異教の地「日本」 ~二つの愛する”J”のために!

言論宗教の自由が保障され、ひとりひとりの人権が尊ばれ、共に生きることを喜ぶ、愛すべき日本の地であることを願う。

③島薗進×小林節が読み解く日本会議 「宗教や思想を押しつける世界では民主主義なんて絶対に成立しない」

2016-06-22 23:35:24 | 日本会議  神道政治連盟

http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=4051217&media_id=141より転載

宗教学者・島薗進×憲法学者・小林節が読み解く日本会議 「宗教や思想を押しつける世界では民主主義なんて絶対に成立しない」

2016年06月19日 11:21  週プレNEWS

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写真立憲主義そのものを否定するような日本会議の動きは、この先も広がり続けるのか? 島薗進氏(右)と小林節氏が語る!
立憲主義そのものを否定するような日本会議の動きは、この先も広がり続けるのか? 島薗進氏(右)と小林節氏が語る!

安倍首相の悲願である「憲法改正」に大きな影響力を持つといわれる保守系市民団体「日本会議」。


彼らはなぜこれほどまでに改憲に熱心なのか? この国を誰から「取り戻し」、どのような「美しい国」を目指しているのか?

日本会議の背景にある「国家神道」や「新宗教」に詳しい宗教学者の島薗(しまぞの)進・東京大学名誉教授と、日本を代表する憲法学者で慶應義塾大学名誉教授の小林節(せつ)氏のふたりが「立憲主義の危機と宗教」について語る。

前編『自民党の改憲案は「個性を持った個人の尊重」という原則を捨て去ろうとしている』、中編『靖国参拝を“日本人なら当然の常識”と考える『日本会議』には歴史の反省がない」に引き続き、今回は日本会議をめぐる今後の動きに言及。参院選を前に、私たちが見極めるべきこととは?

■所属政治家が日本会議を脱会する動きも

―自民党の高村(こうむら)副総裁は憲法改正について「夏の参院選の主要な争点にはならない」との見方を示していますが、安倍首相は今年に入ってからも繰り返し「憲法改正」への強い意欲を示しています。


また、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」は、全国にある神社本庁の組織などを活用して「憲法改正を求める1千万人の署名運動」を展開して、多くの氏子などがこうした草の根運動に動員されているようです。今の憲法を敵視し、立憲主義そのものを否定するかのような動きは、この先も広がり続けてゆくのでしょうか?


島薗 超党派の保守系議員が所属する「日本会議国会議員懇談会」に所属する国会議員が200人以上を数えるなど、日本会議は日本の政治に大きな影響力を持っていますが、ここで気をつけたいのは、この会に所属する政治家のすべてが日本会議的な思想の持ち主とは限らないということです。

現実には日本会議を選挙のための有効な票田としてしか考えていない人たちも多い。すでに民進党の原口一博氏や長島昭久氏のように会を脱退する動きもあります。今後、日本会議が世間の注目を集めるにつれて、そこから離れていく議員が続出する可能性も高い。

その一方で首相補佐官を務める衛藤晟一(えとう・せいいち)氏や自民党政調会長である稲田朋美氏のように、宗教ナショナリズム的な思想と深く結びついた有力な政治家がいるのも事実です。我々はそうした人たちの思想がどこから来ているのか? 彼らが日本をどこに連れていこうとしているのか? 戦前の日本がたどったこの国の歴史や、彼らの宗教ナショナリズムの核となっている国家神道の成り立ちも振り返りながら、しっかりと見極めることが必要だと感じます。


小林 僕の言いたいことは非常にシンプルです。つまり、彼らはやれ「自主憲法制定」だの「美しい日本の伝統に戻れ」だのと言うけれど、日本をあの不幸な戦争に追い込んだ大日本帝国憲法下末期の「狂った20年」こそが日本の伝統だという。誰がどう考えてもまったく筋が通らない。

だったら、そうやってバカな戦争に負けたという歴史や、戦後、日本が一度も戦争をすることなく平和な国際国家として70年を過ごしたという事実も同じく歴史として勘定に入れなきゃおかしい。それもまたこの国の「伝統」の一部じゃないですか?

