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国民の支持があれば野党はまだ徹底抗戦できる(小沢一郎)

2015-07-20 18:05:11 | 政治 選挙 

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/161879

安保法案を潰す秘策を話そう/小沢一郎
<第3回>国民の支持があれば野党はまだ徹底抗戦できる

小沢一郎氏(C)日刊ゲンダイ

 

 政府与党は、安保関連法案を結局、強行採決し、可決した。これだけ国民の批判が盛り上がってきている時に、与党単独で採決するとは。私が与党なら、政権にとってさらなるイメージダウンのリスクを負うようなことはしない。もう少し知恵のある国会運営のやり方があるはずだ。
 しかし、安倍首相はそれでもやった。野党や国民の批判を、どうせ大したことないとナメてかかっているのだろう。

 安保法案が衆院を通過しても、諦めてはいけない。世論調査の結果を待つまでもなく、これから安倍首相に対する批判はますます強まると思う。

 国会用語で「荷崩れ」と言うが、強行採決によって野党は参院の審議にも即座には応じないだろうから、安保法案の審議は簡単には進まない。加えて、参院の自民党は衆院ほど統制がとれていない。おそらく、参院では採決できず、60日ルールで法案が衆院に帰ってくることになる。60日というと、9月14日だ。

 14日から会期末の27日まで、ちょうど2週間。ここで野党が徹底抗戦して頑張れるかどうかだ。野党がその気になれば、不信任案を連発することで、衆院での再可決を阻止できる。不信任案は他のすべての法案より審議が優先され、趣旨説明には時間制限がない。ひとりで3日でも4日でもしゃべり続けることもできるから、2週間でも必ずしも採決に十分というわけではない。安保法案を成立させないために、少数野党でも、まだできることはある。

 ただ、少し気がかりだったのは衆院での採決における野党の戦い方だ。日本の将来を左右するような法案なのに、安倍首相は無責任な態度で、いい加減な説明を繰り返した。私の常識からすれば、こんな状態では到底、採決に応ずることはできない。だから生活の党は本会議の冒頭から欠席した。だが、民主、維新、社民、共産の4野党は本会議の採決で討論をしてから退席した。討論で自分たちの意見を表明した方が得策だということだが、討論というのは採決の前提条件であり、採決行為の一場面でしかない。討論して反対しておいて、退席というのは、私から言わせれば、筋が通らない。これでは、反国民、反歴史的な政府との徹底的な闘争には結びつかないのではないか。

だからこそ、ここから先、野党が徹底抗戦できるかどうかは、国民のみなさんの支持にかかっている。国民が野党の抵抗をバックアップし、それを行動で示して欲しい。10万人、20万人という国民が国会や首相官邸を埋め尽くし、法案反対の意思表示を見せてくれれば、野党は頑張れるし、自民党内もガタガタし始める。

 ここまで高まった国民の意識は、法案の衆院通過でも薄れることはないと思う。この先も野党はできるだけ力を合わせてやっていくことを模索していかなければならない。ぜひとも、みなさんの応援をお願いしたい。

 

 


久米宏が安保法制強行採決に激怒! 安倍首相を「セコい」「独裁者」と批判

2015-07-20 17:47:54 | 平和 戦争 自衛隊

LITERA(リテラ) http://lite-ra.com/2015/07/post-1302.html

久米宏が安保法制強行採決に激怒! 安倍首相を「セコい」「独裁者」と批判

2015.07.19
 
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『久米宏 ラジオなんですけど』公式サイトより


 衆院特別委員会と衆院本会議で強行採決された安保法案だが、テレビ局の報道は腰砕けもいいところだ。NHKにいたっては特別委での強行採決当日、国会中継すらしなかった。これは一説には籾井会長直々の指示だという話すら囁かれている。

 他の民放も批判が鈍い。短くデモの模様を流して茶を濁し、国民の不安の種である戦争法案の問題点にはさほど尺をとらないでいる。比較的がんばっているのはTBSの『NEWS23』、そしてテレビ朝日の『報道ステーション』ぐらいか。しかし、それでも『報ステ』キャスター・古舘伊知郎の頼りなさに、オールドファンからは“あの人”の再登板を望む声も根強い。他でもない、前身番組である『ニュースステーション』のキャスター・久米宏である。

 そんな久米が、昨日18日、TBSラジオ『久米宏 ラジオなんですけど』で、安保法案と安倍首相を苛烈に批判した。番組冒頭、久米は、安倍首相が新国立競技場計画の見直しを宣言したことについて、こう語った。

