[写真]岡田克也幹事長が小沢一郎元幹事長に「幹事長室でお待ちしています」2010年11月4日午後の衆院本会議、MSN産経から)
今週は補正予算が衆参本会議で代表質問まで進み、遅れていた閣法も保険業法改正案が衆院通過、ねじれの国交委(参院の委員長が自民党)でも、自民党提案の付帯決議付きで閣法が衆院委員会通過、衆院外務委では条約4本(承認案件)がすべてお経読み(趣旨説明)完了、衆院経産委では、スーパー野党的やり手筆頭理事だった自民党の塩崎恭久さんが衆・予算委の次席理事に栄転したこともあってでしょうか、参院先議の議案(北朝鮮への経済制裁延長)が審議入りしました。
地味ですが、前進はしています。ただ、来週は補正審議のための予算委員会ということで、ほとんどの閣僚が拘束されます。野党時代に民主党国対委員長代理を務めた安住淳・防衛副大臣は5日付の個人メルマガで「(補正)予算が通過したら、(12月3日の会期末までに)各委員会とも法案をせいぜい一つぐらいしか成立できないのではないかと心配してしまう。ここは、日程的にも国会を乗り切る踏ん張りどころである」と隔靴掻痒ながら、国会運営にエール(不満?)を贈りました。
さて。
民主党の菅直人代表(総理)や、公明党の井上義久さんら各党幹事長から、小沢問題の処理(今国会中の小沢一郎氏の国会招致)を任せられている民主党幹事長の岡田克也さん。二大政党史的に言うと、「岡田vs小沢最終戦」、もっと短期間の現下の厳しい経済情勢・ねじれの中での、「線路の置き石処理」ですが、一歩前進がありました。
岡田さんは、小沢問題に関して、「プロセスをオープンにする」と言っています。これは月曜日と木曜日の定例記者会見の活用ももちろんですが、目に見える行動で示していくという意味合いが強いと思います。
政治倫理審査会規程などでは、政倫審は委員の3分の1以上の申し立てのほかに、「審査会は、政治倫理に関し不当な疑惑を受けたとして議員から審査の申し出があったときは、これを審査しなければならない」となっています。
ですから、今週は「本人(小沢さん)が申し出て、政倫審で“政治倫理に関して不当な疑惑を受けた”として説明したらどうですか」と岡田さんが小沢さんに促したということです。岡田会見によると、「小沢さんの問題がさまざまな国会上、たとえば予算審議への影響、あるいは野党の予算の賛否への影響、予算の後の今後の法案審議への影響、来年度の予算、法案、それから統一地方選挙、そういったことにさまざま影響している、あるいは影響してくる可能性があるので、ご自身でご判断してぜひ政倫審の場で説明をしていただきたい」と話したそうです。
で、これをもって「交渉決裂」という見出しが踊りました。新聞記者も、イライラしている、例えば、某社では6月のボーナスがいまだに出ていないのにネトウヨからは“マスゴミ”呼ばわりされるということで、イライラしているのは、かつての同輩としてご同情のいたり。でも、岡田さんの考えは、おそらくこうです。11月1日週は、ここまでにする。それ以上ステップを進めると、記者会見で説明しても、かえって有権者に分かりにくくなる、つまり“オープンでなくなる”ので、ここで終わるでしょう。
会期末まではあと4つの週があります。
で、次回ですが、私は、もう一度政倫審への出席を促すと思います。あくまでも私の推測です。2人の会話の中では、小沢さんへの圧力を高めるでしょう。ひとつあり得るのは、最新の衆院ホームページの政倫審名簿をみると、合計25人のうち、民主党議員で小沢系は、幹事(一般の委員会でいうところの理事)で1人、議員で4人ほどいます。これを菅グループ「国のかたち研究会」(国研)会長で、岡田さんとは同期当選の土肥隆一・政倫審会長や鉢呂吉雄・国対委員長にお願い・指示して、他の議員に差し替えるという手があります。そして、まあ、3分の1以上でいいのですが、「全会一致で小沢さんを呼ぶように決議する・・・かもしれないよ~」とほのめかすという手もあります。まあ、麗しき女学生の経験がある方には分からないでしょうが、生き馬の目を抜く男の世界で生きてきた者にとっては、拳は振り上げるものであって降ろすものではありません。
岡田さんや筆者と同じく、“新進党(小沢一郎党首)被害者の会”のメンバーで、やはり第39回衆院選初当選(現在は参院議員)の、公明党の山口那津男代表は4日、「民主党として党首から命を受けて行っているわけだから、第一歩だ。(岡田氏は)『今国会中』と述べており、粘り強く説得することが大事だ」「最終的には菅(直人)党首の責任で解決に乗り出すことも考えなければならない」「民主党の中にいろいろな声が出てきているようだが、野党としては、岡田氏の責任ある努力を見定めることが大事だ。しっかり努力する姿を見せてもらいたい」と語りました。
