福ちゃんの散歩道

コロナ禍で関空での遊びも卒業、栂地区ウオーキングコースを中心に近場の日々の散歩で何か見つけよう。🚶‍♂️🚶‍♂️

船はどうやって進む?現在のプロペラに至るまでのあゆみ〜櫂と櫓の違い? 船はすぐに止まれない・・お話‼️

2020-06-02 00:10:00 | 船のお話も面白い🛳⚓️🚢

船にズブの素人 ネットで見てみた❗️

船の推進器のあゆみ
船はどうやって進むのでしょうか
古代の船では、櫂かいや櫓ろなどの長い木の板を使って人の手でこいでいました。
『人力で船をこぐ!櫂(かい)と櫓(ろ)の違い』・・下記
やがて18世紀には、帆を張り、風の力で船を進めるようになりました。
陸で蒸気機関が発明されると船にも適用され、外輪と呼ばれる車輪を回して走るようになりました。
1826年になると、チェコとオーストリアの発明家Joseph Resselさんによってプロペラが製作されました

プロペラが普及したきっかけ
プロペラができたころはまだ外輪船が主流で、
本当にプロペラが推進効率が良いのか疑われていました。
たしかに、当初のプロペラはネジのような形をしたもので、
なにかと不十分な点が多く、取り入れられませんでした。
しかし1835年、ある事故がきっかけでプロペラが大きく発展します。
イギリスの Francis Pettit Smithさんは、
運河で2ピッチ分のネジ型プロペラをつけたボートをテスト走行させていました。
するとテスト中にブレードが破損してしまい、1ピッチ分だけが残ったにもかかわらず、
これまでより速く進んだのです!これがきっかけで現在のような形へと進化していきました。



また、同時期の1845年、2隻のイギリス艦艇を使った実船実験が行われました。
どちらも蒸気機関で、1隻はプロペラをつけたRattler号、もう1隻は外輪をつけたAlecto号でした。
なんと、この2隻の船尾どうしをロープでつなぎ、引っ張り合いをしたのです。
結果は、プロペラをつけたRattler号のほうが2.5ノットの速さで引っ張り、勝利しました。
この実験以来現在に至るまで、プロペラは最も優れた推進器とされ、開発が続けられることとなります。


現在の推進器
現在の推進器はプロペラをベースとした以下のものが主流です。

1.スクリュープロペラ (Screw propeller)
日本語では「螺旋らせん推進器」と呼び、固定ピッチプロペラと可変ピッチプロペラに分かれます。
固定ピッチプロペラの場合はプロペラの羽とボスが固定されていますが、
可変ピッチプロペラの場合は羽のピッチ角を変えることができます。
前進させている船を後進させるためには、
固定ピッチプロペラの場合は、プロペラ正回転→停止→逆回転をしなければなりませんが、
可変ピッチプロペラだと、プロペラ正回転のままでピッチを逆に変えるだけで後進状態になるため、
より短時間で船を停止させたり後進させたりすることができます。
関連記事:『船は急には止まれない(プロペラ逆回転 vs 旋回)』・・・下記)

2.ウォータージェット推進器(Water Jet Propulsion)
船底からポンプで水を吸引し、船の後ろに向けて水を噴射する勢いで進む方式。
通常のスクリュープロペラに比べると推進効率は悪く、価格も高くつきますが、
一式セットで売られているのを簡単に装備できるというメリットがあります。
また、船の方向は噴射するノズルの角度を変えればよいため、舵も不要となります。
小型高速船にはよく使用されています。
実はウォータージェットでも噴射ノズルの内部にプロペラのような羽が入っているんですよ

3.フォイトシュナイダープロペラ(Voith-Shneider propeller)
円型の装置からいくつかの翼が垂直に装備された推進器で、
それらが回転することで推進力を生み出す複雑な推進器。
各翼の迎角を変えることができるため、細かい推進性能に優れており、
タグボートなどに使われていることがあります。
しかし、構造が複雑なうえに高価で、ロープなどをひっかけやすいということもあり、
最近ではポッド型プロペラに置き換わりつつあります。



4.ポッド型プロペラ(Azimuth thruster)
ポッド型プロペラは、別名アジマススラスターなどともいいます。
azimuthというは”全方位の”、thrusterは”推進器”という意味です
通常のプロペラは船体に固定されているため、方角を変えるときは舵を使いますが、
ポッド型プロペラはそれ自体が360℃回転するため、
舵が不要で細やかな動きも可能になります。大型客船や砕氷船などに用いられています

以上

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人力で船をこぐ!櫂(かい)と櫓(ろ)の違い
人類が船というものに乗り出した頃、推進器はまだ無く、人力でした。
それには櫂(かい)と櫓(ろ)という2種類の細長い道具が使われていました。

