メリル・ストリープのアカデミー主演女優賞とそのスタッフのメーキャップ賞獲得で話題の映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙 - goo 映画」を見てきたので感想を書きます。
まず、サッチャー首相の夫だったデニス・サッチャーさんのキャラクターというものがこの映画の大前提になっていると私は考えます。
私は14歳、昭和63年(1988年)に一人で初めて日本の外に出て、アメリカに行ったことがあります。ニューヨークで、従兄と合流して、セントラル・パーク隣のホテルに行き、荷ほどきをしながら、テレビを付けると、そこでサッチャーさんが出てくる「ギニョール(人形による政治風刺劇)」をやっていました。冷戦末期は西欧と米国は今風に言うと、「キャラが立った」政治指導者ばかり。サッチャー英首相、ミッテラン仏大統領、ブッシュ米大統領、コール独首相ら。彼ら彼女らの特徴をよく押さえた人形たちがかなり荒唐無稽なドタバタ劇をしていました。私が見たのも、英国の製作会社の作品をアメリカでなんどか繰り返して放送していたのではないでしょうか。
ギニョールで「鉄の女」として恐いキャラと設定されたマーガレット・サッチャー首相。彼女は家庭内でもやはり恐くて、夫のデニス・サッチャーさんが戦々恐々としているという設定。で、朝、マーガレット・サッチャー首相が洗面台で鏡に向かって身支度をしていると、鏡の向こう側からもう1人の自分が出てきて、サッチャーさんが2人になってしまうという話。自分の分身ができた鉄の女が悲鳴をあげると、いつもやさしいデニスさんが「マーガレットどうした?」とやさしい口調で洗面台に入ると、2人のマーガレットを見て、「あー口うるさいのが2人に増えた!」と思わず本音を漏らして腰を抜かせてしまいます。実際のデニス・サッチャーさんはビジネスマンとして自立した人物でしたが、ギニョールでは、家の中でも鉄の女として描かれるサッチャー首相の尻に敷かれる情けない夫として描かれていました。英国病にメスを入れ、政府のムダ使いの根絶と民営化を進める強いリーダーに対して、有権者はギニョールを見て溜飲を下げていたのでしょう。このキャラの立った面々に、悪の帝国だったソ連から、「ゴルビー(ゴルバチョフ共産党書記長)」という愛すべきキャラクターが仲間入りし、冷戦は崩壊します。
日本では鉄の女としてサッチャーさんは自立した1人の強い女性というイメージが強かったこともあり、デニスさんの存在はあまり知られていません。1950年、保守党公認のマーガレット・ロバーツ候補が落選し、そこに既に経済的に成功していたデニス・サッチャーさんと結婚。1959年に34歳のマーガレット・サッチャー候補として初当選し、50歳で保守党党首選に当選し、54歳で総選挙に勝ち、英国首相に。そして、2003年、デニスさんを亡くしたサッチャー首相の喪失感、そしてギニョールの主人公だったデニスさんを失った英国民の喪失感を埋めるのがこの映画だと、私は思います。ですから、なかなか我が国では理解は難しいと思いますが、興行的にはまずまず成功しているようです。早く見に行かなきゃとストレスを持っている国会議員もいるでしょうが、映像的には必ずしも大スクリーンで見なければならないものだとは思いません。しかし、英国議会が場面だと、さすがに英語が簡潔できれいです。ぜひDVDが出れば、そちらも含めてご覧になったらよろしいかと存じます。
ちなみに、ギニョールは元々フランスの田舎町でお祭りの催しとして人気が出たものです。ナポレオンやド・ゴールの国だけに、政治指導者の人形劇というものが魅力的だったようです。政治劇ですので、当然風刺がありますが、あまり根深いものではありません。一方、東欧では、チェコの「マリオネット」が有名です。こちらは、人形劇のかたちによって暗に体制を批判し、反体制を庶民に暗示する狙いがあります。ですから人形の雰囲気からして暗い。これがチェコスロバキアのチャウシェスク独裁恐怖政治を倒したビロード革命で、劇作家のハベルが大統領に就任したことのチェコの政治文化の背景です。