同じく「新進党被害者の会会員」の渡部恒三最高顧問は「幹事長の言うこと聞けない場合は、党を離党するってことだろうな」と述べたそうです。また、報道によると、自民党の石破茂・政調会長は、あす(11月7日)朝6時TBSで録画放送される「時事放談」の中で、「幹事長の言うことをきけない一兵卒なんて聞いたこともない。指揮官の命令をきけない一兵卒は除隊だ」と述べているようです。まあ、石破さんに関しては自民党→新進党→自民党の人ですが、岡田さんと石破さんは、政治改革関連法を通常国会で仕上げろ!と言って、宮澤喜一・自民党総裁(総理)の渋谷区の私邸に乗り込んだり、与党の若手の声を集約して、羽田孜・総理に「解散?総辞職?」について、官邸の執務室で話し合った仲です。くどいですが、石破さんは自民党に帰った人ですから、岡田さんが石破さんをどう思っているか、石破さんが岡田さんをどう思っているかは分かりませんが、“同窓会での思い出話”はあります。
私はこの「線路の置き石」をていねいに処理する過程で、新進党被害者の会(民主党、公明党、自民党に在籍)、オリジナル民主党結党メンバー、(自由党解党後に個人の資格で民主党に参加した)“第3次”民主党以降に初当選、入党した人が、ねじれを利用して、ドリルのように国政を前に進めることができるのではないか、と考えています。
私の論に私情が多いとお思いの方も多いでしょう。他人の胸の内は分かりませんが、国会議員というのは、私情を吐露する機会が少ないし、吐露してはいけないとされています。極めておこがましいですが、私はそれを代弁しているつもりです。ありがた迷惑の人も、それは違うという人も、関係ないという人も、パソコン画面に向かってちょっとだけ笑みを浮かべる人もいるでしょうが、かつて志を共有したという実績は、ねじれ国会を前に進めるガソリンになると考えています。
岡田克也幹事長の定例記者会見(2010年11月4日)
[民主党ホームページから部分引用はじめ]
■冒頭発言
○小沢元幹事長との会談
とはわからない、これは野党がどういうふうに受け取るかは分かりません。わ
からないものの、現にそれが障害になっていることは事実であるので、ぜひそ
このところを考えていただきたい」と私から申し上げたところであります。
私がいろいろと申し上げてきたことは、私個人の意見ではなくて、幹事長と
しての岡田克也の意見であり、当然、私が申し上げるに際して、参院の幹部も
含めて、役員会メンバー全員ではありません、役員会メンバーの中でも特に中
心的なメンバーの人々とは不断に意思疎通をしながら申し上げているというこ
とも申し上げたところであります。
そういう説明をいたしましたが、小沢さんからは、自分の今の考えを変える
つもりはないということ、それがお返事でした。ただ、また再度お会いをして、
私の申し上げたことについてさらに意見交換をしようということになりました。
いつかということは特に決めておりません。
■質疑
○小沢元幹事長との会談
【記者】小沢さんのほうから、国会や党内に迷惑をかけているというような、謝罪的なお話はあったか。
【幹事長】小沢さんがどう言われたかということは、私の口から言うべきではないと思いますので、それは小沢さんのほうにお聞きいただきたいと思います。
【記者】今後、幹事長は、政倫審出席に向けて、意思が変わらないという小沢さんをどう説得するか。
【幹事長】今日の時点で、先ほどご説明したようなことですが、しかし、昨日までは会うことはないということだったわけですが、今日だいぶ意思疎通、意
見交換をすることができました。私がどう考えているかということもお分かりいただけただろうと思います。小沢元幹事長からのお話も承りました。そうい
う意味で、前進がないということではないだろうと思っております。
【記者】このまま強制的に政倫審を開くというような選択肢はあるのか。
【幹事長】今日は非常に、お互いの考え方を述べ合って、いろいろな意味で、言葉は非常に難しいのですが、意思疎通ができたわけですので、あまりそう硬
直的に考えるべきではないと思います。
【記者】再度話し合うことの意味合いは。
【幹事長】先ほど申し上げたように、私はいろいろなことを申し上げました。もちろん小沢さんもお話になったわけで、そのことを踏まえてお互い今は考え方が違うわけですが、意見を一致させるために再度お会いしたいと。一定の時間を置く必要があります、それは。よく考える必要がありますから。これはお互いですけれども。私も党のほうに諮って役員会の主要なメンバーの皆さんと意見交換をしなければなりませんし、総理のご意見もどこかでよくお伺いしなければなりません。そういったことを踏まえて、またお会いしたい、こういうことです。
(中略)
【記者】今まで要請されたのと違うように要請したのか。昨日まで面談に応じないと言っていた小沢さんが今日になって応じたことをどう考えるか。
【幹事長】今日お会いいただいたのは、私としては大変ありがたいことだと思っております。なぜ昨日と違うかということは私に聞かれても分かりませんが、よくお考えいただいたと、そして決断していただいたということは、私は評価しております。全体的に非常にいい雰囲気の中で、お互いの考え方をしっかり述べ合ったとお考えいただければと思います。
【記者】小沢元代表は、昨日のインターネット番組で(政倫審について)基本的には秘密会だと。一方で裁判は公開だという考えを示した。幹事長は、政倫審に出席するときは基本的に公開という考えか。
