日本の元外務省職員の作家とかはウイグル音痴ばっかではないかと、最近思えるようになってきました。
「上海クライシス」なるスパイ小説がこの4月に発表されたようで、ウェブ上にもいくつか紹介されて私も知るに至った。
<iframe align="left" marginwidth="0" marginheight="0" src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=truthofsilkro-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4797671602&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" frameborder="0" scrolling="no" style="WIDTH: 120px; HEIGHT: 240px"> </iframe>著者は春江一也氏という元外交官のひとでこれまでも、東欧を舞台にした小説を何作か書いているようでありそれらはNHKFMでラジオドラマ化されているようなのでおもしろいのかもしれない。
このほど初めて中国ネタで作品が出たそうで、本屋で手にとって見たのだが、最初のプロローグ等をながめただけ判断するのは問題であるかもしれない、しかしながら小説のよしあしは別として、これはひどいといわざるを得ないようなものであった。
でストーリーはmin-minさんのブログに
とにかくプロローグで書かれている「新疆ウイグル」の認識がどういう資料を使ったのか知らないが知らない人にはもっともらしいが実際は「ハァ?」と言う記述が多いのである。
たとえば、「この地域はウイグリスタンと元々呼ばれていた。」ウイグル人人自身が呼んだこの地域の名は「アルティシャフル」あるいは「イェティシャフル」ではないか?
「20世紀にはいってから新疆は中ソの入会地のようなものであった。」
確かにロシアやソ連が影響力を行使したがずっと省制導入以来「新疆省」が半独立状態にあっただろうが、「入会地」は言いすぎだろうと思う。
「第二次大戦後すぐは新疆の1500万人のうちのほとんどはウイグル人とカザフ人」そんなに人口は多くはなかった。
「東トルキスタンの独立国家は中ソ双方によって潰された。」
東トルキスタン共和国はソ連の支援、影響が大きかったのだから、この言い方は妙。
いま、手元にこの小説がないので正確には引用できないが、おかしなことが多いのである。
大体ストーリー本編に移っても1989年当時に「東トルキスタン殉教なんとか団」がウルムチのビルで自爆テロを行うなどあの当時としては無茶苦茶だし、そのなんとか団のメンバーがすぐにアフガニスタンに入ってマスードと会談するというのも変な感じ。
もちろん購入する気にもなれず、図書館をあたってみたのだがこれが家の近くの数箇所の図書館ですべて貸し出し中、しかも何人も予約済みであったのである。そんなに人気の作家なのだろうか。こういう「ウイグル認識」が元外務省職員のお墨付きを得て大手を振っているということはゆゆしい事態ではないだろうか。日本の新疆学者の先生方の意見を聞いてみたいものである。
元外務省の人は新疆ウイグル情勢に実際興味を持ったとしてもその認識は軽いものが目に付くのである。
佐藤優に関してはすでに書いた。
http://blog.goo.ne.jp/kokkok2014/d/20070318
こちらの民主党から政治家になろうとしている元外務省の人にしても、「新疆ウイグル自治州」などという表記を指摘しても直そうともしない。
http://ameblo.jp/rintaro-o/entry-10030394893.html
また新疆は中国領になっていなければ「アフガニスタン化したであろう」などと語るがその根拠も教えてほしいものである。
とにかくウイグル=イスラム=原理主義=テロリズムと結びつける人が多いのですよ。全く素人なみ。
さて、もちろんこの「上海クライシス」ですが、もちろん推薦はいたしません。突っ込みを入れるためになら別ですが。
集英社サイトにある冒頭部分の立ち読みコーナー、(この部分の後が実際ひどいのだが。)
http://books.shueisha.co.jp/tameshiyomi/978-4-7976-7160-5.html
ラビア・カーディル紹介サイト↓
このブログに興味をいただけたらblogランキングへクリックお願いします。
