ビタミンP

苦心惨憺して書いている作品を少しでも褒めてもらうと、急に元気づく。それをトーマス・マンはビタミンPと呼んだ。

世界の美しさと純粋さ

2020年09月23日 10時15分07秒 | Weblog

私に、

世界の美しさと純粋さを教えてくれ、

その果てしない神秘でいつも私に活力と信じる力をくれる、

世界中の生命、細胞、遺伝子、・・・

(高橋祥子/ジーンクエスト代表『ゲノム解析は「私」の世界をどう変えるのか』)


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生き残る種

2020年09月23日 10時07分32秒 | Weblog

生き残る種というのは、

最も強いものでもなければ、

最も知能の高いものでもない。

変わりゆく環境に適応できる種が

生き残るのである。

(チャールズ・ダーウィン)


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チョコレートを1週間に1回以上食べる人は、心臓病になるリスクが低い

2020年09月19日 02時21分34秒 | Weblog

チョコレートが心臓を守ってくれる?

HealthDay News 公開日:2020/09/03

  チョコレートのような甘い菓子は健康に良くないと思いつつも、やめられないという人は少なくないだろう。また、新型コロナウイルス感染症抑止のための自粛生活のストレスで、チョコレートに手が伸びる頻度が増えた人がいるかもしれない。そのような行動に、わずかな“言い訳”を与えてくれるデータが報告された。チョコレートを1週間に1回以上食べる人は、心臓病になるリスクが低い可能性があるという。米ベイラー医科大学のChayakrit Krittanawong氏らの研究によるもので、詳細は「European Journal of Preventive Cardiology」7月22日オンライン版に掲載された。

 Krittanawong氏らは、チョコレート摂取と冠動脈疾患のリスクとの関連を検討するため、1966年~2020年1月に発表された論文を対象とするシステマティックレビューを行い、6件の前向き研究の論文を抽出した。研究対象者数は合計33万6,289人(米国から26万6,264人、スウェーデンから6万8,809人、オーストラリアから1,216人)で、追跡期間中央値は8.78年だった。

 追跡期間中に2万1,777件の疾患発症が記録されており、そのうち冠動脈疾患が1万4,043件で、心筋梗塞は4,667件だった。その他、脳血管障害が2,735件、心不全が332件記録されていた。

 プール解析の結果、チョコレートの摂取頻度が週に1回以下の場合と比較して、週に1回または月に3.5回を上回る場合、冠動脈疾患の相対リスク(RR)が0.92(95%信頼区間0.86~0.99)となり、8%の有意なリスク低下が確認された。また、6件の研究のうち、摂取頻度を「月に3.5回」で分類して比較検討し結果は非有意と報告している1件の研究を除外し、摂取頻度が週1回以下と1回を上回る場合とで比較すると、RRは0.90(同0.84~0.94)となり、リスク低下幅が10%に広がった。

 Krittanawong氏は、「チョコレートには、炎症を抑制し善玉コレステロールを増やすフラボノイドなどが含まれていて、血管に良く心臓を保護するような働きもある。ただし、今回の研究は観察研究であるため因果関係には言及できない」と述べている。さらに、市販のチョコレートには砂糖や牛乳が使われていて、脂肪分やカロリーが多いため、肥満や糖尿病の人の場合、食事療法の範囲内での摂取を考慮しなければならない」と注意を促している。

 また、今回の研究では解析対象者の生活習慣などの背景因子が考慮されておらず、どのようなタイプのチョコレートを食べていたのかも分からない。特にチョコレートのタイプが心臓の健康にとって重要な可能性があり、それが検討されていないことはこの研究の限界と言える。

 一般的には、チョコレートに含まれる有益な成分は主にカカオに由来するため、ミルクチョコレートではなくダークチョコレートが推奨される。米国の心臓病専門医であるJohn Osborne氏も、「ミルクチョコレートはチョコレートと砂糖、脂肪でできている」と指摘した上で、「本研究で示されたチョコレートのメリットはそれほど大きなものではなく、ダークチョコレートを摂取するとしても1日に1オンス(28g)以上は摂取すべきでない」と述べている。

 米レノックス・ヒル病院のLen Horovitz氏もまた、「チョコレートにはメリットがあるかもしれないが、有益な成分ばかりではない。砂糖と脂肪を含み、カロリーが高いことを忘れずに、1日に小さなチョコレートを1個程度にしておいた方が良い」とし、「本当に心臓の健康を維持したいのなら、週に3~4回の運動を継続して、適切な体重を維持することの方がはるかに有益だ」と付け加えている。


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世界の新型コロナウイルス累計感染者数、1カ月強で1000万人増加

2020年09月18日 11時13分09秒 | Weblog

新型コロナ感染者、世界で3000万人超え インド急増 
(2020/9/18 7:44 (2020/9/18 10:34更新)日本経済新聞WEB)


 世界の新型コロナウイルスの累計感染者数が17日、3000万人を超えた。8月10日に2000万人に到達してから、1カ月強で1000万人増加した。インドが新たな感染拡大の震源地となり、欧州でも感染者が再び増加した。米国などで新規感染者数は減少傾向にあるが、収束への見通しは立っていない。

 米東部時間17日夕(日本時間18日朝)時点の米ジョンズ・ホプキンス大の集計で明らかになった。累計死者数は94万人超に達した。国・地域別の累計感染者数は、米国が最多の660万人超で、インド(約500万人)、ブラジル(400万人超)が続く。日本の累計感染者数は約7万7千人に達した。
 9月に入り、1日あたりの世界の新規感染者数は7日移動平均で26万~28万人前後のペースで推移する。8月の約25万人と比較して緩やかに増加した。インドや欧州で増加スピードが加速している。感染拡大の中心地だった米国やブラジルではピークに比べ抑えられているが、学校再開などに伴い再拡大する懸念は残っている。
 インドは新規感染者数が一時9万人を超えた。ピーク時の米国(約6万7千人)を上回り、世界の新規感染者数の約3分の1を占める。欧州は6月ごろから移動制限を緩め、夏休みの移動増で感染者が再び増加した。スペインは新規感染者数が1万人を上回り、3月末のピーク時(約8000人)を超えた。

