私を感化した言霊たち（１５）

昔を振り返りながら言霊を思い出していると、私自身に大きな影響を与えた人たちのことを思わずにはいられません。
彼らのように後輩たちへ何かを残してこれたのだろうか、あらためて自分自身を振り返ってしまいます。

もう故人となられた方からいただいた言霊。
初めて彼を知ったのは１５年ほど前のことです。
某会社の創業者ですが、若き頃勤めていた会社は倒産。
彼は退職金代わりに貰った「床用ポリシャー」を自転車に積んで清掃業を始めたそうです。
今は６００人を抱える中堅企業に成長しましたが、生前、彼のあるなにげない言葉に私は感激しました。

『吉岡くん、あなた便器の掃除ができますか？その手で』
『今ですよ、あなたの立場でですよ。
私はできます。いつだってできますし、喜んでやります。
これができれば何も怖いものはありません』

苦労された方々の言葉には真実があります。
今でも社長の笑顔とあのだみ声が聞こえてきます。

『吉岡くん、あなた便器の掃除ができますか？その手で』