メリル・ストリープ演じるサッチャーさんは認知症。現在の生活のなかには、時折、デニスが現れ、会話します。回想シーンもあり、食料品店の娘(grocery)とバカにされた少女時代、ナチスの空襲に耐える防空壕、オックスフォード大学に合格し切符を手にし、24歳で保守党公認で出馬し悲嘆に暮れていたとき丸眼鏡のデニスからプロポーズ。そして、圧倒的得票での初当選。ヒース内閣の文科相時代の庶民院本会議場の討論台(パッチボックス)に立っての演説。党首選出馬を決意し、娘やデニスに呆れられる。この後、党首選対策では、「英国王のスピーチ」を彷彿とさせる場面があり、言葉と政治の大事さを改めて感じました。 そして、圧巻は、アルゼンチンの奇襲によるフォークランド占領。大西洋の向こう側にあるあまりにも遠い島への英国海軍の派遣の是非を迫られた首相は、「フォークランドの海軍の警戒が手薄だったのではないか」と質問すると、軍官僚から「あなたが海軍を仕分けしたのですよ」と批判されます。しかし、首相は決断しました。批判されても突き進む。この辺は、蓮舫さんにも見て欲しいですね。
デニスさんという存在がいて初めてサッチャー首相が存在したという事実。これを踏まえると、ある程度映画は楽しめると思います。私もできればもう1回見たいですし、英語が非常にきれいですので、可能ならばセルDVDも一生物で所蔵したい気がします。メリル・ストリープは圧巻としか言いようがないです。役作りがすごい。そして、化粧(メーキャップ)。こちらもアカデミー賞(Mark CoulierさんとJ.Roy Hellandさん)は当然でしょう。ちなみにチャーチルのそっくりさん、ジミー・カーター米大統領のそっくりさん、後継首相として7年務めた現在英国上院議員のジョン・メージャー蔵相のそっくりさんらが出演。それが場を説明する役割になっていますが、その辺は分からなくても問題なし。エンドロールにも役名は出ていなかったように思えました。
このようにリーダーが相対化されている西欧・米国では、リーダーを見て、育てる有権者の眼も養われるでしょう。そして反対党(労働党)、反対党の設立組織(労働組合)、戦争で勝ち抜いた相手国(独、フランス)という敵がいて初めて強い政治が実現するという私の考えも裏付けられた思いがしました。ギニョールのように各国指導者を相対化するのは島国で日本語圏の我が国はでは難しいので、せめて国会内・選挙では、二大政党が敵対する格好にしないと良い政治は実現しないという19年来の私の信念は深化しました。とても良い映画を見ました。
繰り返しますが、フォークランド紛争のときの場面。これは岡田克也さんにもぜひ見てほしいと感じました。
マーガレットとデニスがそろって、サッチャー首相。鉄の女が神の下に弱い人間であることは当たり前であるという、キリスト教文明の当たり前すぎる土壌を日本国の有権者にももっと共感してほしいと感じます。現題は「The IRON LADY」です。
2012年4月1日、新年度。「今後の政治日程」を更新しました。
http://regimag.jp/b/sample/list/?blog=65&entry=23392
1月24日の召集以降、流れが続いている日程は残してあります。あまり「今後の」という感じでもなくなってきましたが、いずれにしろ、1年の間でも「温故知新」、この国会の流れをしっかりと踏まえて、次を見通したいと考えています。この辺が朝夕刊など週13回発行の新聞、あるいはネットニュースでも「おぼれてしまう」ところですので。
レジまぐ社から4月1日時点での購読者数のメール連絡が来ましたが、過去最多となっています。ありがとうございます。励みになります。今月は26日に小沢裁判の判決が出て、すぐに28日から大型連休入りとなります。5月7日(月)が連休明けですので、ゆったりとした連休に感じます。ただ、5月1日(火)、2日(水)と平日が連休の谷間に入りますので、この辺は「予防」が必要です。
なお、震災後まだ2回目の「4月1日」ですので、ことしもゴールデンウィーク原稿は見送りました。
[写真]郵政民営化法を見直す法案を衆議院の鬼塚誠事務総長に提出する武正公一さん、斉藤鉄夫さんら民自公衆院議員、2012年3月30日、民主党ホームページから。
民主党、自民党、公明党3党の衆院郵政改革特別委員会理事らは、2012年3月30日、衆議院の鬼塚誠事務総長に「郵政民営化法を見直す法案(郵政民営化法等の一部を改正する等の法律案)」を提出しました。「180国会衆法6号」という議案番号がつくでしょう。今国会中に成立する見通し。