 16日時点で累計死者数が最も多かったのは米国の19万6千人。次いでブラジルの13万4千人、インドの8万2千人となった。1日あたりの世界の新規死者数(7日移動平均)は7月下旬ごろから約5000~6000人の間で推移している。
 退院などによる回復者数は世界で少なくとも2000万人にのぼる。インドの回復者数は約400万人となった。現在感染している人は100万人前後と、回復スピードは速い。ブラジルの回復者数は約380万人、米国は約250万人となった。新興国では若年層が多く、重症化しにくい傾向がある。一方で、医療体制の脆弱な場所では、重症化した場合の致死率は高くなる。
 経済協力開発機構(OECD)は16日、2020年の世界の実質経済成長率予測をマイナス6%からマイナス4.5%に上方修正した。世界各地の経済再開を受けてマイナス幅は1.5ポイント縮小した。6月時点の見込みよりも改善したが、OECDは報告書で「先行きは極めて不透明だ」と指摘した。


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メールが取引先や知り合いの名前からだったとしても注意が必要

2020年09月18日 11時03分35秒 | Weblog

知り合いや取引先を装った巧妙な偽メール「Emotet」の被害急増

(2020年9月18日 5時23分 NHK NEWSWEB)

 知り合いや取引先を装った巧妙な偽のメールを送りつけ、添付ファイルを開くと感染するコンピューターウイルス「Emotet」の被害が急増していて、今月4日には日本医師会の事務局のパソコンの感染も確認され、情報セキュリティーの専門機関が注意を呼びかけています。

「Emotet」は、メールの添付ファイルを開くなどして感染すると、連絡先などが盗み取られ、過去に知り合いや取引先などとやり取りした文書を引用してさらに偽のメールを広げるコンピューターウイルスで、去年からことしの初めにかけて猛威を振るいました。

 情報セキュリティーの専門機関、「JPCERTコーディネーションセンター」によりますと、ウイルスはいったん収束を見せていましたが、ことし7月ごろから再び感染が確認されるようになり、今月は15日までに感染した国内のメールアドレスは5610件に上り、1か月間の件数としてはすでに過去最高となっています。

 今月4日には日本医師会の事務局のパソコンの感染が確認され、医師会の職員が過去にやり取りした厚生労働省の職員などの名前で、関係先などに多数の偽のメールが送信されました。

 新型コロナウイルスの影響でテレワークをする人が増える中、自宅の無線LANにつながった端末に感染を広げる新たなタイプも出てきているということで、JPCERTコーディネーションセンターは「メールが取引先や知り合いの名前からだったとしても、少しでも不審な点を感じた場合には添付ファイルは開かないようにしてほしい」と注意を呼びかけています。


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史上最大のワクチン事業 ~その挫折と教訓~ 

2020年09月18日 08時36分05秒 | Weblog

1976年、米で新型インフル流行の恐怖

(2020/6/15 14:33 日本経済新聞WEB)

 1976年、米国で新型インフルエンザ流行に備え、全国民2億人以上の予防接種をめざす史上最大のワクチン事業が実施された。しかし、副作用事例の頻発などで事業は中止され、結局流行も起きなかった。公衆衛生の歴史に大きな教訓を残したこの出来事は、専門家の意見と政策決断のあり方などで重い課題を突きつけており、現在の新型コロナウイルス政策に通じるものがある。

◇  ◇

 1976年1月、ニュージャージー州の陸軍訓練施設で多くの兵士が呼吸器系の疾患を訴えていた。そして2月、18歳の新兵が死亡した。米疾病対策センター(CDC)が調査したところ、兵士から新型の豚インフルエンザウイルスが検出された。

 このウイルスは1918年に全世界で未曽有の被害を出した"スペイン・インフルエンザ"と抗原性が類似していた。当時の人々は親世代の話から約60年前の悪夢が潜在意識にあり、CDC当局者は慄然とした。ウイルスの変異により、一定周期でパンデミックが発生するとされる「抗原循環説」では、数年以内にそれが起きると警告されていた時期でもあった。

 歴史を参照すれば、秋から冬にかけて破滅的な第2波が襲来するかもしれない。それまでに全国民にワクチンを接種して惨事を防がねばならない。3月22日、公衆衛生当局はフォード大統領に空前の大規模ワクチン事業を進言。大統領は24日に全国民2億人以上を対象にしたワクチン接種を実施すると発表した。

 接種事業は10月1日から始まるが、多くの問題を抱えた見切り発車だった。まず、流行の確率がはっきり示されていなかった。接種の是非を検討する諮問委員会の各メンバーは内心では確率は2~20%と見ていて、1918年のような大災害を予測していた人間は一人もいなかったことがのちの調査で判明している。

 しかし、公衆衛生当局では「100万人が死亡する可能性がある」「流行はジェット機並みにやってくる」「3カ月以内に国民全員にワクチン接種をしなければならない」といった前のめりの意見が主流になっていく。

「確率はゼロではない」が「あり得る」「あるだろう」と伝言ゲームのように変化し、否定的意見はほとんど検討されずに大統領に報告された。それもワクチン製造に要する時間を考慮すると、「決断は1週間以内に」という状況だった。

 大統領の側近は専門家の進言を「頭に突きつけられた銃」と述懐している。「大惨事が予想されたのに何もしなかった」との批判を考えると、政治的には選択肢がないに等しかった。

 もう一つの問題は、ワクチンはすべての人に有効ではないということだった。臨床試験で18歳以下の若年層は1回の接種で十分な抗体が作れず、2回の接種が必要なことが判明した。事業の大きさを考えると2回実施は現実的ではなく、接種は3~18歳を除外してスタートした。「国民皆接種」構想は最初からつまずいていた。

 最大の問題はワクチンの副作用だった。10万人に1人の確率でも、2億人に接種すれば2000人が副作用による疾患を発症する。訴訟を恐れたワクチン製造会社、保険会社の圧力により、8月に賠償責任は政府が負う法案が急ぎ成立した。

