ビタミンP

苦心惨憺して書いている作品を少しでも褒めてもらうと、急に元気づく。それをトーマス・マンはビタミンPと呼んだ。

東京五輪、選手は新型コロナウイルスや猛暑で死亡した場合も自己責任

2021年05月30日 01時50分34秒 | Weblog

五輪参加同意書が世界で大波紋「これは生死同意書」
(2021・05・29(土) 12:54配信 Yahoo ニュース)

 コロナで死亡も自己責任。国際オリンピック委員会(IOC)が、東京五輪に参加する選手らに求める同意書の無責任体質が、世界中で大きな波紋を呼んでいる。

 米ヤフーは29日、IOCが用意している同意書を入手。これには「新型コロナウイルスや猛暑で死亡した場合も自己責任」という項目が加わっている。ジカ熱が問題となった2016年リオデジャネイロ五輪ですら、感染症や熱の項目はなかったという。

 同メディアによると、もし選手が署名を拒否した場合について質問すると、IOCから直接の回答はなかった。ある選手代表者は「選手は文書上での発言権も、同意書を押し戻す交渉力も、東京で実施されるコロナ対策も何も与えられていない」と指摘。主催者のみならず、選手に対しても絶対的なIOCの姿勢に疑問を呈している。

 同意書を巡っては、世界各地でブーイングだ。すでに世界で最も権威ある医学誌・米医学誌ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)が「選手に自己責任で参加することを強いながら、選手が直面するさまざまなレベルのリスク評価が不十分」とバッサリ。米「ESPN」やインド「ビジネス・スタンダード」、豪「ウエスタン・オーストラリア」中国「界面」などは「IOCは自己責任の同意書にサインさせる」と大々的に報道した。中国SNS上では「みんな来て来て~、あとはあなたの運次第ってこと?」「これは生死同意書か」「選手の生命を軽視している」とIOCの姿勢を非難する声が寄せられている。

 IOCのトーマス・バッハ会長は27日、オンラインで行われたアスリート委員会主催のフォーラムで「自信を持って東京に来てほしい」訴えたが、どこまでも無責任な貴族軍団の体質が露見したと言えそうだ。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ワクチン接種を受けた601万人余中、85人が死亡

2021年05月30日 01時37分44秒 | Weblog

ワクチン接種601万人余 85人死亡 “重大な懸念認められず”

(2021年5月26日 22時23分 NHK NEWS WEB)

 

 厚生労働省は新型コロナウイルスのワクチンの接種を受けた人のうち、これまでに85人の死亡を確認したと公表しました。厚生労働省は現時点で重大な懸念は認められないとして引き続き接種を進めていくことにしています。

 厚生労働省は26日に開いた専門家部会で、今月21日までにファイザーのワクチンの接種を受けた601万6200人余りのうち25歳から102歳の男女85人の死亡を確認したことを報告しました。

 78%が65歳以上の高齢者で、医療機関などからの報告では

▽出血性の脳卒中や

▽心不全などを

起こしていたということです。

 接種との因果関係については、いずれも情報不足などを理由に「評価できない」か「評価中」としています。

 また、今月16日までに報告された接種後の症状のうち国際的な評価指標でアナフィラキシーに該当したのは146件で、およそ4万1900回に1件の割合でした。

 これを受け、厚生労働省は現時点で接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないとして引き続き接種を進めていくことにしています。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

mRNAワクチン---ウイルスとの闘いを根本から変える驚異的な成果

2021年05月30日 01時25分20秒 | Weblog

“革新的”研究成果がコロナワクチン開発に 女性科学者の思い

(2021年5月27日 18時50分 NHK NEWS WEB)

 新型コロナウイルスの発症と重症化を防ぐ「切り札」と期待されるワクチンの1つ「mRNAワクチン」に欠かせない技術を開発したことで知られ、世界的に注目される科学者、カタリン・カリコ博士がNHKの単独インタビューに応じ「ワクチンを導入した国では効果が確認されている。希望を持って欲しい」と日本の私たちに向けてメッセージを述べました。

■苦難の連続

 ハンガリー出身の科学者、カタリン・カリコ博士は、大学卒業後アメリカに渡り、遺伝物質の1つ「mRNA」の研究を行いました。

しかし、研究成果はなかなか評価されず、助成金の申請を企業に断られたり、所属していた大学で役職が降格になったりするなど、40年にわたる研究生活は苦難の連続でした。

 2005年には、当時同僚だったドリュー・ワイスマン教授と、今回のワクチンの開発につながる革新的な研究成果を発表しましたが、これも注目を集めることはなく、その後大学の研究室を借りる費用も賄えなくなり、2013年にドイツの企業ビオンテックにうつりました。

 遺伝物質「mRNA」は、体内に入れるとすぐに分解されるほか、炎症反応を引き起こしてしまうため、長年、薬などの材料として使うのは難しいと考えられていました。

 しかし、カリコ博士らはmRNAを構成する物質の1つ「ウリジン」を「シュードウリジン」に置き換えると炎症反応が抑えられることを発見。

 この技術を用いて去年、新型コロナウイルスのワクチンが開発されました。

 現在、日本で接種が始まっているファイザーとビオンテックが開発したワクチンとモデルナのワクチンは2つともこの技術を使っていて、欧米の研究者などからは、実用化の鍵を握るこの研究成果はノーベル賞に値するという声もあがっています。

 

■「本当のヒーローは医療従事者など」

 カリコ博士は今回、NHKの単独インタビューに応じ「物事が期待通りに進まない時でも周囲の声に振り回されず、自分ができることに集中してきた。私を『ヒーローだ』という人もいるが、本当のヒーローは私ではなく、医療従事者や清掃作業にあたる人たちなど感染のおそれがある最前線で働く人たちだ」と述べました。

 そのうえで、日本の私たちに向けて「接種が進んだ国では普通の生活に戻りつつあるところもあり、ワクチンの効果は確認されている。もうしばらく注意深く過ごさなければならないが、希望を持って欲しい」と述べました。

 

