「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

ウクライナ紛争の流れと「ロシアとユーロ、困っているのはどっち❓」<ウクライナ紛争2023.12.10

2023-12-11 01:08:32 | 中立の視点で見るウクライナ紛争

(1)ウクライナ紛争の流れ
まず指摘しておきたいのは、ウクライナ紛争は2014年に始まったという点です。プロパガンダによると2022年2月から始まったことになっています。
実際には2013年~2014年にかけてアメリカがウクライナの過激民族主義者や過激右翼を利用して親ロシア派の当時の大統領のヴィクトル・ヤヌコーヴィチに反乱させて追放しました。これは、クーデターです。合法的な手段ではありません。その後大統領になった、二人の大統領はアメリカの傀儡と言えます。

(尊厳の革命)2014年クーデター
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8A%E5%8E%B3%E3%81%AE%E9%9D%A9%E5%91%BD

これを見てもウクライナ国内の権力闘争と言えます。当時のヤヌコーヴィチ大統領は東部と南部で支持されています。当然、親ロシア派の多い地域です。
これに対し親アメリカ派の多い西部の過激民族主義者がクーデターを起こして政権を握った構図が見えます。それを裏から煽ったのが当時のアメリカの副大統領のバイデン氏です。

今も基本的な構図は同じです。だからロシアは東部と南部を占領しようとし、ウクライナはそれを否定しています。

これに対しロシアは、即座にカウンターの軍事行動を起こします。
クリミアの軍事侵攻と占領、それとドンバス紛争への介入です。ドンバス紛争も東部のロシア派住民が西部の過激民族主義者に対抗して決起したものでありロシアがそそのかしたから始まったとばかりは言えません。
西部の親アメリカの過激民族主義者がクーデターを起こした反動または、対抗処置です。

ウクライナ紛争は、西部の親アメリカ派と東部・南部の親ロシア派の内戦と言っていいと思います。どちらも非合法ですから、どちらも正しくないと言えます。

ウクライナとアメリカ・NATOのプロパガンダは、ウクライナ紛争の2022年2月以前を「キレイに!」隠してしまいます。2022年2月からの部分だけ切り取って、侵略したロシアが悪い!と決めつけてフェイクニュースとプロパガンダを大量にまき散らかして、ウクライナを正当化し絶対的な支援の根拠としています。

しかしウクライナ西部の過激民族主義者を利用して裏から煽り立ててクーデターを起こさせたアメリカも十分すぎるほど悪いと思います。2022年2月のロシアのウクライナ本土への軍事侵攻は、この帰結にすぎません。2014年3月以降、ウクライナとロシアの紛争を解決する時間は十分ありました。
アメリカ・NATOは逆にウクライナの軍事力を強化することでウクライナをロシアと対抗させようとしました。

これでどっちが正しくて、どっちが悪いとは到底言えないと思います。


(2)「ロシアとユーロ、困っているのはどっち❓」
ロシアのウクライナ本土への軍事侵攻を利用して、アメリカ・NATOはロシアを叩き潰しにかかりました。
ウクライナをロシアと戦わせながら、西側は強力な経済制裁を発動してロシア経済の崩壊とプーチン氏の政権からの追放を意図しました。

多分、昔なら成功したと思います。ロシアは経済的に行き詰まり、ロシアに不利な停戦を受け入れるしかなかったと思います。

しかし❓
アメリカ・NATOが、キレイに見落としていたことがあります。中国の経済力と技術力と工業生産力の急速な成長です。第三世界の国際社会での経済的・政治的な成長もあります。
アメリカ・NATOの経済制裁は、裏口の中国と第三世界を活用することでロシアは回避することに成功しました。エネルギーは中国とインドが買い、西側の企業が提供していた様々な事柄は、全部一式中国企業が提供しました。だからロシアは、全然困らないというわけです。

ドル決済から締め出されたロシアは、ドル以外の通貨で取引先と決済するようになりました。それまでは中国が人民元決済を浸透させようとしても、中々ドルの牙城を崩すには至りませんでした。ロシアの分が人民元に置き換わることで人民元決済を拡大する「ナイス!アシスト!」をしてしまいました。

※これだけを見ても、どっちが得をしてどっちが損をしたかは明らかです。一番得をしたのは、もちろん中国です。ロシア経済を丸ごと西側から譲られました。

ヨーロッパ諸国は、ロシア産の格安の天然ガスや石油を失いました。天然ガスはアメリカとノルウエーの割高な液化天然ガスに置き換わりました。石油は中東やアフリカ産です。そのためユーロの小国にはロシア産の安い天然ガスと石油を失って困っている国は多いです。石炭まで禁輸したので石炭を買えず薪をたいて冬の暖房をしのいだ国さえありました。

