空のイルカ、夢のイルカ(2)

2019-10-16 06:51:48 | 童話
イルカは力いっぱい尾ビレで水をたたきました。
すると、イルカと僕は空へ上がり始めて、イルカは尾ビレを何度も何度も動かして、ドンドン高く上がって行き、ビーチボールに近付きました。
『イルカ君、もう少しだ、がんばって。』
『うん、もう少しだね。』
『あっ、届いたよ。』
『ビーチボールをつかんだら降りて行くよ。』
『うん、いいよ。』
僕とイルカは海に戻って来ました。

『イルカ君はどこまで高く上がって行けるの。』
『ずっと空高く行けるよ。空だけでなく夢の中へも行けるんだよ。』
『夢の中へは、どうやって行くの?』
『僕が頭の上で1回転すると夢の中へ行けるんだよ。』
『やってみてよ。』
『いいよ。僕が頭の上を飛び越えるから、海の中で立っていてね。』
『うん、いいよ。』
イルカがすごいスピードで泳いで来て、立っている僕の上を飛び越えて1回転した時、僕の目の前が少し暗くなりました。

『今、夢の中に来たよ。これから、どんな夢の中へ行こうか?』
『どんな夢の中へも行けるの?』
『行けるよ。』
『飛行機を操縦している夢へ行きたいな。』
『いいよ。目を閉じていて。』
『うん。』
『もういいよ。』