僕は生まれつき手に障害があって、子供の頃はそれを理由に友達からイジメを受けていたから、ずっと悩み、考え続けてきた。だから、人生を支える要素として宗教が人間にとって大切なものだということは否定しません。

ただし、宗教は個々人それぞれの生き方を支えるという意味で大切で、誰かから、ましてや国家から特定の宗教や思想を押しつけられるような世界では民主主義なんて絶対に成立しない。

人間はみな平等で、かつ、それぞれ違っていていいんです。それを守ってくれる大切な砦(とりで)が憲法であり、立憲主義だということを、もっと多くの人たちが理解してほしいですね。


(構成/川喜田 研 撮影/岡倉禎志)

●島薗進(しまぞの・すすむ)
1948年生まれ。宗教学者。東京大学大学院人文社会系研究科名誉教授。上智大学神学部特任教授、グリーフケア研究所所長。専門は日本宗教史。日本宗教学会元会長。主な著書に『国家神道と日本人』(岩波新書)、『愛国と信仰の構造 全体主義はよみがえるのか』(中島岳志氏との共著・集英社新書)など

●小林節(こばやし・せつ)
1949年生まれ。憲法学者、弁護士。慶應義塾大学名誉教授。モンゴル・オトゥゴンテンゲル大学名誉博士。元ハーバード大学ケネディ行政大学院フェロー。著書に『「憲法改正」の真実』(樋口陽一氏との共著・集英社新書)など。政治団体「国民怒りの声」を設立、参院選比例代表に出馬する考えを表明


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②島薗進×小林節「靖国参拝を“日本人なら当然の常識”と考える『日本会議』には歴史の反省がない」

2016-06-22 23:34:56 | 歴史  歴史歪曲

http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=141&from=voice&id=4049567より転載

宗教学者・島薗進×憲法学者・小林節 「靖国参拝を“日本人なら当然の常識”と考える『日本会議』には歴史の反省がない」

2016年06月18日 06:21  週プレNEWS

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写真憲法改正を背後で操る「日本会議」のルーツとは? 宗教学者の島薗進氏(右)と憲法学者の小林節氏が迫る!
憲法改正を背後で操る「日本会議」のルーツとは? 宗教学者の島薗進氏(右)と憲法学者の小林節氏が迫る!

安倍首相の悲願である「憲法改正」に大きな影響力を持つといわれる保守系市民団体「日本会議」。

彼らはなぜこれほどまでに改憲に熱心なのか? この国を誰から「取り戻し」、どのような「美しい国」を目指しているのか?

日本会議の背景にある「国家神道」や「新宗教」に詳しい宗教学者の島薗(しまぞの)進・東京大学名誉教授と、日本を代表する憲法学者で慶應義塾大学名誉教授の小林節(せつ)氏のふたりが「立憲主義の危機と宗教」について語る。

前編の『自民党の改憲案は「個性を持った個人の尊重」という原則を捨て去ろうとしている』に引き続き、戦前回帰的な考えを持つ「日本会議」のルーツに迫る!



■大日本帝国憲法の立憲主義的な考えが変わった転換点

島薗 今のお話に出てきた「日本人なら当然の社会常識」という言葉には、明治維新以降、戦前の国家神道がいかに国家主義、全体主義に結びつき、この国を不幸な戦争に導いたかという、重要な鍵が隠されています。

実は戦前の大日本帝国憲法でも「信教の自由」というのは認められていました。ところが、穴がある。天皇崇拝を中心とした「国家神道」は宗教とは見なされていなかった。そのため、国家神道は信教の自由の枠外で、「国民すべてが共有すべき当然の前提」として、教育勅語などを通じて人々に刷り込まれたのです。

