南町の独り言

様々な旅人たちが、日ごと行きかふ南町。
月日は百代の過客、今日もまた旅人が…。

学びの対話

2013-02-04 17:21:50 | ユニオン
『組織率は年々低下し、政治的影響力も低下し、これからの労働運動をおまえたちはどう考えているんだ』、先輩のそんな問いかけから始まったと思います。
2時間余り先輩と話しながらふと気づいた私はこう言いました。
「みんなそんなに深くは考えていないんじゃないですか?ひょっとしたら自分のことしか考えていないかもしれませんよ」


産業革命で起こった資本主義が、巨大な生産力を発展させて、暴走を始めるまでそう時間はかかりませんでした。
財産も社会的権利も持たない賃金労働者という圧倒的に貧しい階級が登場します。
社会的不安定と貧富の対立から世界に大きな綻びが生じました。

ひとつのうねりは帝国主義的膨張と植民地的搾取の政策にうったえ、ファシズムやナチズムの形で人々を苦しめました。
もうひとつのうねりは資本家階級を打倒せよと、一党独裁の共産主義で人々の自由と権利を奪っていきました。
いずれも資本主義の矛盾から派生した出来事です。

大戦終了後、社会の貧困や資本主義の悪や矛盾を是正しようとする世界中の政治家や運動家が西ドイツのフランクフルトに集結します。
そして過去の過ちを反省し、目的を達成させるための正しいプロセスをまとめあげて宣言します。
それが「フランクフルト宣言」(4つの民主主義)です。
これが全体主義・共産主義ではない労働運動として、「民主的な労働運動」と呼ばれる基となりました。
フランクフルト宣言の序文にはこう書かれております。

【社会主義の実現は必然ではない。
それは、すべての支持者の意志に基づく貢献を必要とする。
全体主義の方法とは異なって、社会主義は国民に受動的な役割を押しつけない。
対照的に社会主義は、国民の徹底し、そして生き生きした参加なしには成功することができない。
それは最高形態の民主主義である】

フランクフルト宣言が出されたのは私の生まれた1951年、冒頭の大先輩は左翼労働運動とのすさまじい闘いを経験した猛者です。
私たちがいくら歴史を学んでも、百聞は一見に如かずのたとえ通りで、物ごとの深くまでは学びきれません。
こうした“学びの対話”も有用ですね。



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