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ニュースサイト 宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が3党協議を現地で取材したり国会中継を見たりして雑報を書いています。

「菅君の続投は、国民のみなさんの世論調査次第だ」恒三さん、首相の続投に道筋

2011年06月19日 09時09分37秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[写真]渡部恒三さん(本人公式ホームページから)

 さあいよいよ、第177通常国会会期末の週を迎えました。しあさって23日(水)が会期末の攻防となりますが、不信任政局の混乱のあおりで、参議院自民党は問責決議案を提出できない状況に追い込まれたもようです。

 渡部恒三さんは2011年6月19日(日)放送のTBS「時事放談」に出演しました。

 「菅直人首相が2日の民主党代議士会で退陣を表明した」という誤報について、恒三さんは「代議士会での発言なり、記者会見なりを聞いていると菅君は『辞める』なんてヒトコトも言っていないんですよね」、「一定のメドがついた段階で、若い世代に責任を引き継ぐという言葉は、私なんかは(政権交代ある二大政党デモクラシーをめざして衆議院副議長を退任して野党・民主党に入党した)10年前から言っているんですから」としました。そのうえで、「前の総理が今の総理に『ペテン師』だなんて言ってみっともない」、「鳩山君は頭は良くないのは前から知っていたけど、育ちは良いのでコロッとだまされちゃったんだろうな」と、いつもやさしい恒三さんにしては珍しく毒のある表現で、解説しました。司会の御厨貴さんは「それはまあ、複雑な言い回しでおっしゃいましたねえ」と驚いたようす。これは、国対委員長当時の「起き上がりこぼし事件」のように、やんわりと、鳩山由紀夫さんら、菅降ろしに懸命な世襲議員グループ(小沢一郎氏、鳩山由紀夫氏、田中眞紀子氏、および自民党の谷垣禎一氏、石破茂氏)らに新しい政治への幕開けに協力するよう直接的なメッセージを送ったようにも思えます。「3・11」後の日本では、他国同様に、このような直接的なメッセージが増え、意思決定のスピードが速くなると私は予想しています。

 恒三さんは「この国が生きるか、死ぬかのイチバン大事なときに、イチバン国民のみなさんから信用されない(といけない)政治が混迷している。国が滅びるか、滅びないかの大事なときに混迷している。ですから、国民から政治が信用されなければ、どんなに頭の良い奴が上手いこと言ったって(ダメなので)、国民から信用されること(が大事だ)」としました。そして、「来週マスコミ各社の世論調査をするでしょう。そこで、世論が『続けろ』といえば続けていいし、『できるだけ早く辞めてくれ』という世論なら辞めていただく。国民の意見に従う! 」と述べました。

 このように、非世襲議員である恒三さんが、国民の世論調査の結果次第で、菅直人さんの首相続投を表明したことから、国会周辺でも菅続投の機運が開けてくることが考えられます。

 ちなみになぜ6月2日夕刊に「首相退陣表明」という横見出しが載ってしまったのか。これは、正午からの民主党代議士会がNHKで生中継されていたので、これを本社にいる政治部長・デスク、整理部長らが、「一定のめどがついた段階で、若い世代に責任を引き継ぐ」というのが菅さんの文脈からして、無期限続投表明なのは明らかです。そこで、平河クラブ(自民党記者クラブ)を現場の頂点とする本社詰めの幹部が、“菅語”を理解できずにそのまま見出しをつくってしまったのでしょう。社民連記者クラブなんて初めからありませんからね。そこで引っ込みがつかなくなっているのが、各マスコミの現状ではないでしょうか。現時点では、朝日と産経が引っ込みがつかなくてなっている一方、日経と東京(中日)はかなり軌道修正ができていると考えます。

 ところで、TBS「時事放談」はフジ「新報道2001」、NHK「日曜討論」、テレ朝「サンデーフロントライン」「サンデースクランブル」とは違い、収録番組で、金曜日に収録されています。この収録風景は、国会取材の記者に公開されています。そのため、事前に内容の一部が報道されることになりますが、必ず「TBS」という文字を入れて報道するよう、お願いしているようです。なお、私は時事放談をよくエントリー化していますが、すべて実際にテレビ放送を見て、記事にしており、事前に番組収録現場にでかけて取材したことはありません。

時事ドットコム:世論みて進退判断を=民主・渡部氏

 民主党の渡部恒三最高顧問は17日、TBSのテレビ番組の収録で、菅直人首相の進退について「今、辞めるべきとか辞めるべきでないということは言わない。(マスコミ)各社の世論調査で続けろという支持が多ければ続けていいし、できるだけ早く辞めてくれという世論なら辞めていただく」と述べた。
 渡部氏はこれまで首相は特例公債法案の成立と引き換えに退陣すべきだとしていた。

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やっと通常国会に青空が広がる、税制、子ども手当→特例公債法案」が来週にもメド、100日間?延長へ

2011年06月18日 22時24分06秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

【2011年6月17日(金) 参院本会議】

 来週の6月22日(水)が会期末となっていますので、週5日間たっぷり使えたのは今週がとりあえずは、最後となりました。

 17日(金)の参院本会議では、6本の議員立法(衆法=衆議院議員提出法案)が大量に可決・成立しました。

 自民党の二階俊博さんら和歌山県選出などの議員が取り組んできた、「津波対策推進法」(177衆14号)が成立しました。「3・11」以前に提出されていたので、遅きに失しました。この背景には、2007年の参院選でのねじれ国会、2009年政権交代後の与党慣れしない民主党と野党慣れしない自民党の国会運営が“宿題”を積み重ねてきたことがあります。

 このほか、衆院・文部科学委員会として、今国会2本目の議員立法となる「スポーツ基本法」(衆11)が、森喜朗さんに加えて、参院側では田村亮子さんら幅広い年齢・層の議員力の結集で成立しました。法案が大渋滞している、厚生労働委員会も3本の議員立法を1日で成立させました。お疲れ様です。「障害者の虐待防止とその養護者の支援法」(衆16)、「母体保護法改正案」(衆17)、そして、「社会保険病院存続の法律」(衆15)が成立しました。

 評価したいのは「社会保険病院の存続法」。これは今まで超党派のつなぎ法(時限立法)から、社会保険病院と厚生年金病院を存続させることを恒久法にしたものです。私は以前から自民党政権の末期症状のひとつとして、「特措法政治(時限立法国会)の限界」を挙げたことがあります。これが野党・民主党による、インド洋からの海上自衛隊の一時撤退、ガソリン値下げ(暫定税率の一時失効)を実現させ、政権交代につながりました。だから、政権交代の原点に戻るのなら、なるべく時限立法「特措法」「特例法」「つなぎ法」は避けて、恒久法案を出すべきです。

 さて、今週の国会では、6月30日に「つなぎ法」が切れる、税制改正法案が国税・地方税とも、衆院を通過しました。民自公が合意してつくった法案ですので、参院でも来週成立するでしょう。これにより、政府・与党執行部の第177通常国会の見場(みば)は大きく良くなりました。まるで丘に登って青空をながめるような気分です。そして、4月29日の3党合意に基づき、民自公の政調会長が子ども手当の見直しをしていて、合意次第、「特例公債法案(平成23年度の赤字国債発行法案)」も民自公3党で、衆参とも通過するメドが立ちます。

 審議日程からすると、税制改正法案(国、地方)、子どもの手当の新法案、特例公債法案とも22日(水)には間にあわないないでしょう。ですから会期延長です。22日(水)に衆参本会議で、第177通常国会の延長が議決される運びになるでしょう。通常国会は、国会法12条の第2項で、1回しか延長できないため、延長幅が高度な政治判断で決まります。私は、おそらく子ども手当つなぎ法が9月30日((金)で切れるので、そこまでのちょうど「100日間の延長」ということになると予測しています。民自公3党の政調会長は「オレを信頼していないのか」と怒るかもしれませんが、危機管理上も9月30日(金)を会期末にすべきです。そして、この間に、第2次補正予算案(復旧テコ入れ予算)、第3次補正予算案(復興スタート予算)が提出されることになりそうです。国会会期の延長は国会法12条に続く13条で「衆院の優越」がありますので、波乱なく、政府・民主党執行部の判断した通りの延長幅になります。

 6月1日(水)提出、6月2日(木)の衆院での内閣不信任決議案をめぐる政局の波風はいまだに衆参与野党に影響しています。1日夜、民主党の小沢グループの71人の議員がホテルニューオータニに集まっている頃、解散総選挙のポスターのキャッチフレーズを考えたり、いつでも引き払えるように議員宿舎掃除をした議員もいました。そうした「天気晴朗なれど波高し」の国会で、こうやって議員立法が6本も通るというのは心強い限りです。また、参議院はがんばっていると考えます。

 17日の参院本会議では、閣法でも、大震災の被災者の相続期間にかかる民法特例法(衆18号)、刑法改正案「サイバー犯罪防止法」(閣42号)も成立しました。いわゆる「六法」の一つである、民法および刑法の関連法の改正は、今国会で2回目以上になるのではないでしょうか。一つの会期で、民法や刑事関連法が2回以上、改正案が成立したというのは、おそらく極めて異例だと考えます。スピードです。このほか、「北朝鮮制裁の特定船舶入港禁止法」の政府の延長措置に関する承認も国土交通委員会の報告通り、本会議で議決されました。

 さて、延長国会では自民党に攻め手がないように感じます。予算委・決算委の「集中審議」は面白いのですが、これは法案とは関係ありません。塩崎恭久さんがやっている原子力災害の国会での調査委員会の設置法案でもいいでしょうし、自民党の知恵を結集して、法案を出して欲しいです。公明党も「東北復興銀行」設置法案を他党の協力を得て、出したらいいのではないでしょうか。

 私は国会の青空を見て、100日間延長でもどんと来い、楽しみが増えて良かったと感じています。まあ、ことしは夏休みにどこかに出かける気もしませんから、良かったです。さあいよいよ、国会の巻き返しが始まります。

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ねじれ国会の難題1つ解決 6月30日つなぎ切れの税制改革法案が衆本を通過

2011年06月16日 13時30分16秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

【2011年6月16日(木)衆院本会議】

 やれやれ、ホッとしました。

 ねじれ国会による自民党の抵抗のため、6月30日までのつなぎとなっていた平成23年度の税制改正法案(国税などの改正案、地方税などの改正案)が衆院本会議で民主党、自民党、公明党などの賛成多数で可決しました。衆院に送られます。委員会審議では日本共産党だけが反対討論をしていましたから、参議院でも可決、成立すると思います。

 これは藤井裕久さんや、野田毅さんが実務者として協議していました。

 国税などの改正法案は、閣法2号と閣法82号に分割し、閣法82号が衆院で可決しました。閣法2号に残ったのは、「個人所得課税、法人課税(法人税率の引き下げなど)、資産課税(固定資産税の控除額の引き下げと税率引き上げ)、消費課税に関する税制の抜本改革、それと、国税通則法の抜本改正」の4分野は残したままにして、閣法2号はそのまま、第177国会の議題として残ります。ですから、固定資産税の増税はこの6月末でも見送られることになります。

 そして、新しく作った「閣法82号」の方に、「つなぎ」の免税措置と、雇用促進税制、NPO寄付優遇税制、航空機燃料税への減免措置、年金所得者の申告の簡素化などを加えて、この閣法82号が、衆本で可決しましたので、とりあえず、これは期限なしにずっと有効ということになります。なお、閣法2号がどうなるかは、ハッキリ言って、与党幹部も分からない状態だと考えます。

 地方税などの改正法案は閣法4号と、閣法83号に分割し、閣法83号が衆院を通過しました。閣法83号では、寄付金の税額控除の見直し、都道府県税・市町村税である個人住民税の脱税犯への懲役刑の引き上げ、税負担軽減措置を入れた内容だとのことです。

 ただ、衆議院ホームページの「議案」を見ても、本文が載る前に、もう審議を終えて、衆院を通過してしまっているんですよね。いつもこうです。いったい、衆議院事務局は1000人以上も職員がいて、何をやっているんでしょうか。英国庶民院などはツイッターで、「きょうの党首討論の議事録は、3時間後にホームページにアップしますよ~」と自らプレッシャーをかけながらやっているのに。

 各種世論調査で、国会が信頼できるという人は15%前後にとどまっています。衆議院事務局ももっとスピーディーに仕事をやらなければいけません。官僚ももっと、法案の名前が「国会の見える化」につながるように考えて名付けないといけません。どうせ仕事をするのなら、メリハリつけて、効率よくやってください。

 

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菅首相、第2次補正予算(案)編成を指示 第177「正念場」通常国会は9月下旬頃まで延長へ

2011年06月15日 21時56分44秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

 菅直人首相は、2011年6月14日(火)の閣議に続いて、財務省の野田佳彦大臣、事務次官の勝栄二郎さん(昭和50年大蔵省)、主計局長の真砂靖さん(昭和53年大蔵省)を官邸に呼び、平成23年度第2次補正予算(案)を編成するよう命じました。2次補正は7月上旬にも国会に提出する見通し。

