きときと日記

「きときと」とは富山の方言で「ぴちぴち(新鮮な)」という意味。きときとな日々の記録を更新中。

向田理髪店

2016-06-22 | 


今日は曇りのち雨。今日は、一日、家で仕事しました。図書館で借りて、奥田英朗の「向田理髪店」を読みました。北海道のさびれた炭鉱町で、理髪店主人を中心に、過疎化した田舎町で暮らす人々の日常を描いた物語です。6つの話に分かれています。急に田舎に帰ってきて跡を継ぐという息子に、心配する理髪店の主人。ある家でおじいさんが倒れたことで、自分たちも老後のことが不安になる村の人々。嫁の来てがなく、中国からの花嫁をもらったけれど、なかなか皆に紹介できないでいる男性。田舎に戻ってスナックをはじめた女性に浮足立つ男性たち。映画のロケ地に誘致して、撮影に沸き立つ村。東京で詐欺事件を起こした息子が逃亡したことで警察からマークされる実家。どの出来事にも、田舎の村独特の、容赦ないおせっかいと噂話の広がり。それが鬱陶しいと思いつつ、結局はそこで生きていくしかない人にとって、それは優しさであり、コミュニケーションであり、生きる術となっています。目に浮かぶような情景に、やれやれと思いながらも、結局はみんないい人なので、なんかほのぼのと読み進みます。物語は、さびれた町が変わることはないまま終わりますが、息子たち若者の代が、意外にしっかりしているという事実に救われます。

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