※【タイサンボクとは】
・アメリカ南部(ノースカロライナ州~テキサス州)を原産とするモクレン科の常緑高木。雄大な樹形と堂々たる純白の花を観賞するため、各地の公園や庭園に植栽される。日本に渡来したのは1873年(明治6年)で、気候風土に合うため急速に普及した。
・現代の漢字表記は大山木や泰山木であり、花や葉の大きさを賞賛するものだが、名前の由来としては花を大きな盞(さかずき)に見立てて「大盞木(たいさんぼく)」としたとする牧野富太郎博士の説が有力。漢名は「荷花玉蘭」で、荷はハスの花を、玉蘭はハクモクレンを表し、いずれも花の様子が似ることによる。
・タイサンボクの葉は長さ10~25センチ、幅5~12センチの長楕円形で、枝から互い違いに生じる。肉厚で硬く、冬でも光沢のある葉は潮風や煙害に強くて耐火性もあり、都市部の公園にも適する。葉の裏面は褐色の毛があるため黄色っぽく見え、若い枝や冬芽を覆う芽鱗(がりん)には赤褐色の毛が密生する。
・開花は5月から7月で、直径10~20センチの花が細い枝の先で上向きに咲く。花の少ない梅雨の晴れ間に咲くため、遠くから目立つが、たいていは高い場所にあって観察しにくく、一輪あたりの寿命は1~2日と短い。花には万人受けするような芳香があり、咲き始めは特に香りが強い。
・花弁は乳白色で肉厚。6枚が基本だが、稀に9~12枚になる。花弁の裏側にある3枚の萼片(がくへん)も同じ色、形、大きさになるため、あたかも花弁がより多くあるように見える。花の中央にある軸の上部には円錐状に集まった雌しべが、下部には多数の雄しべがあり、花糸と呼ばれる底部は紫色になる。
・花の後にできる果実は小さな袋の集合体。ホオノキに似るが長さ8~15センチほどで、より小さい。10~11月頃に熟すと皮が裂け、中から鮮やかなオレンジ色の種子が1~2個、白い糸をつたって垂れ落ちる。種子は長さ6ミリほどの扁平な楕円形で光沢があり、種子の中心をなす核は白色になる。他のモクレン科の種子の核は黒色であり、本種はこの点においても特異である。
・幹は直立し、その直径は最大で1.3mほどになる。樹皮は薄く、それほどの特徴はないが、樹齢を重ねると鱗状に剥離し、淡い褐色になる。
タイサンボクの基本データ
【分類】モクレン科/モクレン属
常緑広葉/高木
【漢字】泰山木(たいさんぼく)
【別名】ハクレンボク/ギョクラン(玉蘭)
トキワギョクラン/ダイサンボク
トキワハクレン/ジョウバ
【学名】Magnolia grandiflora
【英名】Southern magnolia
Bull Bay
【成長】やや早い
【移植】難しい
【高さ】10m~30m
【用途】シンボルツリー/公園/花材