 これを受けて、民主党幹事長の岡田克也さん、国対委員長の安住淳さん、枝野幸男官房長官らは、第177回国会を6月22日(水)から3ヶ月程度延長する方針を決めました。通常国会の延長幅は1回しか決められず、また途中で会期を打ち切りことはできない(ただし、衆議院解散の場合はその時点で会期切れとなるのが唯一の例外である)ため、来週の22日(水)までギリギリの高度に政治的な判断を迫られます。会期の延長は国会法12条に続く、13条の規定により、衆院の議決が優先します。

 なお、補正とはいっても予算は予算なので、第2次補正予算案(復旧テコ入れ予算)、第3次補正予算案(本格復興着手予算)ともに、日本国憲法60条の「30日ルール」を使えます。仮に野党・自民党が抵抗した場合は、30日ルールを使えますが、世論が許さないのは間違いありません。そして、特例公債法案(平成23年度当初予算の赤字国債発行法案、今国会閣法1号)についても、参議院に送った後に、自民党らが吊しても、衆議院で3分の2で再可決が可能なように、日本国憲法59条にもとづく「60日ルール」が使えるように、およそ90日間程度の延長幅になる可能性が高くなってきました。

 1月24日(月)に召集された今国会は、最重要法案(特例公債法案、税制改革法案)が通っていないので、錯覚しがちですが、多くの法案が成立しています。すでに衆院の常任委員会の一部には一服感があるので、各府省は、閣法をこれから出したり、民主党政府外議員や、野党議員は議員立法のチャンスが到来することになります。

 なお、みんなの党の江田憲司幹事長は記者会見で、「参院での菅直人君問責決議案の共同提出者にならない」と明言したようです。日本共産党も、衆院での内閣不信任案を棄権しました。これにより、6月にしろ、9月にしろ、参院自民党が問責決議案を出しても、欠席者や反対者を考えると、可決しない可能性が出てきました。とくに、今、参院で問責決議案を出すと、「参議院なんて要らない」という参議院不要論が世論の趨勢となりそうな気配となっています。

 付け加えると、今国会を「走りながら考えて」きた岡田幹事長は、子ども手当延長法案で、参院で、日本共産党などの賛成を受けたり、内閣不信任決議(案)では衆院で日本共産党や社民党の棄権などいろいろと不思議に道が拓けています。しかし、ここは大胆に、民主党規約の改定にとどまらず、国会法・衆議院規則・参議院規則・内閣法・国家行政組織法の改正に大胆に取り組んでいかないといけないと思います。

 菅さんも中国国民党元主席で、元台湾(中華民国)総統の李登輝さんに自宅に招かれご指導を受けたことを、14日の参院特別委員会で明らかにしましたが、世はまさに正念場(性根場)であるとともに訓政期。国民党初代主席の孫文が唱えた「訓政期」において、私たちが学ぶべきことは「権力とは何か?」ということです。菅さんは見苦しいまでに権力に執着して、その教材になってほしいと感じております。政治家は自らの性根をさらけ出すのが仕事です。

首相「1・5次補正」編成指示も… - goo ニュース

 菅首相は14日午前の閣僚懇談会で、東日本大震災からの復旧を柱とした2011年度第2次補正予算案の編成を指示した。
  7月上旬にも国会提出を目指す。22日に会期末となる今国会の1~2か月程度の大幅延長が念頭にあるとみられるが、自民、公明両党は菅首相による2次補正の編成に反対を表明した。
 首相は14日午前の参院東日本大震災復興特別委員会で、2次補正について、「1次補正に盛り込み切れなかった急ぐべき対策を盛り込んだ『1・5次補正』とも言えるもの」と述べた。内容は、被災企業や個人が既存の借金に加えて新たな債務を抱える二重ローン問題対策などを挙げた。枝野官房長官は同日の記者会見で、「復興国債などの財源措置を想定しない」と述べ、2次補正が小規模になるとの見通しを示した。

菅政権、国会3カ月延長の方針 首相交代と「矛盾せず」(朝日新聞) - goo ニュース

 菅政権は15日、22日に会期末を迎える今国会の会期を3カ月延長する方針を固めた。菅直人首相が編成を指示した第2次補正予算案に加え、震災の本格的な復旧・復興予算を盛り込んだ3次補正の成立もめざす。一方、複数の政権幹部は15日、会期の大幅延長とは別に、首相は早期に辞任すべきだとの考えを相次いで表明した。
 民主、自民、公明3党の幹事長、国会対策委員長は15日昼、国会内で会談。民主党の岡田克也幹事長が「大幅延長したい」と要請した。

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「鳩山由紀夫さんは民間企業なら即刻クビですよ」 みんなの党の松田公太さん

2011年06月15日 19時30分28秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[画像]みんなの党の松田公太・参院議員、2011年6月14日、参議院インターネット審議中継からキャプチャ

【2011年6月14日(火) 参院東日本大震災復興特別委員会】

 7月24日正午の地上波アナログテレビ終了を前に、力のある新人議員が、各党とも続々テレビデビューしました。

 みんなの党の松田公太さん。国会内の3つの議員会館すべてにある「タリーズコーヒー」の創業者ですが、ちなみに議員会館プロジェクトは松田さんが社長を退任してからということで、関係ないとのこと。

 公太さんは、復興基本法案の審議に先立ち、今なお、国政にさざ波を立て続けている、異例に早い時期の衆院での内閣不信任(案)について、「(衆院での)内閣不信任案のドタバタ劇。私が政治家になって、もっともがっかりした出来事でした。今もなお、怒りが収まりません。元総理大臣の鳩山由紀夫さんでさえ、失礼ながら、民間企業にお勤めだったら、仕事ができない奴だと言われてもしかたがないことをされていました」と述べました。

 ちなみに、私は現時点でも6月2日に、菅直人総理が退陣を表明したとは認識していません。これは、正午からの代議士会だったので、シメキリギリギリで、各新聞社とも夕刊に「退陣表明」と横見出しを付けてしまったので、引っ込みがつかなくなっているのですが、虚心坦懐に、「お詫びと訂正」とまではいかなくても、「読者の皆様へ」ということで、軌道修正すべきではないでしょうか。

 さて、公太さんは「何なんですか、あの総理と交わされた確認書というのは。民間企業で、もしあれほどあやふやな契約書や確認書を喜んで会社に持ってきたら、即刻クビですよ。一般社員じゃなくて、代表者だったら、それこそ株主代表訴訟(を起こされる)ということになります。菅総理の肩を持つつもりはありませんが、あれで(鳩山さんが菅さんのことを)『ペテン師』呼ばわりするのはおかしい」と述べました。

 
[画像]鳩山由紀夫さん、2009年5月の民主党代表選、この4ヶ月後に天皇陛下が第93代首相に任命。

 そのうえ、総理の「一定のめど」について、公太さんは「会社で出世したければ、仕事の納期をしっかりしなさい」と言っていたとの思い出を振り返り、菅さんに質問します。菅総理は「私は特許事務所(弁理士事務所)にいましたから、時間によって儲けが変わる仕事をしていましたので、納期はしっかり守るようにしています」と述べました。

【民主党内の「菅降ろし」は、非世襲グループvs世襲グループの争い】

 ちなみに民主党内では、15年ぶりに非世襲・非二世議員の菅直人さんが首相になったことで、「世襲グループ」と「非世襲グループ」の争いが顕在化しています。つまり、世襲議員グループの鳩山由紀夫さん、小沢一郎さん、田中眞紀子さん、松野頼久さんといったグループです。この中で、サラリーマン経験というと、鳩山さんが専修大学助教授、松野さんが日本新党職員ぐらいで、民間企業の経験はありません。小沢さんは大学院生から衆院議員にになっていますし、田中さんは越後交通といっても、親から受け継いだ家業の社長ですから、サラリーマンではありません。

 一方、菅直人さんは弁理士で、弁理士事務所もやっています。総理となった今でも、こちらの方の収入があるようです。弁理士として、組織人のきつさはあまり知らないかもしれないですが、一応サラリーマンです。岡田克也さんは通産省に12年勤めており、官僚ながら「不眠不休」はオイルショックのときぐらいだったようですが、マッチー町村(町村信孝元外相)を直属の上司とする組織人の辛さを知っています。また、政治家になったきっかけは、組織人として自民党の大臣・政務次官のひどさを知り、当初人生計画に入っていなかった「選挙に出る」という道を選んだようです。北澤俊美さんは、1962年に最初に就職した会社が倒産(会社更生法申請)してしまい、「高度成長の真っ最中、希望は失わなかった」ということです。そして、今では一流企業の前田道路株式会社に入社。東海銀行から同社再建のために送り込まれた荻野英利さん(後に代表取締役)と2人で「30億円の完成工事高と株主への配当復活(復配)は何年間で可能か?」という当時の前田道路にとってタイヘン厳しいシミュレーションを夜遅くまで2人で必死に計算したそうです。日経新聞交遊抄(1998年)では、俊美さんは「私はいつも上司に反抗していた」「私にとって前田道路での8年間は『社会を見る窓』を開けてくれた、私の青春のすべてだ」と記しています。枝野幸男さんは「高山法律事務所」の高山征治郎所長(弁護士)の「イソ弁(いそうろう弁護士)」をしていたから、サラリーマンです。平野博文さんも松下電器産業の社員や議員秘書をしていたから、サラリーマンです。野田佳彦さんや前原誠司さんも非世襲ですが、残念ながらサラリーマン経験はありません。例えば、研修をしたことがあっても、サラリーマン、いわば奴隷になる見返りに、給料をもらうという、組織人の辛さは、筆舌に尽くしがたいものがあります。

 そう言う意味では、15年ぶりの「成金・菅政権」に対して、「政治が家業」の小鳩グループが政権奪還に必死になり、田中さんが総理を「市民運動家上がり!」とののしったり、同じく世襲政治家の鹿野道彦農相を代表選に立てようとする、いわば反動が出てきていますが、ここは踏ん張りどころ。ここはがんばって非世襲議員を盛り上げないといけません。このときに、トップはだれであれ、私たち国民が上手く使いたいのは、「東大法学部卒業生」です。東大法卒も18年間首相の座から遠ざかっていますが、首相でなくても、東大法学部を上手く脇を固めるように使えば、官僚機構の力を引き出すことができます。そういう意味では、仙谷由人さんが官僚を使うのが上手いのは、事務次官よりも先輩の東大法学部出身者だからという面もあります。非世襲+東大法学部グループを使って、政治を前に進めましょう。歴史上は、チャーチルをはじめ2世議員からも優秀な人材が出ていますが、今の日本では、民主党にしろ、自民党にしろ、世襲議員を遠ざける動きが向こう10年間前後、必要だと考えます。

【菅さん「政治に嫌気を持たないでください」】

 菅さんは松田公太さんへ「初当選から1年、どうか政治に嫌気を持たないでください」と答弁すると、松田さんは「嫌気を持つどころか、ますますナントカしないといけないな、と思いました」と応じました。東京選出議員、がんばってください!!田舎の世襲議員に負けるな!

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「総理、これじゃダメなんです!」民主党1年生の後藤祐一さん、岸本周平さんが答弁 元気の源は?

2011年06月14日 23時59分59秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[写真]民主党1年生議員の左から後藤祐一さん(神奈川16区)と岸本周平さん(和歌山1区)

(このエントリーの初投稿日は2011年6月16日)

 後藤祐一さん岸本周平さんの2人の民主党1年生衆院議員が、議員立法(閣法の民自公修正含む)の提案者として、参議院委員会で答弁しました。140人を超える政権交代チルドレンですが、そろそろ差がついてきたようです。大幅な延長国会になれば、議員立法のチャンスが増しますから、党内内輪の政調で吼えるんでなく、公の国会の委員会で、与野党合意で、法案作りをしたらどうでしょうか。

【2011年6月14日(火)参・東日本大震災復興特別委員会】

 先のエントリーでも紹介したこの日の委員会ですが、衆院で民自公が修正した「東日本大震災からの復興基本法案」(177国会衆法13号)の修正者として、黄川田徹・特別委員長、自民党の加藤勝信さん、公明党の石田祝稔さん、民主党の後藤祐一さんら答弁者席に座りました。社民党の吉田忠智さんの質問で、内閣府に設けられる「復興庁」と、地方一括交付金(内閣府の地域自主戦略交付金)について後藤さんが答弁しました。

 後藤さんは「内閣府復興庁」の構想について、「①被災地のためになる、②ワンストップでできる、③スピード感を持ってやる」の3条件つけました。そして、「二重行政にならないように」復興庁設置法案をつくっていきたいとし、設置法案への関与にも意気込みを示しました。後藤さんは経産省出身ですが、内閣府の構造改革特区担当大臣の事務局にいたことがありそうですから、”ごちゃ混ぜ”の内閣府のことにも詳しいのだと思います。マニフェストでは「地方一括交付金」で、内閣府の主管となり、なぜか「地域自主戦略交付金」に名前が変わった制度について、苦言を呈しながら次のように答弁しました。

 「一括交付金的なおカネを、というご質問ですが、現に今、被災地(の自治体で)ものすごくたくさんの事業をやりたい。ところが、この事業は(国庫)補助事業になるのか、ならないのか(不明確だ)。こういったものが何百とあるわけです。これについて、補助金の拡充に関して、この委員会での午前中の審議でも菅総理、片山善博・総務大臣から前向きな答弁がありましたので、ぜひ2次補正予算案に入れて欲しいと思います」とちゃっかり、総理に予算要望。
 そして、「23年度当初予算に入っている内閣府の地域自主戦略交付金というのがあるんですが、これが使いにくいんです。これじゃダメなんです、総理!
 
