【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

川内博史さん、衆・予算委の理事と政倫審の幹事を更迭さる

2011年01月21日 19時48分22秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[写真]更迭された川内博史さん(筆者撮影)

 川内博史さんが、衆・予算委理事と、衆・政倫審幹事(理事)を更迭されました。

 民主党の安住淳国対委員長は第177通常国会の召集を24日に控え、常任委員長・特別委員長と理事、委員らの配置を内定しました。

 秋の臨時国会のメンバーが、年明けの通常国会でも陣頭指揮をとるのは、民主党、自民党とも慣例です。たとえば、内定人事では、議運委員長は川端達夫さん、予算委員長は中井洽さん、総務委員長は原口一博・さんと、すべての常任・特別委員長の続投が内定しました。また、議運委筆頭理事は松野頼久さん、予算委筆頭理事は中川正春さんらも続投し、天下分け目の予算国会にのぞみます。

 委員長ポストで唯一の異動がありました。公明党の提案で、初めて設けられる「科学技術及びイノベーション(技術革新)の推進に関する特別委員会(仮称)」の委員長に川内さんが就任することになりました。これに伴い、予算委・政倫審から外れます。委員長になると、歳費のほかに開会中手当が支給されるほか、委員長専用車がつきます。しかし、川内さんは野党時代にも、沖縄及び北方問題に関する特別委員長、与党になってからは、国土交通・常任委員長を経験していますので、左遷人事である事は明白です。

 川内さんが、政治とカネの問題が現に浮上している小沢一郎氏の伝令役をしたり、沖縄県知事選で党推薦外候補(=落選)の応援をするなど、反執行部的な活動が高じたことが原因だと思います。

 ところで、内定人事では、3月に政権の命運がかかる予算関連法案を扱う財務金融委員会の筆頭理事で古本伸一郎さんが留任し、厚生労働委員会では渡辺周さんが筆頭理事に就きました。ただし、小沢一郎議員が、衆・懲罰委員に留まることになりましたが、強制起訴後の野党の出方を考えると、小沢議員は、国家基本政策委員に回した方が国会運営がスムーズになると感じます。

 安住さん、川内さん、渡辺さんの3人は早大雄弁会の同級生。そして、政権交代直前では、それぞれ、国対委員長代理、国対筆頭副委員長、議運委理事のトリオで、まばゆいばかりの青春ダッシュで政権交代を実現しました。

 これに先立つ、2008年の通常国会では、国会内では、衆・予算委を岡田克也筆頭理事、前原誠司次席理事でたたかい、国会外では川内博史ガソリン値下げ隊長が、「野党がガソリンを25円下げる」という憲政史上野党として最も世の中を動かす歴史の一員となりました。

 政権交代後の最初の衆院本会議では、議員運営委員がまだ決まっていないので、新しい与党の「有望株」ということで、「ギチョー!」と議事進行係をやりました。

 

 当選回数は増えることはあっても、減ることはありません。当選5回生与党議員の川内さんにとって、一生に一度の本会議だったわけですが、これは各派協議会の玄葉光一郎・前議運委筆頭理事、渡辺周・前議運委次席理事が「川内は政権交代のために、イチバン働いたから」という理由の粋な演出だったようです。

 沖縄の事件の後、岡田さんは川内さんを幹事長室に呼び出し、「李下に冠を正さず、という言葉があるんだよ」と諭し、たとえ理屈は通っていても、誤解を招くような行動はするなとアドバイスしました。これを受けて、川内さんは2度目の沖縄入りを自重し、少し大人になりました。

 

 しかし、引き続き、小沢一郎氏の伝令として、TV出演するなど、「民主党政権が前に進むうえでの線路の置き石」となった川内さんを切ることを、同級生の安住さんは決断しました。

 
[画像]小沢一郎氏の使いっ走りに成り下がった川内氏(日テレさん映像から拝借)

 安住・国対委員長は21日付のメールマガジンに「(防衛副大臣と打って変わって)今度は、その日その日の入札でてんてこ舞いする市場の買受人のような仕事になってしまった。考えていたらダメで瞬時の判断が求められる。ねじれ国会で、とんでもない重い荷物を背負わされたが、これも運命だと思って明るく楽しく前向きに頑張りたい」としました。

 東軍と西軍に分かれた同級生。東軍の安住さんは、同級生切りという、重くて、運命的な決断をしました。「きのうの味方は、きょうの敵」。とはいえ、「きょうの敵は、あすの味方」となる日を待ちたいと思います。

 なお、川内さんの更迭で空いた政倫審幹事には、岡田幹事長の隣の三重4区選出の森本哲生さん、同じく予算委理事には2009年5月16日の代表選で岡田候補の応援演説をした、民主党総括副幹事長の手塚仁雄さんが就きます。また、パシフィック・パートナー(TPP)に関係する衆・農水委員会(山田正彦委員長)では小沢系の筆頭理事を、災害対策特別委員会の筆頭理事とトレードしたうえ、森本哲生理事を国対との連絡役に指名しました。

 09マニフェストと刑法と刑事訴訟法を守り通す川内さんは立派だと思います。川内さんのおかげで民主党に話題が集中し、自民党のテレビ露出が減り、支持率が伸び悩んでいます。とはいえ、ある程度「予定調和」というものがあるでしょう。政治は理屈だけでは煮詰まってしまいます。私たちは、川内さんが帰ってくる日をいつまでもずっと待っています。恥ずかしがらずに、ふらっと、こっちに帰ってきてくださいね(^_^)v

 ↓下は、川内さんに贈る歌!(YouTube上で見つけた物を張りました)

 ♪内緒で出て行った君を 誰も裏切ったなんて、思ってないよ。心配しないでいい~