衆院の郵政改革に関する特別委員会(45人、赤松広隆委員長)につづいて、参院の総務委員会(藤末健三委員長)で審議すると思います。衆院第1委員室(50議員収容)は空いています。参院総務委員会も同日提出された「消費税増税法案の地方分の法案」という重大案件がありますが、これは親法案の審議と並行しますので現在の日程は空いています。参院でも郵政特を設けてほしいという考えもあるかもしれませんが、本会議で設置の可否を採決し委員長を選挙・指名する手間を考えれば、参院総務委が空いていますから、そこで審議すればいいでしょう。川端達夫総務大臣(沖縄北方担当、地域主権担当兼務)、自見庄三郎郵政改革担当大臣(金融担当大臣兼務)の2人も兼務も含めて、ちょうど30日に担当法案が参院で成立しましたので、体も空いています。一気呵成に衆参で通しましょう。
法案提出者は、民主党の武正公一さん(埼玉1区)、田島一成さん(滋賀2区)、山花郁夫さん(東京22区)、自民党の森山裕さん(鹿児島5区)、赤澤亮正さん(鳥取2区)、公明党の斉藤鉄夫さん(比例単独中国、事務所は広島)。これに前後して野田佳彦内閣は閣議で、「郵政改革法案」(176閣法1~3号)3本の撤回を決定しました。同日昼の衆院本会議の冒頭で、横路孝弘議長からその旨報告があり、全会一致で撤回が承諾されました。
法案の内容は2月23日付で当ブログがスクープした「◎全文公開、これが郵政民営化法改正案の公明党案だ 民自公実務者協議を経て、成立の見通し」をより「法律」らしくしたもの。
まず、新法律は「日本郵便株式会社法」になります。郵便局会社に郵便事業会社が合併したうえ、郵便局会社を存続し、「日本郵便株式会社」になります。郵便局(日本郵便)は、郵便貯金(ゆうちょ)、簡易保険(かんぽ)の業務を扱えます。
郵便局の業務は次の通り。
① 郵便法の規定により行う郵便の業務
② 銀行窓口業務
③ ②の業務の健全、適切かつ安定的な運営を維持するために行う業務
④ 保険窓口業務
⑤ ④の業務の健全、適切かつ安定的な運営を維持するために行う業務
⑥ 国の委託を受けて行う印紙の売りさばき
⑦ ①から⑥までの業務に附帯する業務ーー以上です。
2007年夏の参院選「逆転の夏」での国民新党・民主党の躍進による「法案の嵐」作戦の1本、郵政民営化プロセス(株式売却)一時凍結法(自見法、平成21年法律100号)は廃止。郵便事業株式会社法(平成17年法律99号)も、会社がなくなりますので当然廃止になります。
簡易郵便局が格上げされるので、「郵便窓口業務の委託等に関する法律」のタイトルが「簡易郵便局法」に変わります。
現在政府が100%持っている日本郵政株式会社(持株会社)の株式は、「政府が3分の1超を持つ義務」がかかったうえで、逆に残りの株は「速やかに売却しなければいけない」義務が政府に課せられます。
郵政民営化委員会(田中直毅委員長)は新法施行時に廃止されます。
[写真]前島密。
このような内容です。通産官僚出身の有識者は「自民党(2005年)も国民新党・民主党(2009年)もマニフェスト、公約を破った」と煽っているようですが、まったく違います。歩み寄ったのです。
震災後日本で、郵便局での郵便、ゆうちょ、かんぽの一体窓口とユニバーサルサービスが確保されたことは国民共有の財産となります。またゆうちょ銀行とかんぽ銀行のそれぞれ3分の2の株式は、おそらく20兆円以上の税外収入を国庫にもたらすと、私は試算しています。
【追記 2012-04-01 06:05:25】
補足します。政府は日本郵政(親会社)の株式の3分の1超を保有し続けます。すなわち郵政民営化撤回です。そして、子会社のうち、「日本郵便(現郵便局と現郵便事業)株式会社」の100%を保有し続けます。すなわちユニバーサル・サービスの永久化です。そして、「ゆうちょ銀行」と「かんぽ生命保険」の株式は、「全株処分を目指す」として努力目標となりました。このため、親会社日本郵政の3分の2未満、ゆうちょ銀行の100%、かんぽ生命の100%の株式が売却の対象になります。次の2012年4月2日付公明新聞を参考にしてください。
[画像]民自公提出の衆法「郵政見直し法案」のイメージ、2012年4月2日付公明新聞から。
【追記終わり】
民自公による衆法での立法は、昨年の通常国会での国税・地方税改正法案の3党協議による、「つなぎ法案」や「取り出し改正法案」で相次ぎました。これは民主党の藤井裕久さん、自民党の野田毅さん、公明党の斉藤鉄夫さんでした。今回の法案も斉藤鉄夫さんが提出者となっています。
人を想う気持ちで、この国はできているーー日本郵便のCMのフレーズです。人を想う気持ちで、この国はできている。ユニバーサル・サービス。民自公および国会もそうであってほしい。
当ブログは日本のすべての郵便局員と、イノッチと前島密を心から応援しています。
