな
いが、決してメーカーの敵ではないし、敵になってもいけない。メーカーの製品を、
お金を払って買うのは消費者なのだ。それに、本当によい製品さえあれば、消費者は
海外のちょっとあやしい品よりも国内メーカーの品を選ぶ。心の奥底では、信頼でき
る国内メーカーが、自分たちの本当にほしい製品を出してくれることを待ち望んでい
るはずなのだ。
実のところ、メーカーが少々妥協すれば、一部のマニアを除いて丸く収まる方法も
なくはない。が、妥協してしまえば著作権管理団体はまたあらたな要求をしてくる
こと必至である。彼らが求めているのは、規制のために大幅に減ったメディア消費
による補償金収入の補填を、別の方法で行うことである。今まで、そのしわ寄せは
すべて消費者に寄せればよかった。消費者の、特にマニアのやることに対し、いち
いち"違法"、"不正"という枕詞をつけ、恰好の理由としてきたからだ。が、著作権
管理団体は今度はその矛先をメーカーに向けてきた。実施もしていないダビ10の責任
を消費者に向ける方法が無いからである。
はたして、こんな状況下でメーカーはそれでも著作権管理団体に頭を下げ、規制の
下にいることを望むのか、それとも今まで蚊帳の外にされ続けてきた消費者の声に
耳を傾けるのか、どっちをとるべきなのだろうか。
なお、ダビ10が延期され、オリンピックに間に合わなくても、実のところ大した
影響は無いと思われる。オリンピック商戦に期待しているメーカーには悪いが、今度
の北京オリンピックほど競技に関心が集まらないオリンピックは近年無かったからで
ある(モスクワ・ロサンゼルス以来と言っていい)。中国やマスコミが必死で作り上げ
てきた"良い中国"のイメージを、オリンピックのために開かれた報道や毒物問題、
チベット内乱、そして地震といった一連の事件がすべて吹き飛ばしてしまったから
だ。暴露された中国の実態に関心をもったりあきれたりする感情が優先し、もうオリ
ンピックそのものなど二の次になっている。先日解禁されたPC用デジタルチューナー
がいい例だ。これもオリンピック商戦に間に合わせるようにこの時期になって発売
されたものだが、あまりの売れなさに、秋葉原の専門店どころか地元の量販店ですら
すでに当初より値引きされている。オリンピックが起爆剤になって商戦が盛り上が
る、なんてのはとっくに過去のこと、100歩譲っても今回はそうなりそうもないの
だ。ヘタにオリンピックに間に合わせようとして土下座して譲歩するより、毅然たる
態度をとって本当にみんなが喜べるにはどうするべきなのか、模索してほしいもの
である。われわれの敵も、ようやく絞れてきたようだ。
ついでに消費者の一人として言うが、別に著作物に対し、代価や補償金を支払うこと
にやぶさかな人はほとんどいないと思う。ただ、その大半の人がお金を払いたいの
は開発や販売に直接かかわった人たちであり、決して中間摂取業者ではないのだ。
「発掘あるある大辞典II」の問題は、単にテレビ局に捏造しても視聴率を優先する体質
だけでなく、中間摂取がどれだけ悪質に行われているかを国民一人一人の前にさら
けだしてしまったのだ。