旅とエッセイ 胡蝶の夢

横浜在住。世界、50ヵ国以上は行った。最近は、日本の南の島々に興味がある。

アメリカのTVドラマ

2015年09月22日 17時32分32秒 | エッセイ
アメリカのTVドラマ

 ケーブルTVを受信して、アメリカのTVドラマにはまった。最初は訳の分からないドラキュラ物だったが、主人公の女の子がよくて彼女を見ているだけで満足。この主人公(又は脇役)の女性が魅力的、というのははまる一因。アメリカのドラマは大きな流れは別にして、ほとんどが一話完結、多くても二話で完結するので、前後バラバラに見ても大丈夫だし、一回ごとに満足感が得られる。これは録画専門で、時間が空いた時にまとめて見るのに良い。韓国ドラマ、〝チャングムの誓い〟のように次はどうなる、こんな危機一髪で終わっちゃって来週が気になってしょうがない、ということは無い。放送はたいてい字幕版と吹き替え版が交互に流されているが、自分は吹き替えがよい。ただ主人公の生の声や話し方が独特の魅力を持つ場合があるので、たまに字幕も録画する。
 本格的に見始めたのは、〝アニー・マイラブ〟アニーという、どことは言わないがちょっと変な(文句なしの美人とは言えない。)女性弁護士の話。裁判といっても、密室殺人とかではなく、変な民事訴訟ばかりだ。デブを理由に解雇されたサンタとか、いやらしい目で見るんです、と見ただけで訴えられた親父、二重人格の片方が別人格を訴えたり。そもそもアニー自身が人との接し方がおかしい。裁判中によく幻覚、白昼夢を見る。陪審員がコーラスで歌い出したり、小人の市長が机の上を歩いていたり、ユニコーンが現れたりする。寝る前はパジャマで赤ちゃんの幽霊とダンス。アニーの同僚もまた変な奴ばかりで、社長は婆さんのフニャフニャした二の腕やあごの弛みフェチ、やり手の男性弁護士は小男で不細工コンプレックス、別の男はマッチョ願望。女の同僚はアニーの父親と不倫に走る。これを見て思った。アメリカ人も自信が無いんだ、みんな悩みは尽きないのね。
 日本のドラマは〝あまちゃん〟と〝マッサン〟位しかちゃんと見たことが無いけれども、通販にはまった検察官とか出てくるんだろ。あまちゃんもバカで、東京じゃあ地味な子だったね。けれどもアメリカのドラマはもっと徹底している。〝ドクターハウス〟はとてつもない天才医師で、次々に難病の患者を治すが人格は破綻している。セクハラ、パワハラ、差別用語のオンパレードでおまけに薬物(鎮痛剤)依存。精神病院に入れられ、刑務所に服役する。無茶苦茶で実に面白かった。攻撃の的にされる部下たちがまた個性的だった。
 〝名探偵モンク〟もすごい。清潔強迫、閉所恐怖、高所恐怖、広場恐怖、蛇恐怖、昆虫恐怖、症状は本人曰く200いくつかあって、口を開けば相手を怒らせる。路の模様が気になってまともに歩けないし、階段の手すりは全部触らないと気が済まないが、触るとばい菌が気にかかる。歯ブラシの置く角度が10度傾いていたらイライラして、気が付くと2時間手を洗っている。アシスタントの女性とのやり取りが肝だが、特に二番目のアシスタントとその娘が良かった。
 〝メンタリスト〟の主人公ジェーンも言いたい放題。毒舌、皮肉、周りを振り回すが、抜群に頭が切れてささいな事から物事の真相を探り出し、人の心をズバズバ読む天才で大胆な罠を仕掛ける。他にも頭は切れるが、そこまで言うかの女性博士〝ボーンズ〟。や、もうババアじゃんと言いたくなる女性刑事〝クローザー〟この人ストレスが溜まると甘いものを食いまくる。何故か見ちゃう。たまにすごい美人に見える。変人、欠陥人間、総出演である。それでも見ちゃう、ハマっちゃう。もっとやれ、の心境だ。
 昔は違った。〝ララミー牧場〟や〝ローハイド〟のヒーローは孤独、頑固といった性格は持っているが、変なコンプレックスとかには無縁だ。まあ時代が今ほど複雑では無かったのかな。自分は見なかったが、〝私のパパは世界一〟とかいうアメリカの中~上流階級の生活に憧れを抱かせるドラマをよくやっていた。そこに出てくるパパなどは、正に完全無欠。あれはまあ日本とアメリカの政府が手を組んで、国民を洗脳して消費社会と愚民化を進めていたとしか思えない。多様性を認める今の方がはるかに良い。何だか見ていてホっとする。ここでもあれだ、他人の不幸は蜜の味。
 話題になった〝24〟〝Lost〟〝プリズン・ブレーク〟等は何故か嵌らなかった。娘は〝グリー〟に夢中になっていた。こういったシリーズは数人の脚本家が交代で書くらしい。そういえば、いつもと一味違う、という回がある。毎週だもんな。何人かで書いたら、マンネリを防げるかもね。でも統一したストーリー展開は、誰かがリーダーシップを取るんだろうな。しばらく前、脚本家のストライキでどのシリーズも進まなくて、キャッチアップ、再放送ばかりが半年ほど続きイライラした。また新しくハマるような面白いドラマ、出てこい。