「国立競技場、先週まで『もうこれでやらないと間に合わない、このままいくんだ』と総理大臣が言ってたんですけど。こういうのを“舌の根も乾かないうちに”って言うんでしょうね。ゼロから見直し、もう一回コンペから見直すんだって。こんなことで人気を回復しようとするセコい考えが許せないんですけど」

 久米は、新国立計画見直しは目くらましだと一刀両断し、そのうえで安保法案について、こう断じるのだ。

「そんなことより、今週あの安全保障関連法案というのが衆議院の委員会で強行採決、そして本会議で賛成多数で成立ということで参院に送られるわけです。まあ、日本が民主主義国家であるかどうか、それは僕、ひとつ疑問ではあるんです。戦争が終わってね、アメリカさんに(民主主義を)押し付けられたわけですから。日本人が自ら獲得したものではないので、ちょっと本物ではない可能性はあります。が、とりあえず民主主義国家で、とりあえず民主主義国家の総理大臣たる者がですね、ほとんどの憲法学者がこれは憲法違反だと言っている法案を成立させようってことですから。これは、本質的に憲法改正と同じなんですよ。改正するということと実質的に同じなので、それを民主主義国家の総理大臣が勝手に強行していいのか、という大問題があると思うんですね。本来なら憲法改正というのは国民投票をしなければいけないんですけど、それもしない! 最低でも、僕は衆議院を解散すべきだと思うんです」

 

 日本に民主主義の精神が根付いているかはさておいても、仮にも民主主義国家の建前を崩さないのならば、なぜ、主権者である国民を無視して、首相の一存で事実上の改憲ができるのか。解散して国民に信を問うのが当たり前ではないのか。そう久米は言っているのである。

「こないだの去年の12月には、一応、アベノミクスというなんだかわけのわからないものを争点にして、衆議院の解散総選挙をやったんです。これは、最低限、国会議員というのは国民の代表ですから、そういう民主主義システムに日本はなっているわけですから、どうも、かなりの国民が疑問をもっているような法案を成立させようという場合には、これを争点にして衆議院の解散総選挙をするのが常道だと思うんです。(しかし安倍首相は)それはする気がない。でも、国立競技場は見直すというね。このわけのわからない考え方がね、納得できないんです」

 久米の主張は至極まっとうだろう。安倍首相は今年5月の会見で、「先の総選挙においては、昨年7月1日の閣議決定に基づいて、平和安全法制を速やかに整備することを明確に公約として掲げ、国民の審判を受けました」とうそぶいたが、昨年の衆院解散時の会見では冒頭ではっきりと「この解散は『アベノミクス解散』であります。アベノミクスを前に進めるのか、それとも止めてしまうのか。それを問う選挙であります」と明言していた。事実、安倍首相はメディア出演時に“安保のアの字”も言わなかったではないか。にもかかわらず、先の選挙で信を得たなどと言い張るのはまったくの詐欺である。

 久米は、番組でこの点を強調し、さらに安倍首相を強い言葉で弾劾する。

「つまり、衆院の解散をしないで、総選挙でこの法案の是非を問わないってことは、はっきり言って、こんなこと言うのもなんですけど、独裁者ですから。完全に。民主主義国家のリーダーは独裁者になってはいけないんです」

 安倍晋三は独裁者である──久米がそう評すのは、いま、世論ははっきりと“戦争法案にNO”を示しているのに、民主主義国家の宰相であるはずの人間が、まったく聞く耳をもたないからだ。レトリックでもレッテル貼りでもない、論理的で説得力のある説明だが、続けて久米は、安保法案の本質と、安倍首相の性質について、こう述べるのである。

「たぶん、将来子どもたちが、戦場で戦死する可能性が減りはしないんです、この法案ができると。減りはしない、どちらかといえば増える方向にいくのは間違いないんですけど、なんでこんな法案を安倍さんは通すのかというと、一部の人は、『そりゃあれだよ、安倍ってのは子どもがいないからさ』って言っているぐらいのレベルになっている。あれは子どもがいないからね、子どものことなんか考えていないんだから、だからああいう法案をつくるんだ、という噂が出るほど評判が落ちているってことを、安倍さんは考え直したほうがいいですよね」

そして久米は、再度「独裁者、なっていいの?」と念を押すのだ。

 久米がここまで言うのは、相当に、安倍政権に怒りをもっているということだろう。しかも、その表現はいずれも真っ当で、安倍首相の本質を鋭く突くものだ。

 だが、ネット上では、この久米の発言になぜか反発する声が上がっている。

「独裁者というのは、安倍首相に対する人格攻撃だ」「安倍憎しでも使っていい表現悪い表現がある」「子供がいないことを攻撃するのは卑劣だ」「完全に老害カテゴリーに入ったな」

 これらの見解は、一見良識的に見えるが、権力に対する批判と個人同士の会話のマナーを完全に混同している。そもそもメディアや国民には、権力の暴走を監視し、批判する権利がある。権力の暴走に対しては、どんな言葉を使ってもいい。いや、むしろ、メディアはもっと激しい言葉を使ってでも、それを止める必要がある。

 しかも、久米は安倍首相がなぜ「独裁者」と言えるのかについて論理的に説明している。これのどこが人格攻撃だというのか。

 “安倍首相には子どもがいないから”という言い回しについても同様だ。仮に、これを久米が自身の意見として表明していたとしても、政策に反映される可能性のある為政者の家族関係や性格についての論評はどんどんやるべきだし、久米は、第三者の評判を紹介することで、安倍首相の子どもや孫の世代への想像力のなさを批判したにすぎない。

 また、久米自身に子どもがいないことを考えると、その言葉は「安倍首相のせいで、子どもがいない人間が差別される」と言っているようにも読める。それを「人格攻撃」「卑劣」などと言うのは、明らかに安倍首相を擁護するためとしか思えない。

 安倍首相は、その独裁傾向をますます強めてきている。今回の安保法案強行採決はその先鞭であり、近い将来、国民世論を無視した戦争へと舵をきるのはもはや決定的とさえ言える。

 むしろ、メディアに必要なのは、今回、久米が口にしたような激烈な批判なのだ。いま、現役でテレビに出ているキャスターやコメンテーターも、この程度の批判くらいは口にしてもらいたいものである。
小杉みすず

 


若者デモに感謝!若かった我々が生まれ変わってデモ隊となって立ち並んでいるようだ(元予科練)

2015-07-20 17:06:57 | 案内 情報 デモ 集会 逮捕
元予科練の方の新聞投稿記事を紹介します。ツイッターで見かけました
                                                  (想田 和弘

 

U.C.D @ILLMATIC_UCD 7月19日
この記事を読んで、朝からボロ泣きした。これほどSEALDsやってよかったと思うことはない。 
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SHELLYが「安保法反対デモ」肯定で、ヘイト攻撃受けるも堂々反撃! 肝の据わり方がスゴい

2015-07-20 16:57:34 | 差別 レイシスト カウンター

リテラ http://lite-ra.com/2015/07/post-1306.html

SHELLYが「安保法反対デモ」肯定して安倍支持ネトウヨからヘイト攻撃受けるも堂々反撃! 肝の据わり方がスゴい

2015.07.20
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ネトウヨを一蹴したSHELLYにあっぱれ!(「SHELLY OFFICIAL WEBSITE」より)


 バラエティでよくその「ど根性」や「男前っぷり」をいじられているタレントのSHELLYだが、あれはテレビ用キャラではなく、素顔も相当に「男前」な女であるらしい。そのことを証明したのが、ここ数日にわたって展開された炎上騒動だ。

 始まりは安保法制が強行採決された15日、彼女がツイッターでこんな投稿をしたことだった。

「この時代にこんな事が有り得るの?とテレビを見ながら不信感しかないです」「この状況を戦争を経験された世代はどう感じるだろう?」
「そんな中、今も雨の中デモを続ける方々は本当にかっこいいと思います。若い世代が立ち上がってる事を誇りに思います。日本、どうなっちゃうんだろう。」

 さらに、「デモっていいことなんですかね」というファンからの質問に、こう答えたのだ。

「もちろん! デモができる事も、デモをしてでも伝えたい事がある人がいることもいいこと。」

 ほとんどの芸能人が炎上を恐れて政治的発言を控えるなか、ここまではっきり自分の意見を言い切り、しかも、日本では偏見の強いデモに対して敢然と擁護してみせるというのは、かなりの肝の据わり方といっていいだろう。

 が、SHELLYがほんとうにスゴいのはここからだった。

 SHELLYの発言は「保守速報」などの悪質まとめサイトでも取り上げられてツイッターは大炎上。安倍親衛隊のネトウヨたちが次々と彼女に絡んできた。

 ネトウヨたちのやり口はいつものパターンだ。

「メディアは嘘を報道しています。デモを影で主導しているのは社会主義者で、既に証拠写真もネット上で出回ってます。」「デモを主導しているのは、社会主義独裁を目指す共産党系の人々です。シェリーさんも報道機関にいる左翼シンパに騙されたのです。」といったデモ=左翼党派の陰謀というデマに、「平和平和と言いながらアベシネとか平気で言っちゃう人等のデモがカッコイイとでも思ってるの?」「人を傷つけるのは決して肯定できる事ではないと思います。今回のデモで何人の方が怪我して逮捕されたかご存知ですか?」と、道徳的なふりをして国民が声を上げるのを抑え込もうとする説教。

 ファンのふりをして、「Shellyの事大嫌いになりました もう二度とテレビで顔見たくない」「ファンを辞めます」という嫌がらせ。「生まれて初めて、テレビ番組、そのスポンサーに抗議電話をしようとおもいました。暇なので、明日はヒルナンデスのスポンサーに抗議電話します ^^」という脅しもあった。

 さらに、聞くに堪えないようなヘイトスピーチも浴びせられた。

「馬鹿ヤンキー女、日本から出て行け。」
「外国籍のハーフタレントは黙ってろ。」
「ホント、何様のつもりでしょうか。厚顔無恥ですね、参政権も無いくせに、日本国で仕事を貰って生きているくせに。」
「貴女は米韓ハーフなんですか? 一滴の日本人の血も流れていない人が、日本どうなっちゃうんだろ?余計なお世話です。無責任な外人にご心配頂かなくて結構。」

 現在、Wikipediaの彼女の項目までこうしたヘイト攻撃によって荒らされている。普通のタレントやアーティストならここまでやられると発言をやめ、場合によっては、ツイッターを閉鎖したり謝罪コメントまで出したりしてしまうのだが、しかし、SHELLYはまったくひるまなかった。それどころか、逆に見事な返しで、安倍親衛隊のネトウヨたちを次々撃破していったのである。

まず、政権批判を「ヘイトスピーチ」にすりかえ、デモを攻撃するネトウヨならではの論理には、「いや、デモに対する偏見がひどすぎる…」「なんだかな…デモで自分の考えを発信して国を変えようと頑張ってる人がいる事をかっこいいと言ったらなんでこんな捉え方になるんだろう?ヘイトスピーチではなくフリースピーチを評価したんですよ。」と一蹴。

「米軍が日本を守ってるんですよ。米国が攻撃されたら助けるのは当たり前ですよね、、、ショックです、、、」という安倍首相が乗り移ったような意見にも、「いやいや、アメリカはダントツで世界一の軍事力を持ってる国です。日本の自衛隊員はアメリカの問題のためには命を落としたくないと思いますよ。」と、冷静に返答して論破。

「ハーフかなんかで「色眼鏡」で見えるのか知らないが」というリプにも、「ハーフがみんな同じ考えって考えが偏見(笑)育つ環境や状況で人それぞれですよ。」と切り返した。

 さらに、圧巻だったのは「母親が韓国人」というデマにもとづく「在日」認定への対応だ。

「ねーねー、なんでうちの母が韓国系になっちゃったの??チャプチェが作れるから?(笑)浅はか過ぎてなんにも言えない…」と、ギャグをまじえつつ、反撃。

 そして、こうした時に軽妙な、時に本質をつく反論によって、ネトウヨたちは徐々に退散しつつある。

 そう考えると、今回のSHELLYの対応は見事というほかはない。自分が一度、主張したことから逃げずに、批判には正面から対応し、ヘイト攻撃にもあくまで明るく、しかしきちんと反撃する。その肝の据わり方は、我々も見習いたいと思うほどだ。

 それに比べて、ネトウヨたちのなんと醜悪なことだろう。時代錯誤の国家観に根拠のない陰謀論論理のスリカエ、さらにはハーフであることをネタにした差別、デマにもとづく「在日」認定……。

 しかし、こういう連中がいまの日本の政権を支え、そして政権の側も根っこのところでは彼らと通じているのが現実だ。今後、こうした圧力はますますひどく、卑劣になっていくだろう。

 民主主義を崩壊させないためには、私もたちも今回のSHELLYのように、彼らの圧力にひるむことなく、戦争への「NO」を言い続ける必要がある。
(小杉みずず)

 

 

 


安倍政権:国民を置き去りにした状態で法秩序の連続性を破壊する行為を法学的には「クーデター」と呼ぶ

2015-07-20 16:34:54 | 政治 選挙 

http://www.videonews.com/marugeki-talk/745/

2015年7月18日

あれは安倍政権によるクーデターだった

石川健治氏(東京大学法学部教授)
マル激トーク・オン・ディマンド 第745回(2015年7月18日)

 あの日、日本でクーデターが起きていた。そんなことを言われても、ほとんどの人が「何をバカな」と取り合わないかもしれない。しかし、残念ながら紛れもなくあれはクーデターだった。そして、それは現在も進行中である。

 安倍政権は7月15日の衆院の委員会で安全保障関連法案の採決を強行し、翌16日には本会議を通過させた。国会の会期が9月27日まで延長されていることから、仮に参院が法案を議決しなくても、衆院通過から60日後には衆院の3分の2の賛成で法案は可決する。衆院では自民、公明を合わせると3分の2以上の議席を得ていることから、16日の衆院の通過を持って、事実上法案の成立は確実になった。

 これは一見、民主主義の正当な手続きを踏んでいるように見えるが、決してそうではない。

 今回日本の政治に起きたことは、後世にまで禍根を残すことになるだろうと東京大学法学部教授で憲法学者の石川健治氏は言う。

 その理由として石川氏は今回、安倍政権が、憲法を改正しないまま、長年にわたり憲法によって禁じていると解されてきた集団的自衛権を容認する法解釈と法整備を強行したことによって、「法秩序の連続性が切断された」と考えられるからだと説明する。

 元々安倍政権は憲法9条を改正して、日本も軍隊を持ち戦争のできる「普通の国」にしたいという野望を抱き、それを公言して憚らなかった。しかし、それを実現するために必要な国民の支持がないことがわかると、今度は憲法改正を困難にしている憲法96条を改正し、現行の3分の2から国会の2分の1の賛成で憲法改正を発議できるようにしたいと言い出した。

 憲法の条文を改正する手続きを定める憲法96条は、憲法の中では他のすべての条文よりも高い位置にある。それを壊す行為は憲法そのものを転覆させる行為であり、これを法学的には「革命」と呼ぶが、「革命」が成功するためには国民の支持が必要だ。しかし、日本国民は憲法96条の改正を支持しなかったため、「革命」は失敗に終わった。

 ところが安倍政権は今度は、国民を置き去りにしたまま、政府レベルで法秩序の連続性の破壊を図った。内閣法制局長官を集団的自衛権容認論者にすげ替え、集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、政権与党のみで法案を国会を通してしまった。国民から支持を受ける「革命」に対し、国民を置き去りにした状態で法秩序の連続性を破壊する行為を、法学的には「クーデター」と呼ぶのだと、石川氏は言う。

 

 石川氏は今回日本が失ったものの中で、最も大きかったものは「理屈が突破されたこと」だったという。

 参考人として呼ばれた3人の憲法学者にことごとく違憲の烙印を押され、憲法学者はもとより世のほとんど学者も、歴代の内閣法制局長官も、こぞってこの集団的自衛権を認めるこの法案は違憲であると主張していた。こうした主張に対する政府・与党側の反論は、集団的自衛権とは何の関係もない砂川事件の最高裁判決で集団的自衛権は禁止されていないという、およそ屁理屈にもならないようなお粗末なものだった。また、今回の法整備によって日本の抑止力が高まるという政府の主張も、根本的な部分に誤謬があることも明らかになった。

 理屈の上では安保法制をめぐる安倍政権の主張は完全に敗北していた。しかし、にもかかわらず論理的に破綻している法案が閣議決定され、7月16日の衆院通過で事実上の成立が決まってしまった。

 理が通らない政策が数の論理によって押し切られてしまったことで、日本が「法秩序」を失ったことの影響は大きい。今後、この法案がもたらすであろう個別の問題を考えただけでも目眩がしそうだが、より高次元で日本の法秩序が破砕されたことの影響は恐らく安全保障分野だけにとどまらないだろう。われわれの多くが、日本という国の政治の頂点で、「理」が「無理」によって押し切られるところを目撃してしまった。これによって戦後われわれが大切に育て、守ってきた「公共」空間が壊されてしまった。

 ここに至るまで安倍政権は、解釈改憲を実現するために内閣法制局長官をすげ替えたほか、アベノミクス実現のための日銀総裁人事にも介入した。また、メディアへの圧力を強める一方で、NHK会長人事にも介入してきた。こうした行為もまた、憲法96条改正の通底するところがある。最終的に法秩序を破壊するような行為を行う上で、まず邪魔になる障害を取り除くために首相の権限をフルに活用する。法律で委ねられた権限を行使しているだけとの見方もあろうが、そもそもそうした権限が内閣に委ねられているのは、そうした個々の機関の暴走を防ぐためであり、首相の権力を私物化するためではない。それを自身の権力や権限の拡大のために利用する行為は、権力の目的外利用であり、権力の濫用に他ならない。

 今回の安保法制の事実上の成立で日本が失ったものとは何なのか。今後その影響はどこで表面化してくるのか。われわれはそれにどう対抗していけばいいのか。知性主義も立憲主義も否定したまま自身の目的達成に向けて突っ走る安倍政権と、われわれはいかに向き合っていけばいいかを、ゲストの石川健治氏とともにジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。