【幹事長】そこまで別に何も決めておりません。制度的には、政倫審も、議院証言法に基づく証言も、非公開でなければいけないとは書いてはいないということです。ご本人が望んだり議決によって公開にすることは可能な仕組みであるということです。
(中略)
【記者】小沢さんが政倫審などに応じない理由を直接聞いて、納得いくものだったか。
【幹事長】昨日のニコニコ動画での小沢さんの発言に関連しても、いろいろ私の考え方を申し上げたところです。話し合いをしているときに、納得したか、しないかって、あまりそういう言い方は、私はしないほうがいいと思います。
【記者】これまでの役員会では小沢さんへの対応を幹事長に全部任せたというやり取りはされていないと思う。今後、執行部の総意として要請するか。最後まで小沢さんの判断にゆだねるのか。もっと大きい中で、小沢さんに強制的に、勧告というか政倫審に出ることを求めていくか。
【幹事長】今、話し合いをしているところですので、先の先のことまで言う必要はないと思います。いろいろなことを考えてやはり政倫審で、自らの判断でお話いただくことが望ましいと思っております。他方で、何らかの形で国会で説明されることが必要と考えているわけで、それ以上言うつもりはありません。それから、一任を受けても困ってしまうわけで、それはやはり今までもそうですがこれからも、役員というと非常に多いものですから、役員会で議論するとこれは正式に党としての意思決定ということになります。今はまだ話し合っている最中ですので、もう少し限られたメンバーで、連日お互いの確認をしながら、私が代表して、幹事長としてお話申し上げているということです。
【記者】先日の幹事長会談で、野党側に、小沢さんの国会への説明について、今国会中を目指して説明の環境整備に努めると言ったと思う。今日の面談を受けてもその方針に変わりはないか。
【幹事長】まず、幹事長会談で申し上げたのは、ひとつは小沢さんの問題に関しては、国民に説明できるように環境整備に努力すると。これは役員間で共有された考え方です。私の前に鉢呂国対委員長も前日、国対委員長会談で同じことを言われたと思います。今国会中にというところだけは、私の責任で申し上げました。(中略)
【記者】証人喚問ではなく、なぜ政倫審なのか。本人の意思を踏まえるというのも、なぜそういうことを言うのか。
【幹事長】政倫審というのは基本的にいろいろな疑惑が降りかかったときに自らそれを明らかにするというものですから、まさしく政倫審でお話しになることが適切ではないかと考えているところです。
【記者】小沢さんのニコニコ動画出演がひとつのきっかけになったか。
【幹事長】これは、わかりません。私は何度もぜひお会いしたいということは申し上げてきました。今回それが成立したことは大変ありがたいことだと思っております。
【記者】幹事長の会談要請が秘書と秘書を通じてのもので、直接本人からなかったというのは事実か。今日の連絡は、幹事長から直接小沢さんにお話したのか。
【幹事長】まず、秘書と秘書、というのはやや違うと思います。今まで党の幹部職員と小沢事務所の事務所長の間で行われていたとお考えいただきたいと思います。私の個人秘書が行ったものでは、もちろんありません。何度かこの2人の間でやり取りがあったわけでありますが、そういう中で私からは、もしお会いできないということであれば、その事務所長の方に私のところに来ていただいて、私から直接事務所長にお話ししたいということを申し上げました。その時に、それはできないというお話で、10月25日からこのやり取りが始まって、何回か往復が、確か3、4回あったわけです。
11月1日に初めて、中身は何ですかというお問い合わせがあり、私から、先ほど申し上げたような趣旨のことを申し上げたわけであります。つまり国会の説明についてご自身で決断していただくことが望ましいと考えているが、そういったことも含めてお話ししたいということを11月1日の朝、申し上げました。それに対して、ニコニコ動画でお話しになったのと同じ趣旨だと思いますが、司法手続きに入ったので司法の場で説明していきます、というお話をいただきました。私からは11月1日の夕方ですが、先ほど申し上げたように議院証言法第4条の趣旨、これはまず徹底させていきますと。つまり、証言とか宣誓を拒むことができるという規定ですね、趣旨は徹底させていきますということをまず申し上げました。これは幹事長会談でもそのことは何度も私、申し上げたところであります。単なるショーにしてはいけない、質問して証言できませんということで、それはショー化するようなことがあってはいけないということを申し上げました。
それから、そのうえで、先ほど申し上げたように、議院証言法第4条の趣旨は、あるいは政倫審についてはまったく規定がないということは、結局司法手続きに入っていることであっても立法府の場で説明することを否定するものではないということを、これも同じルート、伝言、人づてで申し上げたところであります。今日になって、再度、院内でお会いしたいと申し上げて、会談が実現したということです。(後略)
[民主党ホームページから部分引用おわり]
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