[画像]「これじゃダメなんです、総理」と言って、菅首相を振り向く、答弁席(演台)の後藤祐一さん。右は拡大写真、赤丸が後藤さんと菅首相。(参議院インターネット審議中継から)

 と言って、答弁席から菅総理を振り向き総理を諫めると、委員会室から「オーッ!」というどよめきが挙がりました。そのうえで、「ぜひいろいろな交付金、いろいろな補助対象、補助率の自由度の高い交付金を与野党共同してつくっていただきますようお願いします」と締めくくると、「総理より良い答弁だ!」のヤジが飛びました。

【2011年6月14日(火)参・内閣委員会】

 岸本周平さんは、「NPO促進法の改正案(177国会衆法12号)」の答弁で、参院委員会室に。ちょっとこの法案のことはあまり詳しくないので、岸本さんのブログからの引用を含めてお伝えします。



[画像]答弁席に座る左から逢坂誠二・総務政務官、玄葉光一郎・国家戦略大臣、荒井聰・衆院内閣委員長(元国家戦略大臣)、岸本周平・衆院議員(岸本さんのブログから)

 岸本さんは「参議院の委員会室は、衆議院と違って、こじんまりとしています。答弁者もテーブル席に座っているので、答弁はその場でできます。一々、答弁席に歩いて行って答弁しなくても良いので、合理的ですね」、「採決も、衆議院では起立採決ですが、参議院は挙手による採決でした」との感想でした。私もこのエントリーの国会傍聴は両方ともネット傍聴ですが、衆院と参院を同時に聞いていると、ビミョーな疲れが出るんですよね。ぜひ、その衆参の違いを日本を前に進める方向に進めて欲しいものです。

 岸本さんは、NPOへの優遇税制について、「NPOの認定基準は国税の減税につながる。だからといって、基準を不利にすることはあってはならない」と答弁。「私は(財務官僚時代に)に税務署長の経験もありますが、」とさりげなくアピールしながら、「自治体の条例に任せるのが妥当だ」としました。制度の悪用への懸念については、「公益法人と同じような監督権限」を都道府県庁に持たせるという考えを答弁しました。

 岸本さんは、答弁を終えて、「自分が、国会議員として議員立法を手がけたことで、まさに、英語で言う“Lawmaker(立法府の議員)”になり得たと実感しました」と振り返っています。

【岡田パワーマネーが背中を押した若手が八面六臂の大活躍】

 ところで、後藤さんは昨年6月の代表選で菅直人候補の推薦人に、岸本さんは、昨年9月の代表選で小沢一郎候補の推薦になっています。ところが、2人とも、当選前の総支部長時代に、副代表だった岡田克也さんからパワーマネーを注入され、元気モリモリと初当選してきた新人です。「融通が利かない」、「グループを持たない」、「友達がいない」と小沢グループ・鳩山グループに散々こき下ろされている岡田さんだけに、みなさん、意外に思うでしょう。

 岡田さんには、第44回衆院選(2005年9月11日)の翌日に民主党代表を辞めて、常任幹事、副代表を経て、鳩山由紀夫代表の下、野党幹事長(2009年5月)に復帰するまでの3年半の「野党内野党」というすさまじく閑職だったころがありました。岡田さんは中曽根康弘さんのアドバイスに基づき、"kill the time"(時間を殺す)していました。といっても寝ていたわけではなく、日本を2周半して、衆院予算委で安倍晋三首相に「私も代表・幹事長時代は時間がなかったけれども」としながらも、「地方は疲弊しているんじゃなくて、死んでますよ!」と地方行脚のススメをしました。NPO(非政府組織)「民主党」の代表者を名乗り、インドネシア・バリ島の国際会議に私費ででかけ、自民党の環境大臣のはるか後方の席から見ながら、休憩中のロビーで、話しかけて人脈を作るといった時間を過ごしていました。

 この全国行脚では、第44回衆院選で落選した浪人組を手厚く回っています。麻生太郎首相が2008年10月上旬に解散するそぶりをしながら、リーマン・ショックの景気対策を口実に「死んだふり続投」して、民主党浪人組は兵糧攻めでとても苦しくなった時期があります。この辺は当ブログでも散々書いていました。最近になって当ブログをお読みいただくようになった方は、2008年10月から2009年7月までのエントリーを目を通していただきたいと思います。



 岡田さんは政治資金管理団体を一つしか持っていません。「岡田かつや後援会」だけで、それと民主党三重県第3区総支部の代表者をしています。岡田かつや後援会からは、2007年と2008年だけで、18人に900万円のパワーマネーを注入しています。そして、このうち、やむなく引退した佐藤謙一郎さんをのぞく、ほとんどが小選挙区で当選し、今の民主党政権の中心人物となっています。

 岡田パワーマネーは、2007年は政治資金パーティのチケット購入が中心でした。2月22日に佐藤謙一郎さんの総支部から20万円のパーティー券を買いましたが、佐藤さんは引退し、現在「配達員」をされているようです。そして、同年3月7日には、生方幸夫さんの「実行委員会」から10万円、5月1日には城島光力さんの実行委員会から10万円、10月9日には、樽床伸二さんの政治団体から20万円、10月30日には山花郁夫さんの実行委員会から10万円、11月5日には中川治さんの総支部から10万円、11月28日には海江田万里さんの実行委員会から10万円、12月11日には辻恵さんの政治団体から10万円のパーティー券を買うことで、パワーマネーを注入しています。この人はみな、このころみな浪人中の苦しい時期でした。

 2008年には、第44回総選挙初出馬落選組を中心に、パワーマネーが増えます。そして、麻生解散先送り兵糧攻めの中で、現在の1期生議員にもパワーマネーを注入しました。1月9日付で玉木雄一郎さんの後援会に30万円、1月10日付で、岡田康裕さんの後援会に100万円を寄付、1月10日に和田隆志さんの総支部に100万円を寄付しました。そして、自らの比例の議席を捨てて、山口2区補欠選挙に打って出た東大法学部同級生の平岡秀夫さんには、3月10日付で後援会に20万円。軍資金としてはちょっと少ない気もしますが、岡田さんなりの考えがあったのでしょう。5月3日には荒井聰さん(知事選出馬のため、浪人中)の後援会に10万円、6月3日には、石井登志郎さんの総支部に10万円、6月25日には後藤祐一さんの後援会に10万円、8月20日には、江端貴子さんの出版記念パーティー(著者名は「えばたたかこ」名義)に10万円。

 そして、麻生解散先送り兵糧攻めの12月5日付一気に10人にパワーマネーを注入しました。これは森本和義さんの後援会に50万円、緒方林太郎さんの後援会に50万円、稲富修二さんの後援会に50万円、阪口直人さんの後援会に50万円、玉木雄一郎さんの総支部に20万円、元職・本多平直さんの後援会に30万円、後藤祐一さんの後援会に40万円、谷田川元さんの後援会に30万円、岸本周平さんの総支部に50万円、そして、三重5区の藤田大助さんの後援会に100万円となっています。この2008年12月には玉木雄一郎さんが自身のブログで「兵糧攻めが知れ渡ってきたからでしょうか、白菜やネギの現物支給をいただくことが増えました」として、「現物支給大歓迎です」と記しています。そのタイミング、岡田パワーマネーが投入されたわけです。そうでなければ、こういった人材が息切れして日の目をみなかったかもしれません。全国を2周半まわっていたので、麻生解散先送り兵糧攻めの中で、議員会館の自室から電話で総支部長から窮乏状況その他をヒアリングし、岡田さんの判断で金額を決め、伝票を切り、パワーマネーを注入しました。この2008年12月5日の姿こそ、岡田さんが本来持つやさしさです。

 さらに、2009年になると、1月8日に、岡田康裕さんの後援会に100万円を寄付。続いて、1月8日に橘秀徳さんの後援会からパーティー券を10万円、2月23日に城島光力さんの後援会からパーティ券を20万円、3月2日に谷田川元さんの「実行委員会」から10万円のパーティー券を、3月23日には山花郁夫さんの後援会からパーティー券を10万円買います。

 さらに地方議員では、「新政みえ」の三谷哲央・県会議長(当時)が2007年8月28日に6万円、同じく「新政みえ」の稲垣昭義・県議が4万円のパーティー券を買ってもらっています。地方議員では、県議とはいえ、政治資金パーティーを開催するのはなかなか難しいのですが、私としては20年近いお付き合いになる稲垣先輩がパーティーを開催することができ、岡田さんに4万円買ってもらっていることを心から誇りに思います。

 こうなると、「岡田パワーマネー」は引退の佐藤さんを除くと、当確100%。そして、小選挙区も難攻不落の三重5区の藤田大助さんを除いて、全勝です。樽床さんが代表選に出馬し、荒井さんは国家戦略相、海江田さんは経財相・経産相になりました。平岡さん、和田さん、山花さんは政務三役になり、城島さんは政調会長代理です。三谷さん、稲垣さんも4月の統一地方選は優秀な成績で当選回数を重ねました。



 その中で、きょう、法案提出者として、参議院に出かけて答弁した、衆院議員というか、Law-makerとして1年生議員の中で一歩リードした、岸本周平さん、後藤祐一さんはともに岡田さんからパワーマネーを注入して元気モリモリ初当選した人材です。政治は嫉妬の世界。ここに名前が出て来ない民主党議員は面白くないでしょう。でも、一つ聞きたい。その人は、パーティーをやるときに、岡田さんに「買ってください」と営業に行ったんでしょうか。たぶん、「岡田さんは融通が利かないケチだ」という小沢グループの情報を信じて、初めから営業に行っていないんでしょう。

 世の中、ため息ばかりですが、こうやって、正念場国会で、力のある政治家が見えてきました。1年に1回総理を変えれば、人材不足になるのは当たり前です。後藤さん、岸本さんに限らず、玉木さん、樽床さん、海江田さんなどまだまだ有望株がいます。そして、どうやら岡田さんには、「一定のメドがついた段階で責任を引き継ぐ若い世代」の人材が見えているフシがあります。今は党本部幹事長ですから、全員野球ということですが、人材育成という面でも岡田さんが適任者だと考えます。パワーマネーを注入されたうち、純然たる二世議員は山花郁夫・現外務政務官(山花貞男・元日本社会党委員長の息子、山花秀雄元同党副委員長の孫)だけで、後は、石井登志郎さん(石井一さんの甥で養子だが選挙区は神戸市ではなく、芦屋市・西宮市)、谷田川元さん(よど号人質の山村新治郎さんのいとこ)ぐらいです。非世襲議員の首相だと、海部俊樹さん、村山富市さん、森喜朗さん(お父さんは中選挙区内の現役町長だった)、菅直人さんと、4代とも政権内の政府外議員や官僚を使いこなせていない印象がありますが、その辺は、父親の首相政務秘書官を務めた福田康夫さん、外務大臣秘書官を務めた安倍晋三さんら「家業」の人たちには劣るでしょう。でも、ここ10年ぐらいは、非世襲議員が首相をやらないと日本は復活できません。ぜひ、この岡田パワーマネーで元気モリモリ集団に期待したいところです。

 うんざりしないで、1歩1歩前に進んでいきましょう。

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民主党1年生議員の後藤祐一さん、参院本会議での答弁を実現 法案提出者として

2011年06月13日 21時29分52秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[画像]参院本会議で答弁する、民主党衆院議員の後藤祐一さん、2011年6月13日、参議院インターネット審議中継からキャプチャ

【2011年6月13日(月)参院本会議】

 参院本会議が午後3時から開かれました。参本は(月)、(水)、(金)の週3回定例日となっていますが、5月2日(月)に第1次補正予算を成立させた本会議以来の月曜開催となりました。

 金曜日に衆院で可決した、「東日本大震災復興基本法案」(177国会衆法=衆議院での議員立法=13号)が議題となり、衆院側の黄川田徹・復興特別委員長が趣旨説明しました。その後の各党代表質問には、議長席に向かって右側に、委員長や法案提出者の衆院議員、左側に菅首相、野田財務相らが座り、質問に答えました。

 この中で、神奈川16区(厚木市など)選出の民主党衆院議員で、「政権交代チルドレン(1期生)」の後藤祐一(ごとう・ゆういちさんが委員会理事のひとりとして、答弁に立ちました。2009年8月の政権交代後、民主党1期生およそ140人のうち、参院本会議で法案提出者として答弁するのは後藤さんが初めて。

 自民党参院議員の元国土交通省の事務次官、佐藤信秋さんの質問に対する答弁。

 後藤答弁者は「復興庁の設置時期は、(当初提出されていた)閣法では、付則に「施行後1年以内を目途(もくと)にする」と書いてあった」としました。緊張しながらも、「目途」を「メド」ではなく「もくと」と発音したところには、自民党から菅首相に対して、「進退」に関するヤジがかなり飛んでいましたから、何らかの政治センスが隠れている可能性があると思いました。答弁に戻ります。「ただ、(1年以内では)あまりにも遅すぎる、というご提案を自民党、公明党のみなさんからいただきました。わが党のなかでも、これでは遅い、復興庁をしっかりつくる、と明記すべきだ、との意見が多かったんです。そこで与野党協議の場においては、政府案(閣法)を修正いたしまして、この法案の付則ではなく、本文の24条5項に明記し、できるだけ早期に、平成23年度中にも設置できるようにしました」と堂々たる答弁。ここで、自民党のヤジにこたえて「そうなんです、遅いんです」とあいのてを入れたところだけは、1年生らしさも出ましたが、「そのほか、野党のご提案を多く踏まえさせていただき、とにかく早く、良い法案になるようにさせていただきましたので、どうぞ(速やかな審議と可決・成立を)お願いします」と述べました。

