(引用) 中津川市の新図書館建設事業などをめぐる大山耕二市長(62)のリコール(解職請求)は、解職の賛否を問う住民投票(25日投開票)前に市長が辞職、出直し選への出馬を表明したことで新たな局面を迎えた。5日の告示を控え、2日に22日付の辞職願を提出した大山市長は「リコールの目的が図書館建設を止めることに無理がある。市長は市政全体の進め方の善しあしで選ぶべき」と弁明する。住民投票を受けて立つ強気の姿勢が一転した背景を探った。
辞職を示唆したのは先月22日の会見だった。「辞職する、しないは支援者と相談して決めたい」。発言はリコール推進派、反対派を駆け巡った。
会見10日前の12日午前、市役所の市長応接室。大山市長と市議、地元選出の県議の5人が向き合っていた。1人の県議と反市長派市議が市長の責任を追及。市長職から身を引くことを求めた。1時間弱の会合は市長と反市長派の溝が埋まらないことを決定付けた。
追い打ちを掛けるように19日の市長後援会の役員会は荒れた。「支援者で意見が割れ(署名を集めた)受任者もいた」「会派の意見がまとまらない」。市長派市議から厳しい現状が伝えられる。市長を支えた経済界出身の後援会長は辞意を表明。支柱を失った後援会の瓦解(がかい)を止める必要性と、形勢不利な住民投票よりも市長選に勝機を見出した辞職策が支持者に一定の理解を得ていることが、市長の方針転換を後押ししたようだ。
辞職に反対していた市長支持グループ「中津川市の未来を守る会」の井戸俊作会長も辞職を容認。辞職表明会見があった26日朝、守る会の一部会員にも方針が伝えられた。同日夕の後援会役員会で市長が辞職を表明。直後に緊急会見を開く慌ただしさだった。
会見後、大山市長は守る会の事務所を訪れた。ある会員は「市長の表情は明るかった」と振り返る。(終了)