北極のペンギン(2)

2018-04-27 07:08:22 | 童話
僕は近くの冒険が終わってお父さんやお母さんが待っている所へ帰っている時に、昭和基地へ寄って観測隊員の人から南極以外の事を教えてもらいました。

その時に観測隊員の人から北極の氷が溶けて、白熊が困っている話を聞きました。
そして、その原因が熱帯の森林伐採で炭酸ガスの吸収が減り、地球の温暖化が進んで北極の氷が溶け始めていて海の水位が上昇していて、小さな島の国が水没し始めていることも教えてくれました。

僕は帰ってからお父さんとお母さんに北極へ行って白熊とお話をする計画を話しました。
「北極はずっと遠くにあるので気を付けて行きな。」
「気を付けてね。」
と言って、お父さんとお母さんが僕を見送ってくれました。
そして、僕は今までよりも、もっともっと羽を動かして、どんどん速く泳いで行くと、クジラさんが
「どこへ行くの?」と言いました。
「北極だよ。」
「北極は遠いって、みんな言っているよ。それに、暑い所の海を越えて行かないといけないよ。」
「うん、南極越冬隊員の人に教えてもらったよ。行って来るからね、バイバイ。」
もっと泳いでいくと海の水が暖かくなってきたので水の上に顔を出して周りを見ました。
すると、島が見えて人間が海水浴をしていました。

「随分遠くに来たんだね。」
「あの白い貝のような建物は、越冬隊員の人から聞いていたオペラハウスだ。」
そして、もっともっと泳いでいくと、白いライオンの口から噴水が出ているところに来ました。
「これも越冬隊員の人から聞いていたマーライオンだ。
今度は遠くに桜島が噴火している所に来ました。そして、しばらく泳いでいくと遠くに富士山が見えてきて、もっと泳いでいくと高い鉄塔が見えてきました。
「あれが越冬隊員の人が言っていたスカイツリーなんだ、大きいなあ。」
そして、水の上に顔を出していると暑いので水の中に潜ったままでどんどんと泳いで行きました。

「あれっ、今度は海が狭くなったね。」
僕が水から顔を出すと広い建物の中の丸いプールの中にいました。そして、たくさんの子供達がイルカのジャンプを見て手をたたいていました。
僕もイルカと同じようにすごいスピードで泳いでジャンプをしましたが、イルカのように高く跳び上がることはできませんでした。だけれど、たくさんの子供達が僕にも大きな拍手をくれたのでうれしかったです。
そして、イルカのトレーナーの人が、イルカにあげる魚を僕にもくれました。お魚は大きくてお腹がいっぱいになりました。
僕は、「ごちそうさま。」と言って外の海に出て、また一生懸命に泳ぎました。すると、海の水がもっと温かくなってきて、僕よりも大きな魚がたくさん泳いでいました。
「大きいなあ、お父さんから教えてもらったマグロはこのお魚なんだね。たくさん泳いでいるし、すごいスピードだね。速く泳げる僕でも追いつかないや。あ~あ、泳いで行ってしまったよ。」