◇  ◇

 新型インフルエンザワクチン接種事業は1976年10月1日から始まったが、同月11日に最初の事件が起きる。ペンシルベニア州ピッツバーグで高齢者3人が接種後まもなく死亡した。

 ただ、想定はされていたことだった。ワクチン接種期間に起きた発症、死亡事案は、医学的に因果関係がなくても関連があるように受け取られる。接種数が大規模になるほど、そのような「紛れ込み事案」は増える。CDC内では「偶然同時発生説」が主張され、副作用ではないとされた。

 国民の不安を払拭するため、フォード大統領は同月14日に家族とともに接種を受け、その姿がテレビで放映された。だが、ワクチン事業に決定的な逆風が11月12日に発生する。ミネソタ州で接種した人のなかでギラン・バレー症候群の発症者が出たのだ。他の州でも報告が相次ぎ、12月中旬までに50例以上となった。

 同症候群は末梢(まっしょう)神経の障害により四肢や顔、呼吸器官にまひなどが起こる。10万人に1~2人が発症する非常にまれな疾患だ。ワクチンとの因果関係については議論があったが、公衆衛生当局は12月16日に接種事業の一時中断を勧告。大統領が了承した。それでも2カ月半で史上最多の4000万人以上が接種を受けていた。

 その後も接種事業は再開されず、翌77年3月に正式に中止された。調査では接種者の同症候群発症率は非接種者の11倍であり、因果関係はあるとみなされる。最終的には約530人の同症候群発症が報告された。

 一方、警告されていた新型インフルエンザの流行は起きなかった。ニューヨーク・タイムズが「豚インフルエンザの不面目な大失敗」と論じるなど、政府に厳しい批判が向けられた。残されたのは使われなくなった大量のワクチンと「副作用」に対する約4000件の損害賠償訴訟だった。

「最悪に備えればそれ以下にも対処できる」とは限らなかった。その後、保健教育福祉省の依頼で2人の学者がこの出来事を検証した報告書が作成された(邦題「豚インフルエンザ事件と政策決断」)。この報告書が問いかけているのは、不確実な事柄について意思決定する難しさ。そして、専門家と素人である意思決定者(政治家・官僚)の関係の危うさだった。

 問題の一つは、専門家の意見は主観的かつ不確実性を伴うもので、客観的な数字が明示されなかったことだった。このため事業を決断する側は「勝てる確率も知らずに賭けに加わるに等しいものだった」としている。流行が起きないという想定がなされず、最悪の事態が強調されたことで「『起こりやすさ』にもさまざまな考え方があることを覆い隠してしまった」とも指摘する。

 ワクチン事業を実施した場合と不実施のどちらが国民の健康被害が大きいか。その得失評価のほか、経済的コストなど政策の意思決定には公衆衛生以外の価値観も反映されるべきだという。

 今後、新型コロナウイルスの再襲来に備え、治療薬、ワクチンの開発が急がれるが、副作用や接種の優先順位などの問題は避けて通れない。その決断は科学だけではなく、様々な価値観に基づくべきであることを、76年のワクチン事業は教えているのではないだろうか。(編集委員 井上亮)


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ゆうちょ「ドコモ口座」だけでなく、証券でも偽口座に現金流出

2020年09月17日 19時55分58秒 | Weblog

SBI証券、顧客資金9864万円が流出 偽口座に送金 

2020/9/16 15:05 (2020/9/17 5:05更新) 日本経済新聞WEB


 インターネット証券のSBI証券は16日、顧客の6口座から約9864万円が流出したと発表した。第三者が証券口座に不正にログインし、ゆうちょ銀行と三菱UFJ銀行に作った偽の銀行口座に送金・出金したという。SBI証券は全額を補償する方針。複数の電子決済サービスで銀行預金の流出が相次ぐなか、改めてセキュリティー体制が問われることになりそうだ。
 出金先はゆうちょ銀の偽口座あてに5口座、三菱UFJ銀が1口座だった。7~9月初旬の間に証券口座の中の金融資産を売却するなどして換金し、偽口座に送金。SBI証券は偽口座に流出した資金がさらに出金されていることを確認しているという。同社は警察に被害届を提出している。
 顧客から「身に覚えのない取引がある」と通報があり判明した。同社は資金流出先の銀行と協議しながら、流出分を全額補償する方針だ。既に全顧客に対してセキュリティー対策を講じたとしている。
 今回の不正流出では主に2つのセキュリティーが突破された。まずSBI証券の口座が不正にログインされ、第三者が株取引や出金などができる状態になり、口座名義などの個人情報も流出した。同社は不正ログインの原因について、自社システムに不正にアクセスされた形跡はないとしており、他のネットサービスで流出したIDやパスワードと同じものを使っていた口座が狙われたとみられる。次にゆうちょ銀と三菱UFJ銀で同名義の銀行口座が偽造された。本人確認書類が偽造されるなどして口座が開設された可能性がある。
 証券口座から銀行口座に送金するには、両口座の名義が同姓同名であることが条件だ。銀行・証券いずれの口座でも本人確認を徹底しているとの前提があるためだという。逆にいえば、証券口座と同姓同名の銀行口座さえ作れば送金できるという仕組みが悪用されたようだ。
 証券口座からの振り替えに伴う流出について、ゆうちょ銀の田中進副社長は16日開いた記者会見で「あまり聞いたことがない」と指摘しており、極めて珍しい事例とみられる。
 NTTドコモの電子決済サービス「ドコモ口座」の不正流出事件では、ドコモ口座の開設の際の本人確認の甘さが狙われた。今回の不正流出では、銀行口座が偽造され、流出の経路になった可能性がある。本人確認のあり方や銀行・証券双方の口座を紐付ける際のセキュリティーなどが今後問われることになりそうだ。


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「今こそトランプを追い出し、データに従い、科学によって導かれてきたバイデンを選ぶ時だ」

