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経産省は非関税障壁B-CASを撤廃せよ

ダビング10が「複雑骨折」したとかいう岸博幸氏のコラムが、また批判を浴びている。この記事は多くの事実誤認と歪曲を含んでいるので、少しコメントしておく。彼は
権利者団体にとって、補償金の対象拡大とダビング10はセットである。私的利用で複製できる回数が増えると、コンテンツを創る側の所得機会に影響が生じるからである。しかし、家電メーカーの反発で5月29日開催予定の同審議会で決定できない可能性が高くなっており、その延長でダビング10も6月2日から実施できなくなった、と言われている。(強調は引用者)
と、あたかも家電メーカーがごねてダビング10が「複雑骨折」したかのように書いているが、これは逆である。先々週のASCII.jpのコラムにも書いたように、もともと総務省のデジコン委員会では、コピーワンスが消費者に不便だから変えようということで、EPNなどの提案も出たが、権利者側がコピーワンスに固執して譲歩しないため、ダビング10という中途半端な妥協案に落ち着いた。ところが文化庁が、これを「ダビング10と補償金は一体だ」という話にすりかえて文化審議会に持ち出し、ダビング10を「人質」にして補償金を通そうとしたから、問題が混乱しているのだ。

「権利者団体にとって」の一方的な思い込みが、なぜそのまま公的な合意になるのか。そういう協定文書があるなら、見せてほしいものだ。さらに何度もいうが、こういう主張の根拠となる「私的利用で複製できる回数が増えると、コンテンツを創る側の所得機会に影響が生じる」という定量的な証拠を出してほしい。そういう「影響」はないというのが経済学の通説である。まして「丼勘定」の補償金は権利者団体の運営資金に回るだけで、権利者のインセンティブにはならない。

「デジタルの普及に対応するための社会的コストをすべて消費者に転嫁」しているのは、こういう身勝手な主張を繰り返してまったく譲歩しない権利者団体とテレビ局であることは、デジコン委員会の議事録を読めば一目瞭然だ。そもそも無料放送にコピープロテクトをかけている国なんかない。B-CASは違法であるばかりでなく、政府をあげて取り組む地デジへの移行を阻害し、外国製テレビを締め出すWTO違反の非関税障壁だ。経産省がやるべきなのは、自由貿易を守るためにB-CASとコピーワンスを撤廃することである。

追記:ASCII.jpにも、この問題について書いた。
コメント ( 19 ) | Trackback ( 1 )
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コメント
 
 
 
岸博幸という人 (nob274)
2008-05-27 00:15:16
当該記事の筆者紹介を読むと明らかですが、彼は大手CDレーベルエイベックスの役員であり、本件に関する重要な利害関係者の一人です。記事の内容云々より、そのような人間が第3者かのような態度をとることが許せません。
私の個人的な望みは、私個人が好きなアーティスト(インディレーベルであっても)に、私が払った対価が正当に行き着くことです。彼のような大手レーベルの人間や、JASRACのような得体の知れない組織の懐を潤すために音楽を聴いているのではありません。
 
 
 
Unknown (Unknown)
2008-05-27 00:18:25
この手の議論が生じる度に提示され、そして(私自身の経験則も含めて)反論が難しい主張として、

『コピーで満足する人はオリジナルを買わないし、オリジナルを買う人はコピーが手元にあっても買う』

といった類のものがありますね。
上述の通り私自身も知人からDVDを借りて(おそらく著作権法違反でしょう)面白いと感じてDVDを揃えてしまったシリーズなどいくらでもありますし、そういった作品のいくつかは、いわゆる動画サイトへの違法アップロードによって目にしたものです。

著作権団体の持つ権利は、財産権的な性質のみを持つのですから、その財産を最大限に増加させるための方策を採るべきだと思うのですが、何故か日本の権利者達は真逆の方策がお好きなようですね。
 
 
 