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裁判傍聴

2015年09月22日 17時29分39秒 | エッセイ
裁判傍聴

 裁判を傍聴したことある?簡単だよ、何の手続きもいらない。自分が行くのは横浜地方裁判所だが、建物に入る際の申告は何もない。勝手にEVに乗って目指す法廷に行けばよい。1Fのロビーに本日の裁判の内容、時間、法廷をリストにした紙が貼ってあるから、好きなのを選ぼう。EVを降りるとフロア図面が貼ってあって、目指す法廷がどこなのか直ぐに分かる。法廷の前には、それぞれ今日の裁判のスケジュールが出ている。さあ、どれにしようか。傷害?窃盗?恐喝?詐欺?火付け盗賊改め方、長谷川平蔵である。神妙にいたせ。罪状でやたらに多いのは覚せい剤所持かな。
 最初に行った時は、慣れなかったので迷った。女泥棒が良かったんだが、みんなもどんな女か、具体的に何をしたのか見てみたいんだな、大き目の法廷に列が出来ていて入れなかった。抽選まではいかないが、並ばないと入れない。それではと入ったのは、中国人の窃盗団。通訳が入る裁判だ。あっその前にどうやって傍聴するかだけれど、勝手に入っちゃえばよい。空いている椅子に座って静かにしているだけ。立ち見は出来ないから、席が無くなったら入れない。スマホはマナーモードね。
入るといきなり正面ひな壇の最上段に裁判長、但しペアではなく一人だ。五人ばやしの辺りに書記。控えおろう。ひな壇から見下ろす(つむじが見える位)位置に被告席。刑務官っていうの?(ポリス+ガードマン)÷2のような人が座る所。向かって右側が弁護士、左側が検察官、これで舞台は揃う。かなり狭い法廷もあるから、入った途端にドドーンって感じだ。見学者はえたいが知れない。法科の学生らしきの見学、これは分かりやすい。時には先生のような人が引率して集団で来ている。被告の関係者、被害者の親族、友人もいるんだろうな。でも大半は暇なマニアと思われる。俺もそうだもん。他人の不幸は蜜の味。良かった、俺じゃなくて。
話を戻す、中国人の窃盗団。通訳を通して本人確認の後、検察のお姉さん(スラっとして長い髪、低い声でいい女なんだな、この人。)が抑揚の無い早口で論告求刑?を読み上げる。裁判官も弁護士もとっくに目を通しているから、事務的に進める。この犯人、言い切っていいだろ、本人も認めているんだし、ちょっと二枚目で神妙にしているからちょっと同情していた。ところがどっこい、相当な悪で他にも10件以上起訴されている。常習かよ、同情して損した。お姉さんの調書、なかなか面白い。
この男、美容師で中国に奥さん子供を残し、いわゆる蛇頭(スネークヘッド)に200万円?だかを払って日本に密入国している。最初は真面目に働いていたようだが、職を失ったかもっと大きく稼ぎたかったかで、中国人仲間と打ち合わせ窃盗団を作った。といってもこの男がボスではない。その打ち合わせを中華街の喫茶店でやっている。俺中華街にはうるさいのよ。中華街の喫茶店といや多分あそこだな。あの店でそんな悪巧みをしていたんか、恐。
運転手だけ日本人(不法滞在じゃもし国際免許があっても使えないわな。)で関東の近県に行き、留守を確かめ窓やらドアやらをぶっ壊す荒っぽい手口だ。この日はネックレスを取られた老夫婦が被害者で、盗品は売り飛ばしたのか戻ってこない。そのネックレスが何やらの記念で、いかに大切なものだったかが述べられているが、この被害者の気持ちというのは裁判での重要事項だ。犯人を厳しく罰して欲しいのか、今回はお手柔らかに、なのかで被告の運命はかなり変わる。でも十何件もやっているんじゃ救いようもない。