2020年09月17日 15時33分27秒 | Weblog

科学を無視するトランプ大統領に「ノー」! 有名科学雑誌、175年の歴史で初めて特定の候補者の支持を表明
9/17(木) 8:10配信 YAHOO!ニュース

 有名科学雑誌『サイエンティフィック・アメリカン(Scientific American)』は9月15日(現地時間)、2020年の米大統領選では元副大統領で民主党候補のジョー・バイデン氏を支持すると発表した。同誌が特定の候補を支持するのは、その175年の歴史上初めてのことだ。

 同誌の編集者らによると、トランプ大統領が科学を無視し、政治化してきたことが今回の決断につながったという。

「ドナルド・トランプがアメリカとその国民に多大な損害を与えてきたことは、証拠と科学が示している ── 彼は証拠と科学を拒絶してきたからだ」と編集者らは書いている。

『サイエンティフィック・アメリカン』は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と気候変動に関する科学を否定するトランプ大統領を激しく非難した。

 有名科学誌『サイエンティフィック・アメリカン』は9月15日、2020年の米大統領選では元副大統領で民主党候補のジョー・バイデン氏を支持すると発表した。同誌が特定の候補を支持するのは、その175年の歴史上初めてのことだ。

 同誌の編集者たちは、トランプ大統領がこれまで新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)対応などで科学を無視してきたことから、バイデン氏への支持を明言「せざるを得ない」と感じたという。

「ドナルド・トランプがアメリカとその国民に多大な損害を与えてきたことは、証拠と科学が示している ── 彼は証拠と科学を拒絶してきたからだ。その最も衝撃的な例は、COVID-19のパンデミックへの真実性を欠いた不適切な対応だ。そのせいで9月半ばまでに19万人以上のアメリカ人の命が失われた」

「(トランプは)環境保護や医療、この国がその最大の課題に備えるための助けとなる研究者や公的科学機関をも攻撃してきた」

「だからこそ我々は、わたしたちの健康、経済、環境を守るために事実に基づいたプランを提供しているジョー・バイデンへの投票を呼びかけている。彼の示す提言が、この国をより安全かつ豊かで公正な未来へと押し戻すことができる」

 この発表の前日、カリフォルニア州で甚大な被害を出している山火事についてのブリーフィング中に、トランプ大統領は再び気候科学を否定した。

 トランプ大統領「そのうち涼しくなる。見ていればいい」

 カリフォルニア州天然資源局ウェイド・クロウフット局長「科学が大統領と同じ意見だったら良いのですが」

 トランプ大統領「実際のところ、科学に分かっているとは思えない」

 トランプ大統領は繰り返し、根拠なく気候変動を否定してきた。

 大統領に就任する前には、気候変動は中国がでっち上げた「デマ」だと主張。

 就任後も度々、寒波は気候変動がフェイクであることの証拠だと誤った主張を繰り返している ── 実際、2019年は史上2番目に暑い1年だった。

 ただ、トランプ大統領による科学の否定は気候変動にとどまらない。

 公衆衛生の専門家たちは、新型コロナウイルスのパンデミックに対するトランプ大統領の反科学的アプローチが、アメリカでの流行を手に負えない状況に陥らせたと指摘している。アメリカは感染者数657万人、死亡者数19万5000人以上と、いずれも世界最多となっている。
 
 トランプ大統領は新型コロナウイルスの脅威を初めから軽視していた。

 アメリカでは先週、ベテランジャーナリスト、ボブ・ウッドワード(Bob Woodward)氏とのインタビューの記録が公表され、トランプ大統領がウイルスの本当の危険性について、アメリカ人を意図的に誤った方向に導こうとしていたことが分かった。大統領は「パニック」が起こるのを避けたかったため、無症候性感染や空気感染に関する情報を公表しなかったと、ウッドワード氏に語っていた。

 その一方で、トランプ大統領は民主党候補のバイデン氏を社会主義者だと非難し、同氏が11月の選挙で勝てば、郊外は「暴漢」によって破壊されると警鐘を鳴らしている。

 こうした状況を背景に、『サイエンティフィック・アメリカン』はバイデン支持を打ち出した。

「トランプやその仲間は、郵便であれ直接であれ、人々を11月に安全に投票させないための障害を作ろうとしている。だが、わたしたちはそれに打ち勝ち、投票することが極めて重要だ」と同誌の編集者たちは述べた。

「今こそトランプを追い出し、データに従い、科学によって導かれてきたバイデンを選ぶ時だ」

[原文:Scientific American backs Joe Biden, endorsing a presidential candidate for the first time in its 175-year history]


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1日当たりの死者数は世界で5,500人以上、新型コロナ

2020年09月14日 20時53分37秒 | Weblog

1日の新規感染者の記録更新 新型コロナウイルス、各地で猛威=WHO
9/14(月) 14:02配信 YAHOO! ニュース

 世界保健機関(WHO)は13日、過去24時間の新型コロナウイルスの新規感染者が過去最多の30万7930人となったと発表した。1日当たりの死者数は5500人以上。これまでに全世界で91万7417人が亡くなっている。

 現在、インドとアメリカ、ブラジルで感染者が大きく増加している。

 世界全体ではこれまでに累計2800万人以上の感染が確認され、その半数が南北アメリカ大陸に集中している。

 これまでの1日当たりの最多記録は、9月6日の30万6857人だった。

■どこで感染が広がっている? 

