夢の入口(3)

2021-05-26 09:18:11 | 童話
その夜、向うから友達がノートと2本のエンピツを持ってやって来た。
僕も自分の手を見ると、両手にノートと2本のエンピツを持っていた。
『やぁ、また夢の中で会ったね。』

『僕は、家の玄関の夢の入口から入って来たけれど、君はどこから入って来たの?』
『僕は洋服ダンスの中からだよ。』
『よし、二人ともノートに書いておこうよ。』
『うん、そうだね。』

『あれっ、僕のノートは文字がいっぱいで書くところが無いや。』
『僕のノートも文字がいっぱいだ。』
『今度は前の時よりもっと、しっかりと覚えておこうね。』
『ああ、いいよ。君も忘れないでね。』
『君こそ忘れたらダメだよ。』
『二人とも夢の入口を覚えたから、夢から出るよ。』

そして、目がさめたが、二人とも夢の入口は覚えていなかった。
『僕の持っている携帯電話は録音機能があるから、今度はこの携帯電話を持って行って、夢の入口が分かった時に録音しようよ。』
『うん、良い方法だね。』
その夜、向うから友達が携帯電話を持ってやって来た。
『やぁ、また夢の中で会ったね。』

『僕は、物置の夢の入口から入って来たけれど、君はどこから入って来たの?』
『僕は2階に上がる階段の下の夢の入口からだよ。』
『よし、録音するよ。夢の入口は、物置と2階に上がる階段の下だよ。』
『録音できたかどうか聞いてみようよ。』
『そうだね、録音されていないと困るからね。』
『夢の入口は、物置と2階に上がる階段の下だよ。』
『わぁ、録音されている。』
『今度は大丈夫だね。』
『二人とも夢の入口を録音できたのを確かめたので、夢から出るよ。』

そして、目がさめて、携帯電話の録音を聞いてみた。
『グウ~、グウ~、グウ~。』
『あれっ、お父さんのイビキだ。』
『本当だ、おじさんのイビキだ。』
『おかしいなぁ、イビキ以外は、何も聞こえないや。』
『そうだね、何も聞こえないね。』

今は、自分達の家で二人別々に寝て、夢の入口を探している。夢の入口が見つかったら教えあうことにしているが、二人とも入口はまだ見つかっていない。

おしまい

夢の入口(2)

2021-05-25 09:27:13 | 童話
向うから友達がノートとエンピツを持ってやって来た。僕も自分の手を見ると、両手にノートとエンピツを持っていた。
『やぁ、また夢の中で会ったね。』
『僕は、机の下の夢の入口から入って来たけれど、君はどこから入って来たの?』
『僕は食堂のテーブルの下からだよ。』
『よし、二人ともノートに書いておこうよ。』
『うん、そうだね。』

『あれっ、僕のエンピツは芯が折れていて書けないや。』
『僕のエンピツも芯が折れていて書けないや。』
『しかたがないので、夢の入口の場所を、しっかりと覚えておこうね。』
『ああ、いいよ。君も忘れないでね。』
『君こそ忘れたらダメだよ。』
『二人とも夢の入口を覚えたから、夢から出るよ。』

そして、目がさめたが、二人とも夢の入口は覚えていなかった。
『今度は、エンピツが1本折れても大丈夫なように2本持って行こうよ。』
『そうしようよ。今度は大丈夫だよね。』
そして、二人はノートと2本のエンピツを枕元に置いて寝た。

夢の入口(1)

2021-05-24 09:27:42 | 童話
ある日、僕は夢の事を書いてある本を見つけた。その本には、
『みんなで楽しく遊んでいる時に目がさめて、夢が終ってしまうことがあるよね。それは、夢の出口から出て来たからなんだ。夢には入口もあるんだけれど、夢の出口から出てくると、みんな夢の入口の場所は忘れてしまうから、夢の入口はだれにも分からないだよ。』と書いてあった。

それで、僕は友達と二人で夢の入口を探すことにして、友達が僕の家に泊まった。
そして、夢を見ることが一番多い場所を、家の中で探すことにした。
僕達は夢の中に入ったらお互いに教えることにして、家の中の別々の場所で寝た。
最初の日は二人とも夢を見なかった。

次の日、向うから友達がやって来る夢を見たので、僕は友達に夢を見ている事を教えてあげた。すると、友達も夢をみている事を教えてくれた。

朝になって、目がさめた時に二人とも夢の中でお話しをした事は覚えていたが、夢の入口がどこだったのかは覚えていなかった。
『夢の中で君に会ったのに夢の入口のことを覚えていないのは残念だね。』
『そうだね、もう一度夢の入口を探しに行こうよ。』
『うん、二人でまた行こうか。今度はノートとエンピツを持っていて、夢の入口が分かった時に、ノートに書いておこうよ。』
『そうだね、良い考えだね。』

そして、二人はノートとエンピツを枕元に置いて寝ることにした。

石の飛行機(6)

2021-05-23 09:30:24 | 童話
よし、僕は明日、ジェット旅客機の隣りにロケットを作ろう。そして、火星へ行こうと考え、ワクワクしながらロケットをスケッチした。

『そうか、ロケットはコンピュータと宇宙センターで操作するので宇宙飛行士は操縦しないんだ。』
そして明日は朝ご飯を食べたらすぐに川原へ行けるように、明日の宿題も終わらせた。
ロケット、ロケットとワクワクしながらお風呂に入って早く寝た。朝起きると、お母さんがサンドイッチを作ってくれていた。
『今日は火星まで行くんでしょ。でも遅くなったらだめよ。それから、水筒のお水で手を洗ってから食べるのよ。』『はぁ~い。』
みんなで朝ご飯を食べてから、僕は自転車で川原に来て、昨日のスケッチを見ながら石を並べたが、ェット旅客機以上に時間がかかった。

『できた、やっとできた。』
『燃料注入完了、酸素の圧力異状無し、宇宙飛行士が乗り込みます。』
『座席のベルトの固定も終わりました。宇宙センターどうぞ。』
『こちらは宇宙センターです、機体も燃料も問題有りません。これから打上げの秒読みを開始します。10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、発射。補助エンジン点火。順調に上昇しています。補助エンジンを切り離しました。』

『地球がだんだん小さくてなっていく。今、月を通り越しました、すごいスピードです。』
『火星が見えてきました。どんどん近付いていきます。宇宙センター、僕は今日、遅くなるとお母さんに怒られるので、火星には着陸しないで、火星を一周したら帰ります。』
『こちらは宇宙センターです、了解しました。気を付けて地球に帰ってきてください。』

地球が見えてきて、川原が見えてきた。
『宇宙センター、これからロケットを逆噴射して着陸しまします。』
『了解しました。』
ゴーとエンジンが逆噴射した。
『着いたから、さあ帰ろう。』

夕飯の時にお父さんに、
『本物のロケットに乗りたいなぁ。』
と言うと、お父さんが
『宇宙飛行は全部英語を使うので、英語を勉僕しないといけないよ。』と言った。
僕は宇宙飛行士になるために英語を勉強している。

  おしまい

石の飛行機(5)

2021-05-22 09:42:50 | 童話
『ねえ、お父さん、なぜ遠い所へはジェット機じゃないと行けないの?』
『高い所は空気が薄く、抵抗が少ないので早く飛べるし、燃料が少なくて済むからだよ。だけれど空気の薄い所はプロペラ飛行機は飛べないのだよ。』

『お父さん、抵抗って何?』
『空気が飛行機を押し戻そうとする力だよ。』
『ふぅ~ん。』
『ねえ、お父さん、火星へはジェット旅客機で行けるの?』
『宇宙には空気が無いからジェットエンジンでは飛べないよ。』
『じゃぁ、何で行くの?』
『燃料と、それを燃やす酸素と両方を積んだロケットで行くんだよ。』

『ふぅ~ん。よし、明日の日曜日はロケットを作って火星へ行こう。』
僕は昼から本でロケットを調べた。大きい燃料タンクが2本付いていて、大きいエンジンが3本付いている。しかし、人間が乗る所は小さくて狭いんだなぁ。