この空気を肌で感じ、太陽の光を浴び、窓辺で物を思い、
恋に悩み、野心に揺らぐこの自分という存在、
この「生きているということ」ーーー
これ以上に素晴らしく驚くべきことがあるだろうか。
それはどこから考えても奇跡である。
美しさを感じ、青空を見、鳥の声に心を打たれるということ、
これ以上に心のときめくことがあるだろうか。
(辻邦生)
この空気を肌で感じ、太陽の光を浴び、窓辺で物を思い、
恋に悩み、野心に揺らぐこの自分という存在、
この「生きているということ」ーーー
これ以上に素晴らしく驚くべきことがあるだろうか。
それはどこから考えても奇跡である。
美しさを感じ、青空を見、鳥の声に心を打たれるということ、
これ以上に心のときめくことがあるだろうか。
(辻邦生)
我々は皆、
途方に暮れながらも何とか自分の考えを書き綴ろうと
しているに過ぎない。
我々は、砂漠に絵を描いているようなものだ。
すぐ波が来て洗い流してしまう。
本を一冊著したからといって、
それは無限に小さい一片の走り書きに過ぎない。
(ウォルター・リップマン)
グラウンドに出ている2時間半なり3時間は、
お金をとって見せる自己表現ですよ。
自分の肉体、技術をいかに表現するかっていうね。
キャッチボールひとつ、トンネルひとつとっても、
見せ場を作らないとプロとは言えない。
(長嶋茂雄)
嵐の襲来を認める者は、
船と乗組員とを救いうる道はただ一つ、
すなわち船長が断固として、それもただ一人で舵を取ることだ、
ということをよく知っているのである。
(シュテファン・ツヴァイク『マゼラン』みすず書房)
我々が歴史と呼ぶものは、決して過去のある時空で起こった全ての意義ある諸行為の総計
ではない。
世界史とは、偶然、文学的ないし学問的叙述によって明らかにされた、
あのわずかな、光を当てられた断片を包括するにすぎないのである。
(シュテファン・ツヴァイク『マゼラン』みすず書房)
行為というのは、
それが叙述されなければ、何の価値もないからである。
歴史的偉業も、それが行為として成し遂げられた時ではなく、
それが後世に伝えられた時に初めて完成するのである。
(シュテファン・ツヴァイク『マゼラン』みすず書房)