小林 それと同じ仕組みが自民党の改憲草案にも組み込まれていますね。草案の前文で「日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち」と強調し、「国民統合の象徴である天皇を戴(いただ)く国家」と定義している。これを頭に置いて、草案20条〈信教の自由〉を見ると、第3項で国や地方自治体が宗教的行為を行なうことを禁じつつ、「ただし、社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては、この限りでない」と例外を設けている。

つまり、靖国神社の参拝は「宗教行為」ではなく社会的儀礼、あるいは百地氏(※)の言葉を借りれば「日本人なら当然の常識」なのだから、憲法に定められた政教分離の原則にも、信教の自由にも反しないという理屈です。だから、自民党改憲草案は怖い。
 ※日本会議系の「美しい日本の憲法をつくる国民の会」幹事長を務める憲法学者の百地章(ももち・あきら)日大法学部教授

島薗 これがまさに国家神道体制の復活につながりかねない。戦前の話に戻すと、「社会常識」として国民に広く刷り込まれた「宗教ナショナリズム」が、昭和に入ると次第にコントロールできなくなり、結果的に軍部の暴走に引きずられる形で日本は不幸な戦争に引きずり込まれてゆくことになる。

その大きな転換点が1935年で、それまでスタンダードだった「天皇も立憲君主として憲法に縛られている」という立憲主義的な考え方、これを「天皇機関説」と呼ぶのですが、それがこの年、右翼的な宗教ナショナリズムに後押しされた人々から激しく糾弾されて、「国体明徴(こくたいめいちょう)運動」に発展した。

小林 これで戦前の立憲主義は一気に崩壊してしまうことになります。日本の憲政史にとって一大事件です。

島薗 宗教史にとっても同様です。その過程で、「国体論」を取り込まない宗教団体は弾圧を経験しました。弾圧を逃れるため、あるいは国家神道を内面化した民衆のつくる空気に抗(あらが)えずに、天皇崇敬(すうけい)を軸とした国家神道の流れへと組み込まれていく宗教団体も多かった。

日本会議との強いつながりが指摘される「生長(せいちょう)の家」の教祖であった谷口雅春(まさはる)の思想も、そうした国家神道の影響を色濃く反映していて、そのため彼は戦時中も宗教弾圧の対象にはなりませんでした。

現在、日本会議を支える新宗教の多くがこの時期に生まれていることは注目に値します。彼らが戦前の体制に対して強い抵抗感を持たないのも、戦時中にそうした宗教弾圧を経験しなかったということがあるかもしれません。

―「教育勅語」に象徴される戦前の教育を受けた日本人が、天皇崇敬の「国家神道」に染まっていったのはある程度理解できる気がします。しかし、それとは全く異なる「戦後教育」を受けたはずの人たちが、なぜ「日本会議」のように戦前回帰的な流れへと取り込まれつつあるのでしょうか?

島薗 ひとつには「敗戦後、占領軍に押しつけられた憲法」が日本をダメにしたから大日本帝国憲法に戻るんだ、という考えがあります。太平洋戦争の末期、日本はすでに敗戦が明らかな状況にありながら、最後まで「国体の護持(ごじ)」にこだわり続けた。その結果、沖縄戦や特攻作戦、度重なる本土爆撃や2度の原爆投下によって多くの国民の命が失われることになりました。

戦後も天皇制は維持されたけれど、その「国体」が「米国に押しつけられた憲法」のせいで本来の形で護持されていないという不満が、現行憲法への敵意や戦前回帰的な考え方につながっているのでしょう。

小林 そういう考えの人たちに念を押しておきたいのは、主権国家・大日本帝国の決断として、ポツダム宣言にある終戦の条件、つまり民主主義的傾向の復活強化、人権の補強と軍国主義の除去を受け入れたということですよ。基本的人権を保障し、民主主義に基づく平和憲法を持つという条件を主権国家として受け入れているのだから、「押しつけ憲法」だというのは言い訳です。

