グー、グー、グー(4)

2020-11-10 09:18:54 | 童話
僕が目をさますと、映画のスクリーンの中では、ロケットから大きなアンテナを出して、電波の来ている方角と距離を測っていた。
クルーたちが
『この方角のまま、あと3日飛ぶと電波を出している星に着くね。』
『そうだね、このまま流星に気を付けて飛んで行こう。』
と話しをしていた。
そして、3日後にロケットの船長が
『順調に飛行しているので、あと5時間で目的地に着きます。』
とクルーのみんなにアナウンスした。
『あと5時間か、やっと着くね。』
『どんな星で、どんな生き物がいるのだろうかなぁ。』

『間もなく着陸します。』
ロケットの外に出るので、みんな宇宙服を着た。
ロケットの外へ出て周りを見渡したが、赤茶色の土と岩以外は何も見つからなかった。
そして、宇宙用の自動車で少し高くなった丘の上に登った。すると、丘のふもとに宇宙船が有るのを発見した。
『あれはっ、XY星の探査に成功し、5年前に地球に帰還する時に流星とぶつかって行方不明になった無人の探査機だ。』
と船長が言った。
探査機は遭難信号を地球へ何年間も送り続けていたのだ。
そして、丘を下りて行って探査機に乗り込んだ。
『XY星にしか無い、新たなエネルギー物質は無事だ。この貴重なデータを持ち帰ろう。』
と船長は喜んだ。そして、クルー全員でエネルギー物質を僕達のロケットに乗せた。当然、クルーの僕も手伝った。
『これから地球に向って飛んで行きます。』
ロケットはゴーと大きな音をたてて、飛び立った。
しばらく飛んでから
『帰りは土星や火星には寄らずに、そのまま地球に向って飛行するらしいから、ロケットの中で寝るよ。』
とお父さんが言った。
今度起きたら僕はどこにいるのかなぁと思った。

『今日は日曜日でも、早く起きなさい。お父さんと一緒に宇宙探検の映画を見に行くのでしょ。』
『あれっ、今度は家の中だ。ロケットの中でも、映画館の中でもないや。まだ映画館へも行っていないのだった。
本当の僕は今どこにいるのかなぁ?』

      おしまい