録画人間の末路 -

人は記録をしながらじゃないと生きていけない

このブログは

このブログは、PCでテレビ番組を快適に録画し、自由な形で好きなように活用するための実験結果報告をメインとしたものです。ですが、その自由を奪い、不自由を売りつけて無制限の利権を得ようとするものたちが、現在のテレビ界では勢力争いをしています。そういう連中とは断固戦い続けます。それが、ここのテーマです。
2011年7月24日まで続けることを目標にしていましたが、2011年いっぱいまで延期いたします。 ・・・の、予定でしたが、衛星放送の行く末が気になりますので、それまでは続けます。ああ、意志薄弱。



特殊なコンテンツ
・SpursEngine H.264エンコーダ 実験プログラムサポート&他ソフト紹介ページ
Lalfさんが作られている、SpursEngineで使えるエンコードソフトのリンク先の紹介などをしています。CUI版とAviUtlのプラグインの二種類があります。 また、それ以外に同じくLalfさんの作られたCodecSys Personal向け参照AVI、ravi2や、BOさんの開発されたLinux用HD PVRコントロールソフトのリンクもおいています。

※10/07/01 se_h264enc_auo ver 0.09、se_mpeg2enc_auo ver 0.05、Seche Technical Preview2 リリース

・スカパー!e2 各チャンネル解像度・ビットレート一覧表
独自の調査による、スカパー!e2とBSデジタル放送の解像度とビットレートの一覧表です。多少の間違いはご了承ください。

・意外とある、デジタル放送録画可能キャプチャーボード・ユニット
外部入力を用いて、デジタル放送のチューナーやレコーダーから出力される番組を、自由に扱える形式で録画可能なPC用のキャプチャーボードおよび外部ユニットの情報を集めたものです。

クロコ? アリゲ? 不遇な扱いのワニ映画たち

2024-02-14 14:17:18 | 特撮・モンスター映画
最近になってようやく怪獣映画が復権してきた感のある現代ですが、近年の怪獣もののみならぬ怪物ものまで支配している映画ジャンルと言えばご存じの通りサメです。しかし、恐るべき殺傷能力を持つ生物はサメばかりではありません。本来ならばサメに勝るとも劣らぬ一大勢力を作り上げてもおかしくないほどの力と人気を持ちながら映画としてはサメの亜流に押しやられている生物がいるではないですか。それはワニ。大きさも顎の持つ破壊力も決してサメに引けを取りません。それどころかかつて、中生代の三畳紀と呼ばれる時代で覇権を握っていたのは初期の恐竜ではなく陸ワニであったと言われるほどの強さを持った地球史上最強生物の一角と言っても過言ではない生物なのです。それがどうも扱いが悪い。ヘタすれば「愉快な仲間たち」の一角を占めるくらいかるーい動物として扱われています。確かにワニはサメのように空も飛ばなければ竜巻を操ることもなく、宇宙や雪山に出現することも出来ませんし、ロボ化してスーパーチェンジすることもありません。登場すると死ぬことが運命付けられているマイナス要素があるのである意味弱い生物と言えるくらいです。しかし、サメに会える機会は襲われなければなかなか無いですが、ワニは割と動物園に居ることが多いですから平和に会うことができます。現代に存在するワニは例外なく水陸両用ですし、その優れた皮は財布やハンドバッグの素材として重宝されているほど強さ美しさを兼ね備えているのです。サメの皮はと言いますとワサビを擦る時くらいしか使われず、"鮫肌"などという言葉があるくらい強さはともかく美しさの面ではマイナス評価しかされていないじゃないですか。うむ、そう考えるとワニの扱いが悪いのはサメ映画信者に嫉妬されたからではないでしょうか。特に我が国の「古事記」にある有名な神話、「因幡の白兎」において登場する生物が"鰐(わに)"と書かれているのに「日本にはワニはいないのでこれはサメのことである」などという説がまかり通っていて、出雲大社ですらその説を採用しているのは嫉妬したサメ映画の信奉者の陰謀に違いありません!と、ワニ復権のために少しワニ映画を取り上げましょう。ようするに最近ワニ映画のBDが立て続けに出たのでそれを買って観た話が書きたかったわけなんです。

ワニを取り上げるにあたり、デリケートな問題があります。それはその作品に登場するワニがアリゲーターなのかクロコダイルなのか、という問題です。日本語で言えばどっちでもワニなのでワニと呼んでおけばいいんですが、生物の分類としては一応アリゲーターとクロコダイルは分けて考えられる存在なので、そこは注意する必要があります。よく口を閉じたときに下の歯が外にはみ出るのがクロコダイルでそうでないのがアリゲーター、って区別の仕方が言われますがどう考えても分かりにくい区別です。個人的には「歩く際に腹が地面に着く文字通りの腹ばいをするのがクロコダイルで、持ち上がって足だけで歩けるのがアリゲーター」説を取ります。クロコダイルの方がアリゲーターより大きくなる傾向が強いようですが、映画の場合どちらも巨大になります。今回取り上げる映画は全部タイトルにアリゲーターが付きます。

・パニック・アリゲーター 悪魔の棲む沼
多分最初のワニ主役パニック映画。製作はイタリア。インタビューによると「ジョーズ」に便乗した映画とのこと。別映画「ドクター・モリスの島・フィッシュマン」撮影の時にスリランカにいった際に連続で撮ったらしく、スタッフはもちろん出演陣もほぼ同じ。そのせいか、印象強めに登場するのにストーリーには大して意味がない登場人物が何人いたりしてややチグハグ。主演女優はのちに「おかしなおかしな石器人」での共演がきっかけでリンゴ・スターと結婚するバーバラ・バック。
映画内クレジットにタイトルらしき表記で「IL FIUME DEL GRANDE CAIMANO」とあり。「グランドケイマンの川」と訳せる気がするので舞台は西インド諸島? パッケージにはアマゾン奥地と書かれているんだが。昔のビデオパッケージではアフリカが舞台と書かれていたらしいので結構いい加減、場所はどうでもいいらしい。特典映像のスタッフインタビュー内の英語字幕によると「The Big Aligator River」をタイトルとしていたので海外ではこちらのタイトルで輸出された模様。ちなみに作中でのワニは"クロコダイル"としか呼ばれず、かつメインとなる個体は"偉大な神"扱いで"クルーガー"と呼ばれ、舞台も川なので日本語のタイトルは偽りだらけ。
クルーガーは全長12mという扱いで実物大ハリボテとミニチュアで表現、あまり動かないので出来はイマイチ。ミニチュアを使った特撮が数か所あって、特に自動車が橋から落下するシーンは実際の橋を破壊したシーンを挟むことで迫力が増してなかなか見ごたえあり。イタリア映画と言えばマカロニ・ウェスタン。他国の映画に便乗する形式で輸出を前提とした"偽りの大作映画"の印象が、失礼ながら強いけど本作はその典型をあえて狙ったものと思われる。なにせ現地民族のクーマ族によって殺害された人数はどうみてもクルーガーに殺された人数より多いし、襲われるシーンなど古典的西部劇のソレそのまま。なのでクルーガー倒して終わりでいいの?と少々後味が悪い。輸出しか考えなかったのかイタリア映画なのに英語でしゃべってるし登場する看板の文字も全部英語なので吹き替えではなさそう。なお、本作以降のイタリア映画は「食人族」などホラー映画に路線を切るが、まだ本作では残酷表現がイマイチなのが残念。序盤でワニ(本物のクロコダイル)のエサにするために縄を付けて河に放り込まれる本物の子豚がちょっとかわいそう。さすがに本当に食わせたりはしてないけど。

・アリゲーター
アメリカにあるらしい"下水道のワニ"の都市伝説をそのまま使って作った映画。トイレに捨てられた子ワニが下水道の中で生き延び、とある理由から10年かけて12m(またか)にまで巨大化し、ついに地上に出てくるお話。ワニは本物と実物大モデルを使い分け、その造形の出来が非常によくて、「パニック・アリゲーター~」より格段に上。人間を喰うシーンでは完全な全身をさらしながら細部が動いているところは一見の価値あり。実物ワニはちゃんと腹を持ち上げているところからタイトル通りアリゲーターを使っていて、かつ登場人物も「アーリゲータ」と呼んでいる。クロコダイルとそんな簡単に区別つくかなぁと思うのだけど、これは"下水道のワニ"伝説のワニがアリゲーターだからだろう。残酷表現は全開で、足を食いちぎられる犠牲者くらいはまだしも、ストーリー上必要ではあるが随所に犬の死骸がやたら出てくるのが人によっては受け付けられない。一番ひどいシーンではドブネズミがソレ食ってるし、これは来ます、いろんな意味で。それでもワニ映画としては一番おすすめ。

