旅とエッセイ 胡蝶の夢

横浜在住。世界、50ヵ国以上は行った。最近は、日本の南の島々に興味がある。

クラゲ除け軟膏

2018年11月29日 18時50分49秒 | エッセイ
クラゲ除け軟膏

 クイズです。職場のボスが、どういう経緯か、取引先からこんな物を貰った。海でクラゲが寄ってこない成分をもった軟膏。

 こんな製品を開発した会社があってね。何かこれ売るアイデアあります?あっ一つ持っていって下さい。

 まっ、リアリティーを出すために、こんな会話をこしらえました。さておき、昼下がりの職場、夕方まで打合せも来客の予定もない。ボスが外出から戻ってきて、4-5人を集めて雑談。こんな物も貰ったんだが、誰かいらない?そのこんな物が、クラゲ除け軟膏だ。貴方ならどうする?

 欲しい?要らない?貰う?

 これって使う場面がある?これがあって良かった。助かった。そんなsituationが人生であるのか?少なくとも3年、5年、いや10年先まで無いな。
 釣りには行くけれど、海には入らない。一生に一度か二度、子供か孫でも連れて海水浴、とかない訳じゃあない。でもクラゲがどうこうってsituationがあるのか?そもこの薬、効果あるのか?
 そのここで会ったが百年目、みたいなタイミングを待って取っておくのか、この軟膏。有効期限だってあるだろよ。まっサーファーかダイバーでもなけりゃ、要らないでしょ、クラゲ除け。

  ボスから、誰か欲しい人?って聞かれたら、頭の中でバババってその必要性を考え、只だけどいらねえ。あたし要らない。となり、黙ってしまうんじゃないかな。「これってサーフィン用じゃないですか。」と言ってもよい。つまり要らないのね。
 あっ取りあえず貰っとこ。あの変な妹にあげればいいや、と考える人もいるか。でも大ていの人が、使うか?うーん、要らないの結論に達する前に、ハイ、ハイハイハイ、要ります。貰います。

 何?この男誰?最近転職で入ってきた黒縁メガネの30男。お坊さんかよっていうくらいの丸刈り頭。一見目立たないけど、しゃべると話しがなかなか面白い。
 この男、皆んながクラゲ除け軟膏の必要性を素早く考え、不必要の結論を出す前に手を挙げた。「それ下さい。ありがとうございます。」本当に要るのか。こいつ、あと30年は海水浴に行かないだろ。
 あれだね、必要かどうか、欲しいかどうかは関係ないんだろう。ボスは、誰かが貰ってくれれば、それで満足。貰って嬉しそうならなお可。そんなもんだ。ハイハイと喜んで貰うのは、ボスの満足。ボスに対する優しさ、別の言い方をするならおべっかだ。

 でも意外と不愉快には感じない。どこかで多少ホっとしている。

教訓:上司や親や先生から、これ要らない?と聞かれたら、とりあえず貰っておこうよ。それは、目上の人に対する優しさでもあるのだから。

* この丸刈り男、黒縁メガネで面長。犯罪者風ではなく、お坊さん風。自分の部署移動で、結局短い付き合いになってしまったのが残念。なかなか興味深い人だった。

 何かの情報が得たくて、彼が公共機関に電話したことがある。「ちょっとお伺いしたいのですが---」相手の女性(であるに違いない)が、「どちら様ですか?」と言う前に、トントントンと話を進めて、時々笑ったりしている。好印象を与えつつ、相手が誰と話しているのかの疑問を頭に浮かべるスキを与えない。
 10分ほど話して、聞きたいことを手に入れると、「あーどうも。お話出来て楽しかったです。」カチャ。すげー、詐欺師だ。こんな事も出来るんだ。相手の女性は、受話器を置いて、?今の人誰?

* クラゲ除け軟膏のボスが給湯室から水を汲んできて、オフィスの植木にやっている。んっ?水を何に入れて運んだんだろう。バケツ?バケツが給湯室にあるかな。ヤカン?今どきヤカンで湯を沸かしてお茶を入れるオフィスがあるなら、相当古いビルだな。ポットだろ、普通。じゃあボウルのようなもの?でもそれじゃあ危なっかしいよね。かなり大量の水を運んだのだから。

 水を植栽にあげながら、ボスは言った。「俺は、たまにしか植木に水を与えない。でもやる時には思いっ切りやるんだ。」この人が、部下に慕われる理由の一端が分かった。


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