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福知山駅立体交差完了 大事業も…止まらぬ市街地の衰退

2009-03-01 | 福知山市

毎日新聞(3月1日付)舞鶴支局版

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福知山駅立体交差完了 630億円の大事業も…止まらぬ市街地の衰退


◇地価下落、財政も圧迫
北近畿タンゴ鉄道(KTR)の高架新駅が28日開業し、福知山駅周辺6.1キロを高架にする府の連続立体交差事業(315億円)がほぼ完了した。基本構想調査から30年。鉄道で南北に分断されていた市街地の活性化に寄与する「世紀の大事業」だったはずだが、地価下落、人口減など市街地の衰退に歯止めがかからない。福知山市の取り組みを中心に現況と課題を追った。

◆地価下落率府内一
事業は96年度に始まり、05年11月にJRの高架駅が開業した。市は並行し、駅南と駅周辺の2つの土地区画整理事業(事業費計314億円)に取り組む。計約630億円に及ぶ大事業に、地元経済界は「活性化に向け100年に一度のチャンス」と意気込んでいた。

昨年3月に発表された駅北の1等地の地価は1平方メートル18万円。亀岡市以北の最高値はなんとか維持したものの、下落率8.2%は府内商業地ワーストで、この5年で4割も下がった。

◆赤字の区画整理
市財政の厳しさが増す中、地価下落は2つの土地区画整理事業に大きな影を落とす。

駅南の特別会計は約10億円の赤字。財政健全化法に基づく健全化計画策定が必要となる資金不足比率20%を超えないよう、市は今年度補正予算に約5億円、09年度当初予算に約1億円を基金から繰り入れる。残る保留地約4,500㎡(3億8,125万円分)が売れなければ、負担はさらに増える。

一方、駅周辺の保留地約9,000㎡の売却はこれから本格化する。しかし、市は09年度、基金から約2億円を繰り入れるなど4億5,000万円程度の補てんは避けられないと見込んでいる。

地価上昇時には黒字も出していた土地区画整理。両事業への市の「持ち出し」は10億円を超える見通しだ。

◆都センター凍結
市は府内で唯一、新たな「まちづくり3法」に基づく中心市街地活性化基本計画の今年度中の国の認定を目指していた。しかし、駅北口に計画されていた「北近畿の都センター」(総事業費約60億円)の建設凍結で、基本計画の根本的な見直しを迫られている。

松山正治市長は昨年6月の市長選で、都センター計画の凍結を公約の一つに掲げ、現職を小差で破った。秋に縮小案を示したが、財政状況を憂慮する市民の反対もあり、09年度当初予算への関連経費計上を断念した。

市は活性化基本計画の中で、都センターを高度な行政情報サービスを提供する交流拠点・中核施設と位置付けていた。「中核施設の凍結」を計画に反映できるのか。難題解決に向けた国との協議はこれから始まる。

◆問われる手腕
情報公開の徹底、市民参加--。昨年1月発覚の汚職事件も追い風に、54年続いた「助役から市長へ」を打破した松山市長が掲げたキーワードだ。

これまで、市街地活性化が経済界中心に議論されてきた面は否めず、「福知山の顔」「北近畿の玄関口」の駅周辺を取り巻く状況が市民に十分には伝えられてこなかった。

都センターについて「機能、整備手法などを市民と一緒に幅広く検討したい」と話す松山市長。市街地活性化に向け、情報公開を徹底した上で「市民参加」の枠組みをどうつくるか。手腕が問われることになる。

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