■「mRNAワクチン」とは

 ファイザーとビオンテックが開発したワクチンとモデルナのワクチンは、ともに「mRNAワクチン」と呼ばれています。

 新型コロナウイルスの表面には「スパイクたんぱく質」と呼ばれる突起があり、ウイルスはここを足がかりとして細胞に感染します。

 遺伝物質のmRNAは、この突起の部分のいわば「設計図」にあたり、ワクチンを接種すると、これをもとに、細胞の中でウイルスの突起の部分だけが体内で作られます。

 そして、この突起によって免疫の仕組みが働き、ウイルスを攻撃する「抗体」などが体内で作られるため、あらかじめワクチンを接種しておくと発症や重症化を防ぐ効果があるとされています。

 mRNAをワクチンに用いるアイデアは以前からありましたが、体内に入れると異物として認識されて炎症反応が起きることなどから、研究者の間では実現は難しいと考えられていました。

 こうした中、カリコ博士は当時同じペンシルベニア大学にいたドリュー・ワイスマン教授との共同研究で、細胞の中にある「tRNA」と呼ばれる別のRNAは炎症反応を起こさないことに注目。

 mRNAを構成する物質の1つ「ウリジン」を、tRNAでは一般的な「シュードウリジン」に置き換えると炎症反応が抑えられるとする論文を2005年に発表しました。

 さらに2008年には、特定のシュードウリジンに置き換えることで、目的とするたんぱく質が作られる効率が劇的に上がることも明らかにしました。

 カリコ博士らは、基礎医学の発展に寄与した功績が認められ、ノーベル賞受賞者も多く受賞しているアメリカの医学賞、ローゼンスティール賞を去年受賞しました。

 この賞の選考委員会で議長を務めるジェームズ・ヘイバー氏は「カリコ博士らの研究はmRNAワクチンの開発にとって、最も重要なものだった。ウイルスとの闘いを根本から変える驚異的な成果で、今後はこの技術を使って多くのワクチンが迅速に作り出されるだろう」と評価しています。

 

■苦節40年 母国を離れて

 ハンガリー生まれのカリコ博士は首都ブダペストから東におよそ150キロ離れた地方都市で育ちました。親は精肉店を営んでいました。

 大学で生化学の博士号を取得したあと、地元の研究機関で研究員として働きましたが、研究資金が打ち切られたことから1985年、夫と娘の3人でアメリカに渡りました。

 当時ハンガリーは社会主義体制で、外国の通貨を自由に持ち出すことができなかったため、出国の際、カリコ博士は2歳の娘が持っていたクマのぬいぐるみの中に全財産の900ポンドをしのばせてアメリカに持ち込んだということです。

 アメリカでは、ペンシルベニア州のテンプル大学やペンシルベニア大学で研究員や助教として働き、mRNAなどの研究に没頭。

しかし、研究成果はなかなか評価されず、助成金の申請を企業から断られたり、所属していた大学の役職が降格になったりするなど苦難の連続だったといいます。

 そうした中、ペンシルベニア大学の中でコピー機を使う際に言葉を交わしたことがきっかけでHIVのワクチン開発の研究をしていたドリュー・ワイスマン教授と知り合い、2005年、今回のワクチン開発に道をひらく研究成果を共同で発表しました。

 しかし、この論文も当時は注目されず、2010年には関連する特許を大学が企業に売却してしまいました。

 多くの研究者がその可能性に気付かない中、ドイツの企業ビオンテックはこの研究成果に注目。企業に招かれたカリコ博士は2013年に副社長に就任、おととしからは上級副社長を務めています。

 去年3月、ビオンテックは以前から共同で研究していたアメリカの製薬大手ファイザーとmRNAを用いた新型コロナウイルスワクチンの開発を開始すると発表。臨床試験で95%という高い有効性を確認したとして世界を驚かせたあと、共同開発の発表からわずか9か月後の去年12月に一般の人へのワクチンの接種が開始。カリコ博士らの功績が世界に認められることになりました。

 

■「パンデミック収束への希望を与えた」

 アメリカ政府の首席医療顧問をつとめるアンソニー・ファウチ博士は、ことし2月「1年を待たずに2種類のワクチンができた。この2つはともにmRNAワクチンで、90%以上の高い有効性を示している。そして、いずれもカリコ博士らが2005年に発表した研究成果が土台となっている。世界にパンデミック収束への希望を与え、ワクチンのさらなる可能性を開いた」と述べ、カリコ博士らの研究成果を評価しました。

 またイギリスの新聞、ガーディアンは「カリコ博士は新型コロナワクチンの技術のパイオニアだ。研究者としての環境を求めてクマのぬいぐるみにわずかなお金を隠してアメリカに渡った研究者が、今ではノーベル賞の有力候補といわれている」と報じています。

 また、フランスのニュース専門チャンネル「フランス24」は「カリコ博士は研究者の中心から外れたところで何年も過ごした。カリコ博士と、共同研究者のワイスマン教授は今ではノーベル医学・生理学賞の本命候補となっている」と伝えています。

 ペンシルベニア大学の上級研究員、村松浩美さんは、10年以上にわたってペンシルベニア大学やドイツの企業でカリコ博士とともに研究してきました。

 村松さんは「研究が趣味のような人で、『土日は家で論文が読める』などと言ってとにかく毎日、論文を読んでいた」と研究に没頭するカリコ博士の様子を振り返りました。

 さらに「予想とは違っても実験で出た結果を大事にする人だった。結果のよしあしに引きずられず、データを受け止めて研究を進めた。これが本当の科学だと思った」と述べました。

 また「彼女のような革新的な研究であっても助成金がもらえないケースがあるのだから、ノーベル賞級の成果だったとしても、人目につかないまま消えていったものがたくさんあると思う」と述べました。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

昨日と同じ今日

2021年05月26日 02時16分48秒 | Weblog

昨日と同じ今日を愛し、

今日と同じ明日を願う(日本人)

イザベラ・バード


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

礼節

2021年05月26日 02時08分09秒 | Weblog

NHK-BSプレミアムカフェ『にっぽん 微笑みのくにの物語』を観ている。

明治初期に日本を訪れ、単身東北地方を旅した女性旅行家イザベラ・バードが見た日本。コロナ禍でも失って欲しくない日本人の心性がここにある気がする。

 

1889年(明治22年)に来日し2年間東京麻布で過ごしたエドウィン・アーノルドも、同じような日本人を見ている。そして、明治政府が打ち壊そうとして打ち壊せなかった江戸文化が育てた、日本以外のどこにも存在しない日本人の中にある資質について語っている。

 

(1)礼節によって生活を楽しいものにするという普遍的な社会契約

(2)生きていることをあらゆる者にとってできるかぎり快いものたらしめようとする社会的合意

(3)心に悲嘆を抱いているのをけっして見せまいとする習慣、とりわけ自分の悲しみによって人を悲しませることをすまいとする習慣

 

そんなものどこにある? というかもしれないけれど・・・


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

副反応と有害事象、日本とアメリカの報告制度の違いについて

2021年05月25日 17時48分10秒 | Weblog

副反応と有害事象、日本とアメリカの報告制度の違いについて

517日こびナビTwitterspacesまとめ)

 

 

 

517日(月)
こびナビの医師が解説する世界の最新医療ニュース
本日のモデレーター: 木下喬弘

 

木下喬弘

おはようございます。

ついにTwitterスペースで木下が担当する回となりました。

本日は比較的重い話ですので早速始めます。

みなさん、日本において新型コロナウイルスワクチンの副反応疑い報告が続いているのはご存知でしょうか。いくつか報道もされています。

 

《ワクチン副反応疑いで1人死亡》
2回目の接種後、呼吸困難や心不全などの症状が出て、その後死亡」

出典: Yahooニュース 愛媛朝日テレビ 2021/05/13

《接種2,3日後に子宮から出血・・・ワクチン接種した40代女性が5日後に死亡
早朝に呼吸困難となり心肺停止》

出典: Yahooニュース 東海テレビ 2021/05/14

これらの記事は(上記リンクの通り)Yahoo!ニュースにも掲載されており、コメント欄が「これはワクチンのせいに違いない」「私は打ちたくありません」という意見で溢れています。こういったことをどのように考えればよいのでしょうか。

 

 

【日本における「副反応疑い報告制度」の現状と問題点】

1)日本とアメリカの報告制度の相違

まず日本の制度を確認し、次にアメリカの制度と比較してみます。

日本とアメリカのワクチン有害事象・副反応報告制度(作成: こびナビ)

※医師からの報告以外にも、「医薬品副作用報告制度」として患者さんから、「市販後調査」などを通して企業からの報告も広く収集しています。なお、この表はクリックしてもらうと綺麗に映ります。

 

有害事象、副反応疑い、副反応の関係(作成: こびナビ)

木下注:有害事象とは、ワクチン接種後におきたあらゆる健康上の問題のこと。

副反応とは、有害事象の中でワクチンが原因で起きるもののことを指す。具体的には、ワクチンを接種した後に交通事故に遭った場合も有害事象として良いが、副反応ではないと考えられる。逆に、アナフィラキシーなどは確実にワクチンの副反応といえる。

副反応疑いとは、有害事象の中で副反応の疑いが濃いものを指すと考えられる。

日本の制度について。

この配信は医師のみなさんにもお聞きいただいていると思うんですが、「予防接種法」はご存知でしょうか。その第四章第十二条に、以下のようなことが書かれています。

第四章 

定期の予防接種等の適正な実施のための措置

(定期の予防接種等を受けたことによるものと疑われる症状の報告)

第十二条 

病院若しくは診療所の開設者又は医師は、定期の予防接種等を受けた者が、当該定期の予防接種等を受けたことによるものと疑われる症状として厚生労働省令で定めるものを呈していることを知ったときは、その旨を厚生労働省令で定めるところにより厚生労働大臣に報告しなければならない。

このように、日本では定期予防接種に関して「副反応疑い」がある場合には報告しなければならないというシステムになっています。

詳細に見ていきますと。

《誰が》

病院もしくは診療所の開設者または医師

つまり基本的に医師が報告する制度

《誰に》

厚生労働大臣に報告

実際は PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構、Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)でまとめられる

《何を》

定期予防接種を受けたことによるものと疑われる症状

つまり「副反応疑い」報告制度

まとめますと日本では、

「ワクチンを接種した後に何かが起きた人がいたとして、それがワクチンのせいだと判断したり、少なくともワクチンのせいだと疑った場合には、医師が厚生労働大臣(実務としてはPMDA)に報告してくださいよ」というシステムとなっています。

これはアメリカとは少々違います。

アメリカには、VAERS(Vaccine Adverse Event Reporting System、ワクチン有害事象報告制度)という制度があります。VAERS を統括している CDC(Centers for Disease Control and Prevention、アメリカ疾病予防管理センター)によりますと、報告者は、医師、ワクチンを接種した人、接種を受けた本人やその家族、製薬会社などでもよいという仕組みになっています。

そして安川先生に解説していただきたいのですが。

ワクチンとの因果関係については一切関係なく報告してよいんですよね?

安川康介

そうですね。

有害事象(adverse event)として、ワクチンを接種した後に何かしら悪いことが起きた場合には報告するという制度になっています。

そして補足しますと、アメリカでは、新型コロナウイルスのワクチンを受けた方に対してテキストメッセージが定期的に送られてそれに答える形式の、V-safe というシステムもあります。VAERS だけではなく、いくつかのレイヤーを設けて有害事象や副反応の事例収集が行われているということです。

木下喬弘

実はそこも後で解説する予定でしたが、非常に重要なポイントです。

VAERS は、報告だけして終わりということではなく、重い有害事象が報告された時に、いくつかの特定の疾患に関しては自然発生と比較する仕組みも存在しています。

これは、empirical Bayesian data mining という生物統計学の専門家でも聞いたことがないようなマニアックな統計手法を用いて、自然発生よりも多いかどうかを常に監視するものです。

つまり、何でもいいからワクチンを打った後に体調が悪くなった人がいたら報告せよ

→その中でワクチンを打った後に起きる可能性のある症状(特に免疫に関する病気など)に関しては、自然発生を超える報告があるかどうかを監視する

というシステムになっているということです。

VAERS は passive surveillance(受動的監視)です。調べる側の FDA(Food and Drug Administration、アメリカ食品医薬品庁)や CDC からすると、VAERS は勝手にあがってくる報告制度であり、能動的に自分から調べにいっているシステムではないため、因果関係の評価には用いてはならないということになっています。

そこで、V-safe というスマートフォン上でテキストメッセージを送るというシステムを使い、CDC が気になっている事象に関して active surveillance(能動的監視)を行っているわけです。

まとめますと、アメリカの有害事象報告制度は以下の2段階のステップがあるということです。

《VAERS》

ワクチン接種関係者が国に対して有害事象を報告する制度

報告者に判断を任せる受動的監視であり、自然発生と比較することにより「この症状だけ多いな」などのアラート機能として、注意喚起を行うもの

参考:

VAERS(Vaccine Adverse Event Reporting System)

https://vaers.hhs.gov/

出典: アメリカ政府公式サイト

《V-safe》

CDCがワクチン接種者にスマートフォン上で調査メッセージを送るシステム

能動的監視であり、実際にその症状がワクチン接種との因果関係をもって増えているのかどうかを明示的に調べにいくもの

参考:

V-safe After Vaccination Health Checker

https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/vaccines/safety/vsafe.html

出典: CDC

ここまでで、何かコメントありますでしょうか。

安川康介

小児感染症フェロー、エモリー大学小児感染症科の紙谷聡先生が、(アメリカでの)新型コロナウイルスワクチンの安全性評価に関与されていまして、先日厚生労働省の審議会に呼ばれてプレゼンテーションをなさった時の資料があります。

参考:

第57回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会

紙谷参考人提出資料

「米国の予防接種安全性監視システムについて」(PDF)https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000776374.pdf

出典: 厚生労働省 2021/04/30開催

VAERS では、ただ誰かが報告しているだけで比較対象がありません。そこで自然発生率と比べることになりますが、それでも完璧ではありません。ワクチンを受けている方の年齢や基礎疾患が違いますので、かなり荒い評価になってしまいます。

そこで、アメリカにはもっと詳しく検証するために VSDVaccine Safety Datalinkというシステムがあります。これは CDC と、いくつかの民間の病院群(たとえばKaiser Permanenteという大きな私立病院はかなり多くの患者さんのデータを持っています)が共同で行っているプロジェクトで、患者さんの(ワクチン接種と)病気の情報と紐付いており、ワクチンを受けた方と受けていない方で、どのくらいの頻度で重大なことが起きているかを比較するなど、かなり詳細な検討ができる評価システムになっています。

日本には、この VSD のような安全性モニタリングシステムが足りていないと聞いています。

アメリカでは、副反応に関しては ACIP(Advisory Committee on Immunization Practices、予防接種諮問委員会)などの CDC の組織が定期的にデータを公表していますが、発生率を考慮して多いかどうかを検討する時はこの VSD のデータを使っており、VSD Rapid Cycle Analysys(VSDの迅速サイクル分析)と呼ばれるような、かなり厳密な評価がなされています。

木下喬弘

いまご説明いただいた VSD も能動的監視で、VAERS であがってきたシグナル(副反応かもしれない症例)があった時に、次のステップとしてそれを明示的に調べていくシステムのことです。

池田早希

アメリカのシステムを追加で紹介しますと。

CDC の管轄で、CISA(Clinical Immunization Safety Assessment)という、ワクチンに関する不安、副反応かどうかなど、個々の症例についてわからないことがあれば相談できるシステムがあります。

参考: 

CISA(Clinical Immunization Safety Assessment)

https://www.cdc.gov/vaccinesafety/ensuringsafety/monitoring/cisa/index.html

出典: CDC

かつ、アメリカには VSD 以外にも既存の監視システムが沢山あります。こういった既存のシステムを有効活用しつつ新しく V-safe を加えて、様々な観点からワクチンの安全性をモニタリングしているようで、この点は凄いなと思います。

木下喬弘

仰る通りですね。

実はアメリカの報告システムは非常に複雑でいろいろなレイヤーがあって複雑なんですが、日本とは全く違いますね。

まとめますと、日本(副反応疑い報告制度)とアメリカ(VAERS)では報告制度が異なり、

アメリカは「接種関係者なら誰でもよいので、有害事象を全て報告しましょう」
日本は「医師が、副反応または副反応の疑いがある場合に報告しましょう」

という相違があります。

 

【日本における「副反応疑い報告制度」の現状と問題点】

2)日本の制度の問題点

次に、日本のシステムでどのような問題が起きているか、について話を進めます。

接種後に死亡、報告悩む医療機関...遺族は「国に伝えて」

https://www.yomiuri.co.jp/medical/20210508-OYT1T50380/

出典: 読売新聞 2021/05/09

ワクチン接種後に大動脈解離になった方がいた

→医師はワクチンとの因果関係はないと判断し副反応疑い報告をしなかった→遺族にワクチン接種との因果関係について今後の科学の進歩に役立ててほしいと言われた

→それを元に医師が副反応疑いとして報告した、という記事です。

これはまずいですよね?

アメリカでは、有害事象として、詳細は CDC や FDA で検討してくださいと(丸投げするように)情報を送り、CDC や FDA は自然発生と比較して多いかどうかや症状の経過などを調べる、というシステムが成立しています。

一方日本では、医師が副反応かどうかをある程度判断して報告しなければなりませんが、このニュースでは「医師は副反応ではないと判断したにもかかわらず患者家族の主張を受け入れて報告した」という流れなわけです。

これはシステムとして成立していないと思うのですが、ご登壇の先生方いかがでしょうか。

池田早希

医師はたとえワクチンとの因果関係は考えにくいと思っていても、個別のケースだけでは断言できないこともありますし、かなり問題があると思います。日本にはさきほど紹介したアメリカの CISA のような相談システムもありません。

木下喬弘

日本ではこのように副反応疑いを報告する形式になっていますが、まずはこういったトラブルのようなことが起きていることを、皆さんに知っておいていただきたいと思います。

さらに、ここ数日死亡例があり、それに関して厚生労働省が副反応として検証しているというニュースが話題になっています。Yahoo! ニュースのコメント欄では「そんなのワクチンのせいに決まっている」など、なかなかの盛り上がりをみせており、1万いいねがついていることからも相当読まれているようです。

ここで、死亡例について、日本ではどのような情報を把握し検討しているかを解説します。

新型コロナウイルスワクチンが登場して以降、「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会」というところでワクチンの安全性が検証されています。最近は開催頻度があがっており、毎回副反応疑い報告について議論されています。

参考: 

厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会)

開催日、議題、資料など一覧

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei_284075.html

出典: 厚生労働省

最新の審議会は第58回、2021年5月12日に行われており、副反応疑い中の死亡例についてまとめられた資料があります。

参考:

第58回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会

資料1-3

新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要

https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000778304.pdf

出典: 厚生労働省

それによると、2021年5月2日までに報告された死亡事例は28件あり、専門家が評価し、その結果を以下のように α、β、γ にわけています。

《評価結果》

α: ワクチンと症状名の因果関係が否定できないもの

→ワクチンのせいだと疑わしい

β: ワクチンと症状名の因果関係が認められないもの

→ワクチンのせいではない

γ: 情報不足等によりワクチンと症状名の因果関係が評価できないもの

→評価できない

そしてここでは28例全て、γ の「評価できない」に該当すると報告しています。

ここは説明が難しいんですが、たとえば前述ニュースの大動脈解離について。

・メカニズム的に mRNAワクチン接種のせいだとは考えられない

・40代の方がこの病気になる頻度はめちゃくちゃ多くはないけれども、ありえないことではない

・諸外国でも現時点で大動脈解離が増えているという報告はない

以上のことから、「まあワクチン接種とは関係なく起きているのではないか」と考えられるわけです。

こういった例を全て厚労省が γ すなわち評価不能だとしてしまうと、一般の方がワクチンが原因の可能性が高いと誤解してしまうのではないかと思っています。

次に、具体的にどのように評価されているかを紹介します。報告書には、たとえば以下のような事例があります。

《(報告書記載の)事例10》

102歳、女性

37℃の発熱がありCTにて誤嚥性肺炎と診断され入院

4/12 症状がよくなりファイザーの新型コロナウイルスワクチンを接種

4/13 口腔内に喀痰の貯留があり多量の喀痰を吸引

4/14 努力呼吸、SpO2の低下

4/15 血圧低下、徐脈

4/16 死亡

このような経過の症例について因果関係が γ になっているんです。

・誤嚥性肺炎で入院している102歳の方にワクチンを接種しなければならないのか

・誤嚥性肺炎で入院している方の症状がおさまりワクチン接種をし、その後再び誤嚥性肺炎のような症状が出て亡くなったことを報告すべきか

・厚生労働省は、評価不能、ワクチンのせいかどうかわかりませんと返していいのか

このまま続けていくと γ が山のように積み上がることにならないかと、かなり懸念しています。

ご登壇の先生方、いかがでしょうか。

前田陽平(Twitterネーム「ひまみみ」)先生

この γ とされたものは後に再検討されるのでしょうか。γ で一旦おしまいなのでしょうか。

木下喬弘

これは副反応部会があるごとに調べられていますが、この報告書ではほぼ全ての症例について「前回からのアップデートなし」と書かれています。

黑川先生にご説明いただければと思いますが。

基本的には、厚生労働省から医師に対して、症例について詳しく教えてください、と聞く制度があるんですよね。

黑川友哉

そうなんです。

副反応報告があがってきた時点で、PMDA の安全性調査部(医師も含まれる)が専門的な視点で報告書を読んでいき、その中で足りていない情報があれば、報告した医師に聞く制度があります。

たとえば有害事象が起きた時の経過、いつ発症してどのような経過をとったか、どのタイミングで亡くなってしまったのか、という経過をしっかりと確認できなければ、因果関係を完全に否定することは難しいんですよね。何故ならその現場に調査員がいなかったからです。

そこで、詳しい情報を PMDA から報告した医師に確認する作業をしていますが、なかなかうまく回答を得られないこともあります。報告した医師も亡くなった瞬間に立ち会ったわけではなかったり、ご自宅で亡くなる場合もあったり、ワクチン接種をしたけれどもかかりつけ医として診ていたわけではなかったり、患者さんがどんなお薬を使っていて既往歴がどうだったかが不明であるなど、これ以上詳しい報告ができない場合も多いのが現状です。

そうなると、ワクチン接種との因果関係を誰も否定できないという状況に陥ります。

情報が足りなくて判断できない、ということも多くなるわけです。

それをそのまま部会にあげて、さらにマスコミ報道関係者の方にそのまま発信をしてしまうということも問題だと思います。

報道各社にはより具体的に、こういう調査をした上で、こういう問題があって、いろいろ検討したけれども最終的には判断できませんでした、という意味での評価不能であることを、理解した上で報道していただくことも重要だと思います。

しかし現状の報道をみていると、死亡者が何人、また何人、合計何人、という数字だけが出てきてしまうので、どうしても不安を煽ってしまう、そういう空気ができてしまう、ということについて、問題意識を持っています。

木下喬弘

誰が悪いのかという言及は避けますが、現実問題として、この制度ではいくつも問題点があると思います。

自然発生の頻度と報告症例の頻度を比べるシステムになっていないことも問題ですし、個々の因果関係をどのように調べるのかが課題でもあります。そして個別のケースにおける因果関係というものは元から完全否定はできないんです。

ある個人にワクチンを接種して何かが起きた時に、ワクチンを接種しない未来を選んでいたらどうなっていたかは誰にも証明できないことなんです。何故ならタイムマシンがないからです。

ゆえに、ワクチンを打った人と打っていない人の頻度の比較が重要ですし、そのために臨床試験で安全性を確認しているわけです。それでも非常に稀な副反応は、症例が少なすぎて完璧にはわかりません。よって次に、メカニズムから推測することになります。

さきほどの事例であれば、メカニズム的にワクチン接種で誤嚥性肺炎がありえるのか推測することになります。ワクチン接種で誤嚥するというメカニズムは考えにくく、どう考えても他に死亡の原因がありそうですが、これでも評価不能とされているわけです。

これは制度として成立していないのではないでしょうか。

さらにそのまま報道されてしまって、受け取った人は思い思いの解釈をしますので、Yahoo!ニュースのコメントでは「これはワクチンのせいで起きたのではないか」という話で盛り上がってしまうという現状です。

安川康介

本当にこれは問題があると思います。

報告書について、症例によっては、どのようなバイタルサインだったか、あるいは検査結果はどうだったかなど、かなり詳しく書いてありますので、情報が圧倒的に不足しているという感じではないと思います。

この102歳の方の経過を読む限り、再び誤嚥性肺炎を起こして亡くなってしまった可能性が高いと考えられます。しかしこの症例についての専門家のコメントが「もともと全身状態があまりよくなかった可能性がある。基礎疾患の経過に関する詳細な情報が不足しており、ワクチン接種と死亡との因果関係は評価できない。」となっていて、これはなんというんですかね......。

木下喬弘

要するに「どのような情報があれば評価できるのか?」ということですよね。

安川康介

そうですね。

やはり、ワクチンに対する不安を持たれている方がこれだけ多いわけですから、副反応の可能性についての評価にはきちんと濃淡をつけなければならないと思うんですよね。つまりこの事例については「おそらく誤嚥性肺炎で亡くなったからワクチンにはあまり関係ないだろう」と評価してもよいのではないかということです。

28件全てが γ というのは(この評価の体制が)うまく機能していないのではないかと…...僕は疑問を感じています。

あともうひとつ補足しておきたいのは、日本のこの制度では有害事象という言葉を使わず「副反応疑い」として報告されます。

よって何か悪いことが起きる度にニュースのタイトルが「副反応疑いで死亡」となるんですね。そのようなニュースを読んだ方は「ワクチンの副反応によって亡くなったのかな?」と受け取るのが当然だと思うので、もう少し評価体制をきっちり構築したり、コミュニケーションを取ったり、ということが本当に重要なのではないかと思います。

この報告書でもう1事例、20代の女性の方についてコメントしてもよろしいでしょうか。

木下喬弘

私も次に紹介しようと思っていましたがその前に。

評価不能といってもいろいろあるわけです。

99.999%ワクチン接種のせいではないと思っていても評価不能

99.999%ワクチン接種のせいだと思っていても評価不能

つまり評価不能の幅が広すぎて、そのままアウトプットされても読んでいる側にはどのくらい疑わしいのかがわからないわけです。

因果関係というのは証明できるものではなく、また個人レベルの因果関係はゼロかイチかで決定できるものではなく、実は、グラデーションをもって評価し説明しなければ意味がないんですよね。

このまま28件を γ とし、100件、1000件と続けるのはまずいのではないかと思います。

102歳は極端な事例としてピックアップさせていただきましたが、

もう1つ、安川先生も仰っていた26歳の事例についてみてみます。

《(報告書記載の)事例2》

26歳女性

基礎疾患なし

ワクチン接種後3日目までは通常勤務

4日目に夜勤だが出勤せず

職員が自宅に確認にいったら亡くなっていた

この事例では、AI(死亡時画像診断)を行ったところ、小脳に石灰化(硬い石、カルシウムの沈着のようなもの)があり、その周りに結構大きな出血があり、脳幹(呼吸などを司る部分)を圧迫していたことがわかっているとのことです。

石灰化を伴う病変があり出血しているというのは、たとえば髄膜腫などの脳腫瘍があったことを示唆する所見です。さらにその周囲に出血があるということは、脳腫瘍からの出血が起きたということを想起させる報告書です。

これに対する専門家の評価は、「死亡時画像診断(CT)にて、小脳半球から小脳橋角部にかけて石灰化を伴う血腫を認めており、脳動静脈奇形や海綿状血管腫の存在が示唆されるが、特定のためには剖検などのより詳細な情報が必要である。脳出血による死亡とワクチン接種の因果関係は評価不能である。 」と書かれています。

これも結構問題だと思っています。

・そもそも mRNAワクチン接種によって脳出血が起きるメカニズムがあるとは考えられていない

・20代で脳出血で亡くなるのはそれほどよくあることではないが、AI で脳腫瘍を疑わせるような画像があり、さらにその周囲で出血していることから、もともと知られていない腫瘍があったということであれば、ワクチンとの関連はなさそうである

・諸外国でも現時点でmRNAワクチン接種により脳出血が増えるという報告はない

しかし、これも評価不能となっているわけです。

安川先生、どう思われますか。

安川康介

医師以外の方にはわかりにくいかもしれませんが。

石灰化というのはカルシウムが固まった所見なんですが、石灰化するまでにはかなり長い時間がかかります。ワクチン接種してすぐ石灰化が起きて、ということはまず考えられないと判断してよいと思います。

報告では、「石灰化(+)で形態より血管腫や髄膜腫などの 血管性腫瘍からの出血が疑われる」と書いてあるんですよね。報告書を読む限り、おそらくそこから出血したんだろうと考えるのが自然だと思います。

こういう事例も、詳細が全て抜けて「20代女性、ワクチン接種の数日後に脳出血により死亡、副反応疑い」と報道され、その情報だけが拡散されて、結果的に不安に思ってしまう人が増えるんですよね。

やはり、可能性の濃淡をもっとはっきりさせて伝えるということが必要だと思います。

海外ではかなり多くの方がワクチンを接種済です。

ファイザーのワクチンならば、アメリカだけで既に1億4000万回以上接種されています。

アストラゼネカのワクチンに関しては、非常に稀に起こる血小板減少性を伴う血栓に伴う脳出血が報告されていますが、ファイザーのワクチンについては他国の安全性モニタリングシステムでも脳出血のリスクが高くなるとは報告されていません

日本人だけにこういうことが起こるのは非常に考えにくいと思います。

今あるいろんな情報を総合してみると、ワクチンによって起きた可能性は低そうだという結論を導き出せるはずなんですが、それをしないで全て評価 γ、因果関係を評価できないとしているのは、やや疑問を感じます。

木下喬弘

結局ですね、誰が責任を取るのかという問題に近いんですよね。

この報告書では「石灰化を伴う病変の横に出血していて(死因は)99.99%腫瘍なんではないか」と推測できるところまで突き詰めて書かれています。

ただ、報告した医師にとっては「たまたまワクチン接種した直後だったので、副反応の疑いを報告せよと言われると、副反応の可能性が0%ではないので報告した」ということであり、報告を受けた側は「ワクチン接種との因果関係が0%とは言えないから評価不能とします」ということなんです。

では「ワクチン接種のせいではない」と誰が言うんですか、という話です。

それが押し付け合いのようになっていて、28例全てでそれが起きています。

もはや(この副反応疑い報告制度は)国のシステムとして成立していないのではないか、とすら思います。

かつ、これは本当に報じ方の問題なのか?という面もあります。

確かに、これほど詳細な報告書があるにもかかわらず、その内容を一切無視して記事を書かれることに対して、ん?と思うところはあります。

しかし、国が責任をもって「絶対にワクチン接種のせいではないとは言い切れないけれども、この症例に関してはこのような経過だったのでワクチン接種が原因である可能性は限りなく低い」ということをはっきりと宣言しないと、この問題はいつまでも続くのではないかと思います。

何かコメントありますでしょうか。

黑川友哉

仰る通り、最終的な責任の押し付け合いのようになっていることは確かだと思います。

私から報告される医師の方にお願いしたいことは、

報告する場合は、PMDA からの経過についての調査に最後までつきあっていただきたい

・蓋然性による判断も重要で、本当にこれは副反応なのか?ということを完全に否定するのは難しいとしても、明らかにワクチン接種との因果関係がなさそうなものの報告はやめていただきたい

ということです。

医師がたとえ蓋然性についてかなり保守的に考えているとしても、悪気があってそうしているわけではないでしょうし、責任感を持ってやってらっしゃると思いますが、それが行き過ぎると現状のようになってしまうのではないかということです。

最終的には部会委員が決定するわけですが、現場にいなかった医師はあがってきた報告を元に評価するしかなく、最初の時点で「副反応疑い」と言われてしまうと、それを覆すためのデータがないと否定はできないという状況になってしまいます。そこは現場の医師とのコミュニケーションが肝になってくるかなと思います。

安川康介

アメリカでは現場から上がって来た報告に対して、FDA CDC が責任を持って判断していますので、ちょっとそこは疑問を感じます。

今回の報告書をみても、報告者の意見として「関連はないと判断している」としているものもあるんですよね。一応報告しておこう、多めに報告しておこうというのは、報告しないよりはよいことだと思いますが、その後の評価体制があまりうまく機能していないのかなという印象があります。

具体的には、報告している医師が急性心不全と新型コロナウイルスワクチンの関連性はないと判断しているにもかかわらず、専門家のコメントはなし、因果関係評価は不能、となっている事例もあります。

果たして本当に、報告した医師の協力がないだけなのか?と感じる報告書だと思います。

木下喬弘

仰る通りです。

そもそも「副反応疑い」を報告する制度であり、医師がワクチン接種と関連があると思った事例を報告するはずですが、何故か報告者の評価(意見)欄があり、そこに「関連なし」と書かれている事例があるんですよね。

現実的に副反応ではないと思っていても報告することが許されているのに、最終的な専門家の判断が評価不能に覆されているのは、正直あまり意味がわからないんですよね。

池田早希

この評価に加えてさらに、δ(デルタ)という枠を作れないのかなと思います。

「可能性は限りなく低いと思われるが、結論づけない」ような。

もちろんリスクコミュニケーションは大切で、厚生労働省から国民に対して「この中で副反応と言えるものはない」と明確に言って欲しいですよね。

木下喬弘

アメリカでは、CDC と FDA が全死亡例に対して定期的に調査しており、ACIP の資料の中では「現時点では、死亡例についてワクチンと因果関係が示されたものはありません」と報告しています。

もちろんゼロかイチか、ワクチンとの因果関係が確実に0%だと言っているわけではないのですが、「ワクチンのせいで死亡している例はないので安心してください」というメッセージを込めて報告資料を公開しています。

日本もせめて、そういったまとめ資料のようなものを出すなどの工夫が必要なのではないかと思っています。

16分ほど延長しましたのでそろそろ締めたいと思います。

いろんな意見がありますが、誰の問題であるかを追及することが目的ではなく、どのようにワクチン忌避の拡がりを抑えて正しい情報を伝えるかが重要です。そしてコミュニケーションエラーによりワクチンと関係ない症例をワクチンのせいだと誤解されてワクチン接種を受けたくない人が増えているところだと思いますので、コミュケーションの問題として解決していくことをもう少し考えないといけないなと思っています。

副反応検討部会が開催される度に詳細な経過を見ていく必要がありますし、ニュースとして報道する時には医学的な専門家の解説が必要なのではないかと思っています。

こういった問題が起きているということを皆さんで共有できればいいなと思います。

ということで、かなり長くなりましたが、今後もワクチン接種後死亡症例に関してアップデートしつつ情報をお伝えしていきますので、追いかけていただければと思います。

では本日の「こびナビの医師が解説する世界の最新医療ニュース」はここまでにさせていただきます。

ご登壇のみなさま、ありがとうございました。

日本のみなさん、よい1日をお過ごしください。

 

参考文献:

1)新型コロナワクチンの副反応疑い報告について

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_hukuhannou-utagai-houkoku.html

出典: 厚生労働省


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新型コロナ変異株に対するワクチン接種者の約9割が 流行中の変異株に対する中和抗体

2021年05月12日 15時34分17秒 | Weblog

未感染者でワクチン2回接種した人のうち、99%の人が従来株に対して中和抗体を保有(「hiVNTシステム 1 」を用いた複数の変異株に対する中和抗体の測定)

(2021.05.12 横浜市立大学医学部)

 横浜市立大学 学術院医学群 臨床統計学 山中 竹春 教授、同微生物学 梁 明秀 教授、 宮川 敬 准教授、附属病院 感染制御部 加藤 英明 部長らの研究チームは、現在接種が進められている新型コロナウイルスワクチンが、従来株のほか、様々な変異株に対しても中和抗体の産生を誘導し、液性免疫の観点から効果が期待できることを明らかにしました。現在、日本でワクチンの接種が進められているところですが、接種をされる方々にとっての重要な基礎データとなります。 

本研究成果は、プレプリントサーバーのmedRxiv 2に投稿し公開されました(5月11日)。

 

●研究成果のポイント

 日本人のワクチン接種者111名(未感染105名、既感染6名)を対象に、ファイザー製ワクチンの有効性について、中和抗体(液性免疫)の保有率という観点から調査。

 独自の迅速抗体測定システム「hiVNT新型コロナ変異株パネル」を活用して、従来株および変異株7種の計8株に対する中和抗体を測定。

 

 未感染者でワクチン2回接種した人のうち、99%の人が従来株に対して中和抗体を保有していた。流行中のN501Y変異を有する3つのウイルス株(英国、南アフリカ、ブラジルで初めて確認された株)に対しても、90~94%の人が中和抗体を有していた。

 

 懸念されているインド由来の株に対しても中和抗体陽性率が低下するような傾向は見られなかった。

 

 計8株すべてに中和抗体陽性であった人は全体の約9割(93/105; 89%)であった。

 

 中和抗体の上がり方については個人差が見られた。特に1回接種のみでは、変異株に対して中和抗体が産生されない人が一定数存在した。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新型コロナワクチン、ファイザー・バイオンテックに少し分

2021年05月06日 14時24分14秒 | Weblog

JAMA(Journal of the American Medical Association=米国医師会雑誌)のonlineデータによると、PFE-BNTXに少し分があり。

 

 発熱では・・・PFE-BNTX   MRNA 

        ファイザー   モデルナ

 1回目     7.0%     10.0%

 2回目     21.5%     37.6%


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

無能・・・

2021年05月02日 02時45分21秒 | Weblog

■日本と台湾を分けたものは?

       人口          コロナ患者数        コロナ死者数

日本  1億2,630万人    59万9,250人       1万325人 

台湾    2,357万人       1,132人          12人

台湾   日本の約5分の1    日本の約530分の1    日本の860分の1


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

投与量、既存の米ファイザー製ワクチンなどの10分の1以下で済むワクチン

2021年05月01日 21時53分38秒 | Weblog

新型ワクチン投与量10分の1以下 米新興、日本で治験へ

(2021/05/01 日本経済新聞WEB)

 新型コロナウイルス向けに、投与すると体内で自ら増える新しいタイプのワクチンの臨床試験(治験)が今夏にも国内で始まる。投与量は既存の米ファイザー製ワクチンなどの10分の1以下ですむ計算で、供給不足が起きにくい。今後登場する変異ウイルスへの対応も速められると期待を集めており、欧米でも開発が進んでいる。

 新型ワクチンは、メッセンジャーRNA(mRNA)と呼ばれる物質を利用する。日本でも接種が始まったファイザーと独ビオンテックのワクチンはこの物質を使っており、今回のコロナ禍ではほかのタイプのワクチンに先駆けて実用化された。
 米新興ワクチンメーカー、VLPセラピューティクス(メリーランド州、赤畑渉最高経営責任者=CEO)の日本法人が、大分大学医学部付属病院で数十人を対象に、臨床試験の第1段階に当たる第1相治験を実施する方向。6月までに国の審査機関に申請し、今夏の治験開始をめざす。
 同社の試算によると、1人の接種に必要なワクチンの量は1~10マイクロ(マイクロは100万分の1)グラムで、既存のmRNAワクチンの10~100分の1ですむ。日本の全人口に必要な量は、理論上130~1300グラムですむ。
体内に投与するとmRNAを基に、コロナウイルスのたんぱく質の一部が作られる。そのたんぱく質に対する免疫反応でウイルスを攻撃する。ただ、mRNAは体内で分解されやすく、たんぱく質が作られる時間は短い。従来型でしっかり免疫を働かせるには、一定量のmRNAの投与がいる。
 新たなワクチンでは、mRNAに増殖する機能を加える。たんぱく質の設計図となる遺伝情報に、自動複製に必要な情報を加える。mRNAが体内の細胞に入ると、たんぱく質を作る一定の間、増え続ける。微量の投与でも十分な量のたんぱく質が作られ、効果を発揮すると考えられている。
 VLPは米国立衛生研究所(NIH)ワクチン研究センターの研究者だった赤畑氏が2013年に創業。双日やみやこキャピタル(京都市)などが出資する。20年度から日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受け、自己増殖型mRNAの新型ワクチンの開発を進めている。
 年内にも第2相試験に進み、22年には最終段階の大規模な第3相試験の実施をめざす。治験が順調に進めば、富士フイルムがワクチンを製造する。
ワクチンが効きにくいと懸念される南アフリカ型、ブラジル型の変異ウイルスにも効果があることを動物実験で確認したという。同社は変異ウイルスにさらに効きやすいワクチンの開発も進める考えだ。
 ワクチン開発に協力する国立病院機構名古屋医療センターの岩谷靖雅感染・免疫研究部長は「動物実験の結果などを踏まえると非常に有望だ」と話す。VLPの赤畑CEOは「安全で効果の高いワクチンを国内で製造できるようにしておけば、仮に厄介な変異ウイルスが日本で発生しても対応しやすい」とみる。
 VLPと類似のタイプのワクチンは米国や英国の大学、企業も治験を進めている。米アークトゥルス・セラピューティクス(カリフォルニア州)などは1万人以上を対象とした第3相の治験を6月までに開始する方針だ。
米国とシンガポールで実施した500人規模の第2相や第1相の治験では有望な結果を得られたという。そのほかにも、英インペリアル・カレッジ・ロンドンが第2相の治験を始めている。
 治験の結果などから、各国当局の承認が得られれば実用化段階に進むが、課題もある。「mRNAの自己増殖が過度に続くと、思わぬ副作用を招くリスクもある」(RNAに詳しい東京医科歯科大学の位高啓史教授)ためだ。実用化されたことがないタイプのワクチンのため、治験では安全性や有効性の慎重な検証が求められる。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

無能過ぎる理由

2021年05月01日 16時58分28秒 | Weblog

日本の政治家が無能過ぎる理由:(ある株式掲示板の投稿記事より転載)

■アメリカのコロナ施策
・都市部の完全ロックダウン
・海外からの渡航禁止
・1兆5千万円をワクチン開発に投資
・企業横断的なワクチン製造ラインの構築
・サプライチェーンを円滑化
・医学生、獣医師、薬剤師の注射行為を認可
・ドライブスルー方式でワクチン接種できるメガサイトを開設
・モバイルワクチンセンターやドラッグストアなどでも接種開始
・59日間で1億回の接種に成功
・ワクチン6000万回分を他国に寄贈すると発表
・若者への接種拡充のため1人100ドルを渡すと発表 ←今ココ


■日本のコロナ対策
・安倍マスク配布
・GoToキャンペーンの積極展開
・国民に自粛のお願い
・飲食店時短
・禁酒法
・灯火管制 ←今ココ 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする