録画人間の末路 -

人は記録をしながらじゃないと生きていけない

権利者団体記者会見の揚げ足を取ろう

2008-05-29 23:23:38 | Weblog
「ダビング10を人質になどしていない」「メーカーは“ちゃぶ台返し”だ」権利者団体が会見


ついに著作権管理団体の一方的記者会見が行われた。基本的に反論を一切受け付けないいいたい放題の内容のようで、ある意味いいくるめられるような、何を言っているのかわからないような発言ばかりなので、ツッコミを中心に翻訳する記事に徹した。
なお、この記者会見、案の定現時点までテレビ報道はまったくない。まだいくつも報道番組は残っているので結論を出すには早いが、やはりテレビに対するマイナスイメージにつながりそうな報道は行われないとみてよさそうである。

・権利者はダビング10を人質になどしていない(中略)「権利者の一存では決められない。検討委員会でゴーサインが出ないのはメーカーが一貫性のない行動を取るためで、権利者のせいではない」「そもそも権利者は、コピーワンスを策定する話し合いに関与していない」
少なくとも"こぴぃわんす"と発音される移動壱規制の問題が大きくなり、売り上げが落ちるまで、権利者・管理団体側から「話し合いに関与していない」という発言はな
かった。つまり、それで通せそうなときは口を閉ざし、いざ批判が大きくなればメーカーのせい、という子供でもわかるただの責任逃れ発言である。にもかかわらず、再三繰り返している点を見ると、"直接は"話し合いの場にはいなかったのだろう。ただし、メーカー側が自分らの製品の使い勝手や魅力を落とすような制限を自主的に行うことなど、ありえない。これはたとえばDVDやBDのコピーガードに、直接
映画関係者や番組作成者が話し合いの場にはいなかった、だから責任はないと言っているのと変わらない。彼らは「話し合いに関与していない」とは言っても、「要請はしていない」とは言っていない。これは該当記事内にある「ダビング10」はコピーワンスの緩和か」でも同じ。「要請した」という証拠もないが、「要請していない」という証拠もない。例え"別の件を人質にとり、規制を事実上要請した"としても、「事実上何の関与もしていない」と言い張ることは可能である。言葉どおりの意味として受け取ることはできない。
この場合の「メーカーの一貫性のない行動」というのは、一度ダビ10の導入を決めておきながら結局拒否した、ということであろう。ダビ10に期待しているのはメーカーだけである。理由なしで拒否するとは考えられない。もちろんダビ10のような規制でなく、もっと緩和されたEPN、あるいは完全規制撤廃を主張しているのでダビ10拒否、ならありうるがその点は一切触れられていない。権利者側は「ダビ10を人質
にとってはいない」とは言っているが、補償金をレコーダーに対して要求したことは認めている。それでダビ10との引き換えではないと主張するならば、それを無理やり解釈するなら「そもそもダビ10と補償金は不可分の一体であり、最初からひとつの問題である」と権利者側が思っていたからとしか考えられない。メーカー側から見れば当然別々の問題である。また、「課金対象機器の“拡大”という表現は誤っており、対象機器の“移行”が正しい」とあるが、これはメディアからの補償金の収入が減ったから、その分をレコーダーからの補償金で埋め合わせしろ、という解釈で正しいと思われる。