・アリゲーターⅡ
前作から10年後に作られた続編。と、言っても前作とのつながりは希薄。本作で顕微鏡で観察している細胞の組織に使った画像が前作のソレの使いまわしなのがあるくらい。つまり原因が同一であるということ。前作で失敗した研究が凝りずに継続されていたストーリーと言いたいのかも。
やはり本物のワニと造形物を使い分けているが、造形の出来は前作に及ばず、また上半身ならぬ前半身と尻尾くらいしか作っていないようで引いた画での大暴れがないのは残念。本作は珍しく"クロコダイル"と"アリゲーター"呼びの両方が使われており、字幕はそれに合わせ"クロコダイル"は"ワニ"、"アリゲーター"は"アリゲーター"と区別していていいかんじ。多分正体不明の段階では"クロコダイル"、ある程度分かっているときは”アリゲーター"呼びで区別していると思われる。
死骸やちぎれた手足と言った残酷表現は控えめでラストの倒し方も「え?」と言いたくなるほどあっけなく、それまでの戦いや兵器の投入はなんだったんだ! と脱力するほど。その割に鑑賞途中の感触が割と心地いいのは、演出や構成が「ジョーズ」そっくりだからか。

立て続けにワニ映画を鑑賞してみると、ワニはサメと違ってファンタジーの素材として見づらい生々しい対象だから作りづらいのかなぁって感想になってきます。もちろん現在でもB級の低予算映画としてワニ映画は細々と作り続けられていますが、質量が感じられず、空気感もないCG表現ではワニは難しいか、それとも残酷表現の憚れる現在ではワニの良さが出しにくいのか、印象に残る作品は全然ないとしか言いようがありません。むしろ80~90年代のころの方が面白いです。
これ以外にもまだワニ映画はあるんですよ。もちろん「クロコダイル・ダンディー」とかじゃなくて。日本人としては、シリーズ化されてそのうちの一本が日本が舞台である「キラークロコダイル」シリーズとか、「極底探検船 ポーラーボーラ」で特撮やった佐川和夫氏が特撮をやったらしいタイ映画「ジャイアントクロコダイル」が見てみたい。


 
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ゴジラ -1.0/Cが見られないので代わりにGIGANTISを見る

2024-01-18 15:58:12 | 特撮・モンスター映画
前にも書きましたがわたしの行動範囲では映画「ゴジラ -1.0」をモノクロ化した「ゴジラ -1.0/C」は上映されません。休日に遠出する手もなくはないですが、次くらいの最寄り上映館の上映スケジュールを見ても上映回数は少なく、どう調整してもスケジュールが合いそうにないので断念。休日はやること多いんですよ。

こうなっては他の作品を見て寂しさを埋めるしかありません。こういう時はやはり怪獣もの、それもモノクロ作品がいいでしょう。第一作ゴジラ? あれはさすがにさんざん見ているのでこういう場合の寂しさ埋めにはなりません。今回引っ張ってきたのは「ゴジラの逆襲」です。それも海外版の「GODZILLA RAIDS AGAIN」の方を購入しました。だって「ゴジラ -1.0」だって「海外が~、海外で~」ばかり報道されてるじゃないですか。だったらその穴埋めはやはり国内映画を海外配給したものに限る、というわけですよ。

長年半ば幻し扱いだった「ゴジラ」第一作の海外版「GODZILLA KING OF THE MONSTERS!」は少し前の講談社のDVDマガジンで、それに字幕を付けて日本に逆輸入された「怪獣王ゴジラ」は先日発売された「ゴジラ」BDの特典映像でようやくパッケージ化され、簡単に視聴できるようになりました。この作品は第一作をそのまま字幕を付けて海外で上映したものではなく、新規撮影されたスティーブ・マーチン(レイモンド・バー演)を主役に再構成されたもので、編集の際に日本語を残した部分では新規人物の解説とは全くちがうセリフが使われていたりすることもあって日本人が見ると非常に違和感のあるものとなっています。一方、「ゴジラの逆襲」海外版はそうした無理やりな編集や登場人物の追加はなく、事件が世間で騒がれていることを伝える新聞の見出しが「The OsakaTimes」「THEJAPANIESETIMES」「New York Chronicle」と言った架空の英字新聞になったり、太平洋を球状の平面に見立てた地図がアニメーション処理される程度で、内容の改編はほとんどない、といっていいくらいです。さすがにアメリカ向けだけあって吹き替えは全面的に行われ、日本語そのままで残っているのはダンスホールで歌われる歌くらいでした。そしてその翻訳が割とわるくなく、ちゃんと元映像の口の動きにある程度合わせて英語化され、しゃべらせているのです。日本で海外の映画を吹き替えて上映・放映されるときはそういうセリフに違和感を持たせない配慮は当たり前ですが、アメリカは無頓着。B級映画の中には登場する日本人を「特技はしゃべるときに口の動きがあってないこと」と揶揄するものがあるくらいです。大幅改編されたとは言え、アメリカでメジャー配給された日本の映画は「ゴジラ」が初ですから翻訳のノウハウも少なかったはず。そんな時期にこの丁寧な吹き替えは感心しました。ノウハウがなかったからこそ細心の注意を払ったのかも知れませんが。
と、内容に関してはある程度オリジナル順守の配慮が感じられる「ゴジラの逆襲」海外版ですが、こと"ゴジラ"そのものへの配慮は低かったのです。今回購入したパッケージは「GODZILLA RAIDS AGAIN」ですが、もともとアメリカで上映された時のタイトルは「GIGANTIS THE FIRE MONSTER」でした。ゴジラはゴジラ扱いされず、"ジャイガンティス"という別の名を与えられた怪獣となっており、作中「ゴジラ」という表記は一度もなされていません。なのでパッケージ内の映画の映像も、明らかにタイトル部分だけスタッフのクレジットと比べてインポーズの仕方が違うので差し替えられていると思われます。
それゆえ冒頭のゴジラ発見後の会議の部分だけ少々違和感が。「ゴジラの逆襲」ではゴジラは既知の怪獣だったため、確認作業はアンギラス(こっちは海外版でも"アンギラス")を中心に行われています。海岸版でもそのシーンをそのまま使っているので会議前半ではむしろアンギラスの覚醒を脅威のごとく扱っているのに、後半になるとアンギラスのことはどこへやら、ジャイガンティスの対処が中心になるという、やはりこちらを見ただけではわかりにくい展開。
大きな変更点として、その会議中に「ゴジラの逆襲」では山根博士が持ち込んだフィルムでは東京上陸時のゴジラ映像をただ流しているのに対し、海外版では地球創造から始まり、太古から巨大生物が進化し、最近ではこのような生物の出現も確認されているいう解説付きとしてゴジラ第一作のシーンが使われているところですね。その前振りとしてSF系モンスター映画のシーンがいくつか流用されていて個人的にはちょっと嬉しい。「紀元前百万年」「燃える大陸」「ジュラシック・アイランド(Unknown Island)」と言った恐竜の出てくるあたりはわたしでもわかるのですが、それ以外の地球創造の辺りはわたしでは専門外、誰か調べてほしいです。
悔しいのはやはり自分自身の英語のヒアリング能力の低さ。原題の「GIGANTIS THE FIRE MONSTER」から、FIRE MONSTERとは火を吐く怪物の意味なんだろう、などと本作を視聴する前は思っていましたが、会議中にはアンギラスに対しても「FIRE MONSTER」という言葉がおそらく形容詞として使われています。アンギラスは本作では火を噴きません(製作日数が短い作品なので、おそらく合成を減らしたかった・アップ用のギニョールにしかけを施す時間がおしかった、などが理由でしょう)から、FIRE MONSTERとは非常に狂暴な怪物、くらいの意味で使われているんでしょうか?? その前後の単語がほとんど聞き取れず、翻訳できない自分の能力が本当に恨めしい。ああ、学生時代にもうちょっと英語を勉強して基礎を作っておけば・・・。とたびたびおもうものの、わたしの行った高校は学校を上げて特定の大学の合格のみを目標とさせられる、進学校ならぬ受験校だったので、授業は受験対策のみで全然面白くなく、特に英語と数学はやる気を失わせるに十分でした。文章問題解かせるだけでヒアリングなんて一切なし(当時はそれでも良かった・・・らしい)だったので真面目に勉強したところでなんの役に立たなかったでしょうが。わたしの人生で一番後悔しているのが高校の選択。中学の時の「高校受験!高校受験!!」のプレッシャーに負けてひどい下痢体質になり、ボロボロだったわたしは判断力もなく、ただ学力ギリギリのところを周囲に薦められただけで選んでしまったのが不覚。なんで「高校受験!高校受験!!」でつぶれた人間が進学先に「大学受験!大学受験!!」なところ選んでるねん。なので合格した直後一度は収まった下痢体質もしばらくして盛り返し、結果落ちこぼれましたわ。ランク落として大学進学実績よりカリキュラムで選べばよかった。当時はまさか将来海外版や海外製怪獣映画を輸入してまで視聴したり、YouTubeで外国人の解説動画をチェックしたりする趣味を持つとは想像してなかったもんなぁ。

話飛びすぎました。「ゴジラの逆襲」自体は初めて見たとき、それほど面白いとは思いませんでした。終始暗い画面、コメディじゃないのに怪獣が迫る世界でどこか能天気に生きる人々、怪獣らしくない縺れ合い中心のバトルは中盤で終わってしまうし、クライマックスは延々と同じシーンの繰り返し。自称怪獣通て生意気盛りだったわたしが批評家を気取って批判するには十分な中身でした。「しょせん時間がないのに無理やり短期間で作った映画」って。ただ、それでも歴代怪獣の中でもっとも恐怖を感じたのは「逆襲」のゴジラです。驚かされる怖さじゃなくて、ちょっと背筋が寒くなる怖さ、の方です。それは大阪での対アンギラス戦のクライマックス、声を上げる回数が増え、顎も上がってきて明らかに疲労で劣勢にあったアンギラスの喉笛にかみつくゴジラ。さらに大阪城にたたきつけられたアンギラスは完全に戦意を失い、逃げ出そうとしたところを蟹股でノシノシと追いかけ、ゴジラはアンギラスの喉笛を再びかみ砕いて絶命させたあと、追い打ちで火焔攻撃で焼き尽くしてしまうのです。この、自分に攻撃してきた存在は逃がさない、執拗にトドメを差そうとするゴジラにゾッとしたことだけは当時から思っていました。今見るとそのゴジラの凶暴さの怖さはそのままに、むしろ怪獣という事件があっても一般人はそればかりに構う必要なし、大事なのは自分の生活という態度の方が親近感が持ててみていてほっとする好印象の映画という感想がわいてきます。怪獣や事件と関係ない人の生活を描くことは本多猪四郎監督はあまりやらなかった(「三大怪獣 地球最大の決戦」か「ゴジラ ミニラ ガバラ オール怪獣大進撃」でちょっとあったくらい)ので、小田基義監督の独自性が歴史の中で光ります。本多監督があまり使わなかったこともあって怪獣映画において事件と関わりの少ない生活・風俗を描くスタイルは傍流となり、ゴジラやそれ以外を見ても生活をはっきりと描いた作品は「逆襲」以外には、それこそ「ゴジラ -1.0」くらいでしょう。「ゴジラ -1.0」をゴジラ第一作のリブートと言う人がいますが、土台となった演出面で言えば「ゴジラの逆襲」のリブートと見た方が正解に近いと考えます。
「ゴジラの逆襲」ではダンスホールで踊る恋人同士、戦友との再会の喜び、会社あげての宴会など当時ならではの様子が描かれ、時代を映す鏡という映画の楽しみをしっかり味合わせてくれます。海外版でもそれらのシーンが省略されるということはないんですが、なんですが、うーん・・・という部分が細部に数多。アバンタイトル部分には核兵器の爆発やミサイルの発射シーンが記録フィルムの流用して使われ、タイトルおよびスタッフがクレジットされたあと、なぜか日本の城のシルエットや海岸の映像が入り、そのあとは農村風景に。しかも千歯扱きだの唐棹だのと言った、当時としても時代遅れだろう器具を使った脱穀シーンが挿入されてるんですよ。ダンスホールシーンの直前にも三味線の楽団による演奏シーンが入ったりしてますし。異次元・地球の中にある別世界のド田舎。そういう空気で日本を描きたかったという、作品はともかく日本という国を見下した視点を感じずにはいられません。そうした思考は他でも見られます。
終盤、再度姿を現したゴジラ。日本の後は太平洋を横断して他国への侵入の可能性を示唆した地図が映るんですが地球の球形を平面に見立てた地図なので文字はブリッジ状に書かれ、日本はその一番上なのですが他国の国名を入れることを優先してカメラを設置したらしく、JAPANのPの字が映像の外にはみ出てしまっていて"JA_AN"になっちゃってます。一番ひどいのはスタッフクレジット。日本人スタッフの名前の一部が間違ってるんす。

千秋実→MINDRU CHAKI
香山滋→SHIGEM KAYAMA
円谷英二→ELIJI TSUBURAYA
小田基義→MOTOYOSHI QDQ

よりにもよって重要なスタッフばかり・・・。聞き間違えたというより東宝が提出した文字が読めなくて間違えたんでしょう。他はともかく小田監督の表記はさすがにおかしいと思って問い合わせて欲しいレベルですが、その必要すら感じなかったところがまた・・・でありますな。音楽は全面的に差し替え、ゴジラの鳴き声にアンギラスの声を使うシーンがあったりして音にはとことん無頓着。クライマックスの爆撃シーンがだいぶ省略されていますが、オリジナルは同じようなシーンの繰り返しが続きすぎて少しダレるので、むしろ締まって見えていい感じ。

どうしても随所に日本を見下すアメリカの態度が見えてしまう「GODZILLA RAIDS AGAIN」でした。これもまた時代を映す鏡、の一つだよなぁ。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ゴジラ -1.0/Cは見られません

2024-01-12 10:55:49 | 特撮・モンスター映画
ちょっと前に「ゴジラ -1.0」をモノクロ化して上映する「ゴジラ -1.0/C」は見るけど感想は書かない、ってな記事を書きましたがそれ以前の問題でした。

わたしがかろうじて見に行くことができる映画館、もちろん「ゴジラ -1.0」そのものは上映している映画館では、レイトショーはもちろん通常上映時間でも「ゴジラ -1.0/C」は上映しない、とのことです・・・。鑑賞できないのだから中身を検証することも感想を書くことも不可、とこうなりました。

これはわたしへの嫌がらせに違いない!! と陰謀論をぶちまけてもやらないものはしょうがない。ああした扱いを見ると、わざわざ遠出してまで/Cを見る気にもなりません。まぁ円盤にはさすがに収録される(別発売、とかしないだろうなぁ東宝さん・・・。やりかねないけど)でしょうからそれまで待ちましょうか。

と、いうわけで気分はすでに日本での公開は4月26日と決まった「ゴジラxコング 新たなる帝国」の方に移しております。今度はやっとタイトルをただカタカナにしたものではなくちゃんと日本語化、こうでなくちゃ。本作は日本ゴジラのイースターエッグが随所に散りばめられるということなので、あからさまな氷山からの出現以外にどれだけ過去を彷彿とさせるものがあるか楽しみ。


さすがにこれは上映無し、ってことはないでしょうからこちらもなる早で鑑賞したいものです。
コメント (3)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

再会のクラウドファンディング怪獣映画「HOSHI35」

2024-01-09 11:41:55 | 特撮・モンスター映画
地震のあとで思ったこと。
遺影は意外と落ちてこない。
古い映画かドラマで見た気がするんですが、地震になると遺影が落ちてくる印象があったんです。が、今回の地震ではかなり揺れたにも関わらず我が父の遺影はちょっと位置が曲がっただけで済んだんです。我が家は古い家屋で家の中では部屋を仕切る壁がなく、襖で仕切られるのみ、という箇所がかなり残っていて、仏壇はその一番外側奥の部屋に仏間としておいてあるんです。天井からつながる上部のみの壁は土作りでその下部にある襖を通す溝部分は木製ですが、その溝部分が土壁の前を塀のように覆う構造になっており、木の塀と土壁の間には溝が出来ているんです。葬儀屋さんの話では「あの溝は遺影を差し込んで飾っておくための溝だ」と言うんで、なんか不安定で落ちそうだな、と思いながら父の遺影を斜めに差すようにしておいたんですが、その溝はあの地震でも不安定どころか見事遺影を守ってくれました。溝だけが優れていたんじゃなくて、家全体で地震の衝撃を揺れに変えて吸収してくれたような気がします。明治時代から使っている(らしい)窓ガラスもひび一つ入らずに無事でしたし。地震の報道で「古い家屋は倒壊、耐震構造の新しい家は無事」と言っていたニュースがありましたが、日本の古い家屋って意外と耐震構造もバカにしたものでもないと思いましたよ。お客さんに地震の話をされて「この店は何もなくて無事でしたよ」って答えると驚かれますからダメダメに見えるんでしょうけど。古いから壊れて新しいから無事だったんじゃなくて、地盤がくずれたかどうかが一番の原因でしょう。

と、地震の経験を振り返る余裕も出てきましたので、もっと早く見たかった映画のDVDを鑑賞してみました。「HOSHI35」と書いて星屑と読む、クラウドファンディングによって作られた怪獣の登場する映画です。


1989~95年に作られた「ゴジラVS」シリーズに一貫して三枝未希役を演じられた小高恵美氏のデビュー35年周年を記念して2023年に作られた映画となります。小高恵美氏はの映画出演は「ゴジラVSデストロイア」以来とのこと。タイトルは「HOSHI35」と書いてホシクズと読むのですが、35の数字は当然小高恵美氏のデビュー35周年にちなんでと思われます。
パッケージによると「平成特撮にリスペクトを捧ぐ」「新しい時代への架け橋になるような特撮映画を目指した」とありますが、あくまで目指した、であった本作が特撮映画と呼ぶほど特撮シーンが多いわけではありません。低予算であるのに尺は80分とそれほど短いわけではなく、予算のかかる特撮にそこまで時間を振り分けられませんからね。怪獣の出番はアバンタイトルとクライマックスのみで出現場所は山のふもと。他は宇宙があるくらいです。ただ、その程度の出番なのに安易にCGに逃げることなく怪獣をちゃんとスーツで表現したことが素晴らしいのです。
内容も矛盾点は多く、SFともファンタジーとも言い難いどっちつかずになってしまった点があって手放しには褒められません。出演陣は小高恵美氏をはじめ、「平成特撮」作品で名前を見たことがある人がずらり。そのせいもあって特に後半部分で顕著なんですが、登場人物の年齢層が非常に高くて苦笑いが出るのを隠せませんでした。ただ、本作のテーマは「再会」だと思いますし、登場人物だけでなく「平成特撮」に魅せられた観客がその主人公たちと「再会」できる、その機会を与えてくれただけで映画としては成功していると思います。これもまた時代の反映の一つなんです。
DVDは本編のみ。画質は・・・ちょっと煙とかがシマシマ模様になっちゃってイマイチかなぁ。ただ音響や音楽はかなり凝っていて好印象なので視聴の際は良い音響や再生ソフトを使って欲しいですね。
このDVDはクラウドファンディングの出資者の特典として送られてきたもの。つまりわたしも出資者なのでDVDがもらえた以外に、ちゃんとエンディングのスタッフロールの中に登録した「krmmk3」とあるのを確認できました。出資額はDVDがもらえる最低限の金額なので三行部分でしたが、真ん中の列で一人だけ意味のなさそうな半角アルファベットなのでちょっと目立って自己満足度高し。これでわたしに何かあっても名前は残る! いやあってよかった。特典なんでクレジットに名前があって当然なんですが、やはり実物を見るまでは安心できなかったもので。できれば劇場で見たかったなぁ。東京でしか上映してないみたいなんで無理でした。

本作では宇宙の彼方から地球衝突が予想される隕石を、人工衛星(惑星の軌道とは無関係に遠隔操作するので探査機と呼ぶべきかと思うんですが)をぶつけて軌道を変えるという作戦が行われています。これで思い出したのが昨年の2月に放送された「ニッポン超緊急事態シミュレーション★もしも怪獣が襲ってきたら! 」という番組。タイトルとは裏腹に怪獣シミュレーションはほんの少しで半分以上が宇宙の話というタイトルサギな番組でしたが、番組中で隕石の軌道を探査機を使って変える、という実験が行う話がありました。ひょっとして「HOSHI35」はこれを見てストーリーを考えた・・・とすると間に合わないから取り入れてみた、程度の変更点はあったかも。スタッフが見たとしたらわたしと同じでタイトルに釣られたからだろうし、参考にしたのならあのタイトルで放送したのも意味があったというものです。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スーツアクター、薩摩剣八郎氏亡くなる

2023-12-17 15:35:36 | 特撮・モンスター映画
1984年「ゴジラ」から1995年「ゴジラVSデストロイア」までのほとんどのシーンでゴジラのぬいぐるみに入って演技した他、「ヤマトタケル」でヤマタノオロチ、北朝鮮に招かれて撮影された「プルガサリ(不可殺)」でプルガサリ、中山剣吾名義で「ゴジラ対ヘドラ」でヘドラ「地球攻撃命令ゴジラ対ガイガン」「ゴジラ対メガロ」でガイガンと多くの映画で怪獣に入るスーツアクターをされていた薩摩剣八郎氏が亡くなられました。76才とのことです。



厳密に言えば初代ゴジラアクターである中島春雄氏引退の後、数人の方がゴジラに入られているので2代目ではありませんが、かつて雑誌「宇宙船」の記事でも中島氏から「実質2代目みたいなものだよ。俺の後は薩摩しかいねえ」と語られているので2代目と称して間違いないと思います。
その動きは薩摩示現流で鍛えられた体に日本舞踊と空手の型を組み合わせたものとされ、力強さと優雅さを兼ね備えた独特の、誰にもまねできない動きでした。スーツと一体となってゴジラを演技した、という点においては中島氏以上であったとわたしは信じています。VSシリーズの、他に類をみないほどスーツアクターに要求するものの多かった特撮演出の数々は川北特技監督の薩摩氏に対する絶対の信頼があってこそのものだったでしょう。あの時代、あの人がいたからこそ出来た映画。その魅力はきっといつまでも人を魅了し続けることでしょう。
お疲れさまでした。ご冥福を祈ります。今頃中野・川北両特技監督と再会できているでしょうか。
コメント (4)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Godzilla x Kong :The New Empireのトレーラーも出たぞ

2023-12-05 11:10:46 | 特撮・モンスター映画
さすがに週刊動員数一位の座は明け渡したようですが、当初の予想を超えるヒットとなったと言っていい映画「ゴジラ -1.0」。海外での評判も、少なくとも今出ている情報では良いようで、オープニング3日での興収が歴代ゴジラ1位となったとのことです。ただ、それまでの1位が国内では予想ほどのヒットとはならなかった「ゴジラ2000ミレニアム」なのでちょっと比較対象としては弱いのですが。

さて、その-1.0の余勢も勢いとなるか、アメリカ製作の「Godzilla x Kong :The New Empire」のトレーターがYouTubeで公開されました。

Godzilla x Kong :The New Empire

当初ゴジラは出ないのでは? と言われていた時点での予想タイトルだった「Son of Kong」を彷彿とさせる小型のコング、劇中表記ミニコングの登場やコングとは別種と思われるエイプ型タイタンの姿。右腕に謎の装置を付けていますが、前作以上に生き生きとしているコングの姿などが確認できます。やはりコングの真骨頂はロストワールドにあってこそ、ですね。ピラミッドや市街地での影響も描かれていますが、今のところストーリーは地球内部の空間が主となっているようです。
そしてやっぱり一番気になるのがゴジラ。前作とおそらく同個体なんでしょうが、まずトレーラー内での最初の出現地が雪山かなにか、の寒冷地の地下から飛び出しているのです。大抵の生物はそうですが、別の地域に生息している生物がわざわざ寒冷地に移動することはありません。ましてゴジラは低温になると動きが止まるという弱点があります。思い出すのは氷山からの出現シーンがある「キングコング対ゴジラ」ですが、これは前作で雪崩に埋められて動かなくなったからその設定を踏まえて、のことでした。そのオマージュもあると思いますが、寒冷地に出現するには理由が必要です。それは何か? そのヒントとなるのが背びれの発光や熱線が赤くなった状態でしょうか。個体によっては終始赤い発光と熱線しか使わないゴジラ(それこそ「ゴジラ2000ミレニアム」のゴジラです)も存在しましたが、それまで青い発光と熱線を使っていたゴジラと同個体が赤い熱線を吐いた過去の例は一つ。「ゴジラVSデストロイア」のバーニングゴジラの時だけです。あの時のゴジラは体内の核エネルギーが暴走していつ爆発するかも知れない状態でした。赤い熱線は使わなかったものの似たような現象がアメリカゴジラも「ゴジラ キング オブ モンスターズ」でもありましたので、本作のゴジラも何かしら暴走状態にあると考えられます。敵にやられたかウィルスに感染したかであのような状態になり、寒冷地に出現したのは体温を冷やすためか? あるいはパワーアップのために意図的に過去の最強状態を引き出そうとした結果? そこまでゴジラを追い込んだ相手こそ本当の敵? など興味は尽きません。

国内と海外が混じるとはいえ、現在公開中の作品を見てから一年もたたずに新作が見られる幸せとひしひしと感じるkrmmk3でした。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

特報と予告編が充実。4Kリマスター版ゴジラのBD

2023-11-22 15:11:04 | 特撮・モンスター映画
「ゴジラ-1.0」の客入りが好調だそうです。わたしも面白いと思いましたし、好成績なのは大いに結構。ですが、これで次回作は作りにくなったかなぁと思う寂しい気持ちも起こってます。「シン・ゴジラ」はゴジラを分かったうえで作った別物でした(わたしの現在の評価は「シリアスに作ったパロディ映画」です)し、だからそのあとアニメでしたが新たな作品を展開できました。そしてアニメ版、特に劇場三部作は明らかにゴジラを知らない人が作った作品で、いずれも名前だけゴジラの、別物が収斂進化した怪獣でしたから"次"を期待することができました。が、「ゴジラ -1.0」は初代の存在こそ否定しているものの「ゴジラ」な作品で、ストーリーに矛盾が生じてもゴジラの軸をずらさないことを優先した気配りがありありとしています(熱線は相手の攻撃を受けた・縄張りを荒らされた・進行の邪魔になるというような怒った時や焦りを感じている時にしか使わない、など)。これがハリウッドの対決ものより観客を呼んでいる、となると昔のような対決ものはやりにくいだろうし、単独では少し間を空けないと二番煎じとしか思ってもらえない。ある程度のヒットならともかく、今予想されている特大ヒットになると、それゆえに次回作は当分ないだろうな、と思うわけです。ああ、日本の技術と魂で作った対決ものがまた見たい。毎年フェスで作られている特別上映のやつは、去年のVSガイガンは良かったけど今年のVSジェットジャガーはまたチープ感を前面に押し出す作風に戻しやがったし・・・。

となれば、昔の作品を見るしかない、という思いとは別に4Kリマスター版の「三大怪獣地球最大の決戦」と「怪獣大戦争」のBD二本が届きましたので鑑賞。
二本とも動きの少ないパートはクックリシャッキリのデジタルっぽい画質になってしまっています。特にオープニング部分など明らかに最初のフィルムの撮影時点からあっただろう傷も消してしまっているあたり(特典として収録されている「ゴジラ モスラ キングギドラ 地球最大の決戦」と比べると分かります)、先日見た初代「ゴジラ」とは方針が異なる感がありますが、特撮部分のそれも動きの激しい箇所となるとそうでもなく、割とボケを感じる箇所も少なくありません。個人的に怪獣は巨大で遠近感がつかみにくい存在なので少しボケるくらいでちょうどいいと思っていますが、監督でもないリストアスタッフが映像のクッキリ感で演出するような行為はしないと思いますので、それよりはフィルムやリマスター用の再現部分の状態との統一を優先したかと思います。
「三大怪獣地球最大の決戦」は初登場のキングギドラを既存のゴジラ・モスラ・ラドンが迎え撃つ怪獣バトルがウリで、リマスターによって臨場感の増した、なぜか書き割りの"背景っぽさ"が縮小した良好な画質で怪獣たちの生き生きとした様子が展開します。作品に関して言えば所謂東宝自衛隊の活躍がほぼ皆無でそこらへんは物足りなく感じますが、この年三本目の怪獣もので、しかも四体もの怪獣が登場しますし、そっちには手が回らなかったと思ってます。
BDの目玉は新たに収録された予告編と特報の数々。今までは東宝チャンピオンまつり用に改題された「ゴジラ モスラ キングギドラ 地球最大の決戦」の予告編が本作の予告編として収録されていました。その予告編でもタイトルは「さんだいかいじゅうちきゅうさいだいのけっせん」と呼んでいたので我々はてっきりタイトル部分だけ差し替えにしたほとんど同じものだと思っていましたが。それは半分正解で半分間違いだったという事実が最近発覚。ほとんど同じではありますが、ゴジラとモスラが並び、かつゴジラが岩石を投げるシーンがほぼ同じ画作りではあるもの別映像であることが分かったのです。まぁ言われないと気が付かない程度ではありますが、今回のBDはそこを再現、タイトルの差し替えも合わせてほぼ完全に近い形での「三大怪獣地球最大の決戦」の予告編が再現されました。もちろん東宝チャンピオン祭り版も同時収録されています。
特報も改めて収録、東宝の新年あいさつと合わせ、社長シリーズやクレイジーキャッツの新作など正月映画をずらりと並べる中に三大怪獣地球最大の決戦もあったので収録されていました。しかもその多くが未使用映像ばかり! 特にゴジラがラドンに持ち上げられてジタバタするところとか恐ろしくよく動いていて、なんで本編で採用しなかったんだろうと思うほどでウットリします。怪獣とは関係ないですが、すでに総天然色の時代の中、あえてモノクロで撮った時代劇も特報が収録されていますが、正直違和感満載。モノクロ時代劇はいかにもデジタルなリマスターすると臨場感のないペラペラ画質になってしまうと思うのはわたしだけでしょうか。

 
続く「怪獣大戦争」は以前日本映画専門チャンネルで海外版のフィルムを使って失われていた"明神湖""鷲ヶ沢"のテロップを再現した完全版が放送されていましたが、冒頭の東宝マークはなぜか海外のものになっていました。今回のBDはそうした再現はもちろん東宝マークも本来の日本版に戻した、完全of完全版で現状BDでしか見られない版となっていました。
7本(別にテレビ特撮番組前後編を一本と数え、さらにアニメと海外映画と海外映画のゲスト登場も入れれば確認済で11本)存在するキングギドラ登場特撮映画作品のうち実は3本しかないキングギドラへの東宝自衛隊の攻撃シーンがある作品の1本。「三大~」では出番のなかった東宝自衛隊がで実質的にクライマックスを全部持っていくほどの活躍をする内容で怪獣バトルが蛇足にしか見えない欠点はありますが、わたしお気に入りの一本。
これも東宝チャンピオンまつり用に改題された「怪獣大戦争 キングギドラ対ゴジラ」の予告編しか過去の円盤では収録されなかったんですが、今回は「怪獣大戦争」の予告編を復刻収録。ただ、「三大~」のような大きな変更点はなく、タイトル以外では出演された沢木桂子氏のテロップに「'66年のホープ」の一言が目立つくらい。ですが東宝チャンピオンまつり版の上映予定を紹介する特報で本作が「怪獣大戦争」のタイトルのままなのは興味深い。宣伝のためタイトルに「ゴジラ」の文字を入れる改題が行われるようになったのは本作が最初ですが、ギリギリまで改題する予定はなかった、と証明する貴重な特報です。
特典収録の「怪獣大戦争 キングギドラ対ゴジラ」は当然東宝チャンピオンまつり版。ナレーションが複数追加されているので収録価値は高いですが、テレビ放送や上映会で使われた準全長版は未収録。これは当然か。

 
相変わらず狂気じみた特典映像へのこだわり。こういうことがあるから高いと思っても国産映画のBDの購入はやめられない。
 
コメント (20)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小説「ゴジラ -1.0」の解釈はどこまで信用していいのか

