飛べない妖精(2)

2018-04-25 05:58:05 | 童話
『お母さん、さっきの映画の妖精は本当にいるの? 絵本の中にも出ているでしょ。』
『そうねぇ、どうかしら。』
『わたし妖精に会いたい。』
『そうねぇ、会えるといいわね。』

妖精の私の前を歩いている親子が話しているが、私が妖精だとは気が付かない。
私は羽根も無く、空を飛べないが、人を幸せにすることができる。

『ええ、妖精は本当にいるのよ、私が妖精よ。』
と言いたかったが、妖精の国では、自分から妖精だと言うことができないのです。

ある日、妖精の私が歩いていると、お母さんが子供を連れて歩いていて、その子供が持っていたボールがコロコロと転がって行き、子供がボールを追いかけて走って行ったのです。
その時、自動車が走って来て子供にぶつかりそうになったのです。
私は飛べないので時間を止めて、子供を抱えてお母さんの手に渡した。

『危なかったわね、急に走ったら危ないでしょ。だけど、誰が助けてくれたのかなぁ?』
『それは私よ。』と小さくささやいた。
そして、『気を付けてね。』と小さな声で付け加えた。

妖精の私が公園にいる時に、男の子が二人でケンカを始めてしまった。
大きくなったら野球選手になるか、サッカー選手になるかでケンカを始めてしまったのでした。
私は、二人の男の子にソッと息を吹き掛けました。そうすると、二人は何でケンカをしていたのか忘れて、また仲良く遊び始めたのです。
子供のケンカは、すぐに仲直りさせる事ができるが、国同士の大人のケンカの戦争は、妖精の私にも一人では力が足りない。
どうしょう? そうだわ、私の歌声でみんなをやさしい心にしてあげればいいんだわ。
でも、世界には何十億もの人がいて、一人ではできないので、みんなを呼ぼう。世界の平和のために、私の歌声を世界に届けよう。

『ねぇみんな、やさしい心になりましょう、静かな心になりましょう、そして、素晴らしい世界にしましよう。そうすると、妖精は私だけではなく、みんなが妖精になれるのよ、飛べない妖精になれるのよ。
私は、みんなが妖精になれるのを、何百年でも待っているわ。』

飛べない妖精は、澄んだ歌声でみんなが妖精の心を持つのを待ちながら、いつまでも歌い続けているのです。

         おしまい

飛べない妖精(1)

2018-04-24 07:04:02 | 童話
私は小学生のときに、いつも音楽の勉強で先生にほめられていました。
音楽以外の勉強は普通かな。だから大きくなったら歌手になりたいと思っていたけれど、急に妖精になりたいと思いだしたの。いや、妖精になると決めたの。
お母さんに『どうして妖精になろうと決めたの?』と聞かれても自分でも分かりません。

そして、図書館で妖精になる方法を調べましたが、妖精になる方法を書いた本は有りませんでした。
だけど、北極に近いフィンランドという国に妖精がいると書いている童話を見つけたの。

だから、私はお母さんに『わたし大きくなったらフィンランドへ行くの。』と言いました。
するとお母さんは、『外国へ勉強に行くのは素晴らしい事だけれど、日本でいっぱい勉強しないと外国へは行けないわよ。』と言ったので、わたしは一生懸命に勉強することにしたの。

そして、私は中学、高校、大学そして大学院で勉強をして、あこがれのフィンランドで歌の勉強と妖精になる勉強をすることができるようになったのです。
歌の勉強は努力して、もっともっとうまくなりました。
だけれど、妖精の勉強は日本人には難しかったです。
私は5年かかって、やっと妖精になれることができました。
だけれど、大きくなって妖精になったので羽根は有りません。だから空は飛べないのです。

『あなたはだぁれ?』
『私はフィンランドから来た妖精よ。』
『本当に妖精なの?』
『ええ本当よ。』
『あなたには羽根が無いし、大人でしょ。』
『ええ、そうね、妖精も大人になるのよ。そして大きくなると羽根が無くなるのよ。』
『ふぅ~ん。それでは今すぐ、ここで虹を出してちょうだい。』
『ええ、いいわよ。』
妖精の私が手を左から右へ大きく振ると、女の子の目の前に虹が現われた。
『わぁすごい、本当に虹だわ。』
『きれいでしょ。』
『うん、すごくきれいね。』

運転手さんはヒーロー(3)

2018-04-23 05:47:23 | 童話
ねぇ、お父さん、宇宙ロケットには運転手さんはいるの?
『う~ん、その答は難しいなぁ。ロケットはね、コンピュータでコントロールされて飛んでいるので、普通は操縦しないけれど、危険になった時は人間も操縦できるようになっているんだよ。』
コントロールて何?
『どっちの方角に行く時は、どのエンジンを何秒間働かせるか、みたいな事をロケットを打上げる前にコンピュータで計算しておくことだよ。』
ふぅ~ん、すごいんだね。
『今まで失敗したことが有るから、ちゃんとコントロールできるようになっているんだよ。』
では僕も失敗しても大丈夫だね。
『だけれど、失敗した事を覚えていて、次からは失敗しないようにする事が大切なんだよ。』
うん、わかった。

それから、運転手さんはまだいっぱいいるよね。
お父さんも旅行に行く時やスーパーへ買い物に行く時に運転手さんになるよね。
だから、運転手さんは、みんなみんな、ヒーローだよね。

僕も遊園地へ行った時に自動車に乗るけれど、その時は、僕もヒーローになれるんだ。
えっ、ヒーローじゃないの、誰かの役にたっていないからヒーローじゃないのか。

僕は大きくなったら、どの運転手さんになろうかなぁ。
全部カッコいいから迷ってしまう。
そうだ、全部の運転手さんになればいいんだ。一生懸命に勉強すれば、全部なれるよね。

      おしまい

運転手さんはヒーロー(2)

2018-04-22 10:40:36 | 童話
バスの運転手さんはね、会社へ行く人や学校へ行く学生さんを電車の駅まで乗せて行ってあげて、夕方からは駅からみんなの家の近くまで乗せて帰ってくれるんだ。
雨の時も、雪の時も毎日乗せてくれるんだ。
そして、車庫でバスが安心して走れるように点検しているんだ。だからバスもみんながヒーローだね。

トラックの運転手さんはね、すごく重たい荷物を工場や港から、工場や建物を建てている所へ運んだり、お引っ越しの荷物を運んだりするんだ。
一人であんな重たい荷物を運んでいくからヒーローだね。

あっ、飛行機の運転手さんを忘れていた。えっ、飛行機は操縦士さんて言うの。
あんな大きなジェット旅客機を二人で操縦して、みんなが喜んでいるから操縦士さんもヒーローだよね。

自衛隊さんが救助に使っているブルドーザーは力持ちだよね。
困っている人を力一杯助けているからすごいよね。そうか、ブルドーザーは道路を作ったりもしているんだ。
このブルドーザーを運転している自衛隊さんもヒーローだよね。

あとね、空港には飛行機を引っ張る車も有るんだよ。
お父さんと空港に行った時に見たんだけれど、大きな旅客機を引っ張っていたんだ。だから、その自動車の運転手さんもヒーローだよね。

それからね、僕が田舎へ行った時に耕耘機という乗り物を見たことがあるんだ。
それは田んぼや畑を耕すんだって。おじさんが乗って動かす大きいのと、乗らないで押していく小さなのがあるんだ。
お米や野菜を作るのに使うんだよ。お米や野菜が作れないとみんなが困るので、耕耘機の運転手さんが一番のヒーローかな、きっとそうだよね。

運転手さんはヒーロー(1)

2018-04-21 09:46:25 | 童話
僕は、運転手さんはヒーローだと思う。
電車の運転手さん、船の運転手さん、消防自動車の運転手さん、救急車の運転手さん、バスの運転手さん、トラックの運転手さん、
いっぱい運転手さんがいるんだね。

僕の友達は新幹線の運転手さんがカッコいいと言っている。
スピードが速いし、あんなにいっぱいくっつけた新幹線を一人で運転しているから、カッコいいよね。

だけれで、僕の田舎では一両で走っているんだよ。
田舎だからお年寄りが多いから、運転手さんはお年寄りが電車から降りる時に、荷物を持ってあげたり、手を引いてあげたりするんだよ。
僕はこの運転手さんもカッコいいと思う。みんなのヒーローだと思う。

船の運転手さんはね、えっ、船は船長さんて言うの。小さい船は船長さん一人で運転できるけれど、外国へ行くような大きい船は、エンジンを動かす人や、進む方角を決める人や、遠くの場所とお話しをする人や、乗っている人の食事を作る人や、多くの人が一緒になって船を動かしているんだね。
それでは、船長さん以外の人も全員がヒーローだね。

消防自動車の運転手さんは、すごいよね。火事で燃えている所へ行って、みんなで火事を消すんだね。熱いから大変だと思うんだ。
そうか、消防自動車は、運転手さん以外もみんなで火事を消すから、みんながヒーローだね。

救急車の運転手さんは、病気やケガで動けない人を病院へ運ぶんだね。
困っている人を助けるからすごいよね。運転手さん以外の人と二人で協力してやっているので二人がヒーローだね。
君は知っているのかなぁ。救急車は消防署にいて、火事の時も消防自動車と一緒に行き、火事でケガをした人を病院に運ぶこともするんだよ。