【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【11/12】嗚呼山形県連・・・玉木雄一郎国民民主党代表が参考人に質問し「種苗法改正案どういうわけかネットで広がってしまった」、「日英」「郵便法」審議入り、野党が持つ参議院3委員長は日程闘争に

2020年11月12日 18時19分50秒 | 第203回臨時国会(2020年10月下旬)菅首相初答弁
[画像]玉木雄一郎国民民主党代表、きょう、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 「日英EPA」(203条約1号)「郵便法改正案」(203閣法3号)が審議入り。「種苗法改正案」(201閣法37号)では、参考人質疑で、党首の玉木雄一郎さんが質問する、やや異例な姿もありました。参議院は常任委員会で大臣所信的あいさつを聞きましたが、野党が委員長ポストを持つ3つの委員会は開かれず。池田内閣時代から続く「日教組方式」の参議院日程闘争の気配が出てきました。

【衆議院農林水産委員会 令和2年2020年11月12日(木)】

 前々会から続く「種苗法改正案」(201閣法37号)が初めて質疑されました。

 立憲民主党の篠原孝さんは、自家培養は今のまま認めて、すべての空港で種苗を調べるなど水際対策を強化して、種苗が海外に行かないよう、他国の法律・条約を参考にして新たな立法を模索すべきだと主張しました。

 国民民主党代表の玉木雄一郎さんは一人で農林水産委員となりました。玉木さんは「参考人のお二人(ここまでの)長時間ありがとうございます。お仲間の農家では、法案についてどれくらい知られていますか」と質問。参考人は「きょねんの9月の農水省の検討会に呼んでいただいて、どういうわけか、ネットで広がってしまって、困ったこともありました。いろいろな人にどうなっているの、と聞かれて。それは良かった、と思いますが」と答えました。

 その分野の有識者である参考人には、若手議員がその政党の推薦の人に配慮しながらも、全員の参考人に率直で一般的な問いをするのが常套です。党首の衆議院委員会での参考人質疑登場は異例で、社民党の福島みずほさんが参議院厚生労働委員会で登場することもありますが、政権交代を念頭においた国民民主党の党首が農水委で参考人質疑で質問するのは、見慣れない光景です。2か月前の二大政党の大政局では、私はネットメディアのストレートニュースで圧倒的に勝ち続けました。会社組織のニュースメディアも「無料媒体」ながら国会速報が少なくなり、政治アナリスト個人のメディアも閲覧数が減っているようです。とくに「国民民主党の事務局長と経理局事務部長も立憲民主党に移籍する」とした結党前々夜の記事は、大反響で、ページビュー数のみならず、全国の組織に影響を与えたようです。なお、聞かれるのですが、2カ月経って、国民の「部長」は新・立憲で「部次長」の立場になっているようですが、そこまでしてでも、裏方さんが新・立憲に移ったということは、どんなに偉い国会議員の行動よりも雄弁だったわけです。

 しかし、山形県では、舟山康江さん率いる国民民主党山形県連が大々的に発足。80年前の、満蒙開拓団では、山形県、長野県で、情報過疎の犠牲者が大量に出ており、東北日本海側の秋田県から、現代日本最大の情報通、菅義偉首相が輩出したのとは、違った光景となりました。長野県社長と山形県監査役(非常勤)で組んでいた私の会社の元監査役が良い病院を選んで癌が治ってしまった情報通ぶりと合わせて、山形県連のかなしさに思いを馳せました。今SNSを見たら、合宿をしたそうで、それはいいのですが、かなりの苦境にあるようです。嗚呼悲しき国民民主党、嗚呼悲しき山形県連といったところで、国民民主党の将来に悲観している地方議員も多いでしょう。まあ、合宿するのはいいのではないでしょうか。有権者に今必要なのはまずは情報。現在では、与党議員すら見えない官邸内の情報の見える化や公文書を改ざんさせないことです。柿沼正明・前衆議院議員からも電話がかかってきて「宮崎さんが2009年民主党初当選組の面倒をみてやってください」と懇願されていることもあり、玉木さんがんばってください。