補償金対象 (豆ゴハン)
2008-05-27 00:29:16
前からの疑問なんですが、権利者側はなぜ携帯電話端末に課金しようと言わないのでしょうか。実入りはiPodの比じゃないと思うのですが。
 
 
 
Unknown (Unknown)
2008-05-27 01:30:00
非関税障壁ととらえると米次期政権が民主党政権となった暁には、何らかのアクションがとられる可能性がありそうですね。
 
 
 
立ち読みマンガ (AU)
2008-05-27 01:43:37
本屋のマンガコミックに包装?がされていない頃はタダで(本屋のオヤジの視線を無視できる度胸があれば)マンガの単行本が読めました。 
小遣いが限られていた私はそうやって立ち読みをして厳選したなかからマンガを買っていましたし、ジャケ買いならぬジャケ読みから出会ったスバラシイ作品もありました。

現在マンガの単行本の売り上げが減っているとどこかで聞いたのですが、立ち読みの機会が失われたことと相関関係はないのでしょうか?

同じ相関関係がCDなどにも適応できそうで面白いと思うのですが飛躍しすぎでしょうか?
 
 
 
Unknown (Unknown)
2008-05-27 05:12:21
"ダビング10"も"B-CASとコピーワンス"もどちらかといえば、「どーでもいい」。著作権者にはそれなりに権利ってものがあるのだろうから、主張すべきところがあるならそうなさったらいい。
 ただ、"記録メディア一体型のプレーヤー"にまでその権利を主張するのはやめていただきたい。所有するCDを録音して使用したとして、「コンテンツを創る側の所得機会に影響が生じる」わけがないのは明らかであるからだ。
 「無理をとおせば、道理がひっこむ」
いいトシをした大人が、良識のあるふりをしてエゲツナイことしてると、世の中のモラルは低下していくばっかりだ。
 
 
 
過剰反応 (山師)
2008-05-27 05:59:50
> DVDを借りて(おそらく著作権法違反でしょう)

さすがにそれは問題無いでしょう。普通に考えてもDVDやCDを貸し借りしただけで犯罪になったらまずいですよ。
コピーしてばらまいたり、売ったりすれば「コピー」ライトを侵したことになるでしょうけど。

ここんとこ何年も著作権絡みの話題が多すぎて、過剰反応する人がなんだか目立つようになった気がします。
よく知らない人の中には、そういう反応を真に受けてしまう人がいるんですよね。


先日久しぶりに映画を見に行ったら、本編が始まる前に「盗撮、コピーは犯罪です」というCMをたっぷり見せつけられ、かなり気分が悪くなりました。一応サイトがあるようです→http://eigakan.org/legal/
しかし、映画を振興させる団体の2007年の主な活動が「映画盗撮防止キャンペーン」とは一体どういうこと?

受け手も送り手も本当にもうどうかしてますよ。
 
 
 
総務省エイベックス局 (enagoya)
2008-05-27 09:23:46
皆さん言われるように、岸さんはいつも中立的な立場みたいな顔をしてでてくるのが罪深いです。竹中さんが総務大臣の時の秘書官だったと思いますけど、当時は池田先生も消費者も、
http://www003.upp.so-net.ne.jp/ikeda/pcjapan16.html
のように「事業者の立場」を排して規制緩和を目指す竹中さんの手腕に期待していたわけです。実務を担当していたのがこんな業界の代弁者だったとは、とんだ獅子身中の虫でした。
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/eab1d9ccaf79716b1d2f79a0f47ece68
で書かれている通り、今でも害虫ぶりは健在のようですね。
 
 
 
Non-Tariff Barrier (池田信夫)
2008-05-27 09:26:58
DVDの地域コードについても「非関税障壁だ」という批判があります。オンライン配信の国籍差別もおかしいですね。B-CASはあまりにも露骨なNTBなので、日本の消費者がWTOに提訴する方法もあるかもしれない。
 
 
 
ごもっとも (コノハズク)
2008-05-27 09:44:17
本質は技術や障壁の問題ではなく、ただの「既得権益しがみつき」以外の何物でもないでしょう。それをあからさまに言わずに屁理屈をこねているだけです。

