きときと日記

「きときと」とは富山の方言で「ぴちぴち(新鮮な)」という意味。きときとな日々の記録を更新中。

花のベッドでひるねして

2014-05-12 | 


ひどい風です。一日中、びゅうびゅうと風が吹いていました。今日は家で仕事です。図書館で借りて、よしもとばななの「花のベッドでひるねして」を読みました。久しぶりによしもとばななの本を読みましたが、やっぱり好きですね。読みやすいし、面白いし、一気に読みました。面白いというのとは少し違うかな、引き込まれるように読み進みました。ちょっとスピリチュアルな物語ですが、あとがきを読んで、著者のお父さんが亡くなって、悲しみを忘れようと思って書いたと知り、あぁそうなのかと思いました。とにかく、物語を包み込む空気が、ずっと温かいんです。悲しいことがあっても、なんていうか、温かいんです。表紙の絵も好きです。

主人公の幹ちゃんは捨て子で、海辺でわかめにくるまっているところを、子供のできない夫婦に拾われました。でも、そのことをみんながあまりに無邪気に嬉しそうに話すので、生まれてきてよかったんだと思うことができます。祖父はスピリチュアルな能力を持ち、ほしいと願ったものは、そのうち手に入ったりします。祖父は「違うこと」をしなければ、「違わないこと」が返ってくる、と言います。幹ちゃんは、そんな祖父がやっていたB&Bを継ぎたいと思っています。家の裏の廃墟のビルが不吉な雰囲気を漂わせていましたが、ある日、昔の友人の野村くんがビルを建て替えて移住することになります。幹ちゃんは、野村くんの亡くなった奥さんに会って、野村くんのことを頼まれたり、裏のビルには秘密が隠されていたり。生と死が交差して、人の思いが行き来して、自然と人の暮らしが寄り添って、ふわっと包み込む雰囲気が、心地いい物語でした。

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