それに、日本会議系の人々の「大日本帝国憲法に帰るんだ」という思い込みには、あの出来の悪い憲法が軍部の暴走を招き、この国を戦争の泥沼に引きずり込んだという反省がない。

島薗 もうひとつ迂遠(うえん)なようで見逃せないポイントがあります。それは世界的な「新自由主義」の広がりです。80年代の中頃から、市場経済の自由な競争を無条件に肯定する新自由主義が世界的に浸透する中、格差が拡大し、国民同士の信頼関係が失われ、人々の不安が増大した。

そうした社会の変化や心が虚(うつ)ろになった原因を「日本人が伝統的な価値観を失いつつあるからだ」とか「天皇崇敬という日本人のアイデンティティを失ったからだ」などと言われると、それになんとなく説得力を感じてしまう。そうやって多くの人たちが戦前回帰的な考え方になびいているという側面があります。

小林 先ほども触れましたが、まるで戦前の教育勅語のように改憲草案は道徳を押しつけてくる。例えば、草案24条には「家族は、互いに助け合わなければならない」と道徳観念に触れる規定がある。家族は大事かもしれないけれど、「法に道徳は踏み込まず」というのは近代法の大原則。道徳が法に入り込むと、思想統制の根拠になってしまう。

ところが、日本会議系の議員はそれをわかっていない。2013年に参議院の憲法審査会に参考人として出席した時、山谷えり子議員にこう言われたのを覚えています。「日本人は道というものを求めて生きてきた国民でございます。日本人はどう生きたら美しく生きられるかということをずっと考えてきたと司馬遼太郎さんもおっしゃっていた」と。

道って、要は道徳じゃないですか。確かに司馬小説を読めば明治期のエリートは凜々(りり)しく書かれている。しかし、その一方で明治憲法下では思想統制も激しかった。法と道徳の混同は危険ですよ。


※この続きは、明日配信予定! 日本会議が世間の注目を集めるにつれて、所属政治家が脱会する動きも? 

(構成/川喜田 研 撮影/岡倉禎志)


●島薗進(しまぞの・すすむ)
1948年生まれ。宗教学者。東京大学大学院人文社会系研究科名誉教授。上智大学神学部特任教授、グリーフケア研究所所長。専門は日本宗教史。日本宗教学会元会長。主な著書に『国家神道と日本人』(岩波新書)、『愛国と信仰の構造 全体主義はよみがえるのか』(中島岳志氏との共著・集英社新書)など

●小林節(こばやし・せつ)
1949年生まれ。憲法学者、弁護士。慶應義塾大学名誉教授。モンゴル・オトゥゴンテンゲル大学名誉博士。元ハーバード大学ケネディ行政大学院フェロー。著書に『「憲法改正」の真実』(樋口陽一氏との共著・集英社新書)など。政治団体「国民怒りの声」を設立、参院選比例代表に出馬する考えを表明


 

 

 

 


①島薗進×小林節 「自民党の改憲案は『個性を持った個人の尊重』という原則を捨て去ろうとしている」

2016-06-22 23:26:38 | 憲法

http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=4047593&media_id=141より転載

宗教学者・島薗進×憲法学者・小林節 「自民党の改憲案は『個性を持った個人の尊重』という原則を捨て去ろうとしている」

2016年06月17日 06:12  週プレNEWS

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写真憲法改正を背後で操る組織に、宗教学者の島薗進氏(右)と憲法学者の小林節氏が迫る!
憲法改正を背後で操る組織に、宗教学者の島薗進氏(右)と憲法学者の小林節氏が迫る!

「日本を、取り戻す。」というキャッチフレーズの下、第2次安倍政権が誕生してから間もなく3年半。この国の姿は急激に変わろうとしている。


この夏の参院選で安倍首相は、改憲勢力で3分の2以上の議席を獲得し、悲願の「憲法改正」に向けて、強い意欲を示している。


そんな中、にわかに注目を集めているのが、憲法改正の必要性を主張し、安倍政権に大きな影響力を持っているといわれる保守系市民団体「日本会議」の存在だ。その関連団体「美しい日本の憲法をつくる国民の会」は、日本会議の元会長などが役員を務め、改憲に賛同する1千万人の署名を集めようとしている。

安倍政権と日本会議はなぜこれほどまでに改憲に熱心なのか? この国を誰から「取り戻そう」としているのか? そして彼らが目指す「美しい国、日本」の姿とはなんなのか?

日本会議の背景にある「国家神道」や「新宗教」に詳しい宗教学者の島薗(しまぞの)進・東京大学名誉教授と、日本を代表する憲法学者で慶應義塾大学名誉教授の小林節(せつ)氏のふたりに「立憲主義の危機と宗教」について語ってもらった。

■自民党改憲案は、憲法が保障する思想、信教の自由を無視

―7月の参院選では安倍首相自ら「悲願」だと公言する憲法改正が重要な争点のひとつだと思いますが、そこで注目を集めているのが「日本会議」の存在です。ただし、日本会議については、その実体が明らかでない点が多いのも事実です。彼らをどう捉えるべきなのでしょうか。

島薗 『愛国と信仰の構造』(共著・集英社新書)で分析したように、私は日本会議を戦前の国家主義を支えた国家神道に極めて近い思想を持つ宗教ナショナリズム、つまり「国体論」に根ざした団体だと捉えています。

ここでいう「国体」というのは、「日本が天照大神から続く神の子孫であり、万世一系のつながりを持つ天皇家の下に途切れることなく続いてきた、世界にも他に例を見ない素晴らしい国である」という考え方で、これは今の安倍政権や日本会議がよく使う「美しい伝統の国柄」という言葉の背後に隠れているものです。

非常に心配なのは、そうした人たちが「国家主義」あるいは「全体主義的」な方向性をもって、今の政治勢力を支えているということです。今回、安倍首相がG7サミットを三重県の伊勢志摩で開催したことも、天照大神を祀(まつ)った伊勢神宮が国家神道における最高位の施設であるという文脈を見落としてはならないのです。


小林 憲法学者として日本会議について申し上げると、彼らの思想が端的に表れているのが自民党改憲草案です。『「憲法改正」の真実』(共著・集英社新書)でこの改憲草案をこと細かく点検しましたが、この草案の最大の問題のひとつが、戦前の教育勅語(ちょくご)のような道徳を憲法の下で押しつけていることにある。


「天皇」は神であり、日本はその天皇を頂く「神の国」であるという思い込みが、私が長く付き合ってきた自民党議員たちの中に根強くあります。それが日本会議の思想と共鳴してでき上がったのが改憲草案といえるでしょう。この草案は、現行憲法が保障する国民の「人権」を蔑(ないがし)ろにするものだし、「信教の自由」とも明らかに矛盾する。


だからこそ、彼らは日本国憲法を敵視し、早く廃棄したいと躍起(やっき)になっているのです。現行憲法を支える「立憲主義」や「民主主義」をも憎んでいます。

島薗 立憲主義の軽視という意味では、安保関連法制が象徴的です。


小林 僕のような憲法学者は、立憲主義は現代の国家において当然の前提だと思っていたけれど、それは大きな間違いでした。例えば、僕が「憲法とは国民ではなく国家や権力を縛るものです」と言うと、「先生、私はその憲法観を取りません」なんて平気で言い返す政治家がいる。ちなみにこれは今、総務大臣をやっている高市早苗という人の国会の場での発言ですけどね。


島薗 なぜ立憲主義かという点では我々、学者の間にも、ある種の油断があったというか、少し反省すべき点はあるかもしれません。

小林 では、立憲主義とはなんなのか。人間はそれぞれ違う顔、異なるDNA、異なる好き嫌い、思想や宗教を持っていても、皆平等でそれぞれに尊重されなくてはならないという原則の帰結です。つまり、すべての人がお互いの違いや個性を最大限尊重する社会をつくるための「国の形」、その基本的なルールを「憲法」という形で定めて、それを大切に守りながら暮らしていこうということなのです。

これは民主主義の原点ともいえるアメリカ独立宣言の精神でもあるわけです。しかし、僕がそういうことを言うと、やれ「アメリカかぶれ」だとか「それは西欧の思想だ」とか、しまいには「小林は裏切り者だ」みたいに人格攻撃が始まっちゃう。

でも、人間は生まれながらに個性的で等しく尊重されるべき存在である、というのは洋の東西を問わず近代的な憲法の本質ですよ。ところが、自民党の改憲案は「個性を持った個人の尊重」という原則を捨て去る条文になっている。


島薗 確かに、立憲主義という思想そのものは西欧から輸入されたものですが、人間ひとりひとりの人間性を尊重するという考え方は仏教や儒教にも、神道にも存在します。つまり、洋の東西を問わず、人類が過去のつらい経験を通じて学んだ普遍的な価値でもある。

小林 ところが、日本会議やその周辺にいる人たちは「日本人は皆、○○でなければならない」という奇妙な信念に固執している。例えば、日本会議系の「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の幹事長を務めている百地章(ももち・あきら、日大法学部教授)という憲法学者がいます。

以前、彼から電話があって「小林さん、終戦記念日に靖国神社や護国神社に参拝するのは日本人なら当然の社会常識ですよね?」と言うのです。「そんなことが常識とは思わないし、同意もできない」と答えたら、それ以来、口をきいてくれなくなった(苦笑)。

憲法が保障する思想や信教の自由を無視して、そういうヘンテコな「常識」を押しつけようとするのが、あの人たちの特徴です。

(構成/川喜田 研 撮影/岡倉禎志)

●島薗進(しまぞの・すすむ)
1948年生まれ。宗教学者。東京大学大学院人文社会系研究科名誉教授。上智大学神学部特任教授、グリーフケア研究所所長。専門は日本宗教史。日本宗教学会元会長。主な著書に『国家神道と日本人』(岩波新書)、『愛国と信仰の構造 全体主義はよみがえるのか』(中島岳志氏との共著・集英社新書)など

●小林節(こばやし・せつ)
1949年生まれ。憲法学者、弁護士。慶應義塾大学名誉教授。モンゴル・オトゥゴンテンゲル大学名誉博士。元ハーバード大学ケネディ行政大学院フェロー。著書に『「憲法改正」の真実』(樋口陽一氏との共著・集英社新書)など。政治団体「国民怒りの声」を設立、参院選比例代表に出馬する考えを表明


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【和歌山選挙区】 「アリは塊となって象を倒す」弱者の味方が出陣 (田中龍作ジャーナル2016.6.22) 

2016-06-22 23:16:40 | 参院選

http://tanakaryusaku.jp/より転載

【和歌山選挙区】 「アリは塊となって象を倒す」 弱者の味方が出陣

出陣式で生活保護裁判の原告から花束を贈られる由良候補。=22日朝、南海・和歌山市駅前 撮影:筆者=

出陣式で生活保護裁判の原告から花束を贈られる由良候補。=22日朝、南海・和歌山市駅前 撮影:筆者=

 和歌山の野党統一候補は弁護士の由良登信氏(ゆら・たかのぶ 共産、社民、生活推薦=64歳)だ。生活保護裁判や労働問題などを手がけてきた。「反貧困ネットワークわかやま」の代表でもある。

 弱者切り捨てのアベ政治に抗して立ち上がった由良弁護士の第一声を伝える必要がある・・・田中はその一念で、保守王国・和歌山を公示日の取材地に選んだ。

 けさ南海・和歌山市駅前で開かれた由良候補の出陣式には、生活保護裁判の原告(和歌山市内・男性70代)の姿があった。

 「裁判だけではどうしようもない(※)。根本(政治)から変えないといけない」。男性は由良候補を国政に送り出そうとする理由を語った。(※生活保護裁判は原告敗訴が続いてきた)

 由良候補は支援者たちを前に第一声をあげた。

 「大学の授業料がすごく高い・・・(奨学金の返済金を)払えない若者が次々と法廷の被告席に立たされているのを見た。奨学金の返済が始まると子供を作るのがすごく不安だという声も聞く。

 多重債務の背景にあるのは低賃金と非正規雇用だ。非正規雇用を一時的なものに限定する政策を採りたい。残業時間を規制し、人間らしく生活できるルールを作って行きたい」。

出迎えた県庁職員を前に政策を述べる鶴保氏。楽勝と思っているのだろうか? 大臣目前の余裕さえ見せた。=22日正午過ぎ、和歌山県庁庁舎前 撮影:筆者=

出迎えた県庁職員を前に政策を述べる鶴保氏。楽勝と思っているのだろうか? 大臣目前の余裕さえ見せた。=22日正午過ぎ、和歌山県庁庁舎前 撮影:筆者=

 与党候補は自民党参院政審会長の鶴保庸介氏(49歳)。選挙後の入閣が取り沙汰されている。

 NHK日曜討論(5日放送)で野党議員を睥睨(へいげい)している顔写真がネット上をかけめぐり、トレンド入りした。「上から目線」が不評を買ったのである。

 きょう正午過ぎ、和歌山県庁庁舎前に職員がズラリと並んだ。スーツ姿の自民党県議団(総勢は30人)も政権政党の参院政審会長を出迎えた。

 「天皇陛下が来たら、これだけ集まるかなあ」。軽口を飛ばす県議会議員もいた。これから権力の階段を上って行く国会議員に対する地元の期待だろう。

 ある会派の代表は「鶴保さんは次は大臣です」と声を張り上げた。

 和歌山市役所前でも尾花正啓市長はじめ市議会議員、職員が出迎えた。

 若者、老人、障がい者、生活保護受給者が駆けつけてくる由良候補の出陣式と違い、鶴保氏を出迎えるのは権力の一翼を担う人々だった。

 6年前民主党候補として鶴保氏と戦い12万票もの差をつけられた島久美子氏が次のように語った。

 「当時自分がアリで相手がゾウだと感じた。由良さんはアリです。アリが塊となってゾウを足の裏からひっくり返そう」。

 塊となったアリが象を倒す戦いが日本中で始まった。

安倍官邸のゲッベルス役、世耕弘成官房副長官(鶴保氏の右隣)も後ろから見守った。=22日正午過ぎ、和歌山県庁庁舎前 撮影:筆者=

安倍官邸のゲッベルス役、世耕弘成官房副長官(鶴保氏の右隣)も後ろから見守った。=22日正午過ぎ、和歌山県庁庁舎前 撮影:筆者=

~終わり~

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憲法9条改正に賛成の可能性示す おおさか維新(テレ朝ニュース2016.6.20)

2016-06-22 22:55:28 | 憲法

憲法9条改正に賛成の可能性示す おおさか維新
(2016/06/20 19:00)

 おおさか維新の会の馬場幹事長は、憲法9条の改正について「国民投票に掛けられる可能性を否定するものではない」と述べ、賛成することがあり得るという考えを示しました。

 おおさか維新の会・馬場幹事長:「憲法9条の改正を我々から持ち出す気はありません。しかし、他党との駆け引きのなかで、やはり9条の改正が国民投票に掛けられる可能性を否定するものではありません」
 馬場幹事長は、憲法9条について「今すぐに改正する必要性はない」という考えを強調しました。そのうえで、仮におおさか維新の会が掲げる教育の無償化や統治機構改革のための憲法改正と9条の改正が同時に提案された場合には「賛成する可能性を全否定するものではない」と述べて、9条の改正も含めて賛成に回る可能性を示しました。