[郵政民営化を見直す法案(180国会衆法6号)の要綱]
郵政民営化法等の一部を改正する等の法律案要綱
第一郵政民営化法の一部改正(第一条)
一目的の改正
郵政民営化を、株式会社に的確に郵政事業の経営を行わせるための改革とすること。
(郵政民営化法第一条関係)
二承継会社の再編成
日本郵政公社(以下「公社」という。)の機能を引き継いだ株式会社のうち、郵便局株式会社と郵便
事業株式会社を次により再編成するものとし、このほか必要な認可又は届出に係る準備行為の特例、税
制上の措置等を講ずること。
1 郵便局株式会社は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)に、その商号を日本郵便株式
会社に変更する。
2 施行日に、日本郵便株式会社を吸収合併存続会社とし、郵便事業株式会社を吸収合併消滅会社とす
る合併を行うものとし、日本郵便株式会社は、郵便事業株式会社の業務その他の機能並びに権利及び
二
義務を承継する。(郵政民営化法第六条の二、第七章第三節及び第十一章第三節関係)
三株式の処分
日本郵政株式会社は、その保有する郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式について、その全部を処分
することを目指し、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の経営状況、四の責務の履行への影響等を勘案しつ
つ、できる限り早期に、処分するものとすること。
(郵政民営化法第七条第二項及び第六十二条第一項関係)
四郵政事業に係る基本的な役務の確保
日本郵政株式会社及び日本郵便株式会社は、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役
務並びに簡易に利用できる生命保険の役務が利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的に利用でき
るようにするとともに将来にわたりあまねく全国において公平に利用できることが確保されるよう、郵
便局ネットワークを維持するものとし、その活用その他の郵政事業の実施に当たっては、その公益性及
び地域性が十分に発揮されるようにするものとすること。(郵政民営化法第七条の二関係)
五政府は、四の責務の履行の確保が図られるよう、必要な措置を講ずるものとすること。
三
(郵政民営化法第七条の三関係)
六郵便局における旧郵便貯金及び旧簡易生命保険の取扱い
独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構(以下「機構」という。)が公社から承継した郵便貯
金及び簡易生命保険は、確実に郵便局において取り扱われるものとすること。
(郵政民営化法第七条の四関係)
七同種の業務を営む事業者との対等な競争条件の確保
日本郵政株式会社、日本郵便株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の業務については、同種の業
務を営む事業者との対等な競争条件を確保するために必要な制限を加えるとともに、郵便貯金銀行につ
いて銀行法等の特例を適用しないこととする日又は郵便保険会社について保険業法等の特例を適用しな
いこととする日のいずれか遅い日以後の最初の三月三十一日までの期間(以下「移行期間」という。)
中に、郵政民営化に関する状況に応じ、これを緩和すること。(郵政民営化法第八条関係)
八情報の公表
日本郵政株式会社及び日本郵便株式会社は、郵政事業についての国民の理解を得るため、その経営の
四
状況に関する情報を公表するものとすること。(郵政民営化法第八条の二関係)
九郵政民営化推進本部及び郵政民営化委員会
郵政民営化推進本部及び郵政民営化委員会は、移行期間の末日まで置かれるものとするほか、郵政民
営化委員会の所掌事務を郵政民営化の進捗状況について総合的な検証を行うこと等とすること。
(郵政民営化法第十九条第一項及び第二十六条関係)
十郵便貯金銀行についての銀行法等の特例及び郵便保険会社についての保険業法等の特例
郵便貯金銀行及び郵便保険会社については、日本郵政株式会社がそれぞれの会社の株式の二分の一以
上を処分した日以後は、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を必要とする業務の制限に関する規定を適用
せず、内閣総理大臣及び総務大臣への届出により業務を行うことができるようにすること。
(郵政民営化法第百十条の二及び第百三十八条の二関係)
十一その他
所要の規定の整備を行うこと。
第二日本郵政株式会社法の一部改正(第二条)
五
一会社の目的
日本郵政株式会社は、日本郵便株式会社の発行済株式の総数を保有し、日本郵便株式会社の経営管理
を行うこと及び日本郵便株式会社の業務の支援を行うことを目的とする株式会社とすること。
(日本郵政株式会社法第一条関係)
二業務の範囲
日本郵政株式会社は、その目的を達成するため、次に掲げる業務を行うこと。
① 日本郵便株式会社が発行する株式の引受け及び保有
② 日本郵便株式会社の経営の基本方針の策定及びその実施の確保
③ 日本郵便株式会社の株主としての権利の行使等(日本郵政株式会社法第四条関係)
三責務
日本郵政株式会社は、その業務の運営に当たっては、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の
決済の役務並びに簡易に利用できる生命保険の役務を利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的に
かつあまねく全国において公平に利用できるようにする責務を有すること。
六
(日本郵政株式会社法第五条関係)
四日本郵便株式会社の株式の保有
日本郵政株式会社は、常時、日本郵便株式会社の発行済株式の総数を保有していなければならないこ
と。(日本郵政株式会社法第六条関係)
五情報の公表
日本郵政株式会社は、その経営の状況に関する情報等を公表しなければならないこと。
(日本郵政株式会社法第十六条関係)
六業務の特例
日本郵政株式会社は、当分の間、二の業務のほか、公社から承継した旧郵便貯金法第四条第一項の施
設及び旧簡易生命保険法第百一条第一項の施設の運営又は管理の業務を行うことができること。
(日本郵政株式会社法附則第二条関係)
七政府保有の株式の処分
政府は、その保有する日本郵政株式会社の株式(政府が常時保有していなければならない日本郵政株
七
式会社の発行済株式の総数の三分の一を超える株式を除く。)については、できる限り早期に処分する
ものとすること。(日本郵政株式会社法附則第三条関係)
八その他
社会・地域貢献基金に係る制度を廃止するほか、所要の規定の整備を行うこと。
第三郵便局株式会社法の一部改正(第三条)
一題名の改正
題名を「日本郵便株式会社法」に改めること。(題名関係)
二会社の目的
日本郵便株式会社は、郵便の業務、銀行窓口業務及び保険窓口業務並びに郵便局を活用して行う地域
住民の利便の増進に資する業務を営むことを目的とする株式会社とすること。
(日本郵便株式会社法第一条関係)
三定義
次の定義規定を設けること。
八
① 「郵便窓口業務」とは、簡易郵便局法第二条に規定する郵便窓口業務(郵便物の引受け、郵便物
の交付及び郵便切手類の販売等)をいう。
② 「銀行窓口業務」とは、日本郵便株式会社と「銀行窓口業務契約」を締結する銀行(関連銀行)
を所属銀行とする銀行代理業(預金等の受入れ及び為替取引に係るものであって、総務省令で定め
るものに限る。)をいう。
③ 「保険窓口業務」とは、日本郵便株式会社と「保険窓口業務契約」を締結する生命保険会社(関
連保険会社)を所属保険会社等とする保険募集及び当該関連保険会社の事務の代行(生命保険に係
るものであって、総務省令で定めるものに限る。)をいう。
④ 「郵便局」とは、日本郵便株式会社の営業所であって、郵便窓口業務、銀行窓口業務及び保険窓
口業務を行うものをいう。(日本郵便株式会社法第二条関係)
四業務の範囲
1 日本郵便株式会社は、その目的を達成するため、次の業務を営むものとすること。
① 郵便法の規定により行う郵便の業務
九
② 銀行窓口業務
③ ②の業務の健全、適切かつ安定的な運営を維持するために行う業務
④ 保険窓口業務
⑤ ④の業務の健全、適切かつ安定的な運営を維持するために行う業務
⑥ 国の委託を受けて行う印紙の売りさばき
⑦ ①から⑥までの業務に附帯する業務
2 日本郵便株式会社は、1のほか、会社の目的を達成するため、次の業務を営むことができること。
① お年玉付郵便葉書等及び寄附金付郵便葉書等の発行
② 地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律に規定する郵便局取扱事務に係
