11月1日に補正予算の審議を川端委員長が職権で強行し、野党は審議拒否の構えであると、報道されています。
確かに、補正予算自体を3か月も塩漬けにして、上程もしないで置きながら、12月3日の期日(参院で否決から一か月前で成立)
が来たから、野党の要望を丸呑みしたから、補正に賛成してほしいというのはあまりにも虫のいい手前勝手な考えであります。
内容はともかく、そんな粗っぽいやり方に賛同できるはずはありません。国民が求めている小沢氏の国会招致に応じる
など本当に野党の協力を得たかったら、もっと丁寧に信義で応える方法があったはずです。
したがって、民主党政権が改めない限り、混乱国会を止めることはできません。
(提出が)遅れたのは民主党の問題であり、それを理由に多数を背景に力で押し通すのは、野党時代の民主党が最も批判して
きたことではないかと思いますし、審議のスタートがこれでは先が思いやられます。
そんな国会の模様を載せているのが、10月29日の毎日新聞社説です。
社説:補正審議へ 政権の危機感が乏しい;毎日10.29
政府は29日、今年度の補正予算案を国会に提出し、臨時国会は山場を迎える。再三指摘してきたように、衆参ねじれの
もと、今回の補正予算案の成否は今後の菅政権の行方を左右する試金石となる。にもかかわらず、政権内の緊張感、危機感
はあまりに乏しいのではなかろうか。
今国会の開会以来、菅直人首相は法案を与野党で十分議論し、互いに歩み寄って成案を得ていく「熟議の国会」を唱えて
きた。その姿勢は、かねて私たちも支持し、国会が変わる契機となることを期待してきた。自民党や公明党など野党側も審議
拒否など旧来型の強硬手段に出れば、逆に国民の批判を浴びると承知しているのだろう。「熟議」路線には反対していない
ようだ。
そんな空気に甘えているのか。既に補正予算案編成の段階で野党の提案は取り入れたから十分というのだろうか。政権側が
「いずれ公明党などが補正に賛成してくれる」とたかをくくっているように見える。
臨時国会の会期は12月3日まで。新年度予算編成を控え大幅な会期延長は難しい一方、11月中旬横浜市で開かれる
アジア太平洋経済協力会議(APEC)など外交日程も目白押しだ。実際には審議日程は厳しくなっているが、今後、他の
法案と併せてどのようなスケジュールで審議を進めていくかもよく分からない。
本来は補正予算案の中身、つまり日本経済をどうしていくのかについて与野党間の丁々発止の議論を早く聞きたいところだ。
だが、その前に控えるハードルも残っている。
野党は政治資金問題に関して小沢一郎民主党元代表の証人喚問を要求している。民主党は小沢氏が政治倫理審査会に
出席することで乗り切ろうとしているが、岡田克也幹事長らが小沢氏に会うこともままならず、漫然と時間が経過している。
民主党が「協力相手」として期待している公明党も「補正審議に入りたくても、これでは乗るに乗れない」というのが本音
だろう。
(略) 岡田氏主導で決めた企業献金復活には仙谷氏が不満を漏らす。問題の先送り、危機感の欠如、そして内部の不協和音。
政権は危うい状況に差しかかっていると、首相らはもっと自覚すべきだ。
無論、態勢を立て直すのは菅首相の仕事である。小沢氏の国会招致問題が前に進まぬ大きな理由というのなら、もはや党
代表である首相自らが小沢氏と会って説得すべき時だ。