2023-11-16 12:42:12 | 特撮・モンスター映画
※個人ブログにつき、「ゴジラ-1.0」の映画および小説の内容に関してある程度触れています。ネタバレ要素もあります。

Googleのニュースでは利用者の検索やWEBの閲覧履歴からニュース一覧の内容を決めているので、今のわたしの場合一覧ニュースのかなりのパーセンテージが映画「ゴジラ -1.0」関連で占められています。わたしの関心と言う部分を除いたとしても世間的に「ゴジラ -1.0」関連のニュース記事は少なくないようで、今までの怪獣映画関連とあまりに違う扱いにちょっと驚いているkrmmk3です。「シン・ゴジラ」でもヲタ関連はともかく一般ニュースではここまでの扱いではなかったよいに記憶しているのですが。ゴジラはイケる、として東宝の広報も気合が入っているのでしょうか。
そのいくつかを眺めていると、「小説版で分かったあのシーンの意味」みたいな記事がいくつか出てるんですね。映画はもちろん登場人物の心情までこと細かく表記したり言わせたりしているわけではないのでどう解釈すべきか鑑賞者の解釈にゆだねる部分はどうしても存在します。「ゴジラ -1.0」でも当然多々あったのですが、小説版でそのいくつかの答えがズバリ書いてあると。そういわれると気になるので小説版、買って読んでみました。まぁ電子版なんですけどね。8インチのタブレットを買って以来すっかり買う書籍が電子版ばっかりになってます。電子版だと改訂が行われた際に自分が買ったものまで書き換えられて細部が変わってしまう可能性があるので今まではそちら一色になるのを避けていたんですが、8インチタブの扱いやすさに屈しました。そう考えると今までメーカーが意地になって作ろうと思えば作れるまともな8インチタブを作ろうとしなかったのは、印刷の書籍市場を守るためだったのでは・・・という陰謀論を思いついております。

さて、まずは小説を一読して最初に思ったことは「内容が映画そのまま」という点です。昔角川書店(現KADOKAWA)が話題作になる映画を作り、その公開に合わせて同じタイトルで発売される小説を出版する角川映画の手法を確立して以来他社でも同じやり方をやることは珍しくなくなってはいます。が、それらはたいてい映画と内容を一部ないし大幅に変更するものでした。怪獣ものでわたしが読んだもので言うと

・ゴジラ東京編・大阪編
ゴジラ第1作と第2作「ゴジラの逆襲」を小説化したもので、ゴジラの原作者香山滋氏によって子供向けに書かれた内容です。大阪編はほとんどそのまま、せいぜいアンギラスが熱線を吐く(ただし映画の脚本でも熱線を吐いているので、吐かないのは映画本編だけ)くらいの違いしかないですが、東京編の方は主役が新吉少年に差し替えになっていて尾形はチョイ役に落とされてしまっています。また、「東京ゴジラ団」なるゴジラを崇めるあやしげな一団が登場しますが、ほとんどにぎやかしでした。

・科学冒険絵物語 ゴジラ
きのこ雲をイメージしたと言われているあの最初のゴジラデザインを描いた阿部和助氏が「え(絵)」を担当した児童小説版ゴジラ。他の著者は原作として香山滋氏の名前があるのみで文章の担当者は不明ですが、全ページ挿絵付きなのに120頁もある大ボリューム(しかも復刻を除けば雑誌掲載のみ)なので別々に書いたら連携に時間かかりすぎるので阿部氏が直接文章も書いたと思われます。やはり新吉少年がクローズアップされ、しかも恵美子ともども年齢が10歳前後と思われる容姿に変えられて二人が仲良くなる、という改編がありました。個人的に一番気になるのは山根博士が「わたしは、いままでゴジラを生けどりたいと考えていたが、もうそののぞみはすてた」「わしは、はじめは学者としてゴジラの生命をたつことははんたいだった。だが、これをみては・・・」のセリフとともに芹沢博士の説得にあたっており、ゴジラ打倒派に乗り換えたことが語られている点ですね。

・空の大怪獣ラドン
これも絵物語。担当はマンガ「8マン」やコミカライズ版「ウルトラセブン」で知られる桑田次郎氏。ただ、あのシャープな画風とはかなり違うリアルタッチで、当時の子供には映画よりもはるかに怖かったんじゃないかと思います。60頁の内容にもちろん全頁挿絵付きで掲載は雑誌のみ、当時の作家の仕事量のすごさは驚愕するしかありません。内容はほぼ映画に準じますが登場人物構成が大きく変更されいて、主人公が映画主人公の弟の中学生になってます。何よりラドンの絵が完全な鳥になっていて全く違う印象を受けます。

・ゴジラVSビオランテ
若狭に出現するビオランテの所謂植獣形態が、手足のある、植物体ではありますがより大きなゴジラ、な姿になっており、熱線も使いました。映画では最後死亡した白神博士が生き残るのも印象的です。あとはスーパーX2の性能もファイヤーミラーがなくて違っていましたね。個人的な思い出では本作の"プロローグ"と"エピローグ"が普通の一章ばりのボリュームの上、内容の肝心な部分がそこに集約していたので、プロローグは"つかみ"、エピローグは本編終了後のオマケ部分程度の存在と思っていた自分の常識を覆された覚えがあります。

・ゴジラVSキングギドラ
プロローグとエピローグが追加され、プロローグではなんと宇宙怪獣の方のキングギドラが登場、未来人によって倒されています。ゴジラの復活も、映画本編の「たまたまそこに核廃棄物があった」ではなく、原潜の魚雷によってゴジラ化する扱いとなっています。エピローグは完全にオマケでした。

・モスラ
初代モスラには「発光妖精とモスラ」という一応原作扱いの小説がありますが、結果から見るに、多分これも原作というより事前刊行のノベライズに近いものでしょう。文中ではゴジラの名も大きさの比較でちょっとだけ登場していますが、残念ながらそれ以上は覚えていません。1996年の「モスラ」もノベライズ化されています。内容の変更点はなかったようですが、登場怪獣のデスギドラの説明にエントロピーを使用しており、かなり説明がくどい内容でした。また、それゆえデスギドラは不死身で封印する以外ない、とされていました。

・ゴジラ2000ミレニアム
表紙目次を含めなければ236頁の内容のほぼ2/3までがオリジナルストーリーという驚愕の内容。映画本編のストーリーは最後1/3でなぞるように使われているにすぎません。ラストのゴジラとオルガの戦いに至ってはわずかにラスト3ページのうちの2ページだけしか使っていないのです。実はわたし、当時映画を見る前にこちらを読んでしまっており、実際に映画を見に行った時は「映画のほうはこんな途中から始まるの?」とヘンな驚き方をしておりました。

他にも怪獣映画を使った小説は多々ありますが、読んでいなかったり読んだことを忘れていたり資料が見つからなかったりで省略。
とまぁ前置きは長くなりましたが、映画を小説化する際には作家も映画の不満点や物足りない部分を補ったり自分でストーリーが頭の中で勝手に出来上がったりするのか、それなりの改編が行われるのが通例なのです。まして怪獣ものはビジュアルメインのシーンが多くてそのまま書いたら書面が埋まりませんから。そこを考えると「ゴジラ -1.0」は実はゴジラの登場シーンは短く、本編の内容が多めなバランスになっているのでほぼそのままでも文庫本一冊くらいにはなるのでしょう。ちょっと短く感じてしまいましたが。
他の部分は他のニュースや検証にゆだねるとして、わたしが気になっていた部分二か所を取り上げます。まずは呉爾羅がゴジラになった経緯。映画ではそれっぽく触れられるだけだった1946年のビキニ環礁での「原爆実験」、クロスロード作戦・ベーカー実験が明確に原因と書かれています。おそらく実際の実験をモデルに書いただろう旧帝国海軍の戦艦「長門」らがその実験によって破壊された様子も描かれています。一方呉爾羅はといいますと、たまたまその熱の範囲内にいて熱と放射線で焼き尽くされようとしながらも脅威の再生能力で乗り切り、表皮の細胞が再生の際に元の形を再現できないエラーを繰り返しながら巨大化する様が書かれています。小説内の映画比で一番加筆の多い部分と言っても過言ではありません。が、やはりわたしの疑問であった「なにゆえ日本領であるはずの大戸島近辺に生息していた呉爾羅がわざわざビキニ環礁まで出向いたのか」に関する答えはありませんでした。ビキニ環礁って日本から3000km以上も離れてるんですよ。呉爾羅は大戸島にたびたび上陸していました。何度も上陸するほどということはその近くを縄張りにしていたということで、そこから3000kmも回遊するとは考えづらいです。大戸島が日本本土から見ればはるかにビキニ近海にあったとしても、距離数キロってことはないでしょう。まして「原爆実験」ですから範囲も水爆に比べれば限られていたはず。やはりわざわざアメリカが連れて行って実験材料に使ったとしか思えないんですが・・・。
もう一つのゴジラ東京上陸の際にこれに攻撃をしかけた戦車部隊。これは「本土決戦にと秘匿温存されていた新型の四号戦車」という説明があったのみでした。これで判断すると、一部の元軍人が旧帝国軍の秘密兵器を勝手に出撃させた、としかわたしには読み取れません。戦後すぐのマンガの展開みたいで格好よくも感じるのですが、すぐに出撃どころか砲撃もできる状態の戦車を4両も隠しておけるか? というのは大いに疑問。そこにも回答はありませんでした。

そして、この小説。著者は監督の山崎貴氏となっています。が、本当に本人が書いたかは少々疑問が残ります。一番気になったのが序盤で主人公が載っていた零式艦上戦闘機、略称零戦で知られる戦闘機ですが、これに「ゼロせん」ってルビが振られてるんですよ。戦後の人間からすればこの戦闘機は「ゼロせん」が定着していますが、少なくとも実際に使った人たち、終戦以前では「れいせん」と呼ばれていたはずです。ゼロは英語表記ですから軍では使わなかったでしょうし、映画の中では「れいせん」呼びでした。他に序盤で機銃を「20ミリ」と呼ぶのも疑問。多分劇中では「きじゅう」としか呼んでいなかったような。ちょっと覚えてないですが。まぁ「ゼロせん」は担当編集者が勝手に振った、20ミリは本来使っちゃいけない言葉だけど咄嗟に出てしまった、と納得することはできます。が、後半ではルビもへったくれもなく戦闘機を「ゼロ」と呼び、また登場人物のセリフの中に「ダメージ」という言葉が出てきたり・・・。後になるほど言い回しへの配慮が薄くなっているように感じます。少々大げさな演出表現を用いても時代考証は優先するイメージのある山崎貴氏っぽくない書き方で、別人が名前を伏せて代筆したのではないか、という気がしてなりません。まぁこの手のではよくある(と言われる)話ではありますけど。もちろん真実はわからないでですけどね。

そういうこともありまして、いくらほとんど映画準拠でも映画と小説は別物、中身は書き手の解釈であって、有力な説ではあっても答えではない、程度の扱いにしておいた方がいいと思うのでした。せっかく面倒くさい設定・理屈っぽさから解放されたゴジラ映画である「ゴジラ -1.0」なんですから各自の勝手な解釈という楽しみを「小説に書かれているからこれが唯一解、他は全部間違い」と思考停止してしまうことで塞ぐようなことはやめておきましょうね。


 
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ゴジラ -1.0で到達した点

2023-11-04 11:05:49 | 特撮・モンスター映画
※個人ブログゆえ、ある程度のネタバレを含んでいます

もはやただのドリンクとのセット販売になった劇場限定ゴジラ頭部

「ゴジラ -1.0」。本作は"ゴジラ70周年記念"と銘打たれています。しかし、「ゴジラ」第一作は1954年に公開された映画。現在は2023年ですから厳密に言えば69周年で70年目に入った、が現在なわけです。なので公開は一年早かったんじゃないかな? と思うところもあるわけで。ひょっとしたら「ゴジラ -1.0」は70周年の前座で2024年の11月3日には隠し玉としてもう一本極秘製作された新作が用意され、それが今回最後に特報の形で発表されたりしないかな? などと別の期待もしておりました。
ちなみに過去のゴジラでの〇周年では何かあったかと振り返りますと
・10周年
特に何もなかったようです。ただ、本年は春に「モスラ対ゴジラ」、冬に「三大怪獣地球最大の決戦」と二本もゴジラものが公開される珍しい年でした。しかもこの間の夏にも「宇宙大怪獣ドゴラ」が作られており、わずか一年で三本もの怪獣映画が本多監督の手によって作られる過密スケジュールの年であったため、内部としてはゴジラ10周年というより怪獣映画10周年という感じでやっていたのかも知れません。
・20周年
明確に周年を謳った「ゴジラ対メカゴジラ」が春に公開されています。とはいえ子供向け興業企画の東宝チャンピオンまつりの一本であることに変わりはなく、また予算が増えたということもなかったようで、あくまで宣伝文句だけだったようです。
・30周年
特にそういう宣伝文句はなかったようですが、この年は1984年度版「ゴジラ」が作られ、公開されています。宣伝としては30周年よりもゴジラ復活の方が大きく使われていました。
・40周年
こちらは記念作として読み方は20周年と同じ「ゴジラVSメカゴジラ」が作られました。あえて合わせたと思われます。ただ、製作公開は1993年であり、一年前倒しになっています。これは当時トライスター版ゴジラが1994年公開予定だったこともあって1994年は東宝としてはゴジラは空ける予定だったという事情があります。代わりに1994年特撮映画として「ヤマトタケル」が作られ、こちらがこの年のメインになるはずでした。が、トラゴジが結局延期になったため急遽1994年も「ゴジラVSスペースゴジラ」が作られることになり、特に周年記念は謳われませんでした。
・50周年
「ゴジラ ファイナルウォーズ」が"50年の集大成」として製作されました。が、周年を記念するより最後のゴジラ、という方が大きく取り上げられていました。
・60周年
何もありませんでした。代わりと言ってはなんですがモンスターバース第一作となるレジェンダリー版「GODZILLA」が製作公開され、「日本はこの節目に何をやってるんだ」と憤慨した覚えはあります。

70周年を今年の段階で謡っているのはモンスターバースの新作が来年公開のため、40周年の時のように前倒しにしただけ、という可能性はあります。もっともあちらの新作はゴジラの出番は少な目になりそうですが。


そろそろバックするための場所稼ぎは十分かな? 
事前に「ゴジラ -1.0」の内容の予想はしていました。が、ほとんど当たっていませんでした。驚くほど第一作「ゴジラ」の存在の完全否定、それ以前の時代世界で登場するゴジラとなっており、つながりは全くありませんでした。当たっていたのは核実験にさらされる以前のゴジラが登場したこと、前半はストーリーが怪獣の存在を前提とせずに一市民の視点で展開することくらいでした。

細かい点を言えば演出の都合と思われるシーンは目立ち、不満はあります。水爆実験以前の時代を描くがゆえに本作のゴジラは水爆の洗礼を受けることができず、熱線も使えないのではないかと考えていましたが、代わりに1946年のビキニ環礁での核実験の影響を受けた(らしい)ことが劇中の描写にあります。が、確か1946年での実験は水爆ではなく原爆だったはず。それならゴジラはそれほど強くないのでは・・・と思っていたらその通りで、1947年当時の攻撃でもある程度ダメージを受ける程度の耐久性しかありません。ただしダメージを受けても瞬時に再生する圧倒的生命力があり、その描写が明確に書かれているのでびくともしないというよりゴジラの倒しようのないタフさはむしろ分かりやすかったように思います。そこはいいんですが、序盤核にさらされる以前、まだ第二次世界大戦中のゴジラは大戸島に居ました。大戸島がどこにあるか不明ですが、名前からして日本の島です。なのにそのあとビキニ環礁で原爆実験にさらされている・・・。これはゴジラが日本の領海からわざわざビキニ環礁まで出向いて行って、核実験を受けてからまた日本に帰ってくる、という非常に不自然な行動をとったように見えます。ちょっとだけ大戸島は日本が占領した太平洋中央部の孤島に日本風の名前を付けただけで実際にはビキニ環礁近くの島、とも考えましたが映画内で、大戸島の住民によって「ゴジラ」と呼ばれていた怪獣の表記を漢字で「呉爾羅」と書く箇所があったところから見るとその可能性も低そうです。わざわざパワーアップのために出向いたのか、それともアメリカが実験のために捕まえてビキニ環礁に連れて行ったのか・・・? 原爆による巨大生物への影響を調べるため、ゴジラを捕獲してビキニ環礁に連れて行って原爆をぶつけた。当然死ぬだろうと思っていたらかえってパワーアップしたので手に負えなくなり、間違ってもアメリカ本土へ来ないように音波などで日本側へ誘導したのが日本近海へ現れた原因、とか考えると辻褄が合いそうで面白いかな、後付けですけど。
これ以外にも東京上陸したゴジラに砲撃する戦車はどこから出てきたのか? アメリカは軍事行動を起こすことでソ連を刺激することを恐れ(わたし説だとゴジラと核実験の関係を追及されることを恐れて不干渉を貫いたって解釈も)て動かないと説明されていたので、米軍の戦車ではなさそうですがじゃぁ当時の占領下の日本に戦車数台を勝手に動かす権利があったのか? という疑問もわきます。これもゴジラに反撃という手段で熱線を撃たせる理由を作るため、という演出上の都合で出てきただけだったように思えてなりません。今回のゴジラは熱線を撃つと自身にもダメージが跳ね返ってきて再生するまで連発できないようなので、理由もなしに撃つよりははるかにいいのですが。