エネルギーコストがかなり上昇した社会的なコスト負担は、今後長くユーロ経済のコスト増になります。

ロシア貿易から得られる利益は、全部中国にプレゼントしました。

ロシアとの極度の緊張関係は、過激民族主義者の台頭につながっています。ユーロが貧しくなり社会不安も増えつつあります。

いつまで続くのか分からないウクライナ支援の巨額の費用は、過去帳方式でユーロ諸国の負担です。

そして過度なユーロのウクライナ経済支援策は、主に東ヨーロッパの国民の生活を苦しめています。
穀物禁輸をめぐるウクライナのWTO提訴。
ポーランドのトラック運転手たちのウクライナ国境閉鎖。
これは、目に見える分だけで他にも東ヨーロッパの国民にはウクライナ紛争から発生している経済的負担は、結構あると思います。
それらは、やがて自国の政府にウクライナ紛争の停戦を求める声に変化していくと思います。

現実にスロバキアとポーランドでは、ウクライナ支援を進めてきた政権与党が政権を失いました。新しい政権は、ウクライナ支援に反対していますし停戦支持です。

勢いだけでウクライナ絶対支持を決めたアメリカとNATOは特段信念や目的があるわけでは、ありません。烏合の衆であるだけに、物事が不調になり始めると不協和音も出てきますし、ユーロの方はウクライナの戦費負担が重くのしかかり、それを負担できるのはドイツと北欧諸国位だと思います。

一方でロシアの方は、すっきりと西側と縁切りになり中国や第三世界との経済関係や政治関係を強化したり深めつつあります。政治的にもプーチン氏の権力にほころびは見えません。

結果として・・・
ロシアは戦争継続で困る要素は、ほとんどありません。

ウクライナとアメリカ・NATOの方は❓

口先ではロシアをどうにでも非難し罵倒できます。
しかし、戦争はそれだけでは勝てません。
どうします❓

 

※関連記事目次

「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次⑨
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/e2c67e9b59ec09731a1b86a632f91b27


米軍機密文書流出事件のウクライナ紛争への影響<2023.12.10

2023-12-11 01:08:12 | 中立の視点で見るウクライナ紛争

今年、このような事件が発覚し犯人が逮捕されました。

21歳の空軍州兵を逮捕、米国防総省の機密文書流出
2023年4月14日
https://www.bbc.com/japanese/65271731
情報BOX:米機密文書流出事件、現時点での情報整理
Reuters
2023年4月12日午後 5:12 GMT+98ヶ月前更新
https://jp.reuters.com/article/us-classified-documents-idJPKBN2W808T/

いつ頃からどの程度の機密が流出していたかは不明です。しかしウクライナ紛争に関する文書もかなり含まれていたと思います。

航空万能論GFが、ワシントンポストの記事について詳細に書いています。ワシントンポストの記事は、この機密文書を元に書かれているようです。

2023.12.6
ウクライナの反攻作戦はどうして失敗したのか、計画に生じた誤算と対立
https://grandfleet.info/us-related/why-did-ukraines-counteroffensive-operation-fail-miscalculations-and-conflicts-that-occurred-in-the-plan/

In Ukraine, a war of incremental gains as counteroffensive stalls
By Washington Post Staff
December 4, 2023 at 6:00 a.m. EST
https://www.washingtonpost.com/world/2023/12/04/ukraine-counteroffensive-stalled-russia-war-defenses/

航空万能論GFの記事を読むとワシントンポストには、かなり詳細な内容が書かれているようです。この記事が取り上げているのは、今年のウクライナの反撃作戦に関する部分だけです。

しかし、流出した米軍機密文書にはかなり広範囲な情報が多数含まれています。ワシントンポストが入手しているくらいですから、ロシアも当然情報を入手しています。

アメリカとウクライナが、ロシアとロシア軍をどう評価しているか?
ウクライナがどのような計画を持っているか?
ウクライナ軍にどのような問題点があるか?
部隊の配置や装備・武器。
ウクライナの防空兵器。

等々考えていくとウクライナ側の機密情報は、かなりロシア側に漏れていると思います。

その中に・・
『「2023年初頭までにウクライナ軍は13万人もの死傷者を出しているため(経験豊富な兵士不足で)・・・』
こんな情報は、ロシアが涎が出るほど知りたい情報ですね❓
その他にもロシアが喜ぶ情報は、テンコ盛だと思います。ウクライナ側の内情が分かれば、ロシア側もそれに応じて対応したり対策が立てられます。

何よりロシアが助かるのは、今回のワシントンポストの記事で大体、ウクライナ軍が何を考えて何をしようとしているのか、はっきり分かります。そしてウクライナ政府とウクライナ軍の欠点もはっきり分かります。同じような分析をロシア側もしていると思います。

今年の冬の戦いは、それが大きく影響すると思います。ロシア軍の人的損失を一切無視した猛攻は、ウクライナ側の兵力不足と動員が上手くいっていないことを見極めたからだと思います。

つまり❓
ロシア軍に少々人的損失が発生しようと、ウクライナ軍に同程度の損失が発生すれば、ロシア軍に有利だと言うことです。ウクライナ軍は、損失の補充が少ししか出来ません。ロシア軍の方は、今年集めた応募兵がかなり残っていると思います。東部戦線で消耗戦を続ければ、自然にロシア軍に有利な状況が生まれると言うことです。

結果として、米軍機密文書流出事件のウクライナ紛争への影響はかなり大きなものがあると思います。

 

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「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次⑨
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兵士の休暇やローテーション問題のロシア式解決方法とは❓<ウクライナ紛争2023.12.10

2023-12-11 00:44:10 | 中立の視点で見るウクライナ紛争

記事元
2023.11.29
前線のロシア軍兵士、賄賂を支払って作戦に参加しない権利や休暇を購入
https://grandfleet.info/russia-related/russian-soldiers-on-the-front-line-pay-bribes-to-buy-the-right-not-to-participate-in-operations-or-buy-leave/

ロシアにも兵士が休暇が取れないとかローテーションがされていないとか問題があります。
ロシアの場合は、「作戦に参加しない権利や休暇」を賄賂を払って購入するのだそうです。
だからお金はかかるけれど休暇は取れます。

これがウクライナ軍との大きな違いです。ウクライナの場合は命令拒否か逃亡しかありません。

どっちも腐敗と汚職が蔓延している国なんだからそのままにしておけば問題の一部は、解決されるわけです。

ウクライナの方は、酷いですよ❓
「軍隊タコ部屋」です。いったん入ったら❓
死ぬか、手足を無くさないと除隊できません。休暇も余りないみたいです。

除隊問題は、双方にあり双方ともデモがあるようです。
ロシアの方も愛国を言いながら、ささやかに家族が除隊を求めてデモをしているようです。

ロシアの場合は、刑務所の囚人などのような応募兵の方が除隊に関しては有利です。死ぬ確率は大きいものの、運よく生き延びると契約期間が満了すると罪を免じられてお役御免になります。多重債務者も同じで借金免除でお役御免になります。

徴集で来た兵士は、除隊の定めがないようです。だからウクライナ軍とこの点は同じで、戦場でそのまま拘束されているケースが多いようです。その家族が、デモをしているようです。

この休暇やローテーションに関しては、ロシア式の方が優れていると言えます。
ウクライナの場合は、命令拒否か逃亡しか出来ません。ロシアの場合は、賄賂を払って休めます。応募兵は契約期間が満了したら除隊できますしね❓

どっちにしても戦争をしない方がいいことは確かです。ロシアの場合は今年は刑務所の囚人か多重債務で首が回らなくなった連中を中心にスカウトしていますので、一般国民は動員を免れています。いわゆる、ワグネル方式です。国民の愛国心や忠誠心よりもお金を信用する方式と言えます。

プーチンさんも去年、いきなり30万人の部分動員をしたらロシア国民がパニックを起こして国外に逃亡するロシア人が十万の単位で発生しましたから、相当堪えたと思います。
某プー
「愛国心や忠誠心なんか❓全然、ないじゃないか!!!」
と言うわけで、ロシアの方は「愛国心や忠誠心」は一応の建前だけで、高給と好待遇に切り替えて今のところ上手くいっています。

ウクライナの方は、「愛国心や忠誠心」しかないので最近は動員が全然上手くいっていないようです。無理もないですよね❓もう徴兵を嫌って国外に逃亡したウクライナ人は軽く65万人は、いるようです。


※そんな事情を書いたブログ記事
2023.11.28
部分的動員に服務期間の定めなし、ロシアでも兵士の動員解除を求めてデモ
https://grandfleet.info/russia-related/partial-mobilization-has-no-set-period-of-service-demonstrations-in-russia-calling-for-demobilization-of-soldiers/
2023.12.10
動員失敗でウクライナ軍部隊は人員の共食状態、動員システムにも課題が
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/ukrainian-military-units-resort-to-cannibalization-of-personnel-due-to-failed-mobilization/
2023.11.13
ウクライナ各地で動員解除を求めるデモ、国民全員が勝利に責任を負うべき
https://grandfleet.info/european-region/demonstrations-calling-for-demobilization-across-ukraine-all-citizens-must-take-responsibility-for-victory/

 

※関連記事目次

「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次⑨
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/e2c67e9b59ec09731a1b86a632f91b27