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古紙不況広がる 中国向け輸出停止 舞鶴港にも影響

2009-03-07 | 舞鶴市

京都新聞(3月7日付)

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古紙業者を世界不況直撃 価格急落、中国向け輸出停止

世界不況に伴って古紙価格が急落し、府北部に関係業者を直撃している。舞鶴港からの中国向け古紙輸出もほとんどストップしているが、倉庫が在庫であふれてしまうため、赤字覚悟で輸出を余儀なくされている古紙問屋もある。古紙回収業者は人件費の捻出に苦慮しており、このままでは市民生活に影響が出かねないとの声もある。

各家庭や事業所から出る新聞や雑誌、段ボールなどの古紙は、回収業者、問屋、商社を経て、国内外の製紙会社に渡り、梱包用段ボールや再生紙の原料としてリサイクルされる。

日本の古紙回収率は75%にのぼり、2割弱が輸出され、そのうち中国向けが9割を占める。中国の経済成長に伴って輸出量は急増し、08年の輸出は01年の約5倍の292万5,200トンにのぼった。北京五輪特需もあって単価は01年7月の4.9倍を記録した。

しかし、昨秋のリーマン破たん以降、価格が急落。指標となる関東製紙原料直納商工組合(東京都)の3月の新聞輸出価格は1キロ9円と、昨年10月から66%も下落し、雑誌、段ボールも同様に値下がりした。このため、舞鶴港からの古紙輸出は昨年9月から今年1月までゼロになった。

こうした中、舞鶴市と福井県嶺南地域の古紙を扱うNR研究所(本社:舞鶴市)は2月末、在庫の古紙約1,200万トンの輸出に踏み切った。売値が仕入れ値を下回ったが、中野健太郎監査役は「倉庫があふれると仕入れができない。焼却処分には手数料がいる。今後の値下がりを見越して決断した」と打ち明ける。

国内では、大手製紙会社が一部工場を閉鎖するなど減産態勢に入り、古紙の余剰が起きている。メーカーや問屋でつくる財団法人古紙再生促進センター(東京都)は「食料品や家電製品の包装材など、あらゆる製品に紙が使われるが、消費低迷で需要が下がっている。ほかの産業が回復しないことには…」という。

府北部の回収業者は「新聞や雑誌の古紙は毎月必ず発生する。問屋の買値は市場に比例して安くなるが、われわれは従業員の人件費を確保せねばならない。今は家庭から出る古紙は無料で引き取っているが、こうした状況が続けば、家電製品のリサイクルのように、市民1人1人に費用負担をお願いせざるを得ないかもしれない」と苦慮している。

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