・消費者はそれでいいのか 「コンテンツを扱う機器を販売するメーカーが、コンテンツに関する負担から外れて手放しで利益を上げていく一方で、消費者は、私的複製にもすべて許諾が必要になり、コピーする自由がなくなる。消費者はこれを本当に望んでいるのか考えてほしい。補償金はネガティブなイメージばかりが語られるが、この事実が伝わっていない」
これまた何を言っているのかよくわからないが、今度は消費者を脅してきたのは間違いないようだ。この後にこんな発言がある。
「購入CDやレンタルCDの対価に私的録音の対価が含まれていれば、保存されている音楽のほとんどに対して、私的録音の対価が支払い済みとなる」と指摘していたが、菅原さんによると「レンタルCDにも購入CDにも、私的録音の対価は含まれていない」という。」
という発言と組み合わせることで、多少わかる。つまり「音楽CDは買ったかも知れないが、それで手にしたのは音楽CDそのものであり、その音楽を活用する権利金は入っていない。活用がしたければそのつど別に金を払え」ということだ。CCCDの考え方とまったく同じだ。権利者はCCCDとは無関係なような顔を当時していたように覚えているが、根本はCD会社とまったく同じだということがよく分かる。
「コンテンツとハードは互恵関係にあるはずなのに、メーカーはこれだけの利益を手にしながら、権利者を一切踏みにじってきた。自分さえよければ、コンテンツはどうなってもいいのか」
に至ってはどの口が言うのか、と問い詰めたくなる。このコンテンツの利益とは
「映像、音楽、テキスト、家庭用ゲーム関連商品」
とある。これらの利益をあげるのはCDやソフトのメーカーだ。「メーカー」と一括りに言うが、補償金問題の交渉対象はソフトメーカーではなく、レコーダーやデジタルプレイヤーを作るハードメーカーだろう。グループとしてソフトメーカーを持つハードメーカーも確かにあるが、一体とみなすのは横暴だ。と、いうより、意図的に混ぜることによって自分らがあたかも被害者であると見える演出がしたかったようにしか見えない。ただでさえ信憑性に欠ける数々の発言の正当性を地に落とす結果になった。「とあるメーカー」を特に批判している様子が伺えるが、名前を出さないことで上記の問題を突かれるのを恐れたためかも知れない。

・「“レンタル/購入したCDの支払い対価に私的録音の対価が含まれていれば、保存されている音楽のほとんどに対して、私的録音対価が支払済みとなる”とされてい
が、これは“含まれておりません”。逆に言えば、“含まれていないのであれば……”という風にも考えられる」
これはITmediaではなく、AVWATCHからの引用だが、これに関しては開いた口がふさがらないとはまさにこのことだ、というものすごい例になってしまった。
MIAUでも似たようなアンケートをとっている(当然わたしは送付済み)が、アンケートというやつは答えの一覧から自分の意見に一番近いものを選ぶものである。その意図はアンケートの選択肢一覧から解釈するものであり、ひとつの項目だけを見て自分勝手に解釈するものではない。少なくとも権利者団体の解釈より、わたしが回答者なら意図する「われわれが払いたいのは"本当の権利者への対価"であって、中間摂取団体への作り出した"活用権利金"ではない」という解釈の方が意見の総意に近いと思う。

と、2日連続で文句いいっぱなしのエントリーを書いてきたが・・・本当はこんなことばかり書きたくないのよ。もっと前向きな、楽しいことが書きたい。怒らせないで、楽しい気分にさせてくださいよ、"権利団体"さんがたよ。バカなことばかり言ってないで、さ。
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29 コメント

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Unknown (emanon)
2008-05-30 00:40:05
 え~と、なんと言ったら良いものか
ほとんど送られてきた書類を見ながら悪態を垂れ流しているのと変わらない印象ですね…
本当に顔をつき合わせてガチンコやっているのかと疑いたくなる内容
最終的にレンタル料値上げもしたいとも受け取れるし…

バ-カスカードと言い報償金と言い何処に消えているのやら
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補償金?いいよ払うから。 (N.Shim@)
2008-05-30 01:11:16
CPRMメディアには入ってるよね?
今はコピワンがあるから、複製したくても1枚しか出来ない訳で、その1枚分で満足ならもう払ってますヨ。
コピワン無かったりダビ10が行使されるなら、もう何枚かも買うかもしれないけど。1枚分でイイって言ったよね、君たち。
んでも収入思ったより少ないから、1枚しか複製できない条件のままでレコーダ内のHDDにも補償金掛けろってか。じょーだんも休み休み言ってくださいヨ?