 ◇

 政権交代の前段階で、後藤総支部長は、神奈川16区の自民党の亀井元農相の逝去による、選挙が2006年秋の統一補選に前倒しになり、野党民主党の多くの議員・秘書が厚木などに派遣され、闘いました。そのため、後藤さんの記憶が残っている人が多いようです。補選は、弔い選挙の同情論もあり、亀井ジュニアが当選しました。神奈川の県西地域では、全選挙区で自民党の世襲議員が連続して議席を独占してきています。

 そして迎えた第45回総選挙では、後藤さんが58・8%の驚異的な得票率で勝ちました。なお、亀井ジュニアは政界を引退する方向と、聞いています。神奈川16区は、中心都市の厚木市は、自動車部品メーカーが多く産業が盛んなため不交付団体ですが、愛甲郡という自然のむらもあります。関東在住のドライバーは、ラジオの渋滞情報の「東名高速の伊勢原バス停前では~」というフレーズに聞き覚えがあるでしょうが、あそこです。けっこう難しい選挙区ですが、「実現男」のあだ名の通り、後藤さんは政権交代を実現させました。当選後は、当時の幹事長(当時)自宅の新年会に参加させられ、その後、ご苦労があったようです。昨年6月の代表選では、菅直人候補の推薦人(党規約により20人以上25人以内)の1人に選ばれました。

 後藤さんは、官僚時代に内閣府特命担当に出向していましたから、こういう象徴横断的な組織の建て付けは“土地勘”があると思います。おどろくべきことに野党が長かった民主党の当選5回生以上で、私は2人以上、「内閣官房と内閣府の違い」がまったく分からない人を知っています。うち1人は小沢グループで、ナント大臣までやっていますが、「3・11」の時点では閣僚から外れていたのは不幸中の幸いでした。私に言わせれば、内閣官房と内閣府の違いが分からない奴に、与党はできません。

 「民主党もダメ、自民党もダメ」と言う人。気持ちは分かりますが、そう言うあなたがイチバンダメ。

 後藤祐一さんが衆院での与野党協議の経緯を紹介しながら、参院で答弁し、法案の審議・可決・成立をお願いします。完璧ではないけれども、「熟議の国会」は部分的にはできています。きょうも日本の国会が一歩前に進んだことを確認できた1シーンでした。それでも政治は変えられる、との強い信念を持ちましょう。

tags 黄川田徹 菅直人 野田佳彦 亀井善之 亀井善太郎 

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私は大賛成、税と社会保障の一体改革 2015年に消費税10%→国保安定、最低保障年金、ジェネリック

2011年06月12日 10時38分20秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意


 さあ、いよいよ、6月20日(月)をメドに、「税と社会保障の一体改革」の成案が決定されます。

 私は、6月2日(木)の午後6時から首相官邸4階大会議室で開かれた「社会保障改革に関する集中検討会議」がめとめた「改革案」および「参考資料」の冊子(200ページ前後)を入手し、読み込みんでまいりました。

 その結果、これは、個人的に大賛成です! 2015年までに消費税が段階的に10%になります。しかし、このメニューがきっちり実施されるなら、当家ではお釣りが来そうです。

 みなさんのお手元にも、もうすぐ届くでしょうから、ぜひご自身の利益になるかどうか、しっかりチェックしてください。

 ここで言う「社会保障」とは4つ。年金、医療、介護・・・そして子育て支援です。最後に「子育て」を入れた人、おそらく財務省主計局員でしょうが、この人は天才です。つまり、年金受給世代(70歳代、80歳代、90歳代)だけではなく、20歳代、30歳代、40歳代の子育て世帯でも、今すぐ恩恵が来る。具体的には、保育園を利用している人はメリットが大きいです。少しでも恩恵がある世帯は、消費税10%にGO! 私としては今すぐにでも、増税してほしい。もちろん、厚生労働省と自治体がメニューをしっかり実施できればの話ですが。

 税と社会保障の一体改革ほど、「落とし所」がハッキリした政治課題も珍しいでしょう。

 そもそもカンタンな解決方法があります。これから5年間ほど、毎年200万人の団塊の世代が年金受給者になります。ということは、5年後ないし6年後、つまり第47回総選挙の頃には、有権者総数の10%が新しい年金受給者になります。ならば、第47回総選挙で社会保障目的税として消費税を引き上げれば、団塊の世代はその分の年金をもらえ、健康保健の窓口負担が減ることになりますから、団塊の世代はそろって「増税日本」の公約を掲げた政党に投票するでしょう。それまでは、赤字国債で年金の基礎財源を補てんしておけば、消費税の一部を過去の赤字国債の償還分に回すこともできるでしょう。しかし、それはできません。言うまでもありません。ことしの時点でこれ以上の赤字国債の発行が厳しい状態にあるからです。だから、今やらないといけないのです。

 総論はいいとして、各論が大事です。

 私の場合は、70歳代の両親と私の3人世帯で、兄は独立して家を構え子どもがいます。で、私世帯では、これは今すぐに10%に引き上げても、お釣りが来ます。

 プライバシーもあるので、ハッキリとは書きませんが、まず私は日経健康保健組合は脱退しており、基礎自治体の国民健康保健組合(国保)に入っていますので、メニューにある「市町村国保の財政運営の都道府県単位化。それにあわせ財政基盤を強化。低所得者保険料軽減の拡充」という項目は賛成です。私は、地元自治体が好きなので、「地元の国保が破たんしたらしょうがないや」と思えるくらい、地元自治体が好きです。ただ、現実はそうもいきません。仮に財政が苦しくなれば、隣の自治体が財政がいいので、広域連合に入れてもらえばいいとも思います。ところが、反対方向の隣の自治体は全国的にも歳出圧力に比べて自主財源が弱い。こちらと広域連合や一部事務組合となると、保険料が上がってしまうでしょう。そう考えれば、「東京都国保」になれば、これには渋谷区や港区も入ってくるので、有利です。

 それから、後発医薬品(ジェネリック)のさらなる使用促進もやってほしい。

 最低保障年金(満額月7万円)も賛成です。私はサラリーマンが向いていないので、厚生年金保険料を労使折半で払い、悠々自適な老後というのは性に合いません。それまでの間、正社員として縛られる、奴隷です。ちなみに、メニューには「短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大」というのも入っています。私は厚生年金という制度そのものに懐疑的で、経団連が正社員を奴隷化する一手段だ、と考えています。ただ、現在では短時間労働者の方々で、「厚生年金に入りたい」という考えが多いようにもきかれます。奴隷になってでも、生活の安定が欲しい、というのが本音なんでしょう。

 ところで、内閣官房がまとめたこの資料、「最低保障年金の満額は7万円」と書いていますが、これは「7万円」ではなく、「月7万円」の書き損じでしょう。一体改革は「落とし所」がハッキリした話であって、国民の理解を得られる資料を作るためのロングストーリー。なので、たたき台をつくる段階から、国民が手に取ることをアタマに入れて、想像して資料を作らないと、これからの官僚は生きていけません。

 それと、具体的にどことは言いませんが、2つほど、私に有利な項目があります。

 なお、「デフレ化のマクロ経済スライド」には私は反対です。

 まあ、具体的に、当家としては、国保と年金だけでお釣りがくる計算になりますので、賛成です。ちなみに、子育て・子どもは、兄家族は厚生年金だし、保育園を使っていないのでメリットはありません。おそらく消費税分負担増になるでしょうし、将来の厚生年金受給額は減るでしょう。とはいえ、両世帯とも「安定」が得られます。どう考えても、消費税10%なら十分にお釣りが来ます。自治体の取り分を増やすなら、もっと増税してもいいでしょう。片山善博・総務大臣から「10%のうち、国と地方の分け前にも配慮すべきだ」という意見書が出ました。とうとう出たか、やはり出たかという印象です。これにより、税と社会保障の一体化の議論が立体化しました。片山さんの意見書は出て当然なのですが、とりあえず総論・各論で押し切って、その後に手直しする方がいいように思えます。

 で、税と社会保障の一体改革は、総論と各論を理解した上で、国民の判断を得るべきです。そういう意味では、今でも地方自治界では語りぐさの、北海道ニセコ町長の逢坂誠二さんの「予算書」全戸配布のようなことができればいいのですが、かなりの歳出になります。この200ページ前後は、なるべく安く出版ルートに乗せたり、あるいは、本屋のない過疎自治体では、首長さんの要望で、費用負担は別として、全戸配布ができるようにしたらいいと思います。ちょっとネットでは、なかなか全体像が見えにくいのかなあ、という気がしますが、ネットでも、自分の関係する分野だけみて、消費税10%が釣り合うかどうか、自分の利益で、判断したらいいと考えます。あるいは、iPad向けや、iPhone向け、キンドル向けなども出すと、注目を浴びるのではないでしょうか。

 国民にとって喫緊の課題ですが、最大の問題は、やはり小沢グループということになりそうです。今は国難だし、改革のスピードを上げないといけないので、あえて名指しします。異論があれば、メール下さい。とくにひどいのこの男です。



 吉田治衆院議員。小沢一郎幹事長の下、副幹事長(国対担当)を担当したので、1年生議員に一定の影響力を持っています。当選4回生の49歳にもなって、「私は変えたい。政治が変わる。Changing(チェインジング)!!」と具体性の乏しい主張。そもそも「変えたい」「変える」「Changing」としつこい。大阪4区(キタなど)の吉田おさむセンセイ。キタには、橋下徹知事もいますが、この人は民社協会の名折れです。松下政経塾がいろいろと批判されるのも、こういう男がいるからですが、まともな人もちゃんといます。一緒くたにしないでいただきたい。

 厚生労働省は、自治体としっかり連携して、人材も、権限も、財源も大幅に地方に移譲して、過疎自治体だけ「補完性の原理」で補うだけの存在となることを前提に、しっかりと制度設計と、実施のチェックをしていくべきだと考えています。もう時間がありません。また仮に小沢グループが「増税反対」を唱えたら、日本国民の総力を結集して、小沢グループの振る舞いの根源をしっかりと見抜いて、小沢グループを根絶やしにしましょう。100年先の日本のために。

tags 税と社会保障の一体改革=社会保障と税の一体改革

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それでも前に進んだ6月6日週の国会

2011年06月10日 22時25分22秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

 にわかに信じがたいことですが、6月6日週の国会は前に進みました。

 先週6月2日(木)の衆院本会議では前日の参本に続き、菅直人首相のサミット報告とそれに対する各党代表質問が予定されていましたが、自民党・公明党・たちあがれ日本が菅内閣不信任案を提出しました。慣例にもとづき、すべての審議に先んじて、2日午後1時から採決。ご存じの通り、圧倒的多数で否決され、衆議院は菅内閣を信任しました。私は、菅さんが「退陣表明」したとはまったく思っていないのですが、マスコミは「退陣表明」と報じています。私が菅総理について、以前から「性格は最悪だが精神力が強い」として、総理に推していて、「3・11」でも、それは証明されていると確信しています。どうか、菅さんは見苦しいまでに石にかじりついて続投してほしいと思います。そうはいっても、世間がどうみるか。これが日本の議院内閣制です。レームダック化を前提にした「次の体制」に向けた動きも必要です。

 そもそも、なぜ会期末、6月のセレモニーである不信任案が政局になってしまったか。最大の要因は、民主党の岡田克也幹事長安住淳国対委員長の政府外議員へのしめつけが遅く、甘かったということになるでしょう。そして、採決の前夜の「小沢グループ71人結集」というハプニングにつながってしまいました。うんざり政局はいったい何だったのか。ヒトコトで言うと、民主党正副の幹事長、正副の国対委員長、そして、自民党の執行部およびベテラン議員、公明党の執行部とも、「小沢グループが馬鹿とは知っていたが、ここまで馬鹿とは思わなかった」というのが本音でしょう。

 さて、これまでなら、今週の国会は、野党は「首相の退陣時期」が明確になるまで、審議拒否となったでしょう。しかし、政治への関心の高まり、ネット中継、ボス不在の政治(そのひきかえに、ケータイ、スマートフォンでめまぐるしく変わる情報戦)は国会空転を許しません。それでも国会は前に進んだ、といえるでしょう。

 7日(火)は衆院は疲れて審議無しでしたが、参議院では委員会で衆院送付法案の採決をし、翌8日(水)の参本では、「国鉄清算事業団の債務に関する法案(閣法)」や、「環境教育法の改正案(衆院環境委員長提出)」などが成立しました。かなり早く国会は正常化したといえるでしょう。