る業務
③ ②のほか、郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務
④ ①から③までの業務に附帯する業務
3 日本郵便株式会社は、1及び2の業務のほか、これらの業務の遂行に支障のない範囲内で、これら
一〇
の業務以外の業務を営むことができること。
4 日本郵便株式会社は、2③及び3の業務を営もうとするときは、あらかじめ、総務省令で定める事
項を総務大臣に届け出なければならないこと。(日本郵便株式会社法第四条関係)
五責務
日本郵便株式会社は、その業務の運営に当たっては、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の
決済の役務並びに簡易に利用できる生命保険の役務を利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的に
かつあまねく全国において公平に利用できるようにする責務を有すること。
(日本郵便株式会社法第五条関係)
六郵便局の設置の届出
日本郵便株式会社は、業務開始の際、次に掲げる事項を総務大臣に届け出なければならないこと。
① 郵便局の名称及び所在地
② 日本郵便株式会社の営業所であって、郵便窓口業務を行うもののうち、銀行窓口業務又は保険窓
口業務を行わないものの名称及び所在地(日本郵便株式会社法第六条第二項関係)
一一
七銀行窓口業務契約及び保険窓口業務契約の内容の届出
日本郵便株式会社は、銀行窓口業務契約又は保険窓口業務契約を締結する前に、その内容を総務大臣
に届け出なければならないこと。(日本郵便株式会社法第七条関係)
八収支の状況及び情報の公表
1 日本郵便株式会社は、毎事業年度の業務の区分ごとの収支の状況を記載した書類を総務大臣に提出
しなければならないこと。(日本郵便株式会社法第十四条関係)
2 日本郵便株式会社は、経営の状況に関する情報等を公表しなければならないこと。
(日本郵便株式会社法第十八条関係)
九旧契約に係る役務の確保
日本郵便株式会社は、当分の間、四の業務のほか、機構から委託又は再委託を受けた郵便貯金管理業
務及び簡易生命保険管理業務を営むものとすること。(日本郵便株式会社法附則第二条関係)
十その他
所要の規定の整備を行うこと。
一二
第四独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部改正(第四条)
郵便貯金及び簡易生命保険の民営化前の旧契約の管理業務は、常に日本郵便株式会社に委託又は再委
託されなければならないこと。
(独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法第十五条及び第十八条関係)
第五関係法律の廃止(第五条)
次に掲げる法律は、廃止すること。
① 郵便事業株式会社法(平成十七年法律第九十九号)
② 日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律(平成二
十一年法律第百号)
第六附則
一施行期日
この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。
ただし、第一の一から八まで、第二の六及び七並びに第五②等は、公布の日から施行すること。
一三
(附則第一条関係)
二関係法律の改正等
「郵便窓口業務の委託等に関する法律」の題名を「簡易郵便局法」に改正する等、二十九の法律を改
正するほか、所要の経過措置を設けること。(附則第二条から第四十七条まで関係)
[郵政民営化を見直す法案の要綱終わり]
[お知らせ①]
「国会傍聴取材支援基金」を設けました。
質素倹約に努めています。そのうえで国会傍聴記を続ける上でご協力ください。伏して伏してお願いします。
詳細は、次のリンク先でお読みいただけます。
「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い
どうぞご協力いただきたく存じます。
[お知らせ②]
会員制ブログを設けております。
今後の政治日程 by 下町の太陽・宮崎信行
月840円(税込み)となります。最初の1ヶ月は無料で試し読みできます。「レジまぐ」のシステムで提供しています。
クレジット払いに加えて、銀行振り込みにこのたび対応しました。
活動費になりますので、お願いですから、ご協力ください。
[お知らせおわり]