・・・を追いかけるなかで、そのおぞましさに反して不思議なほど誠実さと人間味あふれる方たちにお目にかかれて嬉しかった』
戦前の大東亜戦争中の関東軍731部隊を率いた石井四郎の生涯を追った『731』(新潮社)の「あとがき」で著者・青木冨美子は語っている。
この本を手に取ったのは高田馬場の書店だったが、それは、著者の青木冨美子という名前に惹かれてだった。
もう随分昔になるが、ベトナムで散ったカメラマン沢田教一を追った『ライカでグッドバイ』(文芸春秋)をむさぼり読んだ記憶がある。その著者が今はニューヨークに住み、フリーランスのジャーナリストとして活躍してきたことも、そのときに知った。
昨年の秋にNHKが幾つかの『満蒙開拓団』の現実を探った番組をBSで放送しており、その中で、国民を守るはずの軍の高級将校と家族など軍属だけが、開拓団を置いてきぼりに我先にと逃げ帰った事実を伝えていたが、この中でも、同じような現実が触れられていて、興味をひかれた。
「私服とせよ」という命令を出して、関東軍は軍服を脱いで、私服で逃げるように指令を受けたことが指摘されている。
それはともかく、ペスト菌や炭素菌の情報をマッカーサーに売り渡すことで誰ひとりとして戦犯に問われなかった731部隊の生き残り軍医たちがその後、エイズ過を引き起こすミドリ十字の中でどのように生きたのか? その後について、もう少し詳細に伝えてもらいたかった、というのが読後感である。
戦前の大東亜戦争中の関東軍731部隊を率いた石井四郎の生涯を追った『731』(新潮社)の「あとがき」で著者・青木冨美子は語っている。
この本を手に取ったのは高田馬場の書店だったが、それは、著者の青木冨美子という名前に惹かれてだった。
もう随分昔になるが、ベトナムで散ったカメラマン沢田教一を追った『ライカでグッドバイ』(文芸春秋)をむさぼり読んだ記憶がある。その著者が今はニューヨークに住み、フリーランスのジャーナリストとして活躍してきたことも、そのときに知った。
昨年の秋にNHKが幾つかの『満蒙開拓団』の現実を探った番組をBSで放送しており、その中で、国民を守るはずの軍の高級将校と家族など軍属だけが、開拓団を置いてきぼりに我先にと逃げ帰った事実を伝えていたが、この中でも、同じような現実が触れられていて、興味をひかれた。
「私服とせよ」という命令を出して、関東軍は軍服を脱いで、私服で逃げるように指令を受けたことが指摘されている。
それはともかく、ペスト菌や炭素菌の情報をマッカーサーに売り渡すことで誰ひとりとして戦犯に問われなかった731部隊の生き残り軍医たちがその後、エイズ過を引き起こすミドリ十字の中でどのように生きたのか? その後について、もう少し詳細に伝えてもらいたかった、というのが読後感である。