 9日(木)の衆院本会議では、「スポーツ基本法案」、「NPO促進法案」の2つの議員立法が参院に送られました。なかなか後半国会らしくなってきました。また、北朝鮮制裁の特定船舶入港禁止法に関する承認案件(衆・国土交通委員会で審議)や、「3・11」後に内閣が提出した「被災地のための金融機能強化法案(177閣73号)」も参院へ。さあ、会期末まで、残り8営業日、間に合うか。この9日(木)は参院法務委では、「刑法改正案(177閣42号)」、参・厚労委では「介護保険法改正案(177閣50号)」が審議されました。おそらく会期内に間に合いそうな気配です。

 そして、10日(金)はテレビ入りで、参院予算委員会に長浜博行さんが登場。意外や意外、テレビ入りの予算委は初めてとのことでしたが、与党質問のお手本のようでした。なお、税と社会保障の一体改革は20日ごろ、政府・与党幹部が成案を出す予定ですが、このたたき台(200ページ前後)は私は独自のルートで入手し、読み込んでいます。その結果、当家としては、大賛成ということになりました。早ければ、今週末にも、その理由を書きます。それにしても「信なくば立たず」が今177通常国会で最も聞かれた言葉だと思いますが、さすがに長浜さんは菅代表・岡田幹事長が民主党財務委員長を任せる人だな、と感じました。ぜひ一度、長浜さんとお話ししてみたい、と感じました。

 話が戻って、10日(金)。衆院の方に行きますと、大きな動きが。まず(火)と(金)が定例日の早朝の閣議で決定した、「国税などの改正法案(177閣2号)の修正案」と「地方税などの改正法案(177閣4号)の修正案」が出ました。民主党の藤井裕久さん自民党の野田毅さんが実務者協議をしていたと聞いています。これは、6月30日で切れる国税つなぎ法、地方税つなぎ法の中の「期限を区切っての減税」「免税」などの租税特別措置の来年3月31日までの延長。それに加えて、自民党からの税制改正の要求をかなり盛り込んだ修正案です。なお、当初の法案にあった、「法人税率の引き下げ」「相続税の基礎控除の5000万円→3000万円の引き下げ、税率の50%→55%」などは、この法案には入っていないようです。とにもかくにも、会期末ないしは6月30日までには絶対に、衆参で可決し、成立させなければいけない法案です。

 ちなみに、衆・財金委は“例の件”で後藤田正純・自民党側筆頭理事が委員を辞めてしまったので、きょうの衆院のホームページからすると、竹下亘・元財務副大臣が筆頭理事になると思うので、穏便に進むのではないかと期待できます。参院の財政金融委員会は、民自公との良識的な理事ですので、大丈夫でしょう。

 そして、衆・総務委では民主党側筆頭理事の黄川田徹さんが途中から、復興特別委員長になってしまったので、当選回数からすると何人かいますが、できれば、40歳になったばかりの小川淳也・元総務政務官に苦労してほしいと思います。この人、ちょっと細かいんですよね。この辺、おおように自民党側理事の肩を抱きながら、法案を速やかに参院に送ったら、次が見えてくると思います。その点では、衆・環境委はたくさん法案を通していて評価できますが、大谷信盛・同委筆頭理事が、参・環境委を傍聴して法案のプロセスをしっかり見ているということを知って、いいなあ、と思いました。民主党も捨てたものではありません。

 そして、10日(金)の衆本では、議員立法となった、「津波対策推進法案(177衆法14号)」」、「社会保険病院の存続法案(177衆法14号)」が通りました。なお、「社会保険病院の存続法案」は、参院選後の「院の構成を定める」だけの第175臨時国会(昨年7月)の審議でつなぎ法が成立しており、「ねじれ国会のお手本 鉢呂吉雄委員長が名裁き」という国会傍聴記にしたためております。

 さらに10日(金)の衆本で、やっとですが、「東日本大震災復興基本法案」が可決しました。これには、内閣提出法案と、自民党提出の法案、それに予算を伴う法案は50人以上の衆院議員の連名が必要なため、骨子案の発表にとどまった公明党案がありました。きょう参院委送られたのは、民自公共同修正で出し直した、第177国会衆法13号議案となりましたが、ポイントは「復興庁」「復興債」「復興特区」の3つで、これは公明党の骨子案にあったものばかりです。チーム3000の地方議員たちから上がってきた公明党が震災復興の主役になりつつあります。現時点で、民主党は公明党ほど組織力がないのですから、公明党の言うことをもっと聞くべきです。2次補正も公明党のアイディアを丸飲みに近いくらい入れたらいいのです。そういう意味では、復興特別委員会の筆頭理事が人柄の藤村修さんだったのは名人事といえるでしょう。

 まあ、しかし、大連立構想から始まった今週の国会ですが、議員立法が通るなど後半国会らしく、たくさんの法律ができつつあります。来週は参院がフル回転しなければいけません。そして、相対的に言えば、「最重要法案である特例公債法案(平成23年度の赤字国債発行法案、177閣法1号)を」成立させなければいけません。ここで、参議院の問責決議案など出したら、参議院不要論は一気に加速するでしょう。そして、特例公債法案が通らなければ、内閣支持率ではなく、国会支持率がなくなるでしょう。毎日新聞によると、震災復興後国会は機能していないと考える人は85%にのぼります。毎年やっている、ギャラップと読売新聞の共同調査では、昨年は、「国会を信用している」は日本では15%ですから、奇妙に一致しています。みんなの党参院議員の松田公太さんによると、電通総研などの世界の価値観調査では、国会の支持率は40%前後の国が多いそうですが、日本では20%前後だそうで、やはりこの辺りの水準です。

 残り1週間+3日間の最終盤国会を迎えます。衆参与野党、議員・職員・秘書が責任感を持って、辛くても前に進まないといけません。私たち国民もこの2週間、うんざりしないで、重大局面として国会を監視し、圧力をかけなければいけません

 さて、菅さんがどうするかということがありますが、民主党新代表に動き出しているところがあるようです。昔、宮澤喜一さんは「保守政党の総裁選出は実力者同士の話し合いが望ましい」という趣旨のことを言っていました。今の言葉で言えば「政権与党の代表は名乗りをあげた者同士の話し合いで一本化するのが望ましい」ということになるかと思います。宮澤さんの発言を聞いた十数年前は反感を覚えましたが、今となっては、その言葉の意味が胸に突き刺さるように感じます。現在は、野田佳彦さん、鹿野道彦農相、樽床伸二さん、小沢鋭仁さんの名前が上がっています。このうち、野田さん、鹿野さん、樽床さんの3人は、新進党に最初から最後までいた人です。憲政史上初めて、第95代首相は、新進党籍があった人となれば個人的にうれしいです。一方、小沢鋭仁さんは、民主党では、小沢(一)さん、岡田さんに続き、前原さんと並ぶほど、政治資金(個人・団体献金、パーティ券)の集金力がある人です。年齢を考えたら、ここで小沢(鋭)さんが出馬するのは当然でしょう。政治部の記者はそれがなぜかを、総務省収支公開室の資料(http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/101130/22620056.pdf)などで調べておくといいのではないでしょうか。私は小沢(鋭)さんは金融に強いから、パーティ券が売れるんだと推し量っています。それと小沢グループは相変わらず人を見る目がないですね。鹿野さんは大変な威張り屋で、菅さんよりも怒鳴りますよ。おそらく小沢グループは鹿野さんと会話をしたことがないんでしょう。小沢グループには鹿野さんの秘書がいるし、農水省には鹿野さんではなく「影の大臣」と呼ばれる政務三役が他にいますから、農水官僚に友達がいれば、その理由を聞いたらいいと思います。ただ、鹿野農相だったからこそ、JA・JFと民主党政権の距離が縮まり、「3・11」後のスピーディーな対応につながったことは間違いありませんし、おそらく「新進党鹿野派」ということから、鹿野さんという名前が上がっているのでしょうから、私は元新進党の党員としてそのことには感謝します。それと仮に野田首相となると、福田康夫首相の早稲田大学政治経済学部経済学科につづいて、今度は早稲田大学政治経済学部政治学科から初の首相となるので、属人的には、うれしいです。もちろん首相にはなりませんでしたが、政治学科の前身の卒業生である、“孤高のパトリオット”「粛軍演説」の斎藤隆夫先生が憲政史上もっとも偉大な政治家であるとの考えは変わりません。とにもかくにも、「宰相の器」というものをよく考えてください。民主党の議員は与党としては馬鹿すぎます。サラリーマン家庭の田舎者が国会議員になると、ここまで驕り、ここまで先が見通せないものなのか、と慄然としている、というのが私の正直な感想です。民主党から乞食党に改名した方がいいのではないかと感じます。今度失敗したら、ホントウに終わりです。

 閑話休題。

 いずれにしろ、特例公債法案です。それと、ちょっと取材が甘くなってしまっているのですが、自然エネルギーの全量固定価格買い取り法案(177閣51号)は審議入りしていません。

 さあいよいよ、第177通常国会は、正念場を迎えました。

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公明党代表「ごくごく短期で、復旧・復興に特化した連立はある」

2011年06月08日 21時15分10秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[写真]公明党代表で参院議員の山口那津男さん

 どういうわけか、記事にはなっていませんが、公明党代表の山口那津男さんが2011年6月7日放送の「BSフジLIVE PRIME NEWS」におよそ出演しおよそ1時間たっぷり出演しました。この中で、「ごくごく短期で、復旧・復興に特化すれば」民主党と連立する考えがあることを示唆しました。

 ちなみに、「示唆」とは、政治記事見出しの定番です。ところが、この「示唆」という言葉を誤解して、政治を論じている方が、掲示板などでよく見受けます。

 「示唆」とは、「それとなく気付かせること。また、暗にそそのかすこと。」(広辞苑)です。

 政治記事の見出しとしては、私の感覚としては強い順に

 「断言」>「明言」>「発言」>「言及」>「示唆」の順になるかなあと思います。要するに党人である以上、党首としても一人で決められることではないので、「示唆」ということになります。

 のっけから、話がそれましたが、山口さんは大要、次のように述べています。

 まず「大連立」について、「政権を持っている民主党がメッセージを発することの意味」が重要だ、としながら大連立になると、官僚の思惑が入りやすくなるのではないか、と指摘します。ただ、山口さんも東大法学部卒業生ですので、「官僚の思惑が入りやすい」というのが、行きすぎた政治主導による民主党政権が迷走している現況では、必ずしも悪い意味ではないのではないか、と私はTVの前で感じました。

 そして、「やむにやまれず出した」菅内閣不信任案の理由は菅内閣が「遅い」「現場を見ない」の2点だとしました。これは公明党という政党のシステム、あるいは立党の精神、DNAからしたら、最も許せないことです。

 そして、民自公の修正協議により、復興基本法が成立しそうだとの見通しを示し、そのときに退陣すべきだとしました。

 ここで、スタジオの早稲田大学政治経済学部教授の河野勝さんが「(不信任案否決で衆議院で)信任された首相が辞めるのは、憲政の常道からしておかしい」「せめて、特例公債法案(平成23年度の赤字国債の発行法案)は通してあげるべきではないか」とツッコミを入れました。

 山口さんは、「参院での問責(決議案カード)を使うまでもなく、民主党の参院側の幹部が『辞める』と言っているので、大勢は決した」として、復興基本法成立(6月17日との観測)で総辞職すべきだ、としました。また、ここで、山口さんが問責決議案に慎重になっているかもしれない、ということも感じ取れました。

 さて、復旧・復興のスピードにこだわる公明党ですが、大連立に関して重ねて問われると、「建設的な与野党協議の場を国会につくるべきだ」というあいまいな発言をします。その上で、今後の政治日程として、すでに自民党・公明党幹事長が合意した復興基本法成立で菅総理が辞任し、民主党が次のリーダーを選ぶ。そして次の枠組みをつくる。で、その日程のためには、まずは菅首相が早く辞めるべきなんだ、という主張をします。

 ここで、河野教授は「ガバメント(政府、government)には(内閣や大統領だけでなく)国会も含まれる。衆院議長・参院議長らが主導して、国会としても復旧・復興の議論の場を積極的につくるべきだったのではないか」と指摘しました。すなわち、与党・民主党だけでなく、野党・公明党も一定の責任を負っている、ということを意味していると思いますが、山口さん、困った表情でした。

 この河野教授の指摘をきっかけに、スタジオは「民公連立」の話題がしやすい雰囲気に。

 山口さんは、公明党としては、(公明党地方議員らの要望を国政府が一元的に受け付ける)復興庁の必要性を説きました。公明党の復興基本法独自案にあった「復興庁」については、民主党の藤村修・衆院復興特別委員会・筆頭理事が真摯に公明党、自民党の声をきいて修正協議していて、基本法に盛り込まれる見通し。そして、復興庁設置法案が、いつかは別にして提出され、来年1月とか、いつかは分かりませんが、内閣府復興庁ができる見通し。復興庁は10年以上の長期的な組織におそらくなるでしょう。

 そして、時限については「ごくごく短期」、テーマについては「復旧・復興に特化」し、テーマからは「子ども手当、TPP、選挙制度はダメだ」として外すように主張しました。

 そして、民主党が「一つの方向性を出せば」、「(民主党の)新代表がつくられれば、2次補正をつくる。どう(公明党が)協力する姿勢をつくりだすかとしました。そして、第3次まで来ている、公明党の復旧・復興ビジョンについて、2次補正予算(案)に「全部丸飲みしてくれとは、言わないですよ。いいところは取り入れてほしい。我々の提言はもう3回目です」としました。