 次回は11月17日(火)午前9時半。まず、質疑。その後、同日中に採決かも。野党が修正案を出すことも予想されます。

【衆議院本会議 同日】

 「日英EPA承認案」(203条約1号)が茂木外相から趣旨説明され、外相、農相、経産相が答弁しました。5人が質問。立憲民主党は阿久津幸彦さん(外務委筆頭理事、東京11区総支部長)が質問。国民民主党からは山尾志桜里さんが登壇しました。

 政府は、与野党の質問に対して、英国のEU離脱をめぐる軋轢で「英欧のEPA」が1月に発効しないと、日本企業のEUでの活動に影響が大きいとしました。RCEPなどの自由貿易協定の交渉には明るい見通しがあると政府は強調しました。きょうは首相が登壇しないため、学術会議の質問はあまりありませんでした。

【衆議院総務委員会 同日】

 「郵便法など改正案」(203閣法3号)が趣旨説明され「3日以内を4日以内とする」と審議入りしました。次回の審議は、現時点で未定。

 提出に関する報道では、時事通信が「日本新聞協会が反対している」とし、同協会のホームページに要望書がはっきり載っていますが、新聞社はどこも新聞協会の反対について報じてきませんでした。趣旨説明によると「公布後6か月以内の政令で定める日に施行する」とのことで、新聞協会は来年4月前後までに土日付新聞の配達について「ネット版無料」というような結論を出さないといけないようです。

 これに先立ち、大臣所信的あいさつに関する一般質疑がありました。なお、大臣所信について当ニュースサイトでどこよりも詳しく報じましたが、ページビュー数はさっぱりでした。自民党の務台俊介さんは、「地方交付税は武田スペシャル交付税特別加算をやったらどうか」としましたが、武田良太大臣は応じず、前年と同水準以上をめざすとだけ答弁しました。

【衆議院災害対策特別委員会 同日】

  小此木八郎防災担当大臣が所信的あいさつをし、「半壊住宅も対象にした被災者生活再建支援法改正案(203閣法2号)を提出した、令和2年7月豪雨から対象にする」としました。先日、内閣委で言及しなかったと書きましたが、災害対策特別委で言及しました。小此木さんは「災害対策本部を発災前から設置できるようにする」とし、来年の通常国会に提出されるはこびの災害対策基本法改正案についての検討状況も発言しました。

●衆議院経済産業委員会の理事懇談会が開かれました
●衆議院憲法審査会の幹事懇談会が開かれました。

【参議院第一種常任委員会 同日】

 参議院第一種常任委員会は10あります。そのうち7委員会で大臣の所信的あいさつを聞きました。質疑は次回。

●参議院経済産業委員会は開催されず
●参議院国土交通委員会は開催されず
●参議院環境委員会は開催されず

 野党議員に割り振られた3つの委員会が開かれず。そのうち経済産業は上述の通り衆で理事懇にとどまっており衆の委員会が開かれていませんが、国交、環境は衆では開かれたのに、参では開かれませんでした。この3つの委員会は今国会で法案は一つもかからない見通しです。来年にかけては、国交委でいわゆる一部業界だけの関心事となる「業法」(宅建業法改正案)と、環境委で小泉大臣肝いりの「温対法改正案」「自然公園法改正案」が提出される見通しです。これも見据えて、池田内閣以来半世紀以上の参議院野党の日程闘争をリードしてきた、日教組の、水岡俊一・参議院議員会長らの闘争路線が再燃する兆しが出てきました。近い将来の3年間、参議院副議長として、皇居内で、副総理よりも前で天皇陛下をお迎えするわけだから、そのモチベーションで日教組組織内参議院議員が会期末闘争をリードする政治はつづくわけです。

【参議院情報監視審査会 同日】

 特定秘密保護法や国会法にもとづく年次報告書を決定。直ちに、議長に提出しました。

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