と、いくつか気になるところはありました。が、それらをぶっ飛ばすほど"音"の使い方が良かった。海の音が少し変化するだけで湧き上がる恐怖感、猛烈な衝撃音、クライマックスに数秒間すべての音を消して、一瞬自分の耳が聞こえなくなったかと錯覚を起こすほどのメリハリ。何よりきわめて地に足の着いた貧弱な武装と作戦でゴジラに最後の決戦を挑もうとする際に流れる伊福部昭氏作曲によるSF交響曲! スタッフロールでは「ゴジラ」「キングコング対ゴジラ」「モスラ対ゴジラ」からの流用のように書かれていますが実際にはコンサート向けに編曲したSF交響曲が使われていましたが、この際の圧倒的高揚感が何より素晴らしい。自然と拳と顎に力が入ってからだが勝手に動いてしまい、何度も腕や足をそこらにぶつけてしまいました(大迷惑行為。まぁ他の観客はみんな後ろなので気づく人はいなかったと思います)。伊福部サウンドの流用がパロディに聞こえず、高揚感を湧き立てる感触は、それをやった初作品である「ゴジラVSビオランテ」いらいかも知れません。そういえば全体的な空気も背景とする時代は違いますがどことなく「ゴジラVSビオランテ」を感じさせました。
怪獣映画というより戦後を描いた時代劇を描きながらの怪獣の登場する映画、という流れでしたが退屈する暇はなく、なによりここ最近の国産ゴジラで不満要素だった"理屈っぽさ"による思考停止が全く感じられない、ようやく「シン・ゴジラ」の呪縛から逃れられることを今後期待させる、怖さと面白さに満ち溢れた映画でした。ただ、ビジュアルには寂しさも感じます。やってることがアメリカのゴジラと一緒なんですよねぇ。背びれを水面から上に出して泳ぐサメ映画みたいな泳法は過去の日本のゴジラでは1984版くらいしかやってなかったはずなのですが本作は多用。熱線を吐く際に尻尾からメーターのようにに発光するやり方もアメリカ式。一見過去の日本のゴジラに近いデザインですが細部の皮膚描写はやはりアメリカゴジラに近く、悪く言えばアチラのコピーのようにも見えます。もともとアメリカ式とは全く異なる進化の道を進んできた日本の特撮がアメリカのやり方を真似するだけになってしまった昨今の事情も反映してか日本ぽさがすっかり抜けてしまったように思われてなりません。
最後に、ラストのの再生を思わせる描写はちょっと蛇足な感はあります。これは「ゴジラVSデストロイア」時の田中友幸プロデューサーの意向を反映し、「(死しても)またゴジラは必ずスクリーンに帰ってきます 」の精神を受け継ぐためと思われます。

若干不満点多めの書き込みになってしまいましたが、これは鑑賞から一晩たって落ち着いてからの評価になりましたので鑑賞直後の興奮の反動が反映されてしまったがゆえ。上映中や直後は興奮しっぱなしで退屈する暇がなく、問答無用理屈抜きで楽しめた映画であることも事実です。鑑賞の際は音の良さを感じられる会場と座席で全身で感じることをお勧めします。

そうそう、来年の特報とか一切ありませんでした。
コメント (9)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ゴジラ(1954)4KリマスターBD来る!

2023-10-24 22:22:32 | 特撮・モンスター映画
間もなく新作も公開される映画ゴジラシリーズ第1作、「ゴジラ」の4Kリマスターが行われたのはだいぶ前、日本映画専門チャンネルですでに放送済なわけですが、ようやくそのパッケージ版が発売され、それが無事Amazonから届きました。いやー、実のところ早期に届くかどうかは危ぶんでいたんですよ。多分例のクロネコ便の問題とかが絡んでいるんだと思うんですが、「遅れるかも知れない」通知がすでにAmazonから来ていたりまして大変心配していたのですが、全く遅れることなく届きました。なお、今回購入したのは4K映像のUHD BDではなくあくまで4Kリマスター版の通常BDです。
映像の空気はやはりBSの日本映画専門チャンネルで放送されていたものとほぼ同じ。当然解像度もビットレートもBDの方が上なんですが、ことモノクロ映像に関していえば日本映画専門チャンネルは割といい仕事をしてくれているので両者を見比べても大きく見劣りはしない印象でした。その代わりにカラーではたまにやらかしますけど。新規のリマスターゆえに古い映像で見られた明滅はほとんど見られませんが、ちょっとノイジーな映像部分では縦のノイズが見られますし、おそらく記録フィルムを流用しただろう部分はかなりノイズが目立ちます。そこらへん少しチグハグさが目立って残念ですが、今回の映像、ノイズを除去しようとするあまりデジタルっぽくなってしまうのを極力避けようとしている感があります。なので余計な修正はなされていません。どうしても「空の大怪獣ラドン」のBDでワイヤーを消すという"やらかし"をやってくれた東宝さんだけに今回もそこらへん心配はしていたのですが大丈夫だったようです。まぁ「キングコング対ゴジラ」の団地のシーンで、窓ガラスにそこにいないはずの帽子をかぶった人物が映っている、という多分消しても気が付くやつはほとんどいないだろう箇所もそのまま残していましたので、もう"やらかし"はいちいちいう必要はないのかも知れませんが。なのでクライマックスのゴジラが苦し紛れに海面に姿を現して咆哮する場面の一つ前、画面下部の髪の毛みたいな傷まで残ってます。これは消してもいいとわたしでも思うんですが、万が一を恐れてかそれすら避けてました。いろいろ凝ってますね。それだけに「思ったほど変わってない」のはちょっと残念にも思います。と言っても「ゴジラ」は古い作品のわりに過去のソフト化でも画質は良い傾向にあったので変化が少ないのは仕方ないですね。

わたしにとっては本編以上の本命、特典映像として収録されている「怪獣王ゴジラ」ももちろんチェック。と言っても事前に情報は漏れていたのですが、収録されているのは正真正銘、日本で公開された逆輸入映画「怪獣王ゴジラ」の現存するポジフィルムをそのままHDでデジタル化して収録したものでした。これも日本映画専門チャンネルで放送したものと同じマスターのようで、フィルム破損部分の飛び方まで一緒です。傷の修正もほぼ行われていません。「ゴジラ」海外版である「GODZILLA KING OF THE MONSTERS!」のネガはあるわけですからそちらを使って復元する手段もあったのですが、これも「あえてやらなかった」んでしょう。個人的にはSDでもいいので講談社の「ゴジラ全映画コレクターズBOX」に収録された「GODZILLA KING OF THE MONSTERS!」+字幕版も収録してほしかったな、と思います。
それでも過去のBDよりも特典映像は多めでコレクション目的としては大変満足のいくものとなっていました。ぜひご視聴の際にはわたしが指摘するクライマックスの田辺博士の表情の変化や黙とうをささげる人々に背を向けて歩く山根博士の後ろ姿なんてのも確認していただきたいと思います。4Kリマスター版BDは全部ではないですが特典映像を見て何本か買う予定です。ついに完全な予告編を復刻できたという「三大怪獣地球最大の決戦」が楽しみ。あと、まだ予定はないですが既存映像だと暗くてイマイチはっきりしないシーンが多い「ゴジラの逆襲」を高画質補正したものを出してほしいですね。

 
コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする