あの山に登ろうと決めたら、
おおよその見当がついたところで出発するんだ。
途中の困難を予想して評定ばかりしていては、
登山はできなくなる。
途中で川があったら渡り、
崖があったらよじ登ればいい。
野村祐一(大正2年に慶應大学庭球部が日本で初の硬球採用を決断したときの主将/井上廉『忘れられた野村祐一』梓書院)
あの山に登ろうと決めたら、
おおよその見当がついたところで出発するんだ。
途中の困難を予想して評定ばかりしていては、
登山はできなくなる。
途中で川があったら渡り、
崖があったらよじ登ればいい。
野村祐一(大正2年に慶應大学庭球部が日本で初の硬球採用を決断したときの主将/井上廉『忘れられた野村祐一』梓書院)
箱根駅伝の往路をテレビで見ながら、
2007年年末に書いたブログを引っ張り出してみた。
「一体全体、自分たちを何様と心得ているのか。彼らの行動の自由にも限界があることを教えてやらねばならない。
イスラエル軍と英仏連合軍が(スエズ)運河を占拠しようとする時点で、アイゼンハウアーは撤退を命じた。その命令がまちがいなく実行されるように、これら三国の最大の弱点をついた。撤退しないかぎり、アメリカの経済的、金融的支援は一切中止するとしたのである」
2007年に読んだ本の中で、いちばん記憶に残るのは何か、と自らに問うと、このウォルター・リップマンについて書いた『現代史の目撃者 リップマンとアメリカの世紀』(TBSブリタニカ)の中のロナルド・スティールの言葉に突き当たる。
1956年10月、スエズ運河の国有化を宣言したエジプトの指導者ナセルに激怒したイギリスとフランスはイスラエルと共同歩調をとって運河奪回作戦に出る。
イスラエル軍のシナイ半島侵攻に呼応して英仏連合軍はスエズに上陸したのだが・・・、両国はそこで、アメリカの激しい反応にあって、度肝を抜かれるのである。
運河占拠を目前に、イギリスが白旗を掲げる。するとフランスには一人で立ち向かう力はなかった。勝利を目前にしていたイスラエルも進撃を中止。
こうして、英仏といえども、外交における自主性はワシントン(アメリカ)の許容範囲の問題であることが白日の下にさらされることになり、アメリカの世紀が始まる。
かつての二大帝国は、いまやいかに斜陽化したかを劇的に知らしめられたのである。第2次世界大戦で疲弊し崩壊寸前のイギリス経済は、アメリカドルの支援を絶たれては立ち行かないところまで追い込まれており、大英帝国の栄光にしがみつくことを許さなかった。
それから半世紀がたった2007年・・・。世界を牛耳ってきたアメリカ経済がサブプライム問題でひとつの転換点に立った、と考えるのは私だけだろうか?
苦境が伝えられたシティグループを救ったアブダビ投資庁(アラブ首長国連邦)、
同じく苦境のメルリリンチを支援したテマセクホールディングス(シンガポール)、
モルガンスタンレーに投資した中国投資(中国)、
スイスの大手銀行UBSを救ったシンガポール投資銀行(シンガポール)、
アメリカ経済の凋落と中東とアジアの時代の幕開け。時代の潮目という冷厳な事実が透けて見えていないだろうか?
上文の中国企業を、
GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)に対抗する中国勢
BATH(Baidu、Alibaba、Tencent、Huawei)と読み替えると、
12年後の今もそのまま使えそう・・・。
アメリカが、”中国の激しい反応にあって、度肝を抜かれる”
日が来るのだろうか?
「アメリカン・ファースト」って、何なのかと考えてみた。
あれは、国家人意識(ナショナリズム)が、地球人意識に移行する過渡期の
国家人意識側の危機感が生み出した最後のあがき!
と考えると納得がいく。
明治維新の中で、長州人や薩摩人や土佐人という意識が
日本人意識に生まれ変わっていったように、
アメリカ人や日本人やインド人が
地球人になろうとする時代の境界線が、
今なのだ。