 WHOによると、13日に最も感染報告が多かったのはインドの9万4372人。これにアメリカの4万5523人、ブラジルの4万3718人が続く。

 また、インドとアメリカではこの日だけで1000人以上が新型ウイルス関連で死亡。ブラジルでは874人だった。

 インドはアメリカの次に感染報告が多い。8月だけで200万人が新たに感染し、パンデミック(世界的流行)が始まって以来、世界で最も1カ月の新規感染が多い国となった。

 インド当局の統計によると、現在の1日の平均感染件数は6万4000件と、7月に比べて84%増加している。死者数も9月に入ってからは1日1000人前後で推移している。

 感染者数世界3位のブラジルでの死者は13万1000人と、南米で最も死者数が多い国となっている。

 アメリカの感染者は600万人超と、世界全体の4分の1を占めている。死者数も世界で最も多い19万4000人以上に達した。

■欧州でも増加傾向

 1日当たりの感染報告は欧州でも増加しており、流行再発が懸念されている。

 流行が深刻な地域ではロックダウン(都市封鎖)が行われているほか、当局がマスクの着用や他者と距離を取る施策を守るよう人々に呼びかけている。

 このほか、ペルー、イスラエル、韓国、オーストラリアでも感染が拡大している。

 豪ヴィクトリア州では13日、外出禁止命令を無視したとして、デモ参加者70人以上が逮捕された。州都メルボルンでは、パンデミックに関する陰謀論をSNSで拡散しているグループが抗議デモを企画し、約250人が参加した。

 ヴィクトリア州はオーストラリアの新型ウイルス流行の中心地となっており、感染者の75%、死者の90%が集中している。

 イスラエル政府は13日、2回目となる全国的なロックダウンを18日から実施すると発表。ユダヤ教の新年に当たるこの日から、少なくとも3週間は厳しい移動の制限などが課せられる予定だ。

 イスラエルでは新型ウイルスの死者が1119人、累計感染者は15万5604人に上っている(米ジョンズ・ホプキンス大学の集計、日本時間14日午前)。同国の人口は約900万人。

(WHO reports record daily rise in coronavirus cases)


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がん光免疫療法、「条件付き早期承認制度」適用で、早ければ年内に承認の可能性

2020年09月12日 19時12分33秒 | Weblog

新薬申請で期待高まる、がん光免疫治療の実用化

小林久隆・米国立がん研究所主任研究員に聞く

(WEDGE Infinity 中西 享/経済ジャーナリスト 2020年7月30日) 

 

 近赤外光を使った新しいがん治療法として注目されてきた、がん光免疫療法に使う医薬品と医療機器の実用化を担っている楽天関連会社の楽天メディカル社(本社米カリフォルニア州サンマテオ、三木谷浩史会長)が、厚生労働省に対して3月に医薬品と医療機器の製造販売の承認申請をした。この元となる治療法の研究を長年続けてきた、米国立衛生研究所(NIH)の一部門である国立がん研究所の小林久隆主任研究員にがん光免疫療法の可能性について聞いた。

 

Q 申請にまで到達した感想は。

小林主任研究員 抗体を用いた新規がん治療開発の研究に研究生活の大半を費やしてきたので、考えてみれば長かった気がする。抗体については医学生のころから研究していたが、光免疫というこのコンセプトたどりついたのが2003年か04年ごろだった。それからありとあらゆる方法を試行錯誤して、やっと今の治療法に到達した。

 

Q これからの実用化に向けては、三木谷会長の率いる楽天メディカル社に期待することになるが。

小林 大きな製薬会社に開発を任せると、既存の販売している商品とシェアがかち合うことがあるが、ベンチャー企業由来の新会社である楽天メディカル社には「これにすべてをかける」と言ってもらっているので、全面的に信頼している。新しい会社なので、しがらみがなく、最高のスピードで開発が進むだろうと期待している。

 今回の承認申請をした医薬品が第一歩で、再発した頭頚(とうけい)部がんが治療の対象だが、同じ標的(分子)に抗体がくっつくがん細胞を狙った動物実験では、頭頚部がん以外にも子宮がん、乳がん、肺がんなどでも効果が認められているので、適用できるがんの範囲を拡大することがこれからの研究課題になる。

 動物実験の次の段階の臨床治験については、胃がん・食道がん等で楽天メディカル社が日本や海外の病院と連携して行われている。

 

Q 実用化される時期については。

小林 承認申請されたものが厚労省でどのように判断されるかにかかっている。臨床患者の国際共同第三相臨床治験が進行中であるが、今回は「条件付き早期承認制度」が適用されると聞いており、早ければ年内に承認される可能性もあると思っている。

 

Q 小林先生の開発したのは治療法を分かりやすく説明すると。

小林 まず、がん細胞の表面にある標的(分子)にくっつくことができる光吸収物質のついた抗体を注射して1-2日程度がんに届くのを待つ。次にこのがん細胞にくっついている光吸収物質のついた抗体に近赤外光を当てるとスイッチが入り、そのがん細胞を壊してくれるが、正常な細胞には傷をつけないという治療である。

 この開発した技術は、ある特定の標的細胞にくっつく抗体を使うと、その狙った(がん)細胞を体内で選択的に破壊できる汎用性の高い独自な基盤技術だ。その一つ目の抗体を使ったものが、今回新薬申請した薬「ASP-1929」になる。ほかの標的を介してがん細胞にくっつく別の抗体を使えば、この基盤技術を使って治療対象になるがんの種類を増やすことができるはずである。

 

Q これまでのがんの治療法との大きな違いは。

小林 がんのこれまでの基本治療は、手術、放射線、抗がん剤があるが、腫瘍内と周辺の正常な細胞もがん細胞ともにも焼き尽くすか取り切ってしまうため、免疫細胞もダメージを受けてしまうので免疫力が下がってしまう欠点があった。

 一方、免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」のような免疫治療薬は、防御する側の免疫細胞を活性化させて免疫細胞にがん細胞を殺してもらうが、治療自体によって直接がん細胞が減るわけではない。私の治療方法は、直接がん細胞を壊してがん細胞を減らしながら、免疫活性は理論的には上がっていく、いわばこれまでの治療法の良いとこ取りであり、基本的なコンセプトがこれまでの治療法と違う。同様の治療法は世界的に見てもない。

 また、がん治療で課題となる再発と転移については、われわれの動物実験ではこの治療法で1カ所にあるがんをたたくことで、転移しているほかのがんもやっつけた上に、一旦完治すればワクチン効果ができて再発しないことが認められている。

 

Q NIHでも新型コロナウイルス感染症の治療薬の研究などは行っているのか。

小林 NIHもエボラウイルスや新型インフルエンザ蔓延の時と同様に、新型コロナウイルスの治療、研究は行っている。ワクチンも企業と組んで開発している。私の働いているベゼスタキャンパスでも一時は数十人の感染者が出て3カ月ほどロックダウンの状態になっていた。NIHの中にある感染症アレルギー研究所(NIAID)のファウチ所長は、これまでも世界から情報を集め、その経験と科学的なデータに基づいて新型コロナによる対処法や死者の予測などを世界に向けて発信してきており、頼りがいのある人物だ。