櫂(かい):(オール)
古代遺跡などにも登場するのが、(かい)と呼ばれる木の長い棒です。
中国の河姆渡遺跡かぼといせきから完全な形の櫂が発掘されたことがあります。
また、紀元3000年代、古代エジプト・メソポタミアでは壁画にしっかりと描かれています。
はじめは、こぎ手が船の進行方向を向いて座り、
棒の先に幅広い板がついたような櫂で水を押して進むスタイルでした。
やがて、こぎ手が船の後ろを見て座り、船のふちに櫂の支点を固定して、
より細長い櫂(これが英語でいわゆる、”oar(オール)”です)
を引っ張るこぎ方のほうが効率がよいことが判明し、
外航用大型船はみなこのスタイルになりました。
押すより引くほうが確かに効率は良さそうなのが想像できますね。
それにしても、人力で外航までしていたとは驚きです

櫓(ろ)
一方、櫓ろというのは東アジアを中心に使われてきました。
櫓は主に船尾に取り付けます。複数ある場合は左右にとりつけるケースもあります。
空中にでている部分を櫓腕ろうで、
水中に沈めて推進力を生み出す部分を櫓脚ろあし(または櫓羽、櫓べらなどとも)、
櫓ろを船のふちに固定する支点となる穴を入子いれこといいます。
櫓脚の断面は片面がふくらんでいて今でいう”翼型”のような形状だったため、
左右に動かす際、少しひねりを加えることで揚力が生まれ、推進力を生み出していました。
したがって櫂かいよりも推進効率が高く、
西洋に比べて体が小さいアジア人にとっては知恵を絞った道具だったのかもしれませんね。


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船は急には止まれない(プロペラ逆回転 vs 旋回)
船にブレーキはありません。
では止まるときはどうするのかというと、プロペラを逆回転させる必要があります。
(可変ピッチプロペラの場合はプロペラピッチをマイナス側へ変えます)
しかし、プロペラを急に逆回転させるとエンジンに負荷がかかるため、
燃料の送り込みを停止してしばらく遊ばせたあと、
回転数が落ちてきたところで逆回転させます。
そんなことをしているうちに、大型船だと2km、3kmも進んでしまいます。
船は急には止まれないのです。

衝突回避はプロペラ逆回転か、旋回か
広い海を高速で走る船の場合、
衝突を回避するにはプロペラ逆回転で停止するよりも旋回するほうが有利になります。

プロペラ逆回転による停止距離は長く、かつ蛇行する
舵を切っておらず直進状態でプロペラ逆回転をしても、
右回りプロペラの場合、船が左舷方向に蛇行してしまう傾向があります
また、プロペラ逆回転のほうが停止までの距離が非常に長く、
結果進路を大きく外れてしまうことになるのです。

アドバンスとトランスファー
プロペラ逆回転にて停止することを「後進全力停止」
または「危急停止ききゅうていし」(英語ではCrash-Stop)といいます。
一方、旋回のほうは英語でTuringまたはHard Port Turningなどといいいます。

それぞれ操作をしてから横に進む距離をトランスファー(Transffer)、
前方に進む距離をアドバンス(Advance)と呼びます。

では実際の航跡を見てみましょう。



船が16ノット(約30km/h)程度で走っていたとすると、
旋回した場合はトランスファーが約900m、
アドバンスが約900mでおさまっています。

一方、後進全力停止の場合は、トランスファーが約2.2km、
アドバンスが約2.8kmにも達してしまっています。
明らかに、
後進全力停止のほうが進路を大きく外れてしまうことがわかりますね。
(ただし、浅い海や狭い領域などの制限水路においては旋回ができない場合があるので、
そのときの操作方法を十分に検討することが重要です。)

これらの航跡は船の形や大きさによっても変わってくるため、
造船所では引き渡し前に必ず試運転に出て、
後進試験や旋回試験などを実際の海で行います。


低速状態ならば後進全力停止が有利
上の船の場合の、船の速度とアドバンスの関係を表したグラフがあります。
これによると、約6ノット以下では旋回よりも後進全力のほうがアドバンスが小さくなっています。
すなわちこの船の場合は6ノット以下ではプロペラ逆回転をしたほうが早いということがわかります。


おまけ
~錨をおろすのは危険な最終手段~

よく船を止めるのに錨を下せばいいのでは?という意見を聞きますが、これは最終手段です。
なかなかスピードがおさまらない船にとって急ブレーキをかけることは不可能であり、
錨を下ろしたところでチェーンが引きちぎれたり、
片方の錨だけ効いて船が回ってしまったり、
全く効かなかったりすることがあります。
危険なので、錨に頼るのは最後の最後ということになります。

以上





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