kiske3の絵日記

一コマ漫画、トホホな人の習性、

映画批評、恐怖夜話、あらゆる

告知をユルく描いて書いてます。

泊まり込み 14

2006年08月08日 | ボスヒコの「恐怖夜話スペシャル」

脱衣所のドアが閉まっていた。彼女は脱衣所の外で高田の絶叫を聞く事になる。

「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

「死ねええええ!!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!」

ブタが握りしめているカッターが高田の左肩めがけて振り下ろされた。高田は
慌てて両手でガードしようとしたが、無惨にもカッターが左手の小指と薬指を
切断する。痛みを感じる時間がないまま、ブタの第2投がやって来た。それは
見事に左肩を切り裂いた。半狂乱の高田はブタに掴みかかって行く。返り血を
浴びながら、ブタは高田にめがけて闇雲にカッターを振り回す。高田はなんとか
カッターを持っているブタの右手を捕まえるが、裂けた左肩をブタに噛まれる。

「ぎゃあぁぁあぁあぁぁっぁぁっぁあぁああああ!!!!」

そのままもつれ込んで、湯が入ってない空のバスタブに2人は落ちた。シャワー
室と言ってもバスタブはあった。風呂にも浸かれないぐらい忙しく、シャワー
しか使わないので社員達にこう呼ばれている。皮肉にも誰も使った事がない
風呂にこういう形で初めて入る事になった。ブタの肉風呂と言ってもいいほど
窮屈な状態でどちらもほぼ身動きをとれない。動くのはわずか上になった腕と
足、それに頭の部分だけだった。ブタが雄叫びを上げながら太った身体を動かす。
ブタの肉が揺れるたびに白色のバスタブが高田の血で赤黒く染まっていった。

「おおおおお!!おおお!!おまえなんかあああ!!おまえなんかあああ!!」
「や!やめろっ!勝手に誤解しやがって!!くそっ!!くそっ!!くそっ!!」
「ぅるさいんじゃあああ!!うらぎるからやろがあああ!!しねやああああ!!」
「ぎゃあぁっ!!う、裏切る!?!何の事だっ!!?!一体!?ぎゃあぁっ!!」



高田を助けようとしてドアを開けようとするが開かない。ブタはいつ内鍵を
閉めたのだろうか。何回か体当たりを試すが意外に頑丈に出来ていた。彼女は
ドアを叩いたり叫ぶ事しかできなかった。…窓から叫んで助けを呼ぶしかない。

「高田さんっ!助けを呼んでくるからねっ!!待っててねっ!高田さんっ!!」

彼女は仕事場の方に駆け出そうとした。しかし、体が反応せずに棒立ち状態に
なる。背筋が凍り、嫌な汗が出て来る。目の前に広がる暗闇から目が離せない。



高田がブタの鼻に頭突きをする。ブタは蚊が刺したかの様に平気な顔をして挑発
する。高田は何度もブタの鼻に頭突きをして、とうとう大量の鼻血と共に鼻が
折れる音がした。ようやくブタがひるんだ。その時にカッターを落とす。焦る
ブタと最後のチャンスを手に入れた高田はバスタブにヒビが入るくらいに暴れる。
バスタブ内のどこかでカッターがカチャカチャ鳴っている。高田は自分の腹の
下にカッターを見付けて、必死になって拾おうとする。それが高田に隙を作った。
一瞬、下を見た高田を見逃す事なく、ブタは高田の左耳まるごと噛みちぎった。



動けない!…金縛り!?……これは!?……ブタの恐さなんかじゃない!!

早く助けを呼ばなければ!!落ち着け…指は微かに動かせる。目は動かせる。
あとは……無理か…。そうだ!友達が金縛りにあった時、どこかをつねれば
元に戻るって聞いた!!なんとか、指を、動かして、横の、太ももでも……。

彼女は下を見た。無言の叫び声を上げる。大きな赤い手が両足を掴んでいた。














痛いね~。                        ボスヒコ


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