 トランプ大統領には耳に痛いことも発言してきており、新型コロナの感染者が出始めた最初の段階で、十分な対処をしないでいると米国の死者が20万人になると警告していた。米国の状況はそれに近い状況になりつつあるように思える。

 

Q 医師としては、まだ新規感染者が多く出ている新型コロナへの対策と、死者の数では新型コロナよりはるかに多いがんの研究と、どちらを優先すべきか。

小林 半分近くのがんは治るようになってきたにもかかわらず、がんで亡くなる方は日本で年間約40万人、世界では1000万人もいる。この新型コロナのせいで、治療ができなくてがんにより亡くなった患者がたくさんいる。新型コロナ感染が急速に拡大した4、5月ごろはNIHを含めてこの地域のほとんどの病院が、急変などの救急を除くがん患者の受け入れを原則ストップしていた。しかし、これだけ多くの人が亡くなるがんは待ってくれない。これ以上、病院機能をストップし続けることはできないという事情がある。

 NIHでもがんの治療、研究を一時は中止していたが、既に再開している。NIHのあるメリーランド州(人口約600万人)の感染状況は、感染者7万5000人(一日約800人増加)、死亡者約3200人(7月14日時点)で、今でも東京よりもかなり悪いと思うが、それでも、6月から経済的な機能が再開し、病院はがん患者の受け入れを再開している。

 ということで、米国は社会の正常化に向けてかじを切ってきている。新型コロナで亡くなった患者は現状では数十万人であるのに対し、がんで亡くなるのは毎年約1000万人になるので、がん治療を止めることはできない。もちろん一時期のニューヨークのように対処がない状態で新型コロナが燃え盛っているような状況では、新型コロナの患者を優先すべき期間が必要かもしれないが。


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日本で新型コロナウイルス感染症による死者が欧米と比べて少ない理由

2020年09月12日 18時50分45秒 | Weblog
BCGワクチンに新型コロナウイルス感染症からの「保護効果あり」との研究結果、
その期待される“免疫訓練”のメカニズム
 
(NATURE 2020.09.05 SAT 10:00 TEXT BY SANAE AKIYAMA)
 
 日本で新型コロナウイルス感染症による死者が欧米と比べて少ない理由のひとつとして、BCGワクチンが挙げられるのではないか──。そんな仮説を裏付ける可能性がある論文が、このほど世界最高レヴェルの学術誌『CELL』で公表された。論文によると、BCGワクチン接種には、ウイルス性呼吸器感染症全般に対する保護効果があるのだという。いったいどんなメカニズムなのか。
 
 
 新型コロナウイルス感染症(正式名称はCOVID-19)が2019年12月に中国の武漢で初めて報告されて以来、これまでに世界で約2,650万人もの感染者が発生し、そのうち約87万人が命を落とした。現時点では、新型コロナウイルスに対して予防効果が期待できるワクチンはまだない。
 だが、効果が期待できる抗ウイルス薬は数多く考案され、臨床試験が進められている。ランダム化臨床試験の成果のなかでも、RNAポリメラーゼ阻害剤であるレムデシビル、そしてステロイド系抗炎症薬のひとつであるデキサメタゾンは、COVID-19への有用性が認められ承認された治療薬だ。
 こうしたなか、世界的に注目されていた結核のワクチンであるBCGワクチンの呼吸器感染症全般における保護効果が、医学・分子生物学・生化学の分野における世界最高峰の学術誌である『CELL』で公表され、話題になっている。
 
■BCG接種国は罹患率や死亡率が低い?
 
 子どものころに接種されるBCGワクチンは、結核とは無関係な感染症においても保護効果があり、生存率を向上させることが、これまでの研究で明らかになっている。今回の二重盲検ランダム化比較試験では、新型コロナウイルス感染症で重症化しやすい高齢者へのBCG接種においても、同様の効果が期待できることが確認された。
 BCGワクチン接種は、免疫力の弱まった高齢者においても自然免疫を“訓練”する作用があるという。このためCOVID-19を含むウイルス性呼吸器感染症全般に対する保護効果があると示唆されている。
 COVID-19に関するデータによると、この病気の罹患率と死亡率は、国によって劇的に異なることが明らかになっている。その要因は複雑で、民族性、生活習慣、気候、社会的行動、遺伝的差異などが挙げられる。そしてもうひとつ、潜在的な要因として注目されていたのが、BCGの接種国であるかどうかだ。
 
 というのも、新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的大流行)の当初、BCGワクチンが義務化されている国、接種を中止した国、接種しない国におけるCOVID-19のデータを比較すると、有意な差が認められたのだ。BCGが義務化されている国ではBCGワクチンを接種しない国に比べ、すべての年齢層においてCOVID-19の罹患率と死亡率が減少していることがわかった。この傾向は、気候、食生活、遺伝的起源などの変数が本質的に一致している国同士を比較しても、BCGの有無の差が有意に認められたのである。
 
 
 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、世界をどう変えるのか? いま知っておくべきこと、研究開発のいま、社会や経済への影響など、『WIRED』ならではの切り口から最新情報をお届けする。
 
■結核以外の呼吸器感染症にも予防効果
 
 オランダにあるラドバウド大学メディカルセンター内科学のミハイ・ネテハ教授は、BCGワクチンのさまざまな感染症に対する「訓練された免疫」と呼ばれる防御効果について研究してきた。「わたしたちは2年前、BCGワクチン接種が脆弱な高齢者を感染症から保護できるか示すことを目的とした『ACTIVATE』と呼ばれる試験を開始しました」と、テネハ博士は説明する。
 
「入院した65歳以上の患者たちを対象に、退院時にBCGワクチン接種を受けるか、プラセボワクチン接種を受けるかランダムに割り当てたのです。そしてBCGが幅広い感染症から患者を保護できるか確認するために、1年間の追跡調査を実施しました」
 この研究は新型コロナウイルスによるパンデミック以前に開始されたものだが、COVID-19におけるBCGワクチンの重要性をいち早く伝えるため、この論文は経過報告を発表したものとなっている。それでも198人の高齢者を対象とした臨床試験のうち、150名の中間分析では、すでに明確な差が認められている。
 臨床試験の結果、プラセボ群(78人)では高齢者の42.3パーセントが感染症を発症したが、BCG群(72人)では25パーセントにとどまった。また、BCG群ではワクチン接種後に平均16週間で新規感染が報告されたのに対し、プラセボ群では11週間と短かった。なお、副作用に差はなかった。
 
 共著者であるギリシャのアティコン大学病院内科のエヴァンゲロス・ジアマレロス=ブルブーリス教授は次のように述べている。「一般的な感染症におけるBCGワクチン接種の明確な効果に加えて、今回の最も重要な経過観察は、BCGが主に呼吸器感染症を予防できることでした。BCGワクチンを接種した高齢者は、プラセボを受けた高齢者に比べて呼吸器感染症が75パーセント減少したのです」
 BCGワクチン接種は、新規感染の発生率を低下させ、特にウイルス性呼吸器感染症の予防に最も効果があることがわかったのだ。
 
■自然免疫の訓練に寄与するという研究結果
 
 それでは、この研究で示されたBCGによる「免疫の訓練」とはどういったものなのだろうか?
 それは自然免疫細胞(顆粒球、マクロファージ、単球などのミエロイド系細胞やナチュラルキラー細胞など)のエピジェネティック、転写、機能的な再プログラミングのプロセスのことである。結果、細胞間の情報伝達に必要なサイトカイン産生能と抗菌機能が向上するのだという。
 
 論文によると、感染症や死亡率に対する非特異的な保護を調査した疫学研究では、BCGワクチン接種によりアフリカの小児における呼吸器合胞性ウイルス感染症の発症率が減少した。またインドネシアと日本では、高齢者を呼吸器感染症から保護する効果があることが示唆されてるという。
 このことから、BCGワクチンの接種は獲得免疫のように特定のウイルスに特化した攻撃性はないが、個人の自然免疫を高めて感染症からの予防や重症化を低下させるものとして期待される。
 
■少なくともひとつの要因になる
 
 とはいえ、この知見はBCGが新型コロナウイルスに確実に有効であることを証明したものではない。今回の研究では、確かに一般的なウイルス性呼吸器感染症に対する予防効果が確かめられた。しかし、COVID-19に対しては被験者の有病率が低かったので、確定的なことはいまだ断言できない状況にある。
 
 実際にBCGワクチンが義務化されている国々のいくつか(ブラジル、ロシア、インドなど)は、政策やマスク普及率、そして上記に挙げられたさまざまな要因はあれど、いまだ感染に歯止めがかかっていない状況にある。おそらくBCGに新型コロナウイルスの感染を完全に防止する能力はなくとも、接種国か否かの違いにより、統計上のデータに有意な差として現れるほどには保護効果があるということなのだろう。いずれにせよBCGワクチン接種は、日本を含むアジア各国での罹患率・死亡率の低さを説明できるひとつの要因にはなりそうだ。
 研究チームは、BCGワクチン接種が新型コロナウイルス感染症からも人々を保護できるかどうかは、今後の追跡調査によって明らかになるだろうと結んでいる。

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医薬品開発には、大規模な最終治験がなぜ必要なのか?

2020年09月10日 20時10分07秒 | Weblog

医薬品開発には、大規模な最終治験がなぜ必要なのか?

世界中で新型コロナウイルス ワクチンの開発が進められていますが、慎重な上にも慎重な治験を経て、すべての人に安全な接種ができる製品の開発を望みたいもの。

例えば、1万人を対象とした治験が実施され、そこに10人の因果関係がありそうな有害事象が観察された場合、発生率は0.1%ですが、これが製品化され、薬として例えば日本国民1億人に接種されたとします。すると、10万人に同一有害事象が発生する可能性があることになるのです。

ロシアや中国やアメリカのように、拙速な政治主導の判断による薬事承認が日本では行われないことを祈るばかりです。


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全てのワクチン治験において確立された試験プロトコルが厳格に適用されるべき

2020年09月10日 05時35分01秒 | Weblog
アストラゼネカのコロナ治験中断「珍しくない」、専門家ら指摘
 
(2020/09/09 ロイター)
 
 
 英製薬大手アストラゼネカが新型コロナウイルスワクチンの臨床試験(治験)を世界的に中断したことについて、米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は9日、残念ではあるが、ワクチン開発における安全対策としては珍しくないという考えを示した。
 アストラゼネカは、被験者の1人に原因不明の疾患が生じたとした上で、独立委員会による安全性データの検証を行うため、ワクチン投与を自主的に中断したと発表した。
 ファウチ氏はCBSの番組で「アストラゼネカのワクチン候補に重篤な有害事象が発生したことを受け、事実関係が正確に判明するまで、残りの被験者の登録を保留するということだ」と指摘。「こうした措置は治験における安全弁の一つであり、それが起こったことは残念だが、問題が解決し、治験が再開することを願う」と述べた。
 
 世界保健機関(WHO)は、治験中の被験者に見られる原因不明の疾患を検証するのは異例でないとし、「ワクチン開発者が治験の科学的整合性を保証し、ワクチン開発の標準的なガイドラインやルールを順守していることに満足している」と表明。被験者の安全性およびワクチンの最終的な安全性や有効性を確保するため、全てのワクチン治験において確立された試験プロトコルを厳格に順守することを推奨するとした。
 WHOの主任科学者、ソミヤ・スワミナサン氏は、安全性が第一と強調した上で、「スピードが話題になっているからといって、普通に評価される事柄について妥協したり手を抜いたりするわけではない」と述べた。
 英国のハンコック保健・社会福祉相は、アストラゼネカが課題に直面したことは間違いないが、必ずしもワクチン開発が後退したとは言えないとし、データ検証の結果を見極めたいとした。
 
☆追記:なお、このアストラゼネカ開発のCOVID-19ワクチン候補薬第三相試験の臨床試験差し止め (Clinical hold) は、2例目の横断性脊髄炎の有害事象があったための自主的な中断であり、現在因果関係を調査中で、来週初めに再開予定とのこと。こうしたワクチン接種後の横断性脊髄炎は40年間で37例が報告されているそうです。

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脊髄に炎症が起きる横断性脊髄炎が被験者1人に確認?