HDDに補償金掛けるより、デジタル放送録画はCPRMメディアにしか書けないけど、複製制限はずっと緩い。当然CPRMメディアには補償金が掛かってる。
ってのか最適解で間違ってないと思うんだけどなぁ。
どーしてそれじゃダメなんだろ…。
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Unknown (krmmk3)
2008-05-30 01:13:59
>emanonさん
わたしのエントリーではかなり悪意をこめた解釈をしましたけど、リンク先の記事でもとてもこちらの疑問に答えたもの、とは言えない内容でしたからねぇ。もう消費者に理解を求める気はないんでしょうか。
小六禮次郎氏なんて「ゴジラ」でも音楽を担当したちゃんとした作曲家さんなのに、なんでこんなことばかり言うようになったんでしょ。代表格になると結局自分らの団体の収支が第一になるのかなぁ。嫌いになりそうです。
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Unknown (krmmk3)
2008-05-30 01:27:57
>N.Shim@さん
おっと、入れ違いでした。
ひょっとしたら、補償金の本命はレコーダーじゃなくて、iPodに代表されるデジタルプレイヤーの方かも知れないでよ、売れてるし。で、解釈として音楽が補償金ついて映像が補償金ついてないとおかしいから、ついでにレコーダーも対象に含めちゃえ、と。それなら規制緩和と補償金の拡大関係ないし・・・。でも、関係なくなると、ダビ10との関連性もなくなるし・・・ええい、やっぱりただの言いがかりですね。
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Unknown (vcinema)
2008-05-30 09:31:04
>小六禮次郎氏なんて「ゴジラ」でも音楽を担当したちゃんとした作曲家さんなのに、なんでこんなことばかり言うようになったんでしょ。

権利者側にまともな著作権マネジメントを考える事ができる人がいらっしゃらないからでしょう。幹部は小六禮次郎氏みたいに本職は作曲家の人がほとんどですからね。こんな人がこれからの音楽や映像のビジネスモデルがどうあるべきか考えられる訳がないって事ですね。
今後画期的なビジネスモデルをどなたかに提案されても理解することも難しいでしょうw
それと経産省、総務省、文化庁が綱引きばかりやっていて、汗をかいて双方納得のいく案を示せてないのもあるんでしょうね。
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Unknown (kant)
2008-05-30 10:45:02
多分
>ひょっとしたら、補償金の本命はレコーダーじゃなくて、iPodに代表されるデジタルプレイヤーの方かも知れないでよ、売れてるし。

これですね、権利者団体としてはそちらの収益のが大きいだろうしね

しかし会見見るとただのガキの逆ギレに見えますねぇ

話変わりますがyoutubeやニコニコで人気(?)のウッウッーウマウマってやつの原曲がオリコンチャートに
乗るみたいですねぇ
違法アップロードがいいとは言いませんがこういう現象もあるって事を権利者団体は少しは考えたほうがいいかもしれませんねぇ。
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開発側からすれば (blatt)
2008-05-30 11:03:05
あまりにもひどいです。生ぬるい目で見ていましたが今回の会見あまりにもひどすぎです。私は直接ではありませんが、開発者側の人間です。何この「メーカーが悪いですよ」みたいな会見。あまりにもひどいので普段は書かないような私情のこもったブログを書いてしまったほどです。
だいたいこぴぃわんすが失敗するのは当たり前です。だってコピー元を消しながら転送するんです。ふつーのどんな計算機のカット&ペーストだってコピーしてから元を消さないとデータ保証できません。こんな機能低下する物を飲むのは開発者側として情けないです。それを飲んだのにこの言われよう。勘弁して下さい。ここまでやられるといっそのことFriio同等製品に黄色B-CASを内蔵してばらまいてやりたくなります。
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幼稚園児の駄々みたい (tom)
2008-05-30 12:38:40
もう記事を読むのも面倒なのであまり見て無いです。
昨日のBSの夜中のニュースにはちょこっと出てましたね。

そんなにレコーダから金を取るのなら良い方法があります。
欲しい人だけにその権利を売るのです。
1、「ダビ10カード(携帯のプリペイド)」みたいなのを作ってコンビニでも置きます。
 (1000円ぐらいなら買うでしょ、欲しい人は)
2、NETかTELで「ビーカスカード番号」と「ダビ10カード番号」を入力して処理。
3、そのビーカスカードが入ってる時だけダビ10になる。

どうでしょ、この考え方。権利者団体の皆様ご一考下さい。

えっ?ipod?、持って無いから知らんがな・・・
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透明性 (名もなく清く美しくもなく)
2008-05-30 13:09:00
バカにした話だね。

補償金が必要なら、ダビング10なんて要らないね。補償金を認めるのは1円に至るまで収支を公開した場合だけだ。税金と変わらんのだから。
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内容はともかく (通りすがり)
2008-05-30 13:39:20
読み辛いので何とかしてください。

・文章の途中で改行を入れない
・自分の記事部分と引用部分は明確に分ける

せっかくの記事がもったいないと思います。
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