おしゃべり畑(2)

2018-04-16 07:02:58 | 童話
冬の寒い日の朝、学校へ行く時に畑から話し声が聞こえてきました。
『今朝はすごく寒いね、霜柱が立っているよ。ブルブル、ブルブル。早く太陽が昇らないかなぁ。』
すると、畑の近くの家の中から
『もう少しでお日様が出て、暖かくなるから我慢していてね。』
と声が聞こえてきました。
太陽が昇ると温かくなるんだよね。

春の少し暖かくなって来た日の朝、学校へ行く時に畑から話し声が聞こえてきました。
『温かくなってきたね。』
『そうだね、お花も少しずつ咲き始めたね。』
『もう少したつと、きれいなお花でいっぱいになるね。そうするとチョウチョがたくさん飛ぶようなって、この畑がにぎやかになるね。』
『そうだね。みんなの心がウキウキしてくるね。』
『お~い、チョウチョさん、みんなとお話しをしようよ。』
『だめだよ、今はお花の蜜をもらうのに忙しいからね。たくさんの蜜をもらったら、またこの畑に戻って来るから、その時にいっぱいお話しをしようね。』

春は畑も気持ちいいし、忙しいんだね。お話しもいっぱいだね。

そして、また夏の暑い日の朝、学校へ行く時にあの畑から話し声が聞こえてきました。
『昨日は晴れていて暑かったので、お水を飲みたいね。』
『そうだね、畑の土がカラカラになってしまったからね。』
『畑の持ち主さんに頼んでみよう。』
『ねぇ、持ち主さ~ん、お水をちょうだい。』
畑の近くの家の中から
『ちょっと待ってて、すぐお水をあげるから。』
と聞こえてきた。
そして、また畑から
『ナスビやキュウリがたくさん実ったよ、みんなで食べていいよ。』
と聞こえてきました。
すると、畑の近くの家の中から
『いつもありがとうね。』
と声が聞こえてきました。

去年と同じだ、畑もみんなも元気なんだね。
来年の夏も同じかな?
きっと同じだよね。

   おしまい