【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

延長もありそう、残り47日間の国会、共同親権の参考人質疑「月刊誌・世界によると、先生が論文で書いている子連れ別居の裁判所の積み重ねは改正でどうなりますか」

2024年05月07日 18時47分59秒 | 第213回通常国会 令和6年2024年1月召集
[画像]新議員として紹介され立憲の同僚や維新議員から拍手と歓声をあびる、東京15区補選の酒井なつみさん、きょう令和6年2024年5月7日の衆議院インターネット審議中継から宮崎信行がスクリーンショット。

 連休が明けて、残り会期は48日間。が、農林水産省、外務、防衛両省のどちらかの議案は会期にはまらない公算がでてきました。立憲の岡田克也幹事長はきょうの定例記者会見で、「私は先週、岸田文雄首相にとっての唯一の道は6月の解散だと申し上げましたが、訂正をさせていただきます。この国会会期中の解散が唯一の道である」と述べ、会期延長をして、9月末の総裁任期切れに近づけた解散もありうるとしました。衆側の役員と良好な関係を持つ旧立憲発足以来の水岡俊一議員会長と、参議院自民党の石井準一国対委員長がキーパーソンとなりそうです。

 憲法改正国民投票の発議案も、改憲4党の数合わせで間に合うかもしれません。

【野党国対委員長会談】
 政倫審に44人の申し立てをすることを決定しました。維新は東京15区の政治団体「つばさの党」根本良輔候補(当時)と黒川敦彦代表を念頭にした公職選挙法の自由妨害罪の改正の骨子を示しました。

【衆議院本会議】
 酒井なつみさん、亀井亜紀子さんの両氏が「新議員」として紹介され、野党側のボルテージが連休明け初日から高まりました。あさって告示の静岡県知事選は前副知事対前浜松市長の与野党一騎打ちとなります。2019年4月の枝野幸男・福山哲郎「りっけんブルー」の「当事者」として初当選した市区議会議員の国会議員は「看護師」「がんサバイバー」の当事者・酒井さんが第1号となります。再選後に区長選で落選していました。2019年の「当事者」では、次期衆院選に公認されている人はおらず、国政進出のメドである「2期目途中」を過ぎてから身の振り方が注目されます。酒井さんは、自民支持層2割、無党派層2割しかとれておらず、間もない第50回衆院選の当落が、旧りっけん地方議員にとって関心事となりそうです。

 「放送法改正案」(213閣法32号)「デジタル社会形成基本法改正案」(213閣法40号)「育児・介護休業法改正案」(213閣法54号)「IBRD国際復興開発銀行設置協定の改正」(213条約9号)「EBRD欧州復興開発銀行同」(213条約10号)「廃棄物海洋投棄ロンドン条約の改正」(213条約11号)「金商法など改正案」(213閣法56号)「産業競争力強化法改正案」(213閣法23号)が可決・承認され、参議院に送られました。

 第33次地方制度調査会でのコロナ禍の教訓を踏まえて国の指示権を盛り込んだ「地方自治法改正案」(213閣法31号)が総務相から趣旨説明され、代表質問がありました。衆議院本会議での法案審議入りは今週で打ち止めとなりそうです。

【参議院第1種常任委員会】
連休明けから、いきなり7委員会が開かれ、うち6委員会が参考人質疑となりました。

●共同親権はオピニオン誌「世界」の木村草太論文で「論壇」が一瞬復活
 参議院法務委員会は「離婚後共同親権法案」(213閣法47号衆議院修正)。参考人4人かける2部制となりました。そのうち、第1部は筆者が知る人が2人いて、熊谷信太郎弁護士と木村草太東京都立大学教授。ここ最近、参考人が知らない人ばかりになってきたのは「論壇」と言われた月刊オピニオン雑誌が振るわず、それでインターネット論壇は散漫になっているからだと思います。「5年後見直し」が結論だった衆議院から送られてきた法案で、共産党の仁比聡平さんが懐かしいフレーズ。「木村参考人の、月刊紙・世界への論文を拝見をいたしまして、子連れ別居に対して、違法な実子誘拐だあるいは不当な連れ去りだというような裁判所への申し立てがされた場合に、裁判所はどのような審査をすべきなのか、そして、どんな基準が裁判所にあるのか、そして今回の法案によって、これまでの積み重ねは変わるのか」と問いました。

 木村さんは「誘拐罪が適用されるのが教科書的な答えだと思う」としつつ、「日本のDV(親、配偶者、子の間の暴力)対策は遅れているということばかりが指摘されるのですけれども、DV殺人で率というのは日本は非常に低い。フランス、アメリカにしても日本より遥かに高い数値が出ております」と世界の情勢を説明しました。そして「そのうえで、今回の法律(案)ですが今回の法律は要するに窮迫の事情がない限りは子連れ別居ができないという条文にすることによって、子連れ別居がしにくくなるのではないかということを皆さん指摘されていますが、家庭裁判所は条文だけを見ますので、指摘されている危険は決して大げさではない」としました。原則、世界との比較を経て、法成立後の家裁の運用まで見通したうえで、「いわゆる共同親権反対派」の指摘に軍配を上げました。
 「世界」は映画で経済的に大学進学がかなわなかった東京の印刷工の愛読月刊誌という設定もされてきました。「世界」は左翼的だとして「ディス・イズ・読売」「ボイス」「中央公論」なども出ましたが今は「ハナダ」「月刊日本」「リベラルタイム」のようなネット右翼が知的ぶるアイテムと堕してしまいました。そもそもアジアの他の国で製本された月刊誌はもともとありませんから、文藝春秋も含め「論壇」復活の芽はないでしょう。

●参・農林水産委は「農業基本法改正案」(213閣法26号衆議院修正)が趣旨説明されました。衆で審議中の「増産命令法案」などは間に合わないかもしれません。

●参内閣委は「セキュリティークリアランス2法案」(213閣法24号衆修正と25号)、厚生労働は「雇用保険法改正案」(213閣法10号衆修正)、総務は「プロ責法及び発信者情報開示法改正案」(213閣法34号衆修正)経済産業では「水素社会推進法案」(213閣法16号)と「二酸化炭素貯蔵法案」(213閣法17号)、環境委員会では「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案」(213閣法60号)参考人質疑がたっぷり開かれました。また、経済産業と環境が連合審査会をひらくてはずもととのえました。

●あすは参議院憲法審査会の自由討議が初めて開かれ、辻元清美さんら党を代表した意見を述べます。きょねんは、公明党が衆参で違う珍現象がおきましたので、ここもチェックポイントとなります。

【衆・議院運営委】
 立憲が99議席となり、政治倫理審査会・常任委員会の配分の見直しがあったと思います。立憲は、山田勝彦さんに代わり川内博史さんが当選し、小選挙区で山田さん、酒井なつみさん、亀井亜紀子さんが当選したので、3増となりました。海江田万里さんを入れると希望の党騒ぎ以降で初めての3桁。

 以上です。


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