向田理髪店
2016-06-22 | 本
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/0c/525d695ec6d932cd3b916079ca115055.jpg)
今日は曇りのち雨。今日は、一日、家で仕事しました。図書館で借りて、奥田英朗の「向田理髪店」を読みました。北海道のさびれた炭鉱町で、理髪店主人を中心に、過疎化した田舎町で暮らす人々の日常を描いた物語です。6つの話に分かれています。急に田舎に帰ってきて跡を継ぐという息子に、心配する理髪店の主人。ある家でおじいさんが倒れたことで、自分たちも老後のことが不安になる村の人々。嫁の来てがなく、中国からの花嫁をもらったけれど、なかなか皆に紹介できないでいる男性。田舎に戻ってスナックをはじめた女性に浮足立つ男性たち。映画のロケ地に誘致して、撮影に沸き立つ村。東京で詐欺事件を起こした息子が逃亡したことで警察からマークされる実家。どの出来事にも、田舎の村独特の、容赦ないおせっかいと噂話の広がり。それが鬱陶しいと思いつつ、結局はそこで生きていくしかない人にとって、それは優しさであり、コミュニケーションであり、生きる術となっています。目に浮かぶような情景に、やれやれと思いながらも、結局はみんないい人なので、なんかほのぼのと読み進みます。物語は、さびれた町が変わることはないまま終わりますが、息子たち若者の代が、意外にしっかりしているという事実に救われます。