 これについては、6月6日(月)、私が岡田幹事長に質問していますので、引用します。ポイントは赤字で染めてみます(一部ケータイでは赤字が出ませんので、ご容赦ください)。

[民主党の岡田幹事長の定例記者会見(2011年6月6日)の要旨から引用はじめ]
 
【フリーランス・宮崎記者】5月末に公明党から「大震災復旧復興ビジョン」の第3弾が出されている。第2次補正は10兆円から20兆円規模ではないかと言われているので、公明党のこのビジョンを丸のみしても、おそらく予算規模には全く届かないぐらいの細かい要望だと思うが、こういったものにどう対応していくお考えか。

【幹事長】ちょっと具体的にはお答えしにくいのですが、さまざまな必要性というか要望というか、それは被災地にはあります。先週土曜日にも、私は松島の桂島と野々島、あとは仙南地区といいますか、福島との県境の白石市とか角田市などの市長さんや周辺町長さんからお話を聞いてまいりました。
 
(中略)

 今まで各党・政府連絡会議(震災対策合同会議・実務者会合)などをやって、いろいろな議論をしてきましたが、特に自民党公明党の実務者の皆さんは、今までも非常にいい前向きの提言をしていただきましたので、一緒に被災地の要望も聞いて、そして、2次補正に向けての協議を、早い段階からできればいいのではないかと思っております。もちろん相手のある話ですから、これはまだわかりませんが、被災地あるいは被災民の皆さんを第一に考える観点から、そういうことも含めて、これは与党・野党を超えてやっていったらいいのではないかと思っています。

[引用終わり]

 さて、フジテレビの山口さんの番組に戻ります。山口さんは、民主党の次期代表について、「いろいろと野党と話し合える人がいいのではないか」とし、「菅内閣のときのボールを投げて、受け止めた方にやってほしい」と述べました。そして、「民主党の中には決断力のある人がいる」とし、「民主党は若い人たちの力がフラットだ」という表現のしかたで、現在の中堅以上の幹部がチームとして力を出せる体制の構築が望ましいことを示唆しました。山口さんは念押しとして、「小沢一郎さんと鳩山由紀夫さんの『政治とカネ』の問題があれば、(国民は民主党政権を)信頼しないというのが当然のことであり、(小鳩切りを完全にできなかったことが)菅さんのリーダーシップを低下させた」と述べました。クリーンな公明党として脱小鳩を求めました。

 ところで、公明党最大の闘いだった第17回統一地方選が終わり、現在の公明党は2013年7月ごろの衆議院・参議院・都議会のトリプル選挙を想定して、そこに目標を定めているような気配です。やはり選挙疲れをいやしながらも、次の目標に向かって地方議会活動・日常活動をじっくりやりたい、という雰囲気が感じられます。そのためにも、公明党本部職員だけでは対応しきれない部分で、「復興庁」が必要、ということになるのだと考えます。

 この2013年7月(?)のトリプル選挙を念頭に置いていると思われますが、山口さんは最後に、「最高裁が衆院にも参院にも違憲判決を出している」ことを強調して、衆院の1人別枠制度(いちにんべつわくせいど)の撤廃、参院での選挙制度改革など、衆参「両方にふさわしい選挙制度」をつくったうえで、2013年7月のダブル選挙にのぞみたい、という方向性を示して、番組は終わりました。この選挙制度の改革については内閣の枠外で、国会や各党間の協議でやる、ということだと思います。

 ところで、昨日の30年物国債の入札が不調でした。大手生保会社が「政局の見通しがつかない」として買い控えたという情報があります。なんとか、6月22日の会期末までに、お願いですから、特例公債法案(平成23年度の赤字国債発行法案)は、頼むから、成立させてください。うんざりするような大政局になっていますが、道は開けると思います。僕は最近、次の言葉が好きです、勇気がわいてきます。そして次の言葉を確信しています。

 それでも政治は変えられる。

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石破茂さんと岡田克也さんはそろそろ仲直りして欲しい 救国のために、期限付きでいいから・・・

2011年06月08日 10時54分32秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意


 自民党政調会長の石破茂さんが、2011年6月7日、テレビ朝日番組に出演して、「岡田克也民主党幹事長は菅さんと共同責任がある」と述べ、岡田克也さんが次期首相に就くことに否定的な見方を示したーーと時事通信が報じました。

 石破茂さんは1986年の衆参ダブルの第38回総選挙で初当選、そして、冷戦が崩壊した1990年の第39回衆院選で岡田さんが初当選しました。石破さんは二世議員ですから29歳で初当選、岡田さんは非二世議員ですから36歳で初当選なので、年齢は岡田さんの方が上になります。とはいえ、石破さんは田中角栄さんのススメで選挙に出ましたが、「中選挙区内で1派閥1議員」という自民党の習わしから、中曽根・渡辺派「政科研」に所属しました。一方、岡田さんは田中派の流れをくむ最大派閥の泣く子も黙る竹下・金丸派の「経世会」に属しました。

 岡田さんと石破さんは政治改革の必要性で一致し、「政治改革を実現する若手議員の会」(石破茂・渡瀬憲明共同代表)をつくりました。岡田さんはこのころのことを、「燃えていた」、「同志的な結合でひたすら政治改革実現に向けて力を合わせた仲間たちだ」というように、『政権交代ーーこの国をかえる』の38ページに記しています。岡田さんとしては、それに先立つ、仙谷由人さんらとの「CP研(比較政治制度研究会)」の方が思い入れが強いようです。

 1993年1月8日(金)召集の第126通常国会では、政治改革関連3法案をなかなか提出しない宮澤喜一内閣に対して、石破さん、岡田さんらの憤りは最高潮。そして、6月14日に自民党の梶山静六幹事長が「今国会での政治改革関連3法案の提出を断念する」と発表すると、石破さん、岡田さんら20人は勢い余って、渋谷区の宮澤総理・総裁宅に押しかけて直談判するという「宮澤邸夜討ち事件」を引き起こしました。玄関先に出てきた宮澤さんの「おやおや、これはどうしました?」「何ならここでやろうか」というナゾの言葉の後、石破さんが「総裁、政治改革関連法案の件ですが・・・」と話かけると、「遅いけど、君ら上がるかい?」と問うと、一瞬きょとんとした石破さんの後ろにいた岡田さんらが「お願いします!」と行って自宅に上がります(映像資料がなく、記憶なので、少し事実関係が違うかもしれません)。しかしこのときは、車座になって話したものの宮澤総理を説得できず、一夜明けた党の臨時総務会で「法案不提出」を正式決定することになったことを知り、党本部6階で開催を実力封鎖しようと試みます。それが有名な下のシーンです。


[画像]自民党臨時総務会の開催を封鎖しようとする岡田克也さん、岩屋毅さん(岡田の右肩後ろ)ら1回生議員と、封鎖を解こうとする亀井静香総務ら、1993年6月15日、自民党本部6階、岡田かつや後援会報2010年秋特別号「岡田かつや20年の歩み」から(http://www.katsuya.net/2010winter4.PDF

 さて、この写真から1年後。時代が大きく変わり当選3回生の石破さん、2回生の岡田さんは与党・新生党の衆院議員でしたが、あっと言ういう間に、羽田内閣が不信任案を突き付けられ、非自民連立内閣は崖っぷちに追い込まれます。羽田首相が解散しようとしているという情報を聞いた2人は、官邸に乗り込みました。このときのことについて、岡田幹事長は「石破さんは、『若い議員のために、ここは解散すべきでない』という話でした」「私(=岡田さん)は『せっかく小選挙区制度の法律が通った』『相当努力した結果できた小選挙区比例代表並立制を確実なものにするために、解散すべきではない』と申し上げました。ですから、論理は2人全く異なりました」(5月30日の幹事長定例記者会見)として、石破さんとの考え方が“全く”違ったことを強調しました。そして、今度は石破・岡田コンビは1年前とは逆に総理を説得することに成功しました。岡田さんは「羽田先生には申しわけないという気持ちは常に持っておりますし、それがその後、新進党において私が党首選挙で海部さんではなくて羽田さんを応援した。逆に言うと、小沢さんの考え方とそこからずれが出てきた」と語りました。

 ところで、石破さんも昨日のテレビ朝日では、「小沢一郎元代表とだけはやれない」と語ったそうです。石破さんは昨年12月のラジオで小沢一郎氏について、、「あの頃(1993年)は、この人こそ真の改革者だと信じましたよ。我々若い議員は感動しました。あのときは光り輝いていた」として、今の小沢氏は、「トータルに必要なことがなにかといえば、水沢に帰る・・・今は奥州市っていうのかな・・・水沢に帰ることだ」と引退勧告しました。

 このように、小沢一郎氏を切らなければ、日本が前に進まないということでは、石破さんと岡田さんは一致する。

 岡田さんは政権交代の118ページに、「自分の政治生命だけを考えて行動する。言行不一致の議員の姿も目の当たりにした。昨日まで自民党を厳しく批判しながら、突然自民党に戻る政治家もめずらしくなかった」「だれがどういう行動をとったかは忘れまいと思う。こうした、ある意味での極限状態に直面したとき、一人の人間がとる行動は繰り返されるものだ」「一度裏切った者は、二度裏切る」と書いています。

 まあ、僕も岡田さんの言うとおり、「一度裏切った者は、二度裏切る」と思いますが、政治とは「程度問題」というものがあります。小沢一郎さんは「裏切り」のホームラン王、名球会入りです。

 石破元防衛相・農相、岡田元外相が力のある政治家だということは党派を問わず認めるところでしょう。ときは移ろい二大政党を代表する政治家となった2人は逆に討ち入られる立場になりました。でも、かつての「若手議員の会」や「CP研」のメンバーも簗瀬進さんや渡海紀三郎、堀込征雄さん、平田米男さんらは今、国会にいません。渡瀬憲明さん、住博司さんらはなくなりました。あるいは、後藤田正晴先生、伊東正義先生も、政権交代をその目で見ることはありませんでした。

 石破さん、岡田さんが力を合わせれば、日本は前に進めます。仙谷さんも、河村建夫さんも、岩屋毅さんもいます。まだまだ大丈夫です。国難です。救国のために、期限付きでいいですので、石破・岡田コンビの復活を見てみたい気がします。

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岡田、石原両幹事長「期間くぎって大連立」衆参ねじれ克服で懸案処理→総選挙二大政党定着へ【追記あり】

2011年06月05日 10時44分51秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

 民主党の岡田克也幹事長と自民党の石原伸晃幹事長は2011年6月5日(日)のテレビ番組で、期限付き・テーマ限定の大連立政権をつくり、震災復興や、税と社会保障の一体改革などのめどをつけたうえで、第46回総選挙に臨む考えを打ち出しました。

 午前7時半からのフジテレビ「新報道2001」は岡田さんと石原さんの2人でおよそ1時間対談しました。NHK日曜討論では、午前9時から10時まで、与野党幹事長とともに出演しました。

 岡田さんは菅直人首相の進退について、NHKで、「退陣の時期を明言すれば、レームダックになる」として、出処進退は総理自身が決めることだとしながらも、「総理の判断が民意とかけ離れれば、私が進言する」として、いわゆる“鈴つけ役”を買って出ました。また、当たり前ですが、フジテレビで、菅総理・代表が辞めれば、自分も幹事長を辞めるとしました。

 石原さんはフジテレビで、「衆院選のたびに、自民党が300議席・民主党が100議席、民主党が300議席・自民党が100議席というようにスイングする選挙制度」に懸念をしながらも、今は政権交代ある二大政党制の「過渡期だ」としました。

 岡田さんは、自民党が「バラマキ4k」と批判し、平成23年度の赤字国債発行法案(特例公債法案)の見直しの前提(4月29日の3党合意)としている子ども手当について、公明党が児童手当の対象外の中学生にも月1万円支払うことを認めつつある。自民党が幼年扶養控除の復活をあきらめ(「控除から手当へ」)その分の高所得者への支給額の配慮を認めつつある。として、自公案がまとまりつつあるとの考えを示し、石原さんも同意しました。

 そのうえで、岡田さんはフジテレビで「私は期限付き大連立をして次の総選挙で国民の信を問うのがいいと思う」としました。これに先立ち、石原さんは「岡田さんと話しても、岡田さんとは違うもう一方の原理主義の人たちが邪魔をする。党内をまとめてほしい」として、マニフェスト原理主義を掲げる、小沢グループ・鳩山グループを排した「一本になった民主党と話をしたい」と述べました。この後、岡田さんは、マニフェスト原理主義の排除について、「党首選になると大きなテーマになる」となぞの発言をし、顔を赤らめました。これは、次の代表選が来年9月であることを勘違いしたため、顔を赤らめたものだと思われます。

  岡田・石原対談の後に、単独でフジに出演した前原誠司さんは、「今の打開策は時限的な大連立だ」と岡田さんらと同じ考えを明言。そのうえで、「マニフェストを見直して国民の信を問う」とし、「代表選は衆参がねじれている状態で、(時限連立内閣に参加する各党が納得する)だれが(首相を)やるのかという問題だ」としました。これに関連して、NHK日曜討論の中で、国民新党の下地幹郎幹事長は「民主党の代表は総理大臣を決める選挙だから、そのディベートは政治空白ではない」として、ある程度の時間をとってもいい、との思いやりを示しました。民主党の代表選規約では、任期途中での代表辞任の場合の代表選挙は「40日以内」(第6条の2)となっています。いかにも野党時代の規約で、さすがに40日間もとれないでしょう。昨年5月の総選挙後、英国労働党は下院議員のハーマン女史(もともと副党首=閣外)が党首代理をつとめながら、5ヶ月間かけて、エド・ミリバンド新党首(影の首相)を選びましたが、これは野党転落で時間ができたからです。民主党は与党ですから、なかなか時間がとれませんが、それでもマニフェスト見直しのための議論を経たうえでの、臨時党大会でじっくり時間をかけて建て直した方が、かえって震災復興のスピードが上がることになります。

 ここから先はNHK日曜討論の発言だけです。公明党幹事長の井上義久さんが「不信任案提出は苦渋の選択だった」と反省しました。みんなの党幹事長の江田憲司さんは時期について疑問があり、「提出に加わらなかった」としました。日本共産党書記局長の市田忠義さんは「不信任否決の翌日の参議院予算委はやめる、やめないの話ばかりだった。具体的な政策論争はわが党だけだった」「国会のやるべきことは政治の中味をめぐる論争だ」としました。

 社民党の重野安正幹事長は「再生可能エネルギーの特措法案が重要だ」、たちあがれ日本幹事長の園田博之さんは「マニフェストの優先順位を見直すことが大事だ」としました。岡田幹事長は「マニフェストを前倒しで見直す」として、自民党らに対して「特例公債法案を人質に取る方法だと、どの党が政権をとっても衆参がねじれているので何も決まらない」として、予算の30日ルールのように衆院を優先すべきだとしながら、赤字国債は半分が過去の借金の返済だとして「自民党にも責任を共有して欲しい」としました。

 江田さんは「大連立といっても、閣議は全会一致だから、はんこを押す、押さないという話になる」として慎重な姿勢を示唆しました。下地さんは「大連立ということばが岡田幹事長が言うこと事態考えがたい」として反対を明言。その一方で、市田さんは「国難だから大連立だといういことになると、大政翼賛会的になる」としながら、「期限とテーマを限ってやるのは一つの案だ」と肯定的な発言をしました。この発言を受けて、岡田さんが「今解散しても、民主党も自公もともに過半数を参議院で持っていない」と強調すると、石原さんが「岡田さんの言うように、解散しても参院は変わらない」と同調しましたが、その後、「信頼関係をつくるのが大事だ。(民主党と自民党などが大連立しても)数ヶ月から半年ぐらいして信頼関係ができていれば解散できる」と早期の解散にも言及しました。井上さんは「大連立ではなく、テーマが大事だ。例えば年金財源の安定化だ」などとしました。

 NHK解説委員の島田敏男さんは「ポスト菅は代表経験者から出る可能性がある。岡田さんはどうか」と問うと、「現時点では考えていません」と岡田さんは述べました。島田さんが「北澤俊美・防衛相が党員・サポーターも入れた臨時党大会を提案しているが」と聞くと、岡田さんは「それは気の早い話ですね」とし、「総理が正式に辞任してからの話です」としめくくりました。

 当面は、復興基本法案、特例公債法案、税制改革法案、子ども手当の見なし案、税と社会保障の一体改革の成案、第2次補正予算(案)の編成・審議・成立など重要な政策課題が続くので、これらにメドが立った段階で、民主党と自民党が大連立。それに先立ち、民主党代表選を前倒して、じっくり時間をかけて主流派(反小沢)の統一候補と親小沢系統一候補との対決。ここで、マニフェスト修正と新代表選出、そして小沢切りをし、新首班で、民主党と自民党などが連立。この時点で衆参ねじれは解消されます。ここで、国民新党や公明党、みんなの党が埋没からどう脱するのかの難しい判断を迫られます。そのうえで、ある一定の段階で、第46回衆院選で私たちが政権を選ぶことになります。私としては、政権交代可能な二大政党デモクラシーをすすめたいので、民主党と自民党、どちらが勝ってもかまいません。ただ、「300議席vs100議席」という泰山鳴動・テレビの見過ぎの日本国民から卒業して、しっかりと成熟した有権者が増えることが、日本を前に進めることになると思います。

 岡田さん、石原さん、どちらも世襲議員ではありません。2人とも、イメージのギャップがあるようですが、世議議員ではありません。ちなみに菅さんへの不信任政局で、民主党内で造反しようとした人たちは、ほとんどが世襲議員や二世議員で、非世襲議員による菅民主党への個人的な妬みが大きいように思います。

 大連立で、懸案を処理し、二大政党制の新しい日本へ。1990年初当選の当選7回生コンビが、一気に動き出しました。世の中にはいろいろな人がいます。1億人の有権者全員に分かりやすいタイムスケジュール、工程表をある程度、示してほしいところです。

 【追記あり 2011年6月6日(月)午前11時】

 岡田克也幹事長は、きょう午後7時半からの「NHKクローズアップ現代」でも、語ります。

 ところで、岡田代議士、石原代議士が初当選した、1990年の第39回衆院選の自民党のポスターをご紹介したくなりました。正確には、石原伸晃さんは公認漏れで無所属で出馬し、当選直後に追加公認されています。

 
[画像]第39回衆院選の自民党の政策ポスター(「目で見る議会政治百年史」衆議院・参議院編、大蔵省印刷局発行)

 まるでトレンディドラマのような若い男女が寄り添い、キャッチコピーは、「世界のあこがれ、自由な日本。夢ある明日へ、確かな歩み。自民党」というものです。いかにもバブル期の浮かれた日本社会の気質を感じます。自民党は海部俊樹首相(総裁)と小沢一郎幹事長のコンビで、このポスターでたたかい、275議席をとりました。その前の参院選で宇野内閣を倒した、「おたかさん」土井たか子委員長率いる日本社会党も136議席と健闘しましたが、友好政党の公明党、民社党の議席を食う格好となり、小沢自民党幹事長の逃げ切り勝ちという感じでした。経団連(当時の会長は平岩外四・東京電力会長←社長)への300億円の政治献金請求でも話題になりました。

 それにしても何か勘違いした自民党の1990年ポスター。

そして、これが1985年~1990年~2010年までの国債などの発行残高を示したグラフです。(wikipediaから)

 ↓下のサムネイルをクリックすると大きい画像になります。


[画像]第39回衆院選の各党のポスター()内は選挙での獲得議席、引用元=前掲

 この各党のポスターをみると、「くらし上向き、実感したい。生活先進国をつくる 民社党」がイチバン、今の民主党の政策の主軸になっています。

 
[画像]第39回衆院選の民社党のポスター、引用元=前掲

 また、「福祉と平和の新時代 『生活者の政治』をめざす公明党」というポスターは、公明党(Clean Government Party)が新進党を経て、公明党(New Konmeito)になった今も、変わっていない。ぶれない政党であることを感じさせます。ただし、世代交代が遅れることにもつながっています。一方で、日本共産党が「消費税、米輸入自由化ではぼくらの未来はまもれない」としていて、これは今の小沢グループの主張に近くなっています。これはふしぎな現象です。

 とにもかくにも、1990年初当選の岡田さん、石原さんは、ずっと日本が右肩下がりを続けてきた失われた20年の中、隔靴掻痒としながら、とりあえず小選挙区で7回連続当選してきた2人です。ぜひ、その両方の背中に期待したいと考えています。まずは、民主党と自民党が手を携えて、小沢切りです。【追記おわり】

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今後の政治日程(2011年6月5日)を更新しました

2011年06月05日 05時47分11秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

今後の政治日程 by 下町の太陽・宮崎信行
(有料ブログ)
http://regimag.jp/b/sample/list/?blog=65

 を更新しました。

 内閣不信任決議案否決&菅首相の「一定のメドを得た段階での退陣発言」を踏まえて、6月5日週以降の今後の政治日程を見通してみました。

 とりあえず、きょう日曜日に、岡田幹事長と石原幹事長らが、午前7時半からフジテレビ「新報道2001」、午前9時からNHK「日曜討論」でそれぞれ1時間ずつ出演します。岡田、石原両氏は同期当選組(1990年)で仲が良く、ディベートがうまいあうんの呼吸があります。前回の日曜討論では、岡田さんが「子ども手当見直しで、野党をまとめてください」と言い、石原さんが「なんで野党をまとめなくちゃいけないんですか」と驚く場面がありましたが、その後、民主党、自民党、公明党が子ども・児童手当は公明党案を軸に修正することを念頭に、「3党合意」するということがありました。また、岡田幹事長は月曜日に記者会見をした後、午後7時半からのNHK「クローズアップ現代」にも出演します。岡田さんの政治手法は、週初めに情報を発信して、優位に物事をすすめる手法をとります。ぜひ注目して頂きたいし、内容については、必要ならば当ブログでもご紹介します。

 今月から読者が2人減ってしまいました(泣)、前回のエントリーで書いたら、新規購読者が3人増えました!やった!ありがとうございます<(_ _)> 毎月何日からでも初月は無料購読できますので、今からでもご覧下さい。

 なお、地方選、国際会議の日程は、私が把握していても、あえて「政局に影響を与える可能性がある日程のみ」に絞って書いています。その辺、量より質ということで、政局を見通すうえでの、参考線ということで、ご自身でもいろいろ考える一助にしていただきたいと思います。その辺のスケジュール感でご質問があれば、こちらの方のブログの左側に書いてある、メールアドレスに、メールをくだされば、ご返答いたします。

 「レジまぐ社」のシステムの改善で、これまでのクレジット払いに加えて、「レジまぐポイント」を、コンビニ払いや銀行振り込みで購入して頂き、そのポイントを今後の政治日程 by 下町の太陽・宮崎信行の購読料に充てていただくことができます。ですから、個人だけでなく、法人として購読していただくこともできます。

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衆・財金委筆頭理事の後藤田正純さんも正念場 平成23年度赤字国債発行法成立で信頼回復を

2011年06月03日 20時54分10秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

【追記 2011年6月4日(土)午前8時半】

 一部報道によると、後藤田正純さんが衆院・財務金融委員会筆頭理事を辞任、と伝わっています。現在、衆議院のホームページでは後藤田さんは委員からも名前が消えています。しかし、それは責任をとることではありません。後藤田さんにとって責任とは、経緯を知る財金委筆頭理事に復帰して、平成23年度の赤字国債発行法案と国税改正法案の2本を衆院を通し、参院に送ることです。【追記おわり】

 衆・財務金融委員会の野党側筆頭理事で、影の財務副大臣の自民党の後藤田正純さんのスキャンダルが、講談社の写真週刊誌「FRIDAY」の6月17日号(390円=特別価格、税込み)のトップを飾りました。後藤田さんには奥さんとお子さんがいるということですが、女性の腰に手を回して、接吻したり、その女性がなぜか、朝、赤坂議員宿舎から出てくるという写真が載っています。

 この国会は、その議員の「性根(しょうね)」が出る「正念場国会」であり、とくに会期中の3月11日以降の震災・原子力災害発生後は、「こういうときにこそ人は見られている」と繰り返しこのブログに書いてきました。

 彼はここまで、当初予算関連法案である、今国会の閣法第1号議案である「平成23年度の赤字国債発行法案(特例公債法案)」を6月にいたるまで、衆院すら通っていない、与野党問わない国会の怠慢の“戦犯”です。政治家というのは、その背中を多くの人が見ています。政治家は道が狭くても、前に進まなければいけませんが、つまずいたときには、背中を見ていた人がそっと本人に寄り添って励ましてくれるものです。既得権益に大胆に切り込む政治家の背中を見ていて、既得権益者たちの妨害でつまづいたときは、後ろから追いついてそっと肩を叩く。そして、また立ち上がり、前に歩き出す。それが政治家と支持者というものです。

 しかし、後藤田さんは、当初予算の4割の財源を手当てする法案を、党利党略で止めていました。国民と全府省と、交付自治体、そしてなにより財務省を敵に回した歩みでした。その背中を見て、つまずいた彼に、後ろから駆け寄って、その肩を叩いてくれる人はいないでしょう。ですから、後藤田さんがこのようなスキャンダルに見舞われたという件、もちろん奥様やお子様、奥様のファンの方々、その他関係者にお気の毒ではありますが、後藤田正純さんにとっては、身から出た錆であり、彼の「性根」がもたらした災いであり、まったく同情の余地はありません。

 実は、平成23年度赤字国債発行法案のメドが立たないため、財務省は当初予算の歳出の執行を5%抑えています。すでに成立し、1次補正までされた平成23年度総予算の歳出項目。これは、「2012年3月31日までその金額まで予算を使っていいよ~」という金額です。4月はいくら、5月はいくらという予算ではありませんし、四半期決算も中間決算もありません。あくまでも、来年3月31日までに執行していいという「権限」を各府省に与えている。それが予算の歳出です。

 その歳出の前提となる歳入の4割がいまだに手当てできない現状を招いた後藤田筆頭理事の党利党略にもとづく引き延ばし工作は、国民のクビを真綿でしめる行為にほかなりません。「震災の復旧・復興のスピードが遅い」と自民党は「スピード」をやたら指摘しますが、この「5%の執行抑止」も被災地のみならず、すべての国民に影響を与えています。さように、財政・マネーというのは、こわいものです。