不法コピーによる被害額の算出にしたって、不法コピーとして流れている物が本来売れた筈の物だと計算しているのでは? 裏を返せば価値相応とは言えない高値を付けて売りまくっていたのが破綻したということでしょう。

DVDのリージョンコードを見れば明らかなように、著作権と言っても頒布権の問題です。日本からアメリカのamazonでDVDを買って真の著作者の損になる訳がない。損するのはそれを管理して儲けている連中です。この問題もその本質で全く同一。コンテンツをクリエイトしている真の著作者の主張ではない点を見据えなくてはなりますまい。
 
 
 
グレイプラン (セカンド・オピニオン)
2008-05-27 10:15:10
補償金を機器単位ではなく
定額制にすれば問題解決します。
 
 
 
Unknown (nob274)
2008-05-27 10:43:22
> 権利者側はなぜ携帯電話端末に課金しようと言わないのでしょうか。

表向きの理由は汎用品だから。裏の理由は、携帯ダウンロード(合法の)が権利者の大きな収入源になってきているので、キャリアを怒らせたくないから、でしょう。
でもiPhoneはだめだけど、iPod touchはOKという明確な理由はきっと説明できないですね
 
 
 
経産省 (Bataya)
2008-05-28 19:55:02
経産省は解体できると思うのですが、池田先生はどう思いますか?
他の省庁と重なっている分野や他の省庁に吸収してもらい、あとは独法や民営化さえも可能だと私は思うのですが
 
 
 
障壁? (高橋)
2008-05-29 23:10:22
ヒュンダイの3D地デジBSデジテレビも国産なの?
 
 
 
 (高橋)
2008-05-29 23:40:56
アスキーの方から引用します。

>B-CASカード1枚あたり(推定)3000円の「審査料」をとって審査を行ない、それに合格しないとB-CASカードを取り付けることができないのだ。

審査料は1枚いくらではなく1機種いくらではないでしょうか?
1枚いくらはテレビ局が払ってるぶんではないですか?
 
 
 
ヒュンダイ (池田信夫)
2008-05-30 01:15:17
これはユニデンのOEM。
 
 
 
Unknown (りょう)
2008-05-30 09:28:22
Microsoftの古川さんのブログに、すごい記事がありますね。救い難いNHKとB-CASの姿がわかります。
http://furukawablog.spaces.live.com/blog/cns!156823E649BD3714!4256.entry
 
 
 
マイナーですが (猪口冷斗)
2008-05-30 11:50:18
 ウエスチングハウスが作っていますね。
 ただし、37インチ以上の大型からは昨秋に撤退し(東芝との絡みか?)、現在は26インチ以下のみのようです。
 
 
 
もう妥協は無理でしょう (小生)
2008-05-31 10:17:33
岸氏には再び経産省へ戻り、才能を思う存分発揮され、業界をまとめて問題の解決をされたらよかろうと思うし、批判をするのであれば、役所時代のご苦労なり、経験なりを示した上でないと、今尻拭いをしている人たちが気の毒でならない。

補償金問題は録音録画だけの話じゃなく、昔から複写機その他に関わる重要な問題であり、
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/080/1110/08004121110004a.html
「今回の混乱を見ていると、家電メーカーも役所も情けない限りである。ダビング10も補償金の対象機器の拡大も、決して最善の策ではなく、当面の妥協策に過ぎない。それもまとめられないようでは、デジタル時代にふさわしい最善の策を探る次のステップに進むなど、望むべくもない。」と言い切るのはいかがなものか。決して、放送で妥協して済むレベルの話ではないと思う。

この場に及んで「妥協」を繰り返せば、将来に禍根を残しかねないからこそ、理性的な議論を期待したい。

個人的には、もし補償金を払えというなら、コピーソフトや動画投稿サイト等で商売している者が補償金を支払うべきであって、一般大衆はないかと思う。
 
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