南町の独り言

様々な旅人たちが、日ごと行きかふ南町。
月日は百代の過客、今日もまた旅人が…。

原発のバックヤード施設

2010-10-12 21:42:32 | Weblog
青森県六ヶ所村に行ってきました。
ここには原子力発電所こそありませんが、原子炉の燃料製造から、使用済み燃料の再処理、そして廃棄物処理までの、ある意味発電所よりも重要なバックヤード基地が集中しています。
原子力発電所があるというだけで反対運動が起こるこの日本で、こうした施設を一手に引き受けてくれるこの村にあらためて感謝の念を深めました。

原子力発電の燃料はウランですが、このウラン鉱石も日本にはありません。
海外から調達した天然ウランでは効率よく運転できないために、ウランの濃縮工程が必要となります。
日本ではこの「濃縮ウランの国産化」も大きな課題で、現在はこの濃縮ウラン製造も多くは海外に頼っています。
六ヶ所村にあるウラン濃縮工場はわが国唯一の工場です。
現在、新型遠心機への切り替えを計画中で、完成すれば国内で必要な燃料の1/3程度を供給できるようになるといいます。
残念ながらこの工場は外部からしか見ることはできませんでした。

全国の原子力発電所から放射性廃棄物と、使用済燃料が2隻の専用船に乗って六ヶ所村の港に入ります。
私たちが訪れた今日もそのうちの一隻が入港していました。
もちろん廃棄物も使用済燃料も厳重に密封された容器に入れて搬送されます。

低レベルの放射性廃棄物を埋設するセンターや使用済燃料の受入貯蔵施設も見学させていただきました。
万が一の問題も起こらないような4重5重の管理に(ここまでやるんだ)と驚かされます。
廃炉施設の廃棄物などを貯蔵するための地下100メートル調査抗へも案内され、生まれて初めて地下100メートルの地層をこの手で触りました。

使用済燃料を再利用するために進められているのが「プルサーマル計画」です。
技術的な詳細は省きますが、要するに、原子力発電所で使い終わった燃料を再処理しウランとプルトニウムを取り出します。
プルサーマルとは、この取り出されたプルトニウムを利用することで、ウラン資源を節約し、長期にわたり安定したエネルギーを確保しようとするものです。
この再処理工場も完成まではあと一歩、最終廃棄物となる高レベル放射性廃棄物の「ガラス固体化」技術がまだ確立していないとのことです。
しかし来年中には完成する目処がついているとも聞きました。

最後に残る問題は、この「高レベル放射性廃棄物」の最終処分場です。
現在は、国内の使用済燃料はフランスやイギリスに再処理をお願いしています。
そこで再処理された後残った「高レベル放射性廃棄物」は、ここ六ヶ所村の貯蔵センターへ送られて、ここに保管されています。
ここで約30年間保管されて冷却し、最後は地下300メートルの地層へ埋設されることとなります。
その最終処分場が国内では決まっていないのですね。

今回の視察の目的は、プルサーマル計画の、その仕組みや課題などについて勉強するためでしたが、本当に考えさせられました。
またプルトニウム利用と核不拡散の問題から、IAEA(国際原子力機関)の査察が常時行なわれている現実にも驚きました。
原子力の平和利用のスタンダードを六ヶ所村に見た思いでした。

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