 当初予算関連法案は3月1日までに衆院で可決し、参院に送られるのが常です。平成23年度の赤字国債発行法案は、2月23日(水)の衆財金で、財務大臣の野田佳彦さんから提案理由説明があり、審議入りしました。これだけでも、かなり窮屈でしたが、質疑は3月にずれ込みました。

 すでに当初予算の衆院通過で、参・予算委員会がスタートしていました。ですから、野田財務大臣は、午前9時~正午過ぎ、午後1時~午後5時過ぎまで、参議院に拘束されます。そこで、衆財金の古本伸一郎・与党側筆頭理事らが、野田さんの体も丈夫なことから、午前8時~午前9時、正午過ぎ~午後1時、午後5時~午後11時まで、「朝なべ、昼なべ、夕なべ、夜なべで審議をやろう」と呼びかけました。

 これに対して、後藤田さんは、3月8日(火)に渋々認め、自ら質疑のトップバッターに立ち、次のように述べました。「国対、与党のいろいろな失言なり、運営上の問題で、当委員会がおくれおくれしてきました」「この委員会は古い伝統の中で、原則があって、定例日以外はしない、また夜なべもしない、大臣出席、そういうことで今までやってきたわけでございますが、きょうこうして、夕なべといいますか、五時十分から七時十分まで。当初、与党の方からは朝の数十分、昼の数十分ということでありましたが、各委員にもおわかりいただきたいのは、我々はしっかりとしたまとまった時間で充実審議をしたいということで、では我々も、六時ではなくて七時まで、これから場合によっては八時、九時もあってもよかろうと私は個人的には思っておりますが、そういうことで皆様方にまず御理解をいただきたいと思います」と述べて、発言しました。

 ちなみに、3月8日時点で、後藤田さんは7時までの夕なべ審議だけではなく、午後9時前の夜なべ審議をしてもいい、と口先だけでは述べていますが、夜なべ審議は開かれていません。後藤田さんはどこか別の場所で夜なべをしていたのでしょうか。

 3月11日に大震災が起きました。そして、この法案の中にあった「税外収入2・5兆円の一般会計(基礎年金の財源)への繰り入れ」は、きゅうきょ、第1次補正予算で、復旧予算に振り向けることになりました。このため、現在、内閣は国会に法案の修正要求をして、それが認められた段階です。民主党、自民党、公明党の政調会長の3党合意(4月29日)に基づく、「バラマキ4Kの見直し」が済めば、この法案は短い文章ですので、すぐに閣議で修正決定し、国会に出すことができると考えます。

 後藤田さんの正念場。彼の政治家を続けたいのなら、やるべきことは、修正法案が国会に出たら、速やかに審議をして、採決することです。なお、昨年の通常国会で自民党は「平成22年度の赤字国債発行法」に賛成しました。

 正念場だ、こういうときにこそ人は見られているゾーーということで、慎重になっている国会議員もいるでしょうが、これは慎重になってもしょうがありません。今からどうなることではありません。ずっと前からあなたの背中を見てきた人がいるのですから、性根がバレルのは、運命であり、必然です。ターニング・ポイント(歴史的転換点)にあるきょう、その変化の荒波で、性根がバレル時期が前倒しになるだけのこと。それが第177正念場国会です。

 支持政党を問わず全国民、全府省、そして財務省の首を真綿でしめた政治家が、かような事態にいたったのは、必然です。

 なお、マスコミ用語で言うところの、「財務省が“刺した”」ということは、五分五分というところでしょう。後藤田さんは、「地震でずっと自粛、自粛でしたんでね。もうそろそろいいだろう、ということで飲みに行ったらこんなことに・・・」とフライデー記者に語っています。六本木のバーは、学生時代から通っていた店だったそうです。ちなみに、一部の民主党議員は、六本木のことを、「ギロッポン」と呼んでおり、「鼠先輩かよ!」と突っ込みたくなります。この辺の自民党と民主党の「六本木」の違いというのも、不信任案をめぐる情報戦での自民党の勘違いにつながっていると思いますが、金曜日の夜ですし、不信任政局の話はもう打ち止めにしましょう。無益です。

 それにしても、このニュース、googleでみると、香港でも韓国でも記事になっています。水野真紀さんってすごいんですね。

[衆議院会議録から抜粋引用はじめ]

第177回通常国会

衆・財務金融委員会

第6号 平成23年3月8日(火曜日)

    午後五時十分開議

○石田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、平成二十三年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤田正純君。

○後藤田委員 どうもありがとうございます。

 まず冒頭に、この委員会は、理事会協議の中で、また古い伝統の中で、原則があって、定例日以外はしない、また夜なべもしない、大臣出席、そういうことで今までやってきたわけでございますが、きょうこうして、夕なべといいますか、五時十分から七時十分まで。

 当初、与党の方からは朝の数十分、昼の数十分ということでありましたが、各委員にもおわかりいただきたいのは、我々はしっかりとしたまとまった時間で充実審議をしたいということで、では我々も、六時ではなくて七時まで、これから場合によっては八時、九時もあってもよかろうと私は個人的には思っておりますが、そういうことで皆様方にまず御理解をいただきたいと思います。

 今、先般も外務大臣がおやめになられた。いよいよ政権もレームダック状態になっている中、当委員会でも多くの法案を抱えております。また、国対、与党のいろいろな失言なり、運営上の問題で、当委員会がおくれおくれしてきました。

(中略)

○野田国務大臣 後藤田議員にお答えしたいと思います。

 私ども政府としては、あくまで九十二兆四千百十六億円の予算と、それを裏づける関連法案、この関連法案が年度内に成立しませんと、予算執行でさまざまな支障が出ます。これは間違いないと思いますので、これを一体として年度内に成立をするべく、その都度、委員会の御審議をいただくたびに懇切丁寧に御説明をさせていただき、御賛同いただくように全力を尽くしていきたいというふうに思います。

(中略)

○後藤田委員 世論調査を見ると、解散を早めるべきだというのがもう六割を超えて、今度は大連立をやれというのがまた六割ぐらいになっていて、そしてばらまきはもうやめろというふうになっています。

 変な話、六月に税制抜本改革をやるとき、大連立をやったっていいと思いますよ。そして消費税を上げて、そして解散する、そういうことも、国家を考えれば、一つの方法としてあると思いますが、そのことについてはまたこの委員会で問うていきたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

[抜粋引用おわり]

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不信任案大差で否決→菅直人内閣信任、とはいえ、菅さん、岡田さんは大いに反省すべきだ!

2011年06月03日 05時54分10秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

【2011年6月2日(木) 衆・本会議】

 本来は、国務大臣の報告「菅首相のサミット報告」とそれに対する各党代表質問が、1日の参議院に続き、議題となるはずでした。しかし、1日夜に自民党、公明党、たちあがれ日本が提出した菅内閣不信任案が緊急上程されました。

 投票総数445人、白票(賛成)152人、青票(反対)293人の大差で否決しました。これにより、菅内閣は第177通常国会において、信任されました。各法案審議はスピードアップすると思われます。

 これは、菅内閣というよりも、民主党内閣への信任ですから、民主党議員が賛成するというのは、憲政の常道からしてあり得ないのですが、やはり「政策好きだけど、統治法知らず」という民主党議員の特性もあり、一時は可決される可能性も出ていました。多少、マスコミがあおっていた面もあります。が、かなり危険水域までいったことは事実で、岡田克也幹事長、安住淳・国対委員長、藤村修・幹事長代理、三日月大造さんら国対副委員長の必死の引き締めで、大差で否決することができました。しかし、民主党代議士会で、菅首相が「一定のめどが着いた段階で」の辞任を示唆することになり、大差で否決したのもものの、「問題を先送りしただけ」という気もします。変化の激しいときには、こういうことがあります。羽田孜首相が退陣記者会見で「政局はもう終わりにしよう」と言ったことが、今でもこだまのように響きます。しかし、それは残念ながら間違いです。一度与党になったら、そこから、引きずり降ろされないよう、石にかじりついても努力しなければなりません。野党や小沢グループが政局をしかけてくる限りは、必ずそれを粉砕しなければならず、今回の岡田執行部の巻き返しは遅かったです。岡田克也幹事長は2日夜の記者会見で「執行部としても反省すべきは反省する」として、「幹事長として(就任後は)小沢問題(1月強制起訴)にかなりのエネルギーを費やさざるを得なかった。そして、大震災(3・11)後は、震災対応で、統一地方選(4月)の応援にも行けなかった」と反省しました。「若い議員が多いので、残り衆議院の任期が2年以上あるなかで、選挙の指導などコミュニケーションを密にしていきたい」と反省しきりでした。

 さて、内閣不信任案の審議です。趣旨弁明は自民党副総裁の大島理森さんでしたが、のっけから「民主党代議士会では~」と、その1時間ほど前の他党の内輪の会議の内容の引用から始まり、驚きました。この後の、石原幹事長の賛成討論でも「民主党代議士会では~」となりました。ここに自民党が負けた理由が分かりました。情報戦の時代になり、小沢グループ特有の「100人集めた」という質の低い情報に惑わされたのではないでしょうか。小沢グループは誰にでも声をかけます。そのため、執行部としては国対の班なども活用して、その会合の出席者から聞き取れば、その100人がどういう100人か分かります。いわば質の高い情報です。今回は後手後手だったとは言え、ケータイ電話・インターネットの時代でめまぐるしいリアルタイムの情報戦で自民党は負けたのです。派閥のボスが夜中に話したことが、そのまま翌日の国会のシナリオになっていた時代とは違います。そのころは内閣不信任案に与党議員が同調することはありませんでした。唯一の例外は、1993年の第126通常国会で、会期中の3月に最大のボス、金丸信・経世会会長が逮捕され不在になり、その3ヶ月後に、宮澤内閣不信任案が可決されました。そして、自民党幹事長代理の野中広務さんらがケータイ電話を持つようになると、リアルタイムで政治が変化するようになり、2001年の加藤の乱は、ケータイを駆使した野中幹事長、古賀誠総務会長ら執行部が宏池会を切り崩し、論功行賞で、古賀誠さんが総務会長から幹事長に昇格しました。古賀さんは宏池会会長の座も手に入れます。そして、小選挙区の時代になりましたから、総理の解散権はますます巨大な権力となっています。小沢グループは2度とこのような政局をもてあそんではいけないと思います。

 なお、野党が出した不信任決議案に賛成するという「国民への裏切り」をした松木謙公、横粂勝仁の2名を民主党常任幹事会は除籍しました。当然の処分です。2名の小選挙区は、自民党が強い(松木氏の対抗馬は自民党の武部勤さん、横粂氏の対抗馬は自民党の小泉進次郎さん)ので、刺客を立てるにしても、なるべく市議会議長経験者のように、実績がある人がいいと考えますが、内閣信任により、当面、解散はない見通しとなりました。また、小沢一郎氏については、穏便な対応をすることになりました。本来は除籍が当然ですが、新進党を解党した狂犬を野に放つのは危険です。公明党さんにすり寄るかもしれません。小沢氏は党員資格停止のまま、新進党解党を反省すべきです。また、ご家族の介護にも、もっと親身になられたらいかがでしょうか。

 衆・本会議では、山井和則さんの演説が胸を打ちました。ずっと厚生労働分野のこと、「命」のことばかりやってきて、厚労政務官を経て、畑違いの議員運営委員会理事として全委員会に目を通している山井さん。これは、営業部のトップセールスマンが会社全体のことを知るために社長室に移動したようなもので、49歳・当選4回生の山井さんが首相候補の養成コースに入ったことを意味します。

 その山井さんが、「被災地のホームヘルパーさん」の話、まさに命を守る命の話で震災対応に触れました。そして、野党にも頭を下げ、与党にも頭を下げ、「国会の存在意義が疑われる」とお願いしました。この演説の時点では大勢が決していたとは、山井さんの真摯な振る舞いは印象に残りました。菅さんや岡田さんには、こういう態度で示す面が欠けていました。この厳しい局面で、一定のめどが立つまで長期戦になるでしょう。菅さん、枝野さん、岡田さんら民主党7首脳らの覚悟が問われる「信任」となった2011年6月2日でした。

 なお、国会不信が高まったことから、参院での菅大臣問責決議案は、提出されない可能性が出てきました。マスコミのスポットライトを浴びることができなかった、民主党参院議員が不満を募らせているのではないかと懸念しています。余震、放射能ストレスは国会議員も同様のようです。ナントカ早く落ち着きたいものです。

 菅さんは2日夜の記者会見で「国会はいったい何をやっているんだ、と思った方も多いでしょう。とはいえ、私自身の至らない面も原因だった」と真摯に反省しました。一方、鳩山由紀夫氏は「岡田幹事長は嘘を付いている」と発言しました。これについて、岡田さんは日本テレビニュースで村尾信尚さんに対して「私は親から『絶対に嘘をつくな』と言われて嘘をつけない性格だ。政治家としては損をしている」と述べました。そこから勘案すると、「谷垣・小沢・鳩山」の「息をするように嘘をつく」ことを教えられた政治が家業の二世政治家による嫉妬・ねたみにもとづく政局に対して、「菅・岡田・枝野・仙谷」ら非二世政治家が勝ったといえるでしょう。日本が前に進みました!

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