2020年09月09日 18時41分58秒 | Weblog

英製薬大手アストラゼネカ、コロナワクチン試験を全世界で中断 安全性懸念で
(2020年9月9日(水)16時13分 NEWSWEEK日本版)



 9月8日、医科学メディア「スタット」によると、英製薬大手アストラゼネカは、新型コロナウイルスワクチン候補の後期臨床試験を中断した。

 英製薬大手アストラゼネカは8日、オックスフォード大学と開発する新型コロナウイルスワクチンの臨床試験(治験)を世界的に中断したと発表した。大規模な後期治験も含まれる。被験者1人に、説明できない疾患が生じたためとしている。
 同社のワクチン候補は開発が先行しているものの1つとみられおり、最近では日本での治験開始を発表していた。
 アストラゼネカは、独立委員会による安全性データの検証を行うためワクチン投与を自主的に中断したとの声明を発表。治験のスケジュールに影響が及ぶ可能性を最小限に抑えるため、今回の単独案件の検証を迅速に行うよう努めていると表明した。
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 また今回の対応について「治験の1つで説明できない疾患の可能性が生じた場合に取るべき所定の措置だ」と説明した。
 アストラゼネカのワクチン候補は英オックスフォード大学と共同開発中で、米国や英国、ブラジル、インドなどで異なる段階の治験を実施中。9月上旬には日本で治験を開始したことを発表した。日本はこのワクチンが開発に成功した場合、1億2000万回分の供給を受けることでアストラゼネカと合意している。
 疾患が生じた被験者は英国で報告された。治験中断について最初に報じた医科学メディア「スタット」によると、被験者は回復する見込みだが、疾患の詳細や発生時期は今のところ明らかにされていない。
 米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)が事情に詳しい関係筋の情報として伝えたところによると、英国の治験で脊髄に炎症が起きる横断性脊髄炎が被験者1人に確認された。横断性脊髄炎はウイルス感染によって引き起こされる場合が多い。この疾患がアストラゼネカのワクチン候補と直接関係があるかどうかは不明という。アストラゼネカはこの報道についてコメントを控えた。
 スタットによると、同様の反応の兆候を調査するため、アストラゼネカの他のワクチン試験や、他のワクチンメーカーが行っている試験にも影響が及んでいる。
 アストラゼネカの試験に資金を拠出している米国立衛生研究所(NIH)はコメントを控えた。
 アストラゼネカの声明は「大規模な臨床試験では偶然に病気が発生するが、注意深く独立した調査が行われなければならない」としている。
 アストラゼネカの米上場株は引け後の時間外取引で8%超下落。一方、ワクチン開発で競合する米モデルナは4%超、米ファイザーは1%弱、それぞれ上昇した。
 モデルナは、自社が実施しているワクチン試験への影響は現時点で承知していないとしている。
 菅義偉官房長官は9日午前の会見で「厚生労働省で企業から詳細な情報を収集している」としたうえで、承認申請があった場合は「治験などのデータと最新の科学的知見に基づき、有効性と安全性確保の観点から、承認の可否について適切に判断してく」と述べた。


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コロナワクチン、効果が確認されるまでは当局に承認を求めない

2020年09月09日 10時29分38秒 | Weblog

欧米製薬会社、ワクチンの安全を最優先 9社が共同声明 

2020/9/8 22:40 (2020/9/9 5:14更新) 日本経済新聞WEB

 新型コロナウイルスのワクチンを製造する欧米の製薬会社9社は8日、安全を最優先するとの共同声明を発表した。効果が確認されるまでは当局に承認を求めないことも申し合わせた。米国では臨床試験(治験)終了を待たずに緊急的な接種を認めることが検討されており、業界側から政治的な動きをけん制した。

 トップによる共同声明を出したのは、英アストラゼネカ、米ファイザー、仏サノフィなど。(1)安全と接種する人の健康を最優先する(2)科学と倫理の高い基準を維持して臨床試験(治験)や製造をする(3)最終的な治験を終えて安全と効果が確認された場合にのみ当局に承認を求める(4)グローバルな供給体制を整える――ことを確認した。

 新型コロナの世界的な感染拡大を受けて、欧米の製薬大手はワクチンの開発を急いだ。治療法や予防法が限られ、ワクチンが数少ない対策だったためだ。通常ワクチン開発には5~10年かかる中で、1年以内を目指す異例のスピードで開発や治験が進んでいる。

 だが、効果や安全性が確立されていないにもかかわらず、世界でワクチンに対する期待が先行している。トランプ米政権は11月の大統領選も視野に、迅速なワクチン開発を後押しする。米食品医薬品局(FDA)は治験終了前に条件付きで投与を認める「緊急使用認可」を検討しており、政権から圧力があったことが指摘されている。

 ワクチン開発競争は世界で進む。ロシアは世界に先駆け、8月に自国産のワクチンを承認。中国と同様、早期に開発・製造して新興国に提供することで影響力を強めようとしている。フィリピンで10月から始まる同ワクチンの治験はロシアが資金を拠出する。治験終了前に政府が承認したことには批判の声もある。

 今回の欧米製薬会社の共同声明は、こうした世界の動きに業界側からくぎを刺す意味合いがある。ワクチンは予防や重症化を防ぐ効果が期待されるが万能ではなく、過度な期待で安全性が後回しになれば、むしろ悪影響を及ぼしかねない。

 声明に参加した他の6社は、英グラクソ・スミスクライン(GSK)、独ビオンテック、米ジョンソン・エンド・ジョンソン、米メルク、米モデルナ、米ノババックス。


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