驚いたことに弁護士は何一つ弁護をしない。次のスケジュールを手帳を見て、検察官とそこだけ熱心に打ち合わせていた。ちなみにスケジュールはまず裁判官が提案し、駄目なら代案、最終的に裁判官が決める。あっそうそう、被告は刑務官に腰縄をつけて連れてこられる。俺だったら腰縄だけで観念しちゃうね。この裁判、熱がこもってないのね。三十分位で終わった。盗品がネックレス、他にも余罪が十数件じゃあね。次いこ次。しかし蛇頭の相場が分かって良かった、っていくらだったっけ。
次も地元の犯罪。xx駅前のブックオフが舞台だ。チカンだよ、チカン。うわっ格好悪!この男会社員だが、以前にも抱きつきとかをやっている前科者。終始下を向いていて表情がよく見えない。被告は基本、傍聴席に背を向けている。天晴れ銀行強盗、ブッチとサンダースだ、明日に向かって撃て!とかだったら胸張っちゃうのにな。留置場でも苛められるだろうな、この男。被害者の女子高生は、殺されるかと思い恐くて声が出せなかった、とのこと。法廷用語を使うから面白いんだよな、被害者Aのxx部を執拗に触り、とかxxの漢字が判らねー。
裁判官にも色々だね。歯切れの良い人、煮え切らないし活舌が悪くてイライラさせる人、女性の裁判官。判決を言い渡す際、お決まりの説教をするんだが、あんまり陳腐だと、「ウルセーな、バカヤロ、今度はテメーン家をやってやる。」となるね。大ていの裁判官、あまり世慣れていなそーだし、天に代わってとか思い上がらないでね。中には感じの良い人もいるんです。やっぱ人柄なんだな。
一度娘を傍聴に連れて行ったのだが、正月休み明けで、裁判はほとんどやっていなかった。しょーも無い覚せい剤所持(普通の勤め人の兄ちゃん風)を傍聴したんだが、インパクトが大きかったと見えて娘はビックリしていた。ちなみにこの時、執行猶予で釈放。急に家に帰られてもお母さん困るよな。あれ今日の晩ご飯は留置場じゃあなかったかい。なかなかに良い社会勉強だよね。でも最近は行かなくなった。最後に行った裁判があまりにどぎつくて、後味が悪かった。連続婦女暴行魔だ。
被告はどこにでもいそうな三十代とおぼしき短髪の小男、父親らしきが傍聴席にいる。被害者は5-6人いて、ついたての向こうから本人が話したり、手記を検察官だったか代弁したり、母親が娘の気持ちを文章にして読んだりした。内容が強烈でいたたまれなかった。お母さんは「あなたが採るべき手段は分かっていますね。」⇒つまりさっさと自分で命を断て、と言っていた。被害者は屋外で見境なしに襲われている。未遂も既遂も人生が滅茶苦茶になる程傷ついていて、精神的ダメージの大きさがよく分かる。一番ふざけているのは、犯人が自身の結婚を契機に犯行を止めるくだりで、これが最後と襲われた娘は、怒りを言葉にする内に泣き出した。この野郎の奥さんになった女性も気の毒。重すぎてやになっちゃった。こんな奴は市中引き回しのうえ磔、獄門。
さて最後に爽やかな話題で閉める。これは偶々TVニュースで数分やっているのを見たものだ。アメリカの地方都市の裁判で、被告は四十半ばといった黒人男性(アフリカ系とか面倒なので言わない。)で、けちな傷害、器物破損くらいだが、前にもやっている。男はふてくされて態度が悪く、女性裁判官の質問にソッポを向き空返事。すると裁判官、「お互い年を取りましたね。あなたはxxxハイスクールを出ましたね。」「えっ?」「覚えていますか?あなたはよく私と遊んでくれましたね。あなたはやさしい人でした。」被告と裁判官(白人女性、とても落ち着いた良い声)はハイスクールの同級生だった。「オーマイガッ。オー、オー、オーマイゴット」被告は裁判官に少女の面影を見出し、激しく動揺、さっきまでのフテブテしさは微塵も無い。「あなたは、心から悪い人だとはとても思えません。刑に服した後は更生することを、心より祈ります。」女性裁判官の、ゆっくりと昔を懐かしむような口調が良かった。被告の豹変も見ものだった。こんな裁判なら是が非でも傍聴してみたい。